ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2016年03月31日

高儀 粘着ねずみとりシート防水ブック型 10枚入

「ねずみとり」

といえば、もうすっかり警察の交通取締りでありますが、その昔アタシはリアルな「ねずみとり」にハマッたことがあったんです。

アタシが7歳の頃まで住んでいた家は、朝仁海岸というところのすぐ近くにある鉄筋コンクリートの2階建てアパートでした。

そこで猫飼ってたんですね。

バロンという名前の雌猫で、手前味噌で恐縮なんですが、これが実に頭が良くて、見た目もシャムの血が入っててとても美人さんでした。

アタシはこのバロンに「息子だ」と思われてたフシがあったんです。

アタシがよく一人でミニカー遊びをしていた窓の下のところに、よく虫とか死んだ鳥とかを置いといてくれたり(これは「狩りもできないお前のために獲物をとってきてやった」という猫の習性らしいんですね、後で知りましたが)、放し飼いされてる近所の犬にちょっかいを出して逆襲に遭っている時にダッシュして犬に一撃を加えて助けられる

(↓こんな感じ)



ということもよくありました。

しかし、このバロンが賢くて、家族や仲間みんなのことを守ってた母さん猫だったんだなぁと、本当にしみじみ感じたのは、彼女がいなくなってからです。

当時はまだ下水道とかもちゃんと整備されておらず、我が家の敷地にも大きな浄化槽がありました。

家の周辺にもドブがいっぱいありまして、ゴキブリやネズミの温床だったんですが、バロンがいる時はゴキブリもネズミもそんなに見なかったんですよね。

ネズミに関しては、まぁ獲っていたんでしょうが、ゴキブリも、浄化槽の蓋なんか開けようものならあんだけ(自粛)いるのに、不思議と居住空間で見かけることはあんまりなかったんですね。

しかし、バロンがいなくなってしばらくして、ネズミにゴキブリがよく出るようになりました。

ゴキブリに関しては、まぁ出てきたら片っ端からブッ叩けばいいと思ってましたが、ネズミはお手上げです。

で、ねずみとりを仕掛けたんですが、当時のねずみとりといえば金属性のワナみたいなやつ。

たっくさん仕掛けてもせいぜい獲れるのは一匹とかで、おまけにアイツらは頭がいいんでしょうな、一度かかったワナにはなかなかかからなかった。

それでもエサに凝ったり、仕掛ける場所を頻繁に変えたりで、毎日知恵比べでした。

最終的な捕獲量は、自分一人で3匹ぐらいでしたか。

それからしばらくして、ばあちゃんが隣に引っ越してきたんです。

そしたら何と、ねずみの捕獲量もゴキブリの駆除量もオソロシイほど跳ね上がり、あっという間に彼らが生活圏を脅かすことはなくなりました。

えっと、何の話だったか。とりあえず「母親(猫)とばあちゃんにはかなわない」という話でした。たまにはいいでしょう、こんな小話も





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2016年03月29日

ボブ・ディラン 追憶のハイウェイ61

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ボブ・ディラン/追憶のハイウェイ61

(Columbia/ソニー・ミュージック)

音楽というものを本気で好きになったガキの頃から、ずーっとぶれていない思想、というか音楽の捉え方があります。

それは

「優れた音楽は、それがどんな時代のどんなジャンルの、どんな国の音楽であれ、レベル・ミュージックだ」

ということです。

レベル・ミュージックというのは「反抗の音楽」

ということですね。

この意味をどう捉えるか?それは人によって様々だと思うんですが、単純に自らの政治的なスタンスを固定して主義主張を叫ぶとかそういうのではなく、生きて行く上で「これはおかしい」と思ったことに素直に怒ったり、または笑いにしたり、或いはそれらをグッと呑み込んで美しいものを創造する・・・そういう姿勢や行為全般が”レベル”だと。まぁ私もまだまだ社会経験に乏しい小僧ですので、そこらへんは偉そうに定義なんぞは出来ませんが、「カッコイイな」「グッとくるな」と思ったアーティスト達の音楽を聴き、その生き様を知るにつけ、それらの節々にそういう”反抗の美学”みたいなものを見るのであります。

「音楽を本気で好きになったガキの頃」にアタシはパンクロックとボブ・ディランに同時にハマりました。

音楽的なことは、当然ながらよく分かりません。

例えばセックス・ピストルズがエレキギターギャンギャンのやかましい、でもチープな音で暴れていて、そのサウンドに乗っかったジョニー・ロットンのヴォーカルが「クソみたいな世の中に本気で喧嘩売ってる音楽だ」ということぐらいは何となく分かりました。

ボブ・ディランに関しては、アコースティック・ギターで、どちらかというと耳に心地の良い音楽をやっているんだけど、その歌詞には世の中の不条理に対する、クールで辛らつな皮肉に溢れている。ということぐらいは、まぁCDを聴きながら、ない頭を一生懸命働かせて歌詞カードを読んで読んで読みまくって、どうにかこうにか感じ取ることが出来ました。

ボブ・ディランは「フォークの神様」と言われております。

それに関しては全く異論はございません。

でも、どうしてもアタシが「フォーク」と聞いて思い浮かぶ、日本の”フォークと呼ばれているしみじみとした叙情歌、或いは青春歌謡曲、またはみんなで頑張ろうソング”と、ボブ・ディランの音楽とは、何かが決定的に違うような気がずっとしていました。

その”何か”というのは今もって究極的に「これ!」という答えはないんですが、ただ何となく、ボブ・ディランという人は「何をするにも一人で毅然と行う人なんだろうな」とは思います。

1965年にリリースされた「追憶のハイウェイ61」を聴きましょう。



【収録曲】
1.ライク・ア・ローリング・ストーン
2.トゥームストーン・ブルース
3.悲しみは果てしなく
4.ビュイック6型の想い出
5.やせっぽっちのバラッド
6.クイーン・ジェーン
7.追憶のハイウェイ61
8.親指トムのブルースのように
9.廃墟の街


このアルバムは、1965年にディランがエレキギターを持って”ロック化”した、と騒がれたアルバムです。

実際はこのひとつ前の「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」という作品で最初にエレキギターを弾いたディランでしたが「エレキギター、ベース、ドラム、オルガン」というロックバンドスタイルでアルバム全部の曲を演奏したのはこのアルバムが最初です。

若手ブルースロック系のミュージシャンだったマイク・ブルームフィールド(ギター)とアル・クーパー(オルガン)が、時に暖かく、時にトンガッたプレイでディランの声と楽曲に絶妙に絡んで「フォーク・ロックの金字塔」と呼ばれる、そして今ではボブ・ディランがこれまで作ったアルバムの中でも間違いなくベスト5には入るであろうといわれるほどの超名盤ですが、このアルバムが出た時は、それまでアコースティック・スタイルの、プロテスト・ソング(労働者階級のための歌、この時代には反戦平和などのメッセージを込めた歌なんかもその括りに入っておりました)を切々と歌うディランを熱烈に支持していたファンからは、ことごとく「あんなもん!」とボロカスに言われておったようですが、どっこいサウンドも歌詞も、より世の中の動きや人間社会の不条理に対して鋭く力強く斬り込むここでのディランは「反抗するミュージシャン」以外の何物でもありません。

個人的には

「ママは工場で靴がない、親父は路地裏で食い物探し、俺は街でトゥルームストーンブルースを唄う」のAは、われらがジョニー・キャッシュ兄貴の「フォルサム・プリズン・ブルース」と並ぶ「アッパー・カントリーの大名曲」だと思ってもう何百回も聴いて拳を握り締めておりますし、このアルバムの・・・のみならず、ボブ・ディランの代名詞ともいえる「ライク・ア・ローリング・ストーン」での、このとても辛らつで皮肉の効いた歌なのに、何でこんなにも心地良くて開放感に溢れてて、まるで聖歌みたいに感じるんだろうという、本当に深い魅力に、中坊の頃から未だにヤラレています。

そしてアタシはこのジャケットのディランの顔、これがたまらなく好きなんだ。

どんな言葉よりも、このディランの顔、これこそが「反抗する者の顔」だとアタシは思うんですね。

反抗する者は常に正しい。

いや、正しいか正しくないかとか、そういうちっちゃいことじゃなく、常にカッコイイ、そう思います。



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2016年03月25日

ケイシー・ビル・ウォルデン&ココモ・アーノルド ボトルネック・ギター・トレンドセッターズ・オブ・ザ・1930's

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ケイシー・ビル・ウォルデン&ココモ・アーノルド/ボトルネック・ギター・トレンドセッターズ・オブ・ザ・1930's
(Yazoo/エアー・メイル・レコーディングス)


ブルースの醍醐味のひとつに、スライドギターを聴く楽しみというのがありますね。

スライドというのは文字通り”滑らせる奏法”です。

弦を押さえる左手の指に「ボトルネック」と呼ばれるガラス瓶や金属製のパイプのようなものをはめて行うのが一般的ですが、ハワイアンスティールギターのようにギターを仰向けに寝かせてナイフを滑らせる「ナイフスライド」というのも戦前は盛んに行われておりました。

どちらも「きゅいんきゅいん♪」と、まるでギターが鳴いているかのようなあのニュアンスがたまらんのです。

アタシがこのスライドなる魔法の奏法を知ったのは、中学校の時です。

ブルースじゃなくて、カントリーのウエスタン・スウィングだったんですが、ギターをヒザに置いて、何かものすごい勢いで「ちゅいーん、ちゅいーん」と音が疾走していくのがカッコ良かった。

その後にマディ・ウォーターズ親分のビデオを見て、この人は左手の指に金属棒をはめてエレキギターを弾いておりました。

親父に「こういうギターの弾き方って何て言うんだ?」

と訊いたら

「そりゃお前スライドだ」

と。

ほうほう、これがスライドというやつか・・・。


親父が言うには

「カントリーでもハワイアンでも、スチールギター使ってスライドするんだけど、アレも元々はブルースから影響受けて広まったんだ」

と。

なるほど了解。

という訳で「ここはひとつブルースのスライドギターのいい感じのヤツを聴いてみたい!」

と思って出会ってしまったのがミシシッピ・フレッド・マクダウェルです。

これはもう強烈でしたね。

ザックンザクザクと刻まれる鬼のアフタービートと、泣き叫んでいるようなボトルネックの”鳴り”は、これは今聴いてもある種の究極だと思います。

そしてやっぱりロバート・ジョンソン

この人の「クロスロード・ブルース」と「カム・オン・イン・マイ・キッチン」は、生まれて初めて知った「メロディアスなスライドギター」の、はい、これもある種の究極です。

アタシが90年代アタマに買ったロバート・ジョンソンの2枚組CDには、ブ厚いブックレット(解説書)が付いてまして、そこにはありがたいことに彼が影響を受けたブルースマンなんかの説明が、写真入りで載っておりまして、これはもう教科書ですわね。むさぼるように読みふけりながら、未知のブルースの世界への想像を逞しくしておったんです。

えぇ、はい。いい加減話が飛びそうなので、本筋に戻りますが、この中で「ココモ・アーノルド」という人の解説があったんです。

ロバート・ジョンソンがスライドで歌う「ミルクカウ・ブルース」って曲があるんだけど、これのオリジナルをやっておる人で、彼のスライドギターはもちろんロバートに多大な影響を与えたんだ、と。

ほうほう

と、大いに納得したんですがね

このココモ・アーノルドという人の写真というのを見て、アタシはずっコケましたね。

はいコレ↓

Kokomo%20Arnold.jpg

これはうん、その辺の呑んだくれてるオッサンの写真じゃないか!ギターどうしたよ!?

と、激しくツッコミを入れたんですが、調べてみますとココモ・アーノルドの写真というのは、ほんの数枚しか残ってないそうなんです。

大体戦前のブルースマンなんてのは「写真が一枚あればいい」ぐらいに少ないのは当たり前なんですが、その写真というのは大体宣伝用に撮影されたヤツで、まぁ綺麗な身なりをして、ギタリストならギターをちゃんと構えて写ってるのが基本なんですが、ココモ・アーノルドに関しては、これしかないんだと(その後別の写真も見付かったようでありますが、それもギター持ってない・・・)。

何でまた、たったの一枚しかない写真が”これ”なんだと。しかも、こんな顔のハッキリせん写真を、一体誰が「うむ、これはココモ・アーノルドである」と認定したんか、とか、ツッコミどころは満載なんですが、どうでしょう?アタシは逆にこの”ずっこけ写真”を見て、ココモ・アーノルドという人にものすごく興味を抱いて、CDで聴きたくなりました。

ところがココモ・アーノルド、戦前に人気を博した人ではあったんですが、どうにも売ってない。

中古屋を巡ってようやくスライド・ギターを集めたコンピレーションとかにちょろっと入ってるのを見つけては嬉しくて舞い上がったもんでした。

そのスタイルは正にブルースの原初的スタイルというか、実にタフで豪快で荒々しいものです。

周囲の空気をこそぎ落とすように「じゃあああーー!」となる金属ボディのリゾネイター・ギターのでっかい鳴り、そして吐き棄てるようなべらんめぇな唄もすごくイイんです。

例の”のんだくれ写真”見て「こんなもん本人かどーかわからんだろぉが!」とツッコミを入れたアタシでしたが、はい、この野放図な唄とギターの暴れっぷりとこの写真、間違いなく本人です。本当にありがとうございました。

で、そんなココモ・アーノルドの素晴らしさをー!ひとりでも多くの人にィィィーーーー!!!

と、思っております。

つい数年前までは、我らがPヴァインから、戦前に録音された全音源からえりすぐりの楽曲を一枚にまとめた素晴らしいアルバムが出ておりましたが、現在は廃盤のよう。

ですが、その昔信頼と実績のYazoo(ブルースに限らずアメリカの戦前の音楽聴くんだったら絶対に押さえとかなきゃダメよダメダメなレーベルっす)から出ていた、ケイシー・ビル・ウォルデンとの「戦前スライド名手2人のカップリング盤」が、おぉっと、国内盤解説書付きで再発されてるではないですか(!)





【収録曲】
@〜F:ケイシー・ビル・ウォルデン
1.ユー・ジャスト・アズ・ウェル・レット・ハー・ゴー
2.ゴ・アヘッド・バディ
3.レディ・ドクター・ブルース
4.ビッグ・ボート
5.ヒッチ・ミー・トゥ・ユア・バギー・アンド・ドライヴ・ミー・ライク・ア・ミュール
6.ユー・シュドゥント・ドゥ・ザット
7.バック・ドア・ブルース
G〜M
8.1ダース
9.アイル・ビー・アップ・サムディ
10.ビジー・ブーツィン
11.セイジフィールド・ウーマン・ブルース
12.バック・トゥ・ジ・ウッズ
13.ソルティ・ドッグ
14.フィールズ・ソー・グッド

これね、ジャケットもカワイイけど、中身も最高なんです。

さっきから興奮してココモ・アーノルドのことばっか書いてますけど、前半7曲収録のケイシー・ビル・ウォルデン、コチラはココモとは全く正反対の、ズバリテクニシャンです。

この人の弾いてるのは、音を聴く限りでは普通のギターじゃなくて、ハワイアンなんかで使われている「置き型」のスティール・ギターだと思うんですが、ブルースというより、陽気なジャズ系の演奏です。

結構細かいコード・チェンジとか、軽快に小走りするスウィンギンなナンバーが多いのですが、この人何と!どの曲でもキッチリとスライドで細かいソロ弾いてるんですよね。

声も甘い感じ、一言で言えば「軽妙でお洒落」であり、もしかしたら一般ウケはこっちの方かも知れんです(ココモよすまん)。何というか、1930年代同じ時代のジャンゴ・ラインハルトや同じブルースでも単弦ピッキングの名手(神)ロニー・ジョンソンらに通じるシティ派ならではのノリの小気味よさと洗練された演奏技術に裏付けされた、期待を裏切らない演奏です。

元々はジャズの人だろうと思って調べてみたら、何とメンフィス・ミニーの最初の旦那で、初期の頃は南部一帯を回っていたこともあったんだとか。

「どこでそんな凄い演奏テク身に付けたんだよ!?」

とも思いましたが、南部の旅芸人一座といえば、ロニー・ジョンソンもそうでしたが、一流の連中は客のリクエストには何でも、それも高いレベルで応えていたと言いますから、このスライドの超絶技巧もむべなるかなでありますな。

続いて8曲目以降は豪放磊落、細けぇこたぁいいんだよ!の、ココモさんで、空気はガラッと変わります。

細やかなウォルデンとは間逆の、全部を力で押し切る、ミストーンもこうなったらもう欠かせない”味”の、これこそブルースマン!な開き直りっぷりはもう最高です。パワーとインパクトだけで十分に聴かせるというのも、これは立派なテクニックですよね。

どちらも膝にギターを置いてナイフ(ウォルデンは多分専用の金属棒)を滑らせるスタイルなのですが、このアルバムでは両極端とも言える2人のスタイルの違いを楽しみながら、ブルース、特に戦前の「ひとり1ジャンル」とでも言いたくなる個性の世界を楽しみましょう。

しかし、ココモとウォルデン、活躍した時代は一緒だけど、スタイル的には全然脈絡のないこの2人を素晴らしい選曲でカップリングして出したYazooはつくづくいいレーベルだなぁ。。。


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2016年03月22日

野坂昭如のザ・平成唱歌集

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野坂昭如のザ・平成唱歌集
(Pヴァイン)

「パンクとは姿勢である」

と言ったのは、我らがジョー・ストラマー先輩です。

つまりカギカッコのついた音楽ジャンルとしての「パンク」にこだわらずに、常識とかそういうもんと戦ってる音楽がパンクであり、つうか音楽じゃねぇぞ?そういう姿勢がパンクなんだ。

とジョー・ストラマー先輩はその生き様で世に示していたんだと、アタシは思っとります。

で、何が言いたいかというと野坂昭如センセイはパンクだと。

あの〜、世の中のほとんどの人はこのヒトを「火垂るの墓」の原作者で、反戦平和の真面目ェな作家さんだとか思ってるでしょう。

まぁまぁ、それも野坂センセイの表現行為の根幹にあるものだと思ってもいいのですが、有名な「大島渚ブン殴り事件」とか、色々とありますように、基本、野坂センセイは無頼派作家といえば聞こえはいいが、血の気の多いデストロイヤーであります。

作家としても「エロ事師たち」で(おい!)デビューしたその時からエロ&ナンセンス、冗談なのか本気なのか分からない、笑えない境界線ギリギリのブラックジョークを必殺技とする暴れ小僧でありまして、だからこそ多くの人に「また野坂かよ!しょうがねぇなあー]と愛された。

で、そんな野坂センセイは、物書きとしてやんちゃな文字を書き散らかしていた頃から、実は歌手としても勇名を馳せておりました。

若い頃からシャンソンやジャズが好きだったセンセイは、ダンディな歌唱の中にタップリの毒を持つ歌で、昭和という時代を斬っておった。いや、全裸になって時代と戯れておったと言えるべきか。

その代表曲「マリリン・モンロー・ノーリターン」では「この世はもうすぐおしまいだー!」と終末を声高らかに叫んでいた野坂センセイ。平成になってからは本業(?)の作家としての活動や、タレントとしてお茶の間に親しまれておりましたが、どっこい歌手としての評価はその間、特に1990年代以降うなぎのぼりでありまして、70年代の楽曲は多くのマニア耳の肥えたファンをして

「昭和の時代に”歌謡曲”という名で咲いた黒い笑いユーモアの花」

と、絶賛され、過去の名作が次々とリイシュー。

そして、「歌手・野坂昭如」の、華々しい復活の狼煙となったのがコレ!



「ダニアースの歌」

ですが、これはまだまだほんの序曲に過ぎなくて、1999年にリリースされたは「野坂昭如のザ・平成唱歌集・巻之一」そして翌年の「野坂昭如のザ・平成唱歌集・巻之二」が決定打となり、そして主にクレイジー・ケン・バンド、横山剣さんらの熱烈なリスペクトに応える形で、CKBライヴへのゲスト出演やゲリラ的ライヴなんかもガンガンに行っておったんです。

野坂センセイのダンディズムとパンキズムがどんだけな感じになったステージをこの時初めて体験した人は、さぞや即頭部に訳の分からない衝撃を受けたことでしょう。

とまれ、名盤「野坂昭如のザ・平成唱歌集」であります。



【収録曲】
1.赤瀬川夜曲(老人力の唄)
2.トマソン音頭
3.みどりの帽子
4.師走
5.灯台賛歌
6.ダンゴビルの唄
7.再見香港(野坂休憩)
8.浦安太郎
9.病院唱歌
10.やまと寿歌
11.鳥類研究所
12.タケノコ出タゾ(竹寺物語)
13.川(WATER・WATER)
14.アイとセイ(佐藤愛子、田辺聖子両女史オチョクリ捧げ歌)
15.アバヨ(ヒトケタ少年団・生前葬送歌)
16.シャボン玉こわれた(13chTVドラマ「逃亡生活」主題歌)
17.沖縄(ウチナン)ぶらぶら
18.嗚呼・結婚記念日
19.せ・せ・せ〜ヒトケタ春歌
20.黒の田植歌
21.チンタマケの唄
22.沖縄鎮魂歌(飛べ蛍「ヂンヂン」)
23.なんじゃん・わるつ〜昭和わかれぶし〜(世直しトリオ)
24.ブンカブンカ・ドンドン(世直しトリオ)
25.夢2:シンパイシナサンナー
26.通せば天国(サントリー・ゴールドCMソング)
27.CABIN・85(南の島編)
28.ダニ・アース

現在は「其の一・其の二」がこのようにまとめられたアルバムがあるんですが、こぉ〜れがもうたまらんですよ。

まずね「唱歌」というのがいい。

唱歌ってぇと、今で言うところの音楽の教科書に載っている歌であります。

文部省が定めた国民愛唱歌=唱歌ですな。

ほとんどの歌が戦前唱歌の「元ネタ」があります。

ぱっと聴きはご老人がのどかに唄っているようにしか聞こえないけど・・・

けど・・・・

何この歌詞!とてつもなく反社会的!!!!

しかも!放送禁止用語とか暴力的表現まったくなしでこれとはっ!!!!!!

な内容です。

東大(と、その出身者で国を牛耳っている人ら)を徹底してディスった「灯台賛歌」とか、某ミッキーランド滅亡後の世界を(つうか勝手に滅ぼしている)この上なく叙情的に唄った「浦安太郎」とか、どの歌にももれなくビッシリ社会への痛烈な批判なんてもんじゃない必殺の何かが仕込まれていて、もうこれはパンクなんです。

こんなにも毒でこんなにも笑えて、こんなにも何かよーわからん後の引き方をするアルバム、いや、音楽があるだろうか?と、只今これを聴きながら大笑い堪えながら文章かいてるんで、もうこれぐらいで勘弁してください野坂センセイ・・・。



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2016年03月19日

チコ・ハミルトン ゴングス・イースト

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チコ・ハミルトン/ゴングス・イースト
(Warner Brothers/ワーナー・ミュージック・ジャパン)

モダンジャズ全盛の1950年代の

「ジャズ・ミーツ・クラシック」

の雄といえば、東のMJQ(モダン・ジャズ・クァルテット)と、西のチコ・ハミルトン・クインテットであります。

彼らの演奏は

「クラシックの名曲をジャズアレンジでやる」

とか、そういう表面的なことではなしに、クラシック音楽の綿密な編曲と、対位法(ひとつのメロディーに対して、同じスケールの違うメロディーが効果的に絡む手法)を中心とした繊細なリフでもって

「どこからどう聴いてもしっかりとしたジャズでありながら上質なクラシックのエスプリも醸している」

という、独自の世界が構築されたものでありました。

特に50年代のチコ・ハミルトン・クインテットは

ドラムス+チェロ+ギター+ベース+リード楽器(フルート、サックス)

という「弦楽5重奏団」とも言うべき変則的な編成で、メロディアスかつ典雅なサウンドで聴かせます。

中でもエリック・ドルフィーが参加した50年代後半の作品は、その世界観の独自性、演奏の中に漂う心地良い緊張感で、一日の長があります。




【パーソネル】
チコ・ハミルトン(ds)
エリック・ドルフィー(asABD,flCEF,b-clG,cl@,fl,clH)
ネイサン・ガーシュマン(cello)
デニス・バディマー(g)
ワイアット・ルーサー(b)

【収録曲】
1.地平線のかなたに
2.ホエア・アイ・リヴ
3.ゴングス・イースト
4.アイ・ゲイヴ・マイ・ラヴ・ア・チェリー
5.グッド・グリーフ、デニス
6.ロング・アゴー(アンド・ファー・アウェイ)
7.火曜の2時
8.ネイチャー・バイ・エマーソン
9.ファー・イースト
10.パッション・フラワー

はい、実はこのアルバム、ジャズ聴き始めの頃に

「エリック・ドルフィーが参加してるものは何でもいいから集めちゃえ!」

という、実にミーハーな動機で入手したアルバムです。

当然の事ながら、チコ・ハミルトンのことも全然知らないで買ったんですね。はい、ミーハーなもんで。

で、実はこのチコ・ハミルトン・クインテットこそ、後にジャズ史に燦然と輝く個性を発揮する鬼才、エリック・ドルフィーが世に出た第一歩でもあったんです。

もちろんこのアルバムを入手した頃は、そんなこと知りませんでした。

とにかくドルフィーが聴ける!

その気持ちだけでウキウキワクワクでした。

ドルフィーの客演盤といえば、リーダーがどんな音世界を持っていようが、編成や選曲がどうであろうが、上下に凄まじくアップダウンする、あの緊張感と疾走感がレッドゾーン振り切りそうな超個性的なアドリブで、その場の空気をあっという間に塗り替えてしまう鮮烈なものでありますが、ここでのドルフィーは”やや前衛”な個性を小出しにしつつ、緻密に計算されたチコのバンド・アンサンブルにとてもよく馴染んでおります。

チェロとの官能的な絡みが美しい@から、チェロが弾くメインテーマを追うフルートのメロディアスなオブリガードにグッとくるC、後の名盤「アウト・ゼア」を思わせる、奇妙に少しづつよじれた世界をアルトで描くDなど、ドルフィーは曲によってフルート、アルトサックス、クラリネットと楽器を巧みに持ち替えておりますが、そのどれも美しく澄み切ったトーンで、楽器をフルに響かせていて、他の作品とはちょっと違った端麗なドルフィーが楽しめます。

チコ・ハミルトンのアレンジはどの曲でも見事で、それなりに色々と聴き込んで(60年代以降のチコは、ロックやファンクなんかも視野に入れて、元祖クロスオーバーな音楽をやっておって、それもまたカッコイイんです)このアルバムに戻ってきても、聴く度により深い世界へと誘ってくれます。

アルバムのコンセプトは「東洋風エキゾチック・ジャズ室内楽」なんだそうですが、編曲が本当に美しいので、ジャケットを見て「あぁ、そうか。今のがそれか。言われてみれば中国っぽいかも」ぐらいで全然あざとさがありません。

ところでジャケットのドラはどこで鳴っているのか気になる人も多いと思いますが、安心してください、2箇所でちゃんと鳴っております。聴いて確認してください。

言い忘れておりましたがチコ・ハミルトン、演奏家としては実に堅実なドラマーです。マックス・ローチとロイ・ヘインズのカドを取ってパシッとした、実にスマートなドラムを叩きますよ♪








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