ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年03月28日

サンタナ3

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サンタナ/サンタナ3

(ソニー・ミュージック)



せっかく「ギター・レジェンド・シリーズ \1080」色々なジャンル出てるし、せっかく「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルの生みの親でありますフリートウッド・マックを紹介したので、今日はサンタナを紹介してしまいましょう。

サンタナは「ラテン・ロック」という音楽をアメリカで作り出した、そのジャンルの開拓者的バンドであります。

よく、ギター弾いてるカルロス・サンタナ個人のことを"サンタナ"だと誤解されますがちゃいます。ギターのカルロス・サンタナを中心としたバンドの事が「サンタナ」です。

エディ・ヴァン・ヘイレンを中心としたバンドの事を「ヴァン・ヘイレン」というのと一緒ですね。

はいはい、そんな訳で今もロックの大御所として現役バリバリのサンタナでありますが、デビューは1969年と早く、その年のウッドストック・フェスティバルに出演したことで一気に話題となり、翌年には先も申し上げたように、フリートウッド・マックの「ブラック・マジック・ウーマン」のラテン・ロックなカヴァーが全米4位というヒットとなって、不動の人気を誇るようになります。

ロックにラテン音楽の要素を取り入れたサンタナのサウンドは、他にない個性と称賛され、セカンド・アルバム「天の守護神」以降は特にメキシコ出身のカルロスの、哀愁溢れるギターソロをグッと全面に出した音作りでその個性に磨きをかけていくのですが、本日ご紹介するのは、そんなサンタナの大飛躍の一歩目となった記念すべき名盤「サンタナ3」であります。

このアルバムでサンタナは、ギターを前に出したサウンドをより効果的にす仕上げるために、バンドにもう一人のギタリスト、しかもリズムを刻むサイドギターではなく、自分のソロにガンガン斬り込んでくる若手のリードギタリストを招き入れます。

その若手ギタリストというのが、何と17歳のニール・ショーン。

はい、詳しい方にはピンとくるでしょうが、彼は後にサンタナのオルガン奏者、グレッグ・ローリーと共に、アメリカン・プログレッシブロックの代表ともいえるスーパー・バンド「ジャーニー」を結成するあのニール・ショーンです。

このカルロスの試みは大成功でした。まーこのショーン君のギター、カルロスに負けず劣らず弾きまくる弾きまくる(!)

個人的にこのアルバムは、初めて買ったサンタナのアルバムだったので、メンバーのこととかまだよく分からなかったということもあり

「当たり前だけどギターめちゃくちゃ弾きまくってるな、まるで音色とかフレーズがそっくりなギタリスト2人がソロバトルしてるみてぇじゃないか、おい」

と、思ってましたが「おい」じゃなくて実際このアルバムでバトルに聴こえてたのは、正真正銘のバトルだったんですね。




1.バトゥーカ
2.孤独のリズム
3.タブー(禁断の恋)
4.祭典
5.新しい世界
6.グアヒーラ
7.ジャングル・ストラット
8.愛がすべてを
9.情熱のルンバ
10.バトゥーカ (ライヴ)
11.ジャングル・ストラット (ライヴ)
12.ガンボ (ライヴ)

アルバムは祝祭の雰囲気を盛り上げるパーカッションの音から始まります。

更にビシッと斬り込んでくるシンプルなギターリフからのいきなりワウも絶妙にかましたチョーキング大炸裂のソロが大いに盛り上がったところでカクンとテンポを落としたAへ。

一応唄モノですが、リードヴォーカルを置かずにコーラスが主旋律を唄うパートがあって、そこから怒涛のギターソロ、これは燃えます。

前半のハイライトBとCも素晴らしく、妖艶なバラードでのむせび泣くギターを目一杯聴かせて一気にハイテンションのラテン・ロック!やり合うギターを挟んでの、グレッグ・ローリーのオルガンソロもキレキレであります。この展開、たまらんですね。ワシ何度こぶしを握ったか分かりません。

続くD以降はレコードでいえばB面ですが、こっからは更に曲のバラエティに富んでおります。

いきなりのブ厚いホーンとソウルフルなパンチの効いたヴォーカルを炸裂させるのは、西海岸ファンクの雄、タワー・オブ・パワーの面々。

Eは一転ルンバのリズムで、ルーツのひとつであるキューバ音楽にかなり接近した曲。正直アタシはこの曲でラテン・ミュージックそのものにかなり惹かれるようになり、大分後に「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」聴いて

「これこれ、サンタナがやってたやつこんな感じの曲!」

と、もう泣きたくなるぐらい嬉しかったです。

Fは更に一転、今度はツインギターのアツい絡みと、それをグイグイ引っ張るベースがカッコイイですね。

そして再びラテンの「お祭り」を思わせる、パーカッションが賑やかに鳴り響くGでアルバムは一応完結なんですが、CD化に際してこの年のフィルモア・ウエストで行われたかなりアツいライヴが3曲オマケで付いております。








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2017年03月26日

フリートウッド・マック 英吉利の薔薇


ソニー・ミュージックが何かトチ狂って気合いを入れてリリース致します税込み¥1080の素晴らしい「ギター・レジェンド・シリーズ」。

せっかくドカンと出ますので、戦前ブルースばかりでもなく、ロックもレビューいたしましょう♪

このシリーズ、タイトルを見ると「ブルース」をキーワードに、ロックやブルースロックの名盤や「おぉ、こんなのもあるのか!」と思わずニンマリしてしまう渋い渋い隠れ名盤まで、これはきっと担当者が手前の独断と偏見だけで勝手にブルース好きや、これからブルースを聴いてみようと思う人達のために、精魂込めてセレクトしたに違いありませんから、そこらへんの気持ちもキチンと汲んで読者の皆様にちゃんと紹介するというのが、音楽稼業に生きる人間の筋というもの。

で、アタシが記念すべき「ギター・レジェンド・シリーズ、ロックこの一枚!」に、まず選んでみたのがコチラ

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フリートウッド・マック/英吉利の薔薇
(ソニー・ミュージック)


ドドーン!

これですよ、このジャケット!!

多分今、ここまで読んで

「あ、何かよーわからんけど、この写真はよく見るぞ!」

と思った方、多いと思います。

そうなんです、コレはですね

「ジャケの方が中身より何倍も有名盤」

として、かれこれ50年近くロック史に君臨しているキング・オブ・変顔ジャケ”でありますの♪

はい、でも中身はカッコイイよ。

終わり。





終われなーーーーーい!!!!


はい、ちゃんとしますね(汗)

このアルバムは、今も活躍しておりますイギリスの大御所ロック・バンド、フリートウッド・マックのセカンド・アルバムです。

はい、で、フリートウッド・マックとは何ぞ?

という話になるんですが、ここで重要なのは「ブルース」です。

アメリカのブルースが、1960年代になって、本国よりもイギリスで大いに人気を博したという話は、このブログでこれまで何度も書きました。

主にマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフといったシカゴ・ブルースを熱心に聴いており、自分達の表現の中にそのエッセンスを取り込んだロックで新たな息吹を与えたのが、ローリング・ストーンズであり、B.B.キング、フレディ・キング、オーティス・ラッシュといったスクィーズ(のけぞり)ギターの名手達のソロをお手本に、それぞれ発展させたのが、エリック・クラプトンやジェフ・ベックであり・・・といった感じで、英国の人気バンドや若いギター・ヒーロー達が、それはもう真剣にブルースというものを唄ったり演奏して、それが60年代の「ロック」の大スパークに直接繋がる訳なんですが。

そんな英国に、実は多くの人材を世に輩出する、シーンの台風の目のようなブルース・バンドがありました。

このバンドこそが”ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ”であります。

クリーム結成前のエリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ストーンズでの活躍でおなじみのミック・テイラーなど、ギターもベースもドラムも、その後のUKロックを背負って立つ凄い面々が、それぞれ若い頃に出入りしていたバンドなんですが、このバンドから「天才」と呼ばれるギタリスト、ピーター・グリーンとドラマーのミック・フリードウッドが独立して結成したブルース・ロック・バンドがこの「フリートウッド・マック」。

そうなんです、このアルバム、ジャケットを見る限りは何かフザケてるのか、それともプログレか、はたまたハッピーで軽薄なロックンロールの作品みたいなんですが、中身は実に硬派なブルースロックの名盤なのであります。


【収録曲】
1.ストップ・メッシン・ラウンド
2.ジグソー・パズル・ブルース
3.ドクター・ブラウン
4.サムシング・インサイド・オブ・ミー
5.イヴニン・ブギー
6.ラヴ・ザット・バーンズ
7.ブラック・マジック・ウーマン
8.アイヴ・ロスト・マイ・ベイビー
9.ワン・サニー・デイ
10.ウィズアウト・ユー
11.カミング・ホーム
12.アルバトロス

このバンドは、ピーター・グリーンの、フレーズも音色もかなり本格的なブルース(特にマイナー・キーの曲での強烈な粘りが最高)なギターを中心であります。

しかし、ちょっとフツーじゃないのがその編成。

何とギタリストはグリーンだけじゃなく、ジェレミー・スペンサーと、当時18歳のダニー・カーワンも加わったトリプル・ギターという編成で、しかも3人が3人とも、完全にソロとか完全にサイドとかいう訳ではなく、アンサンブルの中で絶妙に前に出たりバッキングに回ったり、或いはソロの合間に斬り込んできたりと、実に”ギターを聴く醍醐味”に溢れた仕上がりになっておるのですよ♪


サンタナの大ヒット曲としても有名だけど、実はこの人達のがオリジナルな「ブラック・マジック・ウーマン」ドスッ、ドスッと重たいドラムに、カッティングとリフとリードの3本のギターが絡む重厚なブルース「ワン・サニー・デイ」そしてオープニングの強烈に泥臭いながらも、アレンジの中でのメリハリがキチッと聴く人を乗せてくれる「ストップ・メッシン・アラウンド」などなど、どれも強烈に「60年代の、ブルースにガッツリ影響を受けたブルースロック」です。

彼らのプレイはしっかりと泥臭く、そしてトリプルギターでの職人な絡みでしっかりとブルースしてロックしているので、それ以外のアレンジの中で余計なこともせず、実に自然な味わいです。

ジャケのイメージで、アタシも最初は「うぅ〜ん、どんなもんだろう」と思ってたりしたんですけどね、もう1曲目からその、良い意味でUKロックらしからぬ渋味とコクの豊かさに気持ち良くヤラレましたよ。

アルバム全編通して実に硬派なブルースロックですが、感動的なラストの「アルバトロス」、ギター好きでインスト好きならこれ聴いてください。一転切なく不思議な爽快感が余韻としてジワッと響くこれは名演です。





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2017年03月20日

キース・ジャレット 生と死の幻想

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「綺麗」と「美しい」の違いとは何か?

尋ねられるとつぶさには答えられないので、じっくりと考えてみました。

すると思うに「綺麗」というのは、主に視覚や聴覚に鮮やかに飛び込んでくる、その瞬間的な何かのことで「美しい」というのは、視覚や聴覚にありのまま飛び込んできた情報に止まらず、それによって何かしらの想像の力が働く、端的に言えばそこからストーリーが導き出されるものの事全般を指すのではないかと思います。

いやもっとシンプルに「美しい」というものは「綺麗では収まらない恍惚や陶酔を孕んだもの」ではないでしょうか。

例えばキース・ジャレット。

この人のピアノは「綺麗」の最たるものです。

ピンと背筋が伸びるような、濁りのないタッチ、繰り出すフレーズの端正さと透明度は、これがジャズであることを忘れさせてしまう、つまり恍惚と陶酔でもって「これは何」という根幹の部分にある心の壁を溶かしてしまうぐらいのものを持っている。

でも、ここまでなら単なる「綺麗」です。

キース・ジャレットの音楽は、そこから更に聴く人の心の深淵に、スッと入ってきて、色々と狂おしく掻き乱します。つまり美しい。

矛盾するかも知れませんが、何故彼の表現が美しいのか?それは「完璧じゃないから」だと思うんです。

綺麗なメロディーを弾いてるけれど、ギリギリのところで甘美に流れる事を断固拒否してるかのような、厳しい音の選び方や、演奏中の「イー、イー」という妙な唸り声。

正直これがなければキースは完璧。

と、思う要素は結構あるんですが、それらがなかったらキース・ジャレットというピアニスト、恐らく記憶にすら残らない存在で終わったことでしょう。

キースの言葉です。

私達はもっと花のように努めるべきである。
彼らにとっては毎日が生の体験であり、死の体験でもあるから。

−キース・ジャレット.



どうでしょう?花について語るとき、ほとんどの人はその美しさ、眩しいほどの生命の咲き誇る様を無条件で讃えがちですが、彼は慎重に言葉を選びながら

「花というのは生でもあるが死でもあるよ」

と言ってます。





【パーソネル】
キース・ジャレット(p,ss,fl,perc)
デューイ・レッドマン(ts,perc,@B)
チャーリー・ヘイデン(b)
ポール・モチアン(ds,@B)
ギレルミ・フランコ(perc,@B)

【収録曲】
1.生と死の幻想
2.祈り
3.グレイト・バード


この言葉が記されたライナノーツが入っているのは、アルバム「生と死の幻想」。

最初に知った時は、何だか70年代のハードロックのアルバムジャケットにしか見えず、もっと具体的には

「どこのシン・リジィだよ」

としか思えず、中身がまるで想像できなかったので、気にはなるけど(大好きなlmpulse!レーベルのだし)、聴くのは大分遅くなってしまっていたアルバムです。

キースといえば、今も籍を置いているドイツのECMレーベルでの、とにかく美しいピアノ・トリオやソロ・ピアノ、それかヨーロッパのミュージシャン達と、洗練と透明を極めた"ヨーロピアン・カルテット"だよな〜と思っていた所に、インパルスという、キースのイメージとはちょっと合わない、フリージャズやカルトでモンドなポップスに寄った個性派や、或いは30年代40年代に活躍したスウィング・ジャズの往年の名手達による渋くて硬派なイメージのレーベルから出された、しかもクレジットを見ると、ビル・エヴァンスと組んでいたポール・モチアンは分かるけど、デューイ・レッドマンやチャーリー・ヘイデンという、フリーの親玉オーネット・コールマン系のコワモテな方々。

うん、どんな音かますます想像できません。

購入までどれくらいかかったか、とにかく長い時間かかりましたが、ようやく聴いた時は、トリオやソロ・ピアノやヨーロピアン・カルテットとはまるで違うサウンドながら

「あ、美しい・・・」

と、絶句しました。

フルート(キースが吹いてる)とパーカッションが、どこか奥アジア辺りの民族音楽を思わせつつ、やはり端正さと切なく儚い美旋律を炸裂させるピアノが出て来てから、聴く人をためらいなく恍惚と陶酔の世界へ誘うタイトル曲「生と死の幻想」から、チャーリー・ヘイデンの生き物のように艶かしいベースとピアノの深い対話の「祈り」再び民族音楽調のパーカッションとサックスが炸裂する中、その土臭さに激しく対抗するかのようなメロディアスなピアノでぶつかってゆく「グレイト・バード」まで、音楽を聴きつつも、古代遺跡に刻まれた一大叙情詩の世界を浴びているような特別な感覚・・・。

これを「美しい」と言わずして何と言いましょう。

ライナーによると、この時期のキースは思うところあって、ジャズの表現からはどんどん逸脱して行きたかったんだとあります。その逸脱を音にしたものがこのインパルスの、アメリカン・カルテットの演奏であるよと。

確かに「ジャズ」を逸脱して、何というか上の次元の美しさをモノにしたような音楽であります。この底無しの幻想美にいつまでも酔いましょう。



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2017年03月18日

ジェイムス・コットン 100%コットン

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ジェイムス・コットン/100%コットン
(BUDDAH/Pヴァイン)


モダン・ブルースといえば、ドス黒いサウンドを効かせたバンドの中で時にパワフルに、時にファンキーに響くブルース・ハープがオツなものであります。

昨日は、色んな思い出を巡らせながらジェイムス・コットンの「100%コットン」を聴いておりました。

言うまでもなくブルースハープの最高にカッコイイ名盤のひとつであり、70年代、ファンクに最も接近し、そして最も劇的な音楽的成功を納めた一枚。

ジェイムス・コットンを初めて聴いたのは中1の時です。

当時THE BOOMが大好きだった私は、とりあえず宮沢和史みたいになりたいからという理由でハーモニカ、KeyAの10穴ブルースハープを楽器屋で買ってきて「星のラブレター」を練習していました。


そん時親父が「ほれ、ハープ吹きたいんならこういうやつ聴けばいいよ」と、カセットテープをホイッと渡ししたんです。

ラベルには「ハープアタック!」とぶっとい字(親父直筆)で書いてありました。

このアルバムは、1970年代からのブルースを語る上ではハズせない気合いの入ったレーベル”アリゲーター”からリリースされた、ジェイムス・コットン、ジュニア・ウェルズ、キャリー・ベル、ビリー・ブランチという凄い顔ぶれによるブルースハープ夢のジャムセッション盤です。

もちろん当時そんなこと知らず「へぇ」ぐらいに思ってました。

中1のクソガキにブルースなんていきなりグッとは来なかったし、ハープも何をどうやって吹いてるのか分からなかった。

というのが正直なところでしょう。

ただ「ブルースを聴いてる」という、ちょっとだけ大人の優越感に浸るために、ちょこちょこ聴いて悦に入ってはいました。

自分でもあんまピンと来とらんくせに、友達に「おぅ、コレがブルースじゃあ」とか言って、今もう穴があったら入りたいぐらいの赤面モノなのですが、まぁそんなもんです。

それからジェイムス・コットンを好きになるまでに、宮沢和史を通り ボブ・ディランを通り、ポール・バターフィールド、ジュニア・ウェルズ、リトル・ウォルターと、かなり遠回りして「ジャケがカッコイイ」というだけの理由で「100%コットンライヴ」というCDを買いました。

これは燃えました。

シビレて、吹いて、踊りました。

ブルース、特に戦後のモダン・ブルースといえば、ヘヴィでダウナーな雰囲気の中、とにかくタメの効いた辛口な味わいだとばかり思っていたのですが、ここでのジェイムス・コットンのプレイは「ブルース」というよりノリノリでイケイケのファンクであり、その爆発的なノリは、それまで戦後のブルースに勝手に抱いていた重く暗いイメージを、パワフルにぶっ飛ばすものでありました。

ちなみにこの時期のコットンのブルースは「ファンク・ブルース」或いは「ブルースファンク」と呼ばれてたようですが、コレは本人が意識してこう呼べといったのではなく、レコードを聴いた人らがそれぞれそう命名して、このノリの良さを語り継いでいったものだそうです。だってファンクなんだもん。

その時初めてジェイムス・コットンを、知りもしないのに聴いてから8年後。私は19になっておりました。

そんでもってジェイムス・コットンをもっと深く知ろうと、それまでのファンク路線からルーツ回帰へと舵を切った90年代以降の作品や、彼が参加していた頃のマディ・ウォーターズ・バンドの作品も聴き漁りました。

アンプリファイドバリバリで、いかにもワルなリトル・ウォルターや、音色の中にドロドロした狂気が渦巻いている感じのジュニア・ウェルズのハープとはまた違う、生音を大切に紡ぎながら、はっちゃける時もどこか純朴さや、自然な泥臭さを感じさせるコットンのプレイには、とことん人情が滲んでおりました。

それでいて古臭いとは少しも感じません。



【収録曲】
1.Boogie Thing
2.One More Mile
3.All Walks Of Life
4.Creeper Creeps Again
5.Rockett 88
6.How Long Can A Fool Go Wrong
7.I Don't Know
8.Burner
9.Fatuation
10.Fever

3月16日の夜

「さぁ、明日も仕事はハードだ。気合い入れるためになんつーかこう、ファンキーで芯のある音楽、車で流さないとね」

とか、割と軽い気持ちで、コットンの「100%コットン」を選んでカバンに入れたんです。

午前中

「ほらみろブラザー、やっぱりジェイムス・コットンにして良かったぜぇ。のっけからギラギラしたモダン・ブギでノリノリだろーが。そして間髪入れずに恐ろしくタメの聴いたミドル・ファンクの"One More Mile"だ。俺はもうこの2曲だけで天国行ける自信あるが、ところがブラザー、ジェイムスはそっから畳み掛けやがるんだ。わかるかい、アーハー?ちょいと小手調べの正調ブルースの"All Walks Life"から怒濤のインスト"Creeper Creepers Again"と来て、名刺代わりの最高にゴキゲンなナンバーの"Rockett88"だ。それからそれから最後までアツく聴かせてラストは何だと思う?オリジナル・ソウル・ブラザーNo1、リトル・ウィリー・ジョンの"Fever"だぜ。しかもヤワじゃねぇ、しっかりブルースしてるし、何よりジェイムスの声が野太くて切ない、そんじょの小僧にゃこんな風には出来ない、って当たり前だろ?ジェイムス・コットンだぜ」

と、心の中で一気に呟いて車を走らせ、駐車場でちょいとニュースをチェックしたとき真っ先に飛び込んできた訃報...


頭が真っ白になりましたが「もうこれははなむけに1日中聴き狂うしかないな」と思って、アタシはコットン好きになるきっかけになった「100%コットン」と「100%コットンライヴ」、それと彼の初期の素晴らしいプレイが聴けるマディ・ウォーターズの「トラブル・ノー・モア 〜シングルス1955-1959」を、ひたすら聴き狂っておりました。

コットンは70年代に最先端のファンクを演奏に取り込んでも、ハーモニカの音色そのものを電気増幅することを潔しとせず、ナチュラルな音色で実にモダンで味わいの深いプレイを貫いておりました。スタイルよりも何よりも、アタシがコットンを特別カッコイイなと思うところはそこです。








ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜



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2017年03月16日

ミシシッピ・ジョン・ハート アヴァロン・ブルース

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ミシシッピ・ジョン・ハート/アヴァロン・ブルース
(ソニー・ミュージック)

ミシシッピ・ジョン・ハートといえば、戦前にレコーディングを残し、いわゆる戦後に”再発見”されたブルースマンの中で最も人気があったと言われる人です。

その、流麗なアルペジオ奏法によるギターと、何ともほのぼのとしたハートウォームの声は「ブルース」と聴いて連想する、ガラガラで泥臭いイメージとはまるで対極に位置するものであり、長年ブルースファンというよりはフォークを愛好する人達によって愛され、多くの楽曲がカヴァーされてきた人でもあります。

その人となり、ミュージシャンとしての半生につきましては以前にココに書いてありますので、余りクドクドは申しませんが、とにかくそのフォーキーなスタイル(ブルース以前の音楽、つまりブルースから枝分かれしたカントリーの原型をそこに見るような感じ、といえばいいでしょうか)を、何の知識もなしに耳にした時は

「うぉ?コノ人はブルースの人なのにまんまフォークだぞ?どうしたんだ??」

と思ったんですが、実は話が逆で、1960年代以降にたくさん生み出されたフォークソング(実際のフォークソングは単純に”民謡”という意味ですので”フォーク・リヴァイヴバルの時のアコースティック音楽と思えばよろしい)のほとんどは、コノ人のスタイルから直接/間接を問わず大きな影響を受けている訳で、ザックリと、本当にザックリといえば

「戦後のフォークのスタイルは、そのかなりの部分がミシシッピ・ジョン・ハートが作ったもので出来ている」

と言っても、ちょっとしか言い過ぎでないのであります。

そして、ギターを弾く人には、さっきまで散々フォークフォークと言ってたくせにと矛盾を感じるかも知れませんが、ミシシッピ・ジョン・ハートのギターには、フィンガー・ピッキングでアコースティックなブルースを弾くには欠かせない基本テクニックの宝庫なんですね。

アタシが本格的にブルース・ギターを弾いてみたいと思った10代の頃の話です。

「戦前ブルースを弾けるようになりたい!」

と思ったものの、当時はネットもない時代、何をどう弾いていいのか分からず、とにかく必死になって耳コピをしておりました。

そんな時に楽器屋さんで、ステファン・グロスマンという人の、戦前ブルース教則ビデオを見付けたんですね。




はい、ステファン・グロスマンといえば、フォーク・リヴァイバル時の人気グループ「イーヴン・ダズン・ジャグ・バンド」のメンバーであり、シンガー/ギタリストとしての作品やジョン・レンボーンをはじめ、様々なミュージシャンとのコラボでも知られる人ですが、この人はハウ・トゥ・ギターの世界(?)ではとにかく有名な人で、なかんづくアコースティックなブルースの教本やビデオは物凄い量出しています。

戦前ブルースの、特にあの「ギターが2本同時に鳴っているように聞こえる奏法」をとにかく会得したいと思っていたアタシは、グロスマン氏の教則ビデオに飛びつきました。

教則ビデオは最初から最後まで通して観ても、何をどうやってるのかさっぱり分かりません。

しかし、最初にグロスマン氏が

「まずはこの曲をやってみよう、とっても簡単だからね」

と1曲目に持ってきていたのが「マイ・クリオ・ベル」。

これがミシシッピ・ジョン・ハートの曲でした。

最初は

「うぉう、オレはブルースが弾きてぇんだよ、こんなフォークみたいな曲やってられるかよ!」

と、突っ張ってみたのですが、それをすっ飛ばしてブルース曲をしようとしても全く歯が立たず。

悔しいのと情けないので、結構本気でイライラしましたが、ここは素直にグロスマン先生に従おうと、2週間ぐらい真面目に「マイ・クリオ・ベル」を練習してたんです。

そしたら、何となく、親指を「ボン、バン、ボン、バン♪」とやりながら、残りの指でそれっぽいオブリガードを入れることが出来るようになったんです(!)

それを皮切りに、他のブルース曲に挑戦してみたら、何と!完璧ではないけれど「何をどうすればいいの・・・?」という最初の頃のやや絶望感を伴った疑問もなく、分かる!・・・ような気がする!!

で、アタシのブルースギター人生はスタートしました。

ミシシッピ・ジョン・ハートの、アルペジオと親指のベース音弾きギターは、本当にフィンガー・ピッキングの基本も基本。この奏法をマスターしたら、後はシンコペーション(アクセントの置き方)で、ラグタイムやブルースのフィンガー・ピッキングが応用で弾けるようになるんです。


なのでこのブログをお読みの方で「うぉう、オレは戦前ブルースのギター弾けるようになりたいぜぇ!でも、何をどうやったらいいのかさっぱり分からないぜぇ♪」という方がいらしたら、ぜひともミシシッピ・ジョン・ハートの耳コピから始めてください。




【収録曲】
1.フランキー
2.ノーバディズ・ダーティ・ビジネス
3.エイント・ノー・テリン
4.ルイス・コリンズ
5.アヴァロン・ブルース
6.ビッグ・レッグ・ブルース
7.スタック・オーリー
8.キャンディマン・ブルース
9.ガット・ザ・ブルース
10.ブレスド・ビー・ザ・ネーム
11.プレイング・オン・ザ・オールド・キャンプ・グラウンド
12.ブルー・ハーヴェスト・ブルース
13.スパイクド・ライヴァー・ブルース


さて、アルバムを聴いてみましょう!

ジョン・ハートは戦後60年代に再発見されて大人気となり、ライヴ盤も含めると物凄い量の音源があります。

で、基本的に芸風の変わらない人ですので、どれもオススメではあるんですが、やっぱり聴きたいのは、彼の原点となり、実にその後35年の時を経て、多くの若者の心を掴んだ戦前録音を聴きたいものです。

彼の戦前録音は、この「アヴァロン・ブルース」に残された13曲が全て。過去にはPヴァインが「キング・オブ・ザ・ブルース4」というタイトルで、他のアーティストの楽曲をカップリングしてリリースしたり、戦前モノではジャケットの素晴らしさも含めて定評のあるYAZOOからリリースされたこともありますので、多少話がややこしいですが、どれも内容はほぼ一緒。強いていえば本盤がデジタルリマスタリングのお陰で音質がクリアになっているといったところでしょうか。

どこまでも優しく、鼻歌なんじゃないかと思えるぐらい軽やかな唄い方と、若い分だけハリのあるギターの美しいサウンドによる、芸術的なリズムとオブリガードの”一人掛け合い”これはもう至宝です。

ちなみに1曲目「フランキー」は、ボブ・ディランが90年代にリリースした弾き語り名盤「グッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー」で素晴らしいカヴァーを披露しておりますので、興味のある人はぜひ聴き比べてみてください。


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