2018年10月07日

JVC システムコンポ(EX-S5)!?

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先月の話なんですが、遂に我が家のミニコンポが壊れてしまいました。

10年以上使ってきて、不具合のあるところはその都度修理修理で何とか作動させてはきましたが、ここへきて

「メーカーに部品がもうない」

というガーンな状況になってしまったので、やむなく買い替え。

とはいうものの、アタシは基本的にカネがありません。

これまで使っていたやつは、安物ながらCDの他にカセットとMDが聴ける、そして外部接続でアナログレコードが聴けるという、なかなかに使えるやつだったんですね。


馴染みの電気屋さんにこれを伝えると

「うぅ〜ん、今はもうほとんどメモリースティックとかブルートゥースとか、そういうヤツで聴く時代だからなぁ。カセットとかMDはさっすがにミニコンポクラスで聴けるのはもうないねぇ・・・」


あぁ・・・時代って残酷ね・・・。

とはいえ、流石に家でCDとレコードが聴けないとなると、これはもうアタシは死ねと言われてるのと同じことであります。


いろいろと話し合いの結果

「じゃあもうMDとカセットは諦めて、CDとアナログが聴ければそれでいい」

ということになり(実際カセットは少ししかなく、MDは昔からあんま使うことなかったので)、予算¥50000以内という条件で探してもらうことにしました。


数日後「入ったよー」と連絡があり、取りに行くと

「いやいや、条件をクリアしてるブツは結構あったんだけど、やっぱりどういう音が出るかってのを考えに考えたんだけど・・・」

と。

おぉう!何と限られた予算で音質のことまで考えてくれてたんです(!)

こういうところがやっぱり「馴染みのお店の有難さ」です。


で、御馴染み電気屋さんが選んでくれたのが、ビクター(JVC)の EX-S5 というミニコンポです。


JVC コンポ EX-S5-T [ブラウン]



「まず、コイツに付いてるスピーカーがいい」

「ほうほう、どんな風に?」

「ビクターが気合い入れて作ったウッドコーンスピーカーといって、コンパクトだけどすっげぇナチュラルな鳴りなんだよ」

「木で出来てんの?」

「そう。だからこのクラスのちっちゃいスピーカーでもちゃんとした鳴りっつうか、ミドルが豊かなあったかい音で鳴る」

「うぉぉすげぇ」

「ただ、重低音をガンガン響かせたいとか、最新のサウンドをすっごいクリアに鳴らしたいとか、そういう聴き方には向かんかも」

「そりゃまぁねー、あくまでもミニコンポであってシステムオーディオじゃないからねー」

「そう思うっしょ?でも出て来る音はこのクラスではありえんぐらいクオリティ高いのよ」

「へー、マジかー楽しみ」

と、信頼出来る電気屋さん氏の言うことだからとは思ってましたが、まさかそんなやっすいミニコンポで高級感な音質がとか思わんですよ。

半信半疑で持ち帰ってセッティングして・・・。

おぅ、これがJVC自慢のスピーカーかー、ちっちゃいけど奥行きすっげぇあるのね、確かによく響きそうだわい。

とか、割とナメてたんですが

「そんなにいい音だったら戦前ブルースも綺麗に鳴るのぉ?」

と、試しにベッシー・スミスのCDを再生してみたら


・・・何!?何!?何ですかこれは!!


音が、戦前に録音されたSP盤がマスターのプチプチザーザーの音が、ギュッと真ん中に集まって力強く鳴っている(!!)


アタシはオーディオに関してはシロウトで「良い音」の定義もよくわかりません。でも、分からないなりにこの「音」の豊かな奥行きと無理のない鳴りっぷりが耳に心地よいということだけはハッキリ分かりました。

こりゃいいやと思ってお次はジャズ、マイルス・デイヴィスの『スティーミン』おぉぉ、マイルスのミュート・トランペットはCDの音を安物のオーディオで聴くと耳にキンキンしてちょっとキツいところも若干感じてたのですが、これは優しい。優しいけどヤワくなくて、ポール・チェンバースの弾力のあるベースの音がしっかりと鳴っていて、演奏そのものは今まで聴いてきたやつよりもパワフルに感じる。

調子に乗ってそれから戦後のモダン・ブルース、ロック、90年代以降のロック、カリプソ、クラシックなどなど、色々聴きました。

やはりこのスピーカーで聴くには、1960年代以前のモノラルの音楽がよろしいようです。とにかく音が真ん中にギュッと集まって豊かな中域を響かせて鳴る、そのアナログっぽい質感がアタシのような人間にはたまらんのです。

で、やっぱり電気屋さん氏が言うように、重低音バッキバキのたとえばハードコアとかメタルとかは、意外とパワフルではありましたがドンシャリの刺激を求める向きにはちと物足りないサウンドのように思います。

それでもジャスト¥40000でこの豊かな響きの音は凄いですよ。只今オーティス・ラッシュの大好きなアルバム『コールド・デイ・イン・ヘル』を聴いて酔いしれております。






『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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2018年09月29日

ロバート・リー・マッコイ プローリング・ナイツ・ホーク: ブルーバード・イヤーズ 1937-1938

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ロバート・リー・マッコイ/プローリング・ナイツ・ホーク: ブルーバード・イヤーズ 1937-1938

(オールディーズ・レコード)


皆様、大変ご無沙汰しております。

ブログを更新していないと「最近どうしたの?」とご心配のお声を頂きます。

えぇ、まぁ大した事はないんですが、夏バテの体調不良とか色々と不調が積もって書き物も溜まって、そいつを何とかするために、まずは日々追われているものをゆるやかにストップするということをやっておりました。何事にも養生というものが大事でありますので、もうちょっと涼しくなるまでブログもユルいペースでやっていきますね。お声掛けくださった皆様、本当にありがとうございます。


さてさて、そんなこんなでありますが、アタシの日常の楽しみというか心のよりどころは相変わらず音楽でございます。

疲れた心身をそっと慰めてくれたり、ジワジワとアツくたぎらせてくれる音楽といえばやっぱりブルース。

特に1950年代以前の、まだ「ブルースの標準形」(ってわかるべか?)が形を成す前のブルースはよろしいですな。

最近愛聴しておりますのが、戦後シカゴ・ブルース・シーンで活躍した、伝説的なスライドギターの達人、ロバート・ナイトホークなんですが、そのナイトホークが戦前に”ロバート・リー・マッコイ”名義で録音した音源がまとめて聴けるCDが出ているよ、ということを知りまして、早速自分用に発注して、もうドロッドロのヘヴィローテーションで聴いております。


スライドギターがどんな感じか、多少知っている方なら、あの「ぷぃ〜ん」または「きゅい〜ん」と豊かに伸びながら響く、まるで人の声とか動物の鳴き声とかを連想させる、ニュアンスに溢れた音色とフレーズはたまんないものがありますよね。

スライドギターの歴史は古く、1900年代の最初の方、つまりまだ録音技術のなかった時代すでに

『南部ミシシッピに言ったら、ギターのフレットにナイフを滑らせてブルースを弾いてる男がいた。その不思議なサウンドはまるで人の声みたいだった』

という記述がありまして、ほいでもって世界で初めてレコーディングされたブルースにレコードも、シルヴェスター・ウィーヴァーというスライドギターの人のレコードでありましたので、スライドギターというのは、これはもうブルースの誕生からブルースと共にある代表的なスタイルと言って良いと思います。

ロバート・ナイトホークは、そんなスライドギターの、恐らくは最も重要な部類のキーマンでありましょう。

何故キーマンなのかというと、この人は戦前から活躍し、戦後エレキギターにおけるスライド奏法を大成させた。

もちろん戦前戦後を跨いで活躍したギタリストはいっぱいいるし、スライドギターの名手と言われる人も、同時代にはたくさん存在しました。

が、ナイトホークのスライドほど、その繊細でメロディアスなフレーズから、ニュアンスの豊かさ、メロディアスなプレイのカッコ良さを聴く人にしみじみ伝えるプレイはありません。

派手な弾きまくり、聴き手を圧倒するようなエモーショナルの炸裂というよりは、この人のギタープレイは

「大切なものが無駄なく全て入ってる」

と言った方が良いでしょう。

始めてナイトホークのエレキギターのプレイを聴いた時、熱狂とも興奮とも違う、静かで大きな感動に打ち震えたのを覚えております。本当に歌とピッタリ呼応しているというか、もう歌そのものであるといっていいぐらいの上質なメロディ感覚、フレーズの節々から余韻と共にこぼれてくる”憂い”のむせるような質量、あぁこれ、これがブルース。うん、ブルースってすげぇ、としか言葉はなかったし、今もナイトホークのスライドを聴く時は「ブルースってすげぇ」以外の言葉がなかなか出てきません。




プローリング・ナイツ・ホーク:ブルーバー・イヤーズ・1937-1938

【収録曲】
1.PROWLING NIGHT-HAWK
2.LONESOME WORLD
3.DON’T MISTREAT YOUR WOMAN
4.WEET PEPPER MAMA
5.G-MAN
6.TOUGH LUCK
7.MEAN BLACK CAT
8.TAKE IT EASY BABY
9.MAMIE LEE
10.MY FRIEND HAS FORSAKEN ME
11.BRICKYARD
12.CNA
13.I HAVE SPENT MY BONUS
14.NEXT DOOR NEIGHBOR
15.SHE’S GOT WHAT IT TAKES
16.BIG APPLE BLUES
17.OL’ MOSE
18.EVERY DAY AND NIGHT
19.FREIGHT TRAIN BLUES
20.YOU’RE ALL I’VE GOT TO LIVE FOR
21.GOOD GAMBLIN


で、そんなナイトホークの戦前のプレイであります。

今まで”ロバート・リー・マッコイ”名義の時代の音源といえば、戦前ブルースのコンピレーションなどでちょこちょこ聴けましたが、こうやって国内盤でまとまった数が聴ける音盤がリリースされたのは、恐らく初じゃないかと思います。

ロバート・リー・マッコイ、本名ロバート・リー・マッカラムは、1909年にアメリカ南部アーカンソー州ヘレナに生まれました。

世代でいえば1913年生まれのマディ・ウォーターズよりも4つ年上、何とロバート・ジョンソンよりも2つ年上なんですね。

若い頃に2コ年下のイトコ、ヒューストン・スタックハウスにギターの手ほどきを受けたマッコイは、早くからギターの才能を発揮して、南部一帯をギター片手に旅して回っておりました。

多くのブルースマン達のバックでギターを弾いて見事なバックを付けていくうちに南部一帯で有名になり、都会のセントルイスへ。そこで当時シカゴを本拠にヒット曲を多くリリースしていたブルーバード・レコードと契約を交わします。

この音源『プローリング・ナイツ・ホーク: ブルーバード・イヤーズ 1937-1938』は、タイトル通りマッコイがブルーバードでレコーディングした曲を全21曲と凄いボリュームで収録した一枚。や、もうこれを持ってればロバート・ナイトホークの戦前音源は大丈夫というブツではないでしょうか。

参加しているメンバーがビッグ・ビル・ブルーンジィ(ギター)、サニーボーイ・ウィリアムスン(ハープ)ビッグ・ジョー・ウィリアムス(ギター)、ヘンリー・タウンゼント(ピアノ)、スペックルド・レッド(ピアノ)と、もうこの時代のシカゴやセントルイスといった都会ブルースの猛者が大挙して集まったとかいう感じですが、基本的に2人か3人のキッチリした小編成で、じっくりと味わい深い演奏を聴かせてくれます。

アコースティックなサウンドの中で、美しく繰り出されながら、どこか後を引く陰の部分を感じ去るスライドの歌心は、戦後のエレキを持ったスタイルでも遺憾なく発揮されておりますが、この時期の音源は、その”陰”がより濃密に凝縮されて妖気のように漂っている感じがします。

あと、この人の魅力はギターのみならず、ややくぐもった感じの声で歌われる抑制の効いたヴォーカルにもワン・アンド・オンリーのものを感じます。地の底からジワジワと湧いてくるかのようなブルースにヤラレたい人は、ぜひロバート・ナイトホークも、このロバート・リー・マッコイ名義の戦前音源もぜひ聴いてみてくださいね。



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 11:01| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする