ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2015年10月31日

ファッグス First Album

1.jpg
Fugs/First Album
(ESP)


ESPといえば激動の60年代の”アンダーグラウンドな空気”を一手に引き受けてきたようなレーベルといった感があります。

アタシがこのレーベルのことを知ったのは、言うまでもなくアルバート・アイラーの「スピリチェアル・ユニティ」でありますが、当時ジャズについての知識なんかあんまりなかったアタシは”レーベル買い”をよくしてたんですね。

で「このESPというレーベルはなかなかに面白いかもしれない」と、直感センサーがピーンと働いて収集しました。

ジャケットは大体モノクロで、何だかぐにょぐにょしたイラストや写真のコラージュで、何だかオドロオドロしい。中身もどよーんとしたオドロオドロしいものばかりで、ジャズ聴き始めの頃はESPに結構ウキウキワクワクしたものです。

そんな時出会ったのがファッグスでした。

ファッグスのジャケットは、他のジャズのやつとは違って、マトモな集合写真です。

しかしまぁそこに写ってるおっさん達が、何だか小汚い(失礼)感じで「これ、ESPだよな?ジャズ・・・っぽくないけどまぁいいかESPだからフェイントで実は物凄いドロドロなジャズかもしれん・・・」

と。

その頃はESPがジャズだけじゃなくて、当時のサイケ、アシッドフォークなんかも出していたレーベルだとは知らなかったんですね。

で、ファッグス。

聴きました。

最初に聴いた感じは「何この脱力!ヤル気はあんのか!?歌はグダグダだし演奏も・・・うん、上手いとは言えないし・・・」でしたが、何というか、素人っぽいのに妙に味があって「実はコノ人達、本当は凄いんじゃ・・・?」と思わせる不思議な魅力を感じました。

元々ロック好きで、パンク、オルタナとか聴いてた頃から、いかにもインディーズの粗いバンドの演奏とかサウンドとか、たまらん好きだったアタシです。

ファッグスには(全然爽やかさないけど)ヴァセリンズのファーストとか、ベックの海賊盤とか、そういったのに通じる”何か”があったんです。いや、あるんです。

大体楽曲は「脱力系ロックンロール(へなちょこ)」と「よれよれフォーク、カントリー」みたいな曲ばっかです。たまに恐らくはバケツか何かをただ叩いているであろうリズムに乗って、おっさんが詩みたいなものを叫んでる曲もあります。

ヴォーカルは誰がやってんだかよくわからんです。

一応メインっぽいおっさんが唄ってるんだけど、そこにグダグダなコーラスが入ってきたりして、とにかくもうカオスです。

楽器はほとんど生楽器ですが、ちゃんとした「ギター+ベース+ドラム」の編成じゃないグダグダにエレキギターだけが鳴ってるとかいう曲もあったりして「バランスとかクソ食らえ!」なオッサン達のパンクな意気込みみたいなのが感じられてとても素敵です。


特に心を撃ち抜いた曲が10曲目の「ナッシング」

「まーんでいなーしん、ちゅーずでいなーっしん、うぇんずでいさーすでいなーーぁあっしん♪」

と、まぁその「月曜日から日曜日までナッシングで、全部ナッシングだぜオラぁ」と、グダグダ唄ってるだけの曲なんですが、アタシも大概アタマ悪いので

「素晴らしい!これぞ詩だ!悟りの境地だ!!ロック魂、ぃやっほい♪」

と、勝手に感極まったものでございます。






【収録曲】
1.Slum Goddess
2.Ah, Sunflower Weary of Time
3.Supergirl
4.Swinburne Stomp
5.I Couldn't Get High
6.How Sweet I Roamed From Field To Field
7.Carpe Diem
8.My Baby Done Left Me
9.Boobs A Lot
10.Nothing
11.We're The Fugs
12.Defeated
13.The Ten Commandments
14.CIA Man
15.In The Middle Of Their First Recording Session The Fugs Sign The Worst Contract Since Leadbelly's
16.I Saw The Best Minds Of My Generation Rock
17.Spontaneous Salute To Andy Warhol
18.War Kills Babies (Live)
19.The Fugs National Anthem (Live)
20.The Fugs Spaghetti Death (No Redemption No Redemption)-A Glop Of Spaghetti For Andy Warhol (Live)
21.Rhapsody Of Tuli


後になって実はファッグスというバンドは、アメリカではヴェルベット・アンダーグラウンド、キャプテン・ビーフハート、フランク・ザッパのマザーズと並び称されるアンダーグラウンドを代表する大物バンドであるとか、メインヴォーカルのおっさん達は、実はビートニク詩人として有名なトゥリ・カッファーバーグとエド・サンダースであるとか、後にキャロル・キングやデヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ジャクソン・ブラウンなどのバンドメンバーとして、或いは70年代以降のアメリカン・ポップスの名曲を次々と世に送り出すことになる音楽界(メジャー)の大物、ダニー・コーチマーが主要メンバーだったとか、まだデビューする前のジミヘンが「ファッグスのメンバーに教えてもらって”効果音的な音が出せるエフェクター”を使い始めるようになった」とか(アナログエコーのことかね?)、まぁ「本当は凄い人達だった」てのを知って色々とびっくりするんですけど、とりあえずそんなことは後から知ればいいことです。

ファッグスは、特にこのファースト・アルバムは、今もアタシの中では「脱力系ロックンロール/スーダラなアシッド・フォーク名盤」として、永遠に良い具合のグダグダなままで、時々色んな無駄の詰まった脳味噌をユルユルのトロトロにかき混ぜてくれます。

ちなみにこれ以降のファッグスは、よりソリッドなロック・サウンドになって、歌も演奏も上手くなってカッコイイんです。ファッグスなめたらいかんです。





(これたまらん、素敵すぎる)




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2015年10月29日

ガトー・バルビエリ In Search Of The Mystery

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Gato Barbierri/In Search Of The Mystery
(ESP)

ジャズの中でも、その哀愁溢れる音色と、腹の底から情念を絞り出すブロウで、デビューから50有余年多くの中毒者を生み出している、まったく罪なテナー吹き、ガトー・バルビエリ。

アタシも「チャプター・ワン」を聴いて以来、すっかりその”ラティーナの土着の色気”なるものにすっかりメロンメロンになりまして「ガトーならば何でも聴く!」というぐらいに惚れてしまったものです(今も惚れております)。

で、人間というのは「惚れた男の過去」というものが気になるもんです。

なかんづく

「最初どんなだったか?」

という事柄ってのはすごーーーーーく気になるもんです。

ほいで、ちょいと過去を探ってみました。

ガトー・バルビエリ、1932年アルゼンチン生まれ。十代の頃にチャーリー・パーカーに憧れてクラリネットを購入、その後アルト・サックスを買い、ジャズを志すようになる。

ふむふむ

地元のバンドに加入して、テナー・サックスを手にし、1953年にピアニスト/アレンジャーとして有名なラロ・シフリンのオーケストラに入団する。

なるほど、十代でジャズにときめいて、ハタチそこらで一流オーケストラのメンバーに入るなんて、当初からなかなかの腕があったようです。

1950年代、血気盛んな20代の頃のガトーの夢は、本場アメリカのジャズ・シーンに出て、恐らくはソニー・ロリンズやコルトレーン、ハンク・モブレーみたいな「モダン・ジャズの人気テナー奏者」になることだったでしょう。

しかし、当然と言えば当然ながら、アメリカには腕の立つテナー吹きはごまんとおりました。

アルゼンチンから出てきた無名の若者が「あの〜、演奏させて欲しいんですけど・・・」と言っても、ほとんど相手にされないか、ちょろっと出させてもらっても(恐らくは)まだ自分のスタイルを完成させる前のガトーの音は、聴衆の記憶にもミュージシャン仲間の「お前、面白いなぁ」というレーダーにも引っかからなかったのだろうと思います。

そんなこんなでくすぶっているうちに、アメリカのジャズ・シーンはどんどん進化していきます。

モダン・ジャズは60年代を迎える頃にはもう「ちょっと古臭いかな・・」と言われるようになり、多くのミュージシャン達が稼ぎを得るためにヨーロッパに移り住みます。

で、ガトーも「この際だから移住しちゃえ」と、ヨーロッパに向かいます。

これが1962年のこと。

んで、この時にある人物と運命的な出会いを果たして、その人のバンドに参加したことがきっかけで、それまでくすぶっていた彼の才能が、一気にスパークします。

そのバンド・リーダーの名はドン・チェリー。

そう、1950年代に「最も過激なバンド」オーネット・コールマン・カルテットの2枚看板であったトランペット奏者であり、60年代のジャズに「フリー」という言葉と概念を刻み付けた立役者の一人です。

60年代以降のドン・チェリーは、ただ過激な演奏をするだけでなく、自身の「アフリカン・アメリカン」というルーツを表現の中に見出し、アフリカや中近東、アジアなどの民族音楽なども研究し、即興演奏の中に取り入れたステージを、ヨーロッパで繰り広げて、意欲的な作品も次々とリリースしておりました。

ヨーロッパで出会った”師匠”の開かれた感性に大いなる刺激を受けたガトーの中では、沸々とたぎるものが出てきはじめておりました。

「アルゼンティーナとしての自分自身」という熱い血であります。

ドン・チェリーのバンドでガトーは、何かふっきれたような、力強いブロウで聴衆を圧倒します。

ヨーロッパでの人気は、そこそこあったようで、そこに目を付けたESPレコードという、ニューヨークの「アンダーグラウンドな音楽”しか”リリースしない!」という実に奇特なインディーズ・レーベル(フリー・ジャズだけじゃなくて、サイケとかアシッド・フォークとか、もーホントに凄いのよこのレーベル・・・)が、1966年、ドン・チェリーのライヴ盤「Live at Cafe Montmartre」をリリースします。

ここでのガトーは、当時世界的に注目を集めていたジョン・コルトレーン・カルテットに加入したニュー・カマー、ファラオ・サンダースのような、激烈猛烈な「フリーク・トーン炸裂しまくりィク!!!!」な熱演を繰り広げておりますが、多分そのインパクトにESPの製作陣が

「なぁ、そこのテナーのキミ、ウチでアルバム作らないかね?」

と、声を掛けたんだろうと思います。

そんなこんなで翌1967年に、ESPからリリースされたガトーの記念すべきデビュー・アルバムがコチラ

「In Search Of The Mystery」

であります。




【パ−ソネル】
Gato Barbieri(ts)
Calo Scott(cello)
Norris Jones(Sirone)(b)
Bobby Kapp(ds)

【収録曲】
1.In Search of the Mystery/Michelle
2.Obession No.2/Cinemateque
3.Obsession No.2
4.Cinemateque


もうね、「あの”チャプター・ワン”での、ラティーノ炸裂のガトーのデビュー作、そしてドン・チェリー・グループでの”ジャズのフォーマットに則りながらのオーバーブロウ製造マシンなガトーが、初リーダー作でどうなっちゃってんのか」

て、すごーく期待して買ったんですよね。

そしたらコレが、「ラテンなガトー」でも「ジャズのガトー」でもない、実にキッパリガッツリの”フリー・ジャズなガトー”♪

オリジナルはたったの2曲収録なんですけど、10分経っても20分経っても曲が終わんないんです。

「チェロ入りピアノなし」

という珍しい編成のバックが「どよーん」「でろーん」と、ひたすら不穏なムードを作ってくれるその上で、ガトーは全リミッター解除状態で

「ビギィィィーーーー!!」

「バギャァァァアーーーー!!!!」

と、吹きまくり。

一言でいえば荒削り、うん、これほどまでに「演奏と感情」が直結したアルバムはないでしょうね。

ただもう波状攻撃で押し寄せるカタルシスの波に撃たれる快感に特化した、これは「頭で考えるより感じて欲しい作品」です。

でもね、ガトー独特の”哀愁”どんなにフリーキーなスタイルでも、絶対にどこかから零れ出てるんですよね。

このアルバムでも「あぁ、ここ泣ける!」ってとこいっぱいありますんで、そこはまぁぜひ聴いてください。荒削りだけどしっかり”聴かせる”成分もむせ返るほど入っとりますよ。



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2015年10月27日

ベリー・ベスト・オブ・ルーファス・トーマス

1.jpg
Very Best of Lufus Thomas
(Stax)

何かで「一番○○なもの」を定義するというのは実に難しいものです。

が、もしも誰かに

「世界一ファンキーな親父を挙げよ」

と言われたら私は躊躇なく

「それはルーファス・トーマスだ」

と答えるでしょう。

ファンクの帝王が俺達のジェイムス・ブラウンであることは揺ぎ無い事実であり、で、ルーファス・トーマスが狭義で言うところの「ファンク」というジャンルに収まるか?つったらそうれどころではないんだけれども、「ルーファス・トーマスが世界一ファンキーな親父」であることは、これはもうそれ以上に動かし難い事実なんです。

何と言っても「50を過ぎてからブレイク」ってのがいいですよね。

1910年代生まれのルーファスは、旅芸人の家庭で生まれ育ち、その後メンフィスのラジオ局でB.B.キングの後任としてブルースやR&Bを紹介する番組の人気DJとして、いわゆる”ローカル・シーンの立役者”となりました。

その時既に彼は40代過ぎのオッサンだったんですけど

「イェ〜イみんな聞いてるかい?オレはいつまで経っても十代の、気持ちまでつゆだくの若者さ。さぁ、オレのガチョウをどうしてくれよう。オレたちゃいつだって明るく愉快、でもカネがない。ハッハッハ、オレがルーファス!さぁ、わいわいはしゃごうぜ♪」

というゴッキゲンなMCと、幼い頃からステージのコントと歌で鍛え上げた、伸びのある声と軽妙なマシンガントークが若者の間で大人気。

やがて誰もが知る「ゴッキゲンなガチョウ親父・ルーファス」として、南部一帯の若者の間で大人気になります。

ルーファスがDJをしていた頃(1950年代後半)の流行は、洗練された都会的なソウル・ミュージックでしたが、ルーファスはいつだって、どんな曲を紹介する時だって南部魂を忘れない「土臭い笑い」で、古いスタイルのR&Bやブルースも

「ちょっと待ってくれ、コイツは古いがいい音楽なんだ。なぁブラザー、女を口説く時にコイツをかけてフラレてもこの曲のせいじゃない、愛が足りなかったのさ。苦情は受け付けないぜぇ”ルーファス、次どういった曲で口説けばいいんだ?”って相談にならいつでも乗るぜぇ」

と、良質かつ泥臭い”都会の流行とはまた違ったソウル・ミュージック”を、どんどんプレイして浸透させています。

その最大の成果が”サザン・ソウル”の代名詞ともなった「スタックス・レコード」のブレイクでしょう。

実はこのレーベル、当初はテネシーやケンタッキーの白人層向けにカントリーやロカビリーのレコードを作っていたのですが、南部でジワジワ盛り上がる「サザン・ソウル・ミュージックを!」という大衆の熱気に押されるような形で、R&B、ソウルをレコーディングしてリリースすることになるんです。

この時「ちょいと親子でデュエットやらないか?」という誘いがルーファスのところにきて

「あぁいいよ」

と、引き受けたらしいんですが、何と”ルーファス親子”の”子”の方の、そう、ルーファスの娘、カーラ・トーマスの「Cause I Love You」が大ヒット、こん時からルーファスは「人気DJ」から「カーラのおやっさん」として脚光を浴びることになります。

人前に出る時のルーファスは「ずんぐりむっくりの体格に見事に禿げ上がった頭頂部とお茶目な顔」という、「おっさんとしては完璧」と言えるルックスをよりワイルドに演出するために「ド派手なジャケットに短パン、ハイソックス」という姿でキメます。

この時既に50を過ぎていたんですが、このルックスと、幼少時代から培ってきた”客の心を盛り上げる巧みな話術とパフォーマンス”に「いや、実はおっさん物凄い歌うまいがな!」という評判が評判を呼び、ルーファスは何と、1970年のファンク〜ディスコ・ブーム到来その幕開けを告げた名曲「Do the Funky Chicken」で、一躍全世界の人気者になります。

その後も一発屋で終わることなく、2001年に亡くなるまで次々とヒットを放ち、ルーファスは国民的な人気者であり続けました。


ブラック・ミュージックのファンの間では「ワッツタックス」での「観客柵超えの大ファンク祭」はもう伝説でありましょう





アタシも最初観た時「うわぁ、バーケイズ従えて出てきたこのオッサン、何者なんだろう?」と思ってましたが、その圧倒的なステージ展開にもう神業を感じました。

「うぉぉ!おっさんめちゃくちゃファンキー!!」

の、一言に尽きますね♪





1.The Dog - Single Version
2.Walking The Dog (Live @ Pj's)
3.Can Your Monkey Do The Dog
4.Somebody Stole My Dog-Single Version
5.Jump Back
6.Little Sally Walker-Single Version
7.Sister's Got A Boyfriend-Single Version
8.Sophisticated Sissy
9.Memphis Train - Single Version
10.Funky Mississippi
11.Do The Funky Chicken
12.Sixty Minute Man (Pt.2)
13.The Preacher And The Bear
14.(Do The) Push And Pull (Part.1)
15.The World Is Round
16.The Breakdown (Part.1)
17.Do The Funky Penguin (Part.1)
18.2006/3/8
19.Boogie Ain't Nuttin' (But Gettin' Down) (Part.1)
20.Do The Double Bump



さて「50を過ぎて大ブレイクした”スーパーおっさん”」でありますルーファスですが、家庭でも実にいいお父さんでありまして、十代でサザン・ソウルの歌姫として大人気だった愛娘カーラに「ちゃんと学校は出るんだぞ、この業界は一寸先は闇だからな」と、アドバイスしつつ、しっかりと大学まで出しているんです。

ステージの上でも愛の深さもファンキーなルーファス・トーマスは、おっさん達の希望の星です、あぁ、アタシもこういうおっさんになりたいなぁ。。。



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2015年10月26日

Very Best of KILLING FLOOR 2003-2015

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Very Best of KILLING FLOOR 2003-2015

(DOOLITTLE DISK)

昨晩の『ハシケンmeets伊藤大地 with アニョ VS KILLING FLOOR at ASIVI』での感動が冷めやらぬまま&の寝不足とでものっすごくボワ〜っとした頭で書いております。

「KILLING FLOOR」という名前を知ったのはいつだったでしょう。

多分、ジャズにハマッて「日本のバンドでイカしたのはいないかなぁ。ええっと、何ていうかさぁ、真面目ーにジャズやってるとかそんなんじゃなくて、気合いの入ったロック魂みたいなものを感じさせてくれる荒削りなのが聴きたいんだよなぁ・・・」と思ってた時、誰かに

「あのバンド”知る人ぞ知る”だけど、ジャズでもロックでもないし、色んなのがガチャーン!ってぶつかってる感じ・・・うぉん何だろう、トンガッてて凄い。あぁ・・・ライヴが凄いらしい」

ということを教えてもらいました。

その時は

「へー、じゃあ覚えとくよー」

ぐらいなもんだったと思います。

それから何年か経ってハシケンがフルバンドで奄美に来た時、会場で物販をやってて、で

「うぎゃあ!あのアルト・サックスの音、すっげぇカッコイイ!めちゃくちゃトンガッてるけどファンキーだし何かすげぇ!!」

「うわー、うわー、ライヴ終わったら絶対話しかけよー」

と、もうキラッキラした気持ちでおったんです。

ドキドキしながらその小柄なアルトの人に

「あの・・凄くカッコ良かったです!」

というようなことを、やや自分の拙い言葉をフルに使って何だかしまらない感じであったと思います。

そん時に

「いや、僕は東京でキリングフロアーってバンドやってるんですよ」

「キリングフロアー!?・・・あの、名前聞いたことあります!」

「うわー、マジですか?嬉しいなー」

これが、キリングフロアーのリーダー、福島ピート幹夫さんとの出会いでした。

そこでもうサックスの話やらジャズの話やら何やらで盛り上がって、更にピートさんとの付き合いは深いものになって・・・と、続くんですが

とりあえずその時出ていた「ライヴ・ブートレグ」というCDを入手して、3編成を基本とした、ブ厚いサウンドが、変幻自在&鋭くうねりながら突き刺さるビートによって、「ジャズでもロックでもファンクでもスカでも何でもある」なサウンドに、もうすっかりヤラレて

「奄美でKILLING FLOORを観たい!!!!」

というのが、アタシの15年越しぐらいの夢だったんですね。

その夢が昨日叶いました、もう何も言うことありません。

福島ピートさんのアルト、キレッキレだけど色気あって、佐藤綾音さんのテナーとクラリネットは、技術的にというよりも「聴かせる」という意味ですごく上手くてグッときいて、関口シンベさんのトランペットは、もう”踊ってる”って表現しか思い浮かばなくて、スティックベースのウッディ・モジャさんのプレイは、想像を遥かに超えた自由自在なリズムとメロディーをガンガン繰り出して、中里敦さんが手堅いドラミングでグルーヴの核を作って、そこに呼応する竹ノ家智美さんの唄心あるパーカッション、「バシュッ!バシュッ!」と物凄い切れ味で切り込んでくる伊藤大地さんのドラムと・・・、もう書ききれんぐらい凄いライヴを観せられました。

あの〜、東京近辺に住んでる人、キリングフロアーのライヴは絶対に行った方がいいです。

多分アタシのこんな文章じゃ、ライヴの凄いことの「カケラ」も伝わらないと思いますんで、とにかく体験してください。

それが色々と忙しかったり何なりで忙しくて難しいという人は、せめてCDでその「何でもあるサウンド」を体験してください。

ベスト盤出てます。





【収録曲】
1.MANA BEE
2.GOLLIRA
3.SEE SAW
4.NUBA
5.GOLDEN ELEPHANT
6.BARBECUE JOE
7.PIKE PIKE PIKE
8.TAKE7
9.IRON
10.AFRICAN GINGER
11.SEA MONKY
12.RADICAL X
13.S-SKA
14.FIRE BALL KID
15PAPAPPA-RAPPA


これ凄いアルバムですよ、2003年から2015年の間にリリースされた音源から、本当に「厳選に厳選」って感じでファンキーな曲もトランシーな曲も、メロウな曲もゴリゴリな曲も、ノリノリな曲もオールインストでガッツリです(何かもうわけわからん)。

メンバーとしてはトロンボーンの浜野謙太の、あの今お茶の間でみんなが知っている(役者さんとしても色々出てる、よね)コミカルな感じは一切ナシ!この人の”ガチ”なプレイは聴けるのは、多分ここだけなんじゃないかなーと思います。

他にも色々と書きたいことはいっぱいあるんですが、とりあえずこのブログを読んでいる守備範囲の広い音楽ファンの皆さんへ、硬派なジャズやロックが好きな人は、キリングフロアーぜひ聴いてください。

本当は「ライヴに行ってねーーーー!!」て、大音量で叫びたいんですが、とりあえず、とりあえずCDでもいいです。アツいです。




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2015年10月24日

ギター・スリム アトコ・セッションズ

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ギター・スリム/アトコ・セッションズ
(ATCO/ワーナー)

ギター・スリム、直訳すると「ギター伊達男」

うむ、ブルースマンっていう人種は「泥んこ水」とか「吠える狼」とか「稲光ホプキンス」とか、物凄い芸名の人多いけど、ギター・スリムは突き抜け過ぎていて実にカッコイイ。

「オレはカッコイイんだぜ」

「オレはワルなんだぜ(I'm A Man)」

っていうことを誇示するのは、これはもうブルースの昔からヒップホップの現在まで、アメリカ黒人音楽のミュージシャン達の間で脈々と流れ続けている伝統文化なわけなんですが、これね、名前でもってこういう見栄を切るって、やっぱりそんぐらい気合い入ってないとダメなんでしてね

もし、ソイツが芸名通りの実力がなかろうもんなら

「お前何がじゃ、ダッセェ」

と、バカにされるし、ヘタすりゃ袋叩きに合う。

そんな世界の中で堂々

「オレはギター・スリムだ!」

と名乗れるこの根性というのは相当なもんであります。

こんな名前を名乗るからには、まずギターの腕前が並じゃなければいけないし”スリム”を名乗るからにはイケメンでオシャレでトッポくないといけない。

お顔をじっくりと見てみましょう。

1.1.jpg

うむ、ゴツいけれども優しい目をしたイイ男です、髪型もキチッとセットして、スーツやシャツにネクタイの着こなしも実にオシャレ、うん、これはモテたでしょう。うんうん。

と、感心どころじゃありません。

まぁこの人の人生と音楽は「スリムどころじゃねぇだろう!」てぐらいに壮絶なんですね。

まずこのギター・スリム、1950年代の一瞬のうちにシーンに現れて、ビルボードNo1に14週連続チャート・インするというヒットを放ったと思ったら、1959年の冬、あっという間に、32歳という若さであの世に旅立っております。

そのエピソードときたら

「全身真っ青な服を着て、髪まで青く染めてステージに立って絶叫し、爆音でギターを弾きまくっていた」

「かと思うと、ソロを弾きながらステージから客席へ下り、熱狂する客たちの間をすり抜けて会場を出て行った。でもアンプからはずーっとギターの音が鳴り響いている。一体ヤツはどこに行っちまったんだ?って思ったら、ハイウェイを走ってる車を止めて道路の真ん中で弾いてやがった」

とか

地元ルイジアナのイベントに、T・ボーン・ウォーカーゲイトマウス・ブラウンローウェル・フルスン、といった、錚々たるメンツが顔を揃えた時、居並ぶ大先輩達の前に「ズン」と立ち

「ようこそ、ここにはこの国最高のギタリスト達が今集まってる。でもオレが今夜ここを発つ頃にゃ、誰もアンタらがココに居たってことすら覚えてないと思うぜぇ♪」

と言い放ち、実際に凄まじいパフォーマンスを繰り広げて聴衆を呆然とさせたという伝説もあります。

他にも「アイツのギターの音はとにかく凄かったよ、音がデカ過ぎて何百人という観客が絶叫しようがヤツのギターの音がそれに掻き消されることはなかった。」

とか

「レコーディング・スタジオにいた時、声がガラガラなのを気にしたスタッフがオリーブオイルを飲むように勧めたら、その辺にあった香料オイルをビンごと飲んでしまった」

とか、そんな話には事欠きません。

さてさて、そんなギター・スリムの音楽、もうバケモノか何かみたいに言われている彼の”ブルース”はどんなもんだったんでしょう?

実はアタシ、ギター・スリムとは「ブルース聴きはじめ」の頃に出会っております。

「アトランティック・ブルース・ギター」というオムニバス盤が、アタシの「最初に買ったブルースのCD」という話はこのブログで散々しましたが、ブラインド・ウィリー・マクテルミシシッピ・フレッド・マクダウェルジョン・リー・フッカーときて、4曲目にギター・スリムの曲が入ってたんです。

収録されていたのは、アルバム「アトコ・セッションズ」の冒頭を飾る「Down Through Years」






【収録曲】
1.ダウン・スルー・ジ・イヤーズ
2.オー・イエー!
3.イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー
4.イット・ハーツ・トゥ・ラヴ・サムワン
5.アイ・ウォント・マインド・アット・オール
6.ハロー,ハウ・ヤ・ビーン,グッドバイ
7.ホウェン・ゼアーズ・ノーウェイ・アウト
8.イフ・アイ・ハド・マイ・ライフ・トゥ・リヴ・オヴァー
9.ギター・スリム・ブギ・2
10.ストレンジ・シングス・ハプニング
11.アロング・アバウト・ミッドナイト
12.プレンティ・グッド・ルーム
13.カックル
14.マイ・タイム・イズ・エクスペンシヴ
15.ギター・スリム・ブギ・3


これね、ぶっとびましたよ。

何が凄いかって、その歌声です。

余りにもパワフル過ぎて、どう例えて言えばいいのか未だによく分かりませんが、強いていえば

「体全身を振り絞って、喉まで出てきた内蔵を、口に腕突っ込んで引きずり出してその辺に投げ捨てるような唄いっぷり」

とでも言いましょうか。

それからオーティス・レディングだとか、サム・クックとか、ハウリン・ウルフとか、そういう「シャウトする黒人ヴォーカル」というのを知ったんですが、アタシに一番最初の最初に”それ”の凄さを感じさせ、のけぞらせてくれたのはギター・スリムなんです。

大体「アトランティック・ブルース・ギター」に入ってる人のアルバムは買いましたが、ギター・スリムもアタシはアルバムとしては「アトコ・セッションズ」から入りました。

コレが実に「破天荒そのものだったギター・スリムのやぶれかぶれの壮絶シャウト」を聴くには最高のアルバムなんですよ。

録音レベル明らかに吹っ切っている声で「なう・だん・すじえーーーーー!!(Now Down Through The Years)」と絶叫する冒頭から、テンションは最後まで下がりません。

むしろ楽曲はメジャーで、ポップなもんが多いんですよね。

典型的なルイジアナ・ロッキン・ブルース調のAIKとか、典型的なニューオーリンズ・スタイルのミディアム・スロウ・ナンバーのBDEFJとか、T-ボーン、ゲイトマウス系の小気味よいギター・ソロを聴かせるHとか、MNとか、トンガっててワルい空気ムンムンではあるけれど、決して聴く人を寄せ付けないぐらいに濃すぎるってもんでもない。

ここら辺が、ロックンロール全盛時代に、ヒットチャートにガンガン切り込んでいったギター・スリムの”スリム”たる所以でありましょう。

もちろん歌声とクセのあるギター・プレイ(Lの、たった3音しかない単音ギター・リフは明らかにイカレてる!なお、この曲のこのギター・プレイはフランク・ザッパ先生に大いなるインスピレーションを与えた模様)ゆえに、末永く飽きさせることなく、むしろ聴き込む毎に何とも良い具合の味がじわ〜っと滲むものであります。

このアルバム、まず聴いて欲しいのは、やっぱりギター・スリムの強烈なシャウトを軸にした「唄のカッコ良さ」です。あと、50年代オールディーズ好きな人、実に「これよ、これこれ、ゴッキゲンじゃんよ♪」って空気を目一杯味わえますぜ。

さて、破天荒なブルースマン、ギター伊達男ことギター・スリムの「伊達じゃないんだぜぇ」な凄さ、知っていただけたと思いますが、肝心なギターについてはまだ語っておりません。

そっちに関しては、彼がこのアルバムを録音するちょいと前にレコーディング契約を交わしたスペシャリティというレーベルの「ザ・シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」という、これはもう本当にクレイジーな名盤があります。

これはもう「おいおいマジかよ、アンプにゲインボリュームがなかった時代のヤツだろ?ありえねぇぜ」というぐらいに、クレイジーなギターが大炸裂しております。

という訳でギター・スリムの”ギター”の部分はまた次回。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 18:10| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする