2016年06月29日

ムーンドッグ Moondog(Prestige)

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MOONDOG
(Prestige/OJC)


今日も暑いので脱力気味でいきます、体が弱っている時は胃腸に優しいものしかお腹に入らなくなると言いますが、耳だってそうです。この読者の皆さんならお分かりかと思いますが、アタシはコッテコテのギトギトな音楽が好きです。

しかし今年は夏バテ本格的にヤバイ感じで「よし、ここはひとつ朝から豪快なブルースで気合いを入れるのだ!」と思ってバディ・ガイかけてみたら、ちょっとヘロヘロになってしまいました。彼の気迫に全然体が追い着けない・・・。

そんなアホな〜・・・とセレクトを変えてみたのですが、ブルース、ロック、ハードなジャズ・・・どれもだめで、本当に泣きそうな気持ちでプレイヤーにセットしてみて「あぁ・・・これだ・・・・」とようやくホッとできたのがムーンドッグのナチュラルにアウトデラックスなユルユルの初期音源集「MOONDOG」でございます。

ムーンドッグは、1940年代からニューヨークの路上を中心に活動していた詩人でありパフォーマーであり、作曲家であり楽器発明家。

北欧神話にインスパイヤされた世界観を持ち、常にバイキングの格好をして路上で演奏や詩の朗読などを行っておりました。

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こんなのがいきなり大都会ニューヨークの路上に立ってるんです(!)

見た目で言えばハッキリと変人ではありますが、実は独学で点字を通じて音楽理論を学んでおり(彼は幼い頃に事故に遭い、失明しております)、言動も極めて紳士的で街の人やミュージシャン達から「6番街のヴァイキング」と親しまれて、いわゆる「名物おじさん」的な感じであったようです。

その音楽は、自作の打楽器をチャカポコ叩きながら、まるで童謡のようにシンプルで耳に馴染み易いメロディーを、時にインドや東洋、北欧やアフリカなどの世界の民族音楽から受けた影響を織り交ぜながら、独自のゆったりしたビートとメロディ、時にそれに乗る言葉などが不思議と柔らかな一体感を伴ってユル〜く流れてゆくものであり、スティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスといったミニマル・ミュージックの大物達に絶大な影響を与えてもおります。

そんなニューヨークの心優しい吟遊詩人、ムーンドッグが(どういうわけか)ジャズの名門インディーレーベル”PRESTIGE”からリリースした、1956年の脱力作「MOONDOG」これ、本日のオススメでございます。



【収録曲】
1.Caribea
2.Lullaby
3.Tree Trail
4.Death, when you come to me, may you come to me swiftly; I would rather not linger, not linger
5.Big Cat
6.Frog Bog
7.To a Sea Horse
8.Dance Rehearsal
9.Surf Session, in 3 parts, quartet
10.Trees against the sky, fields of plenty, rivers to the sea: this, and more, spreads before me
11.Tap Dance
12.Oo Debu
13.Drum Suite
14.Street Scene


基本。パーカッションが心地良く鳴って(つまりけたたましくない)て、それにピアノやヴァイオリン、曲によってはヴォーカルなんかが入る、ややモンドがかったラウンジ・ミュージックと申しましょうか。

とかくムーンドッグといえば「変人」の代名詞的に、一時期音楽界隈でも採り上げられたことがありましたが、音楽的には一見実にマトモであり、例えばFのピアノなんかを聴けばエリック・サティとゴンザレスが混ざり合う丁度その中間点にあるような、実にセンスのいい、そしてどこか郷愁すら感じさせてくれる(彼の言葉でいえば”神話的音楽”)音は、心のけばだったところにスーッと優しく作用して、気持ちよくほぐしてくれます。

AとCで、いきなり日本語の朗読(Aは赤ちゃんに「かわいいね〜」と語りかける女の人の声で、Cはポエトリー・リーディング。一瞬ボカロかと思ったけど、何で50年代にボカロあんねん!と思って正気に帰りました)が出てきたり、東洋っぽい曲の限りなく無国籍な中華サウンド感なんか、いかにもモンドであり、上質なサイケも感じます。

フツーに心地良いんだけど、よくよく聴いたら実際は色んな意味で”先取り”の多いサウンドであり、確かにムーンドック天才だと思います。いや、でも、このユルユル、純粋にこれが気持ちええんです。。。



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2016年06月28日

ハンプトン・ホーズ Green Leeves of Summer

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Hampton Hawes/Green Leaves of Summer
(Contemporary/OJC)

只今の季節はディス・イズ・夏でございます。

アタシの体調のことを言えば、ちょいと2,3日前から頭が痛い。

いつもの夏バテと軽い脱水による頭痛です。

なのでボーッとしてしまって音楽を聴いてもうまく言葉が出てきません。

うまく言えない時に無理して頭の中をひっかき回すと今度は精神衛生上よろしくありませんので、この数日はこんな季節でもカラッとサラッと聴ける音楽を聴いております。

んで

「夏に聴きたいピアノもの」

「こんな季節だからこそカッコ良く響くジャズ」

として、本日のオススメはハンプトン・ホーズのピアノ・トリオ・アルバム「グリーン・リーヴス・オブ・サマー」であります。


ハンプトン・ホーズは、アメリカ西海岸のピアニストさんです。

西海岸のジャズというのは、東海岸、つまりニューヨークのジャズとはちょっと気色が違って、サッパリした音色と軽やかなプレイを身上にする人が多い。

つまりアレですな、普段”コテコテ”のごっついジャズばっかり聴いていると、たまにゃあアッサリしたものを聴きたくなる、てぇ時にアタシはハンプトン・ホーズを好んで聴いております。

「スウィングしてる」という言葉を「何かこうウキウキして、思わず体が動いてしまう」と訳した時に、この人のピアノプレイ以上にしっくり来る言葉はないんじゃなかろうかと思うぐらいに鍵盤の上を軽やかに疾走していく10本の指、タッチはやや硬質で凜と澄み切っておりまして、でも、だからといって決して軟弱ではない大人の”端麗”な味わい。

実は日本にも縁が深い人で、進駐軍で日本にやってきた時に、まだ全然モダン・ジャズとかビ・バップだとかを知らない日本人ジャズマン達と、にこやかにセッションしながら「コイツがバップだよ」と教えてくれたんだとか。

はい、50年代から活動している人で、アルバムも結構な数出ていますが、実はコノ人には「この一枚!」というのがない。

それは決して否定的な意味ではなくて、どのアルバムでもその端麗な、聴けばすぐにそれと分かるキリッと締まった音色で、どのアルバムでも期待以上のノリと味で「あ、何となくジャズ聴きてー」という人から「ちょっと今日はピアノなど集中して聴いてみようか」という人の心まで豊かに満たしてくれるのがホーズなんです。




【パーソネル】
ハンプトン・ホーズ(p)
モンク・モンゴメリー(b)
スティーヴ・エリントン(ds)

【収録曲】
1.Vierd Blues
2.Green Leaves of Summer
3.Ill Wind
4.St. Thomas
5.St. Thomas
6.Blue Skies
7.More I See You
8.G.K. Blues



この「グリーン・リーヴス・オブ・サマー」は、麻薬所持の罪で逮捕されお務めを終えて(本当は刑期の途中だったけどケネディ大統領の特赦で放免に)レコーディグされたアルバム。

全体的にホーズのキレもいいし、ドラム、ベースとの息もピッタリ合ってて、ノリノリの曲もミドルテンポのブルースもカッコイイんですけど、やっぱり2曲目のタイトル曲がカッコイイですね。

バラード調の切々とした美しい旋律から徐々に加速していく展開が実にドラマチックで情感豊かでありますが、この曲は映画「アラモ」の劇中歌で、ム所の中でその映画を観て激しく感動したホーズが「いつかシャバに出たらこの曲をレコーディングするんだぁ」と、アレンジからアドリブまで、ずっと考えていたといいます。

とにかくアルバムを通して、ノリノリな時もしっとりな時も、常に聴きやすく・でも飽きさせない、ジャズ職人ならではの”小粋”がとても効いているアルバムです。

暑くてなーんもしたくない、頑張んなきゃいけないんだけど頭回んなくてやんなっちゃう時に良い感じにリフレッシュさせてくれますよ。



ちょいと長めですがハンプトン・ホーズのライヴを貼っておきますね






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2016年06月27日

俺と悪魔のブルーズ5巻

何と!!!!!!!

ブルース好きを唸らせる、あのロバート・ジョンソンのことが見事な描写と精密な時代考証でリアルに描かれている傑作漫画

「俺と悪魔のブルーズ」

が、

何と何と・・・・・


8年ぶりに連載を再開しました!!!!!






すげぇ!!

待ちに待った最新刊(第5巻)ですよ。。。

昨日ツイッターで教えて頂きました。

スイミーさんありがとうございます。。。。




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2016年06月26日

ローランド・カーク ヴォランティアード・スレイヴリー

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ローランド・カーク/ヴォランティアード・スレイヴリー
(Atlantic/ワーナー・ミュージック)

これはもうアレですよ、ジャズというかソウルというか、とにかくブラック・ミュージックが何かしら好きで、グルーヴという言葉に何かしら反応して、何か嬉しいことに出くわしたり、いいことがあった時に「いぇ〜い♪」という言葉が出てくる人は、聴くべきで、あと、音楽に人情というか、人間的な暖かさとか、そういうものを感じてクーッときちゃう人も聴くべきで、えぇい、もうジャズだとかブラック・ミュージックだとか細かいことはどうでもいい!原田和典さんが何かの本で

「これを聴くことは人類の義務だ」

と仰っておりましたが、ホントにこれ。もしもこの記事を読んでいるアナタが人間だったら(自称でも可)、このアルバム、ローランド・カークの「ヴォランティアード・スレイヴリー」を、騙されたと思って一度聴いてみてください。えぇ、騙すつもりはござんせんので。

ローランド・カークといえば、ジャズの世界ではその”サックスを3本同時に鳴らす”というバケモノぶりで、多くのファンのド肝を抜いてきましたが、その見た目のインパクト通りの迫力&圧巻のプレイと、見てくれだけではないしっかりとした正統派なテクニック、そして相当にディープなブルース・フィーリングを持っており、決してキワモノ/ゲテモノの類ではないということを、聴く人のほぼ全てに納得させてきた実力派中の実力派であります。

カークはテナー・サックス、ストリッチ(アルト・サックスを直線っぽく伸ばしたやつ)、マンゼロ(「サクセロ」とも言う、サクセロよりちょい小さめの高い音が出る楽器)、フルートを武器に、50年代からジャズをはじめます。

彼には盲目というハンディキャップがありましたが「見えるものに囚われない」ということは、彼の音楽的な幅の広さのしっかりとした裏付けになりました。

「ちっちゃい頃にね、マーチング・バンドが通りを行進してたんだ。コイツはいいな、と思って合奏を丸々耳で覚えたんだよね。ところがサックスってのは基本的にほとつの音しか出せない、そうか、それなら2本以上を一緒にくわえて演奏すればいいんだと思って、このスタイルは自然に身に付いたのさ」

普通なら”目立つから”とかそういう理由で3本吹きという離れ業をやるべきところ、カークは見た目とかそういうつまらないことに縛られず「耳にして感動した音を自分で再生したい」という限りなくピュアな気持ちでスタイルを確立しました。他の誰にも真似の出来ない唯一無二のカッコイイスタイルを。

さてさて、50年代から60年代にかけてカークは、その”ジャズ”というフォーマットの中で、その溢れんばかりの個性をレコードに刻み付けてきましたが、カークの「耳にして感動した音は自分で再生すべき」というポリシーは、60年代後半になって”ジャズ以外の音楽”も演奏のレパートリーに加えることで最大限に発揮されます。

60年代といえばソウル・ミュージックがジャズやR&Bに代わる、若者文化の中心音楽でありました。

カークの偉いところは、このソウル・ミュージックの根底に流れるブルース・フィーリングと、自分たちのフィーリングとが実はあんまり違わない、素直に混ざり合うものだとすぐに納得して演奏したことであります。

元よりジャズのみならず、ブルースやゴスペル、R&Bなど、自分の血肉になる音楽は何でも好きになり、何でも喜んで演奏していたカークという人は、カギカッコ付きの”ジャズ”なんかに収まるよーな狭いアーティストではありません。

丁度この時期(1960年代後半)、ブラック・ミュージックの専門レーベルとしてレイ・チャールズ、アレサ・フランクリン、オーティス・レディングなどなどなど、多くのソウル・スターを育て、アメリカの一大メジャー・レーベルとなったアトランティック・レコードがカークと契約を交わします。

「ブラック・ミュージックが分かるレーベル」との契約は、カークにとっては最大の幸運でした。

で、今回ご紹介する「ヴォランティアード・スレイヴリー」です。






【パーソネル】
ローランド・カーク(ts,fl,nfl,mn,st,gn,口笛,vo)
チャールズ・マギー(tp,@D)
ロン・バートン(p)
ヴァーノン・マーティン(b)
ソニー・ブラウン(ds,A〜D)
ジミー・ホップス(ds,E〜I)
チャールズ・グロスビー(ds,@)
ディック・グリフィン(tb,@D)

【収録曲】
1.ヴォランティアーズ・スレイヴリー
2.スピリッツ・アップ・アバヴ
3.マイ・シェリー・アムール
4.サーチ・フォー・ザ・リーズン・ホワイ
5.小さな願い
6.ローランド・オープニング・リマークス
7.ワン・トン
8.オヴェーション&ローランズ・リマークス
9.ア・トリビュート・トゥ・ジョン・コルトレーン
 a)ラッシュ・ライフ
 b)アフロ・ブルー
 c)ベッシーズ・ブルース
10.スリー・フォー・ザ・フェスティヴァル


のっけから4ビートではなく、しかも思いっきり歌っており、2曲目もゴスペルなコーラスがすげぇカッコイイ!と思ったらその次はスティーヴィー・ワンダーだし、続くモータウン・ポップみたいな歌モノ(カークのオリジナル)の次にアレサ・フランクリンで畳み掛ける(!)

うっひゃー! 何じゃこりゃ! ブラック・ミュージックの天国じゃないか!!

と、アタシはそらもう狂喜しました。

元々ブルースが好きで、ジャズやソウルもその流れから好きになった人間にとって、このアルバム特有の”黒さ”つまり口で言うよりグルーヴが、演奏の雰囲気全体からもくもくと立ち込める巨大な何物かが、頭よりも心、心よりも体を直接ゆさぶってくるこの感覚は、正に天啓であり、求めていた音楽でした。

とにかくもう極上の”ジャズマンが演奏する最高のソウル”であり、収録の半分がライヴということもあって、そのムンムンした熱気共に、もう夢中にさせて余りあるんです。思わず「人間万歳!」って叫びたくなるんです。

そして後半のコルトレーン・メドレー

カークのプレイ・スタイルから、何となく「あぁ、この人はコルトレーンのことをリスペクトしてるんだな」と、初期のアルバムをコルトレーン者として嬉しく聴いていましたが、このアルバムでの演奏は、それまでの表面的なソウルなノリを完全にぶった切って、気持ちいいぐらいにストレート・アヘッドなジャズ・・・というよりも驚異の「コルトレーン以上にコルトレーンな演奏」で、流石にド肝を抜かれました。

先ほど「表面的なソウルのノリを完全にぶった切って」と書きましたが、このアルバムの中でコルトレーン、出てきても全然違和感ないんですよね。コルトレーンはジャズもジャズなんですが、やはり60年代という時代のひとつのコアであったということもあるんでしょうか、コレも最高に素晴らしい”ソウル・ミュージック”としてどうしようもなく響いてくるんです。

いやはや、このアルバムに関しては、それこそアタシにとって愛聴盤以上の愛聴盤で、どこまでも語りたくなりますが、このブログは「知らない人に音楽を聴いてほしいブログ」です。

最初の話に戻りますが、いやほんと「音楽に人間の愛」を求める人は、これだけは是非聴いておいてください。


それでもよくわからんという人のためにオマケを置いときますね↓



”ローランド・カーク”関連記事


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2016年06月25日

岸田森 嵐山長官

昨日「爆報THE フライデー」を見ていたら、三田和代の岸田森との事実婚の話をやっていましたね。

岸田森といえば演技の鬼と言われた役者さんで「恐らくは狂気というものを表現させたら右に出る人はいないだろう」と言われる超個性派の俳優であります。


長谷川博巳が「最も影響を受けた」とも語っておりましたね。

が、私の世代(40のオッサン)で「岸田森」といえば、太陽戦隊サンバルカンの嵐山長官ですよ(!)


戦隊モノの長官といえば、基地の中でヒーロー達に指令を与えたり、険しい表情でその戦いを見守ったりするんですが、大体よっぽどのことがない限り基地をでないのですが、嵐山長官は違います。

何と普段は喫茶店のマスターをしており、そこで自慢のカレー(イエローの大好物なアレ)を作ったり、子供達とヨーヨーで遊んでたり、しゃべり方もほんっとに気さくなオッサンという感じなんですが、基地でサンバルカンに指令を出す時は普段のキャラとは全っ然真逆の知的で渋くてついでに言うと声も威厳のある低い声になるんです。

その他、変装(てか完全に趣味のコスプレ)して自ら潜入捜査したり、生身の人間のくせに怪人と戦ったり、あろうことか最終回ではサンバルカン差し置いて大ボスの怪人(確か全能の神とか何とかいうやつ、クソ強い)をえいやぁとぶっ刺してやっつけたり、戦隊史上後にも先にもない、色々と凄まじいぶっ飛び方をしていました。

もちろんその頃はこの嵐山長官が岸田森という凄い役者さんだということすら知らず「長官かっこいー」と、ヒーローそっちのけでひたすら楽しんでいて、「サンバルカンごっこ」するときも、アタシはいつも長官役でした。

サンバルカン、久々に見たいなぁ〜…。



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2016年06月24日

スリム・ハーポ シングス・レイニン・イン・マイ・ハート

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スリム・ハーポ/シングス・レイニン・イン・マイ・ハート
(EXCELLO/ユニバーサル)

いや〜、夏ですね。暑いですね。

ここ奄美でも連日30℃越えの猛暑で、特に車なんかはちょいとでもその辺にエンジン切って停めようものなら、帰ってくる頃には車内がもわんもわんの乾燥サウナになってしまってやんなっちゃいます。

しかし今やヒートアイランド現象とか何とかで、東京とか埼玉の熊谷とか群馬の館林なんかが日本最凶に暑いんだそうです。

そう言われてみますと、確かに本土の暑さと奄美の暑さは質が違うような気が致しますね。

コチラは日射しがもう容赦なくキョーレツで、薄着して外にでも立ってたらたちまち日焼けして日射病になって大変なことになりますが、直射日光さえ避けておれば、風もあるしそこそこ過ごし易いんじゃないかなと思います。

逆に都会の暑さは・・・アタシは埼玉で2年、東京で4年過ごしましたが、日陰にいても暑いし第一風が暑い。これはもう冷房の効いた所に避難しないと凌げない暑さだったと思います。

んで、こんなクソ暑い時は、やっぱりブルースでございます。

なかんづく、カラッとしたアメリカの中でも高温多湿という意味でちょっと異質な土地でありますルイジアナ

この土地はニューオーリンズという戦前からオシャレでハイカラな港町がありまして、ジャズが生まれた土地として有名なんですが、これが戦後になりますと独自の洗練されたブルースやリズム・アンド・ブルース文化が花開き、50年代とか60年代にはアメリカ全土からイギリスまで、オシャレでトッポいものに敏感な若者を狂喜させる音楽が次々と生まれます。

が、いかんせんこの土地のブルースの人たちは、高温多湿のムシ暑くジトジトした気候にヤラレてしまって覇気というものが削がれてしまったのか、実にユルいのであります。

その代表格が、スリム・ハーポです。

スリム・ハーポという人については、以前ベスト盤のレビューを書いた時に詳しくその人となりについて書いてありますので、リンク先をご参照くださいな。はいはい、いい加減クソ暑いので、アタシもユルくやらせてもらいますね。

今日は朝からジリジリのカンカン(なんじゃそりゃ)な天気だったので「これはもうスリム・ハーポしかないだろう」と思い、車ん中で何を聴こうかあれこれ思案しておったのですが、ハーポといえば何を置いてもやっぱりファーストじゃね?とぼや〜んと思うに至りました。


てか、「シングス・レイニン・イン・マイ・ハート」て最初打ったら

「寝具ス・レイニン・イン・マイ・ハート」

て変換されたぞ、どこまでユルいんだ(笑)





【収録曲】
1.レイニン・イン・マイ・ハート
2.ブルース・ハングオーヴァー
3.ボビー・ソックス・ベイビー
4.アイ・ゴット・ラヴ・イフ・ユー・ウォント・イット
5.スヌーピン・アラウンド
6.バズ・ミー・ベイビー
7.アイム・ア・キング・ビー
8.ホワット・ア・ドリーム
9.ドント・スタート・クライン・ナウ
10.ムーディ・ブルース
11.マイ・ホーム・イズ・ア・パーソン
12.ドリーム・ガール
13.マイ・リトル・クイーン・ビー(ガット・ア・ブランド・ニュー・キング)*
14.レイト・ラスト・ナイト*
15.ティップ・オン・イン パート2*

「レイニン・イン・マイ・ハート」

一説によるとツアー中に「嫁さんがいない、淋しい」となったハーポが自分ちに長距離電話して

「なぁベイビー、淋しいんだ。心の中に雨が降っちまってる」

と電話口に呟いたことを思い出して作ったと云われるバラード名曲が、アルバムタイトルにもなって、しかもとてもむくつけきブルースのアルバムとは思えないほどにオシャレでイカしたジャケットにもなった、スリム・ハーポ1961年リリースの、ルイジアナご当地レーベル”エクセロ”からリリースされたファースト・アルバムです。

これはですのぅ、1957年から64年までの時期にエクセロでレコーディングしたシングル曲なんかを集めてリリースしたアルバムなんです。

実は1960年代の”スリム・ハーポ人気”というのは凄いものがありまして、特にローリング・ストーンズやキンクスとかのブリティッシュ・ロック勢が、彼らのフェイバリットであるシカゴ・ブルースとはまた別枠で、ハーポを特別気に入って、自分らもハーポの曲をカヴァーして(このアルバムではF「アイム・キング・ビー」をストーンズが、C「アイ・ガット・ラヴ・イフ・ユー・ウォント・イット」をストーンズとキンクスがそれぞれカヴァー)、イチオシしてたんですが、ハーポの曲や芸風は、シカゴ・ブルースのディープなエグ味とは正反対の、どこか端正でオシャレな感覚がありました。

タイトルの「レイニン・イン・マイ・ハート」は、3コードで軽快なリズムが「たんたかたんたんたんたんたん・・・」と刻まれて、その上を甘い声のトーンで、どうにも切なげに唄って語る(間奏のとこ)、ブルースというよりは軽めのR&Bのバラードみたいだし、ノリノリのロッキンなBとかのキャッチーさは、これ多分ストーンズとかの英国の若者には「ロックンロールのスローなやつ」としてウケたんだろうなぁと、ほほえましく想像してしまいます。

ハープの音もどこかふんわりして、柔らかな味がありますもんね。

ルイジアナ・ブルース、特にハーポのそれは一言でいえばとてもキャッチーであります。

だからといって「ブルースとしての深みに欠ける」のかと言われれば決してそうではなく、デロデロのスロー・ブルースKなんかでは、やはり”ならでは”としか言いようのないディープなフィーリングがありますし、ついでに言えばエクセロというレーベルがお得意とする”洞窟みたいなエコー・サウンド”が、高温多湿なルイジアナ・ブルースとは何であるかというのを、ある意味すごく生々しく物語っております。

ロックンロール人気で、後の作品では(基本的なユルさは変わらないものの)よりキャッチーでR&Bライクな作品を次々と連発したハーポですが、このファーストには、シンプルなバックと”洞窟エコー”に支えられ、キャッチーでユルユルな裏側に、ブルースマンとしての確かな気骨を、聴く毎に深く・・・いや、ユルく感じさせてくれるのです。

最後にハーポのデビュー曲であり、ストーンズもカヴァーした「アイム・ア・キング・ビー」なんですが、この曲実は「世界一音数の少ないギター・ソロ」としても有名(?)です。

そこんところは俳人の山田露結さんが実にシャレた文章を書いておりますので、コチラもご覧くださいな

↓ ↓ ↓

ウラハイ = 裏「週刊俳句」 おんつぼ03 スリム・ハーポ





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2016年06月21日

ザ・ヒート・ビート・ストローク ノゥ・ネイム・ブルース

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The Heat Beat Stroke/No Name Blues
(Heat Beat Stroke)

【収録曲】
1.No NAME BLUES
2.皮フと内臓
3.アカユリ
4.MOVE
5.日課牧歌 〜Wool〜
6.タカラバコ
7.ギリギリのバランス
8.BLIND SOUL
9.今日こそは

何年前かもう忘れてしまいましたが、あれは確か”カフェ・クローバー”でのバンドイベントだったと思います。

やせ型の、いかにもロッカーっていう感じの精悍な顔をした人が、ギターをチューニングしながらタバコをガンガン吸っておりました。

何かもうその佇まいが素敵だった、けれども正直怖い人かなと思って、お店のオーナーの大樹さんに

「あの人は・・・?」

と、小声で訊いたら

「あ、次郎さんっち言って、最近シマに帰ってきた人よ。声が渋くてカッコイイよ」

と、教えてもらいました。

そん時のライヴではギター弾き語りで、オープン・チューニングにしたギターを粗くジャカジャカ鳴らしながら、ストーンズとかのカヴァーをやっていたと思います。

その鋭いギターと、ザラザラした声は正直カッコ良かったので、恐る恐る声をかけたら、音楽好きというのはもう皆まで言わなくても「あれが好き!」「いいね!」みたいな感じで、結構すぐにお友達になれたと思います。

そん時のステージとその後の会話で、この芳本次郎さんという人が、ローリング・ストーンズ大好きで、声も歌も物の考え方も、実にロックンロールな人だと思い、アタシは以来ずっとリスペクトしてきております。

で、その次郎さんは、ギター&ベースの上原恒己さん、ピアノの静香さんと3人で”ヒートビート・ストローク”というバンドを組んで、この度ファースト・アルバムをリリースしました。

「名前のないブルース」

何て素敵な言葉なんだろうな・・・と思いつつ、ずっと聴いてます。

次郎さんの声とギターは、本当に渇いててエモーショナル。あえて誤解を恐れずに言ってしまえば

「この泥臭さがダメな人は、別にダメでいい」

と、毅然としてロックでブルースで、どこか哲学なんです。

そこに絡むアメリカンなオールドロックの匂いぷんぷんの恒己さんのギター(「皮フと内臓」のスライドとかホントザックリやられます)、情感を滲ませながら言葉に沿っている静香さんのピアノ(これは「アカユリ」でぜひ聴いてください)、そして数曲で参加している福島幹夫さんの(!)アルト・サックスが、何というか聴き手の心のヘコんだり欠けたりした部分にズキンズキンと染みてきます。

何でこんなに染みるんだろうと思ったけど、それは多分歌詞にちゃんと人間がいて、言葉が狙いを定めた場所に飛んでいって突き刺さり、そして正しく爆発してるからなんじゃないかと思います。


 
  止める事が出来ない程
  力任せその正義の前
  美しい君の歌は
  あまりにも無防備なんだろう

 − 「BLIND SOUL」より


Over.40で音楽やっている人に対して「親父バンド」とか言うのが恥ずかしいぐらいのダサくないロック魂を聴いてください。


コチラのCDは受注販売になります。欲しい方/お問い合わせは soundspal1@gmail.com まで!

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2016年06月20日

O.V.ライト 8Men,4Women

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O.V.Wright/8Men,4Women
(Mca Special Products)

ブラック・ミュージックが好き、歌モノが好き。

という方で、今正に広大なるソウル・ミュージックの大海原に漕ぎ出そうとしている人には、まずは何を置いてでも聴いて頂きたいシンガーというのがおります。

いや、正直最初に聴くのは何だっていいんです。

今でも絶大な人気を誇るアーティストといえば、アレサ・フランクリン、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、サム・クック、オーティス・レディングなどなどなど・・・。

これらの人たちの音盤ならば、ハッキリ言ってどれを最初に買っていてもいい。

時期によって、或いは作品やレーベルによって、それを聴くアナタの好みはありましょうが、この人たちはまずハズレがございません。

問題は”その次”であります。

今の時代ならyoutubeとかで好きなアーティストを検索して、関連動画で試聴して好みを探って行くなんて聴き方もできるとは思いますが、直感を頼りにしたいアナタ、もしくは

「あぁあ、”いかにもソウル”って感じの、とにかくパワフルで魂を揺さぶられるような歌が聴きたいわぁ〜」

と思ってるアナタにぜひとも聴いて欲しい天性のソウル・シンガーがこの人、O.V.ライトです。


と、その前に、一口に「ソウル」と言っても、大きく分けて”ノーザン・ソウル”と”サザン・ソウル”というものがありまして、これは”ノーザン”の方がシカゴやデトロイト、キャッチーでポップなモータウン・サウンドなんかがその代表ですね。

大して”サザン”というのはアメリカ南部、メンフィスを中心とする、よりブルースやゴスペルからの強い影響を色濃く残した泥臭くブラックなフィーリングが持ち味。

レーベルでいえばスタックスやゴールドワックス、初期のアトランティックなんかがよく知られております。

で、O.V.ライトは、このサザン・ソウルを代表するシンガーなんです。

この人の声がもう凄い。

1939年にアメリカ南部テネシー州に生まれ、幼い頃からブルースやゴスペル、R&Bを聴いて育ち、10代になるや地元で有名なゴスペル・グループにシンガーとして参加します。

当時のゴスペルといえば、今みたいに穏やかでハッピーなやつじゃなく(それも一部ではあると思いますが)、教会に集まる聴衆をハイにさせてトランスさせることこそが目的の、シャウトにつぐシャウトの、それはそれは凄まじい音楽だったんですね。

特に南部のゴスペル・グループというのは、それこそ強烈なシャウター(マイクなんざなくても全然コンサートできちゃうオッソロシイ人ら)が星の数ほど在籍し、しのぎを削っておりましたが、まだ若いO.V.は、そんな中で「凄いヤツがいる」とあっという間に人気者になり、1964年にはソウル・シンガーとして「That's How Strong My Love Is"」という曲でデビューするんですが、何とこの曲、あのオーティス・レディングがソッコーでカヴァーして、両人共に看板曲にしてしまいます。つまり”サザン・ソウルを代表する名曲”の2つの名唱が、ほぼ同時に生まれたんですね。

O.V.の歌は、とにかく腹の底から振り絞るような、理屈抜きで直接胸の内に”バコン!”とくる力強いものであります。

高音のスクリーム、空間が揺らぐほどの野太くどこまでも通るシャウト、かと思えばバラードでの感情表現を巧みにコントロールしてのストーリー性豊かな表現などなど、とにかくこの人のヴォーカルは”うた”として完璧なんですが、それだけじゃなく、タフで泥臭く、塩辛い。なのにどうしてこんなに繊細な切なさが胸にくるんだろう?というほどの、豊かな”余韻”をも備えております。

誰かが「どんな曲のどんなフレーズでも、O.V.ライトがワン・フレーズ歌うだけで魂が宿ってソウル・ミュージックになるんだよなぁ・・・」と、遠い目をしてしみじみと言ってましたが、正にその通り。アタシもO.V.を聴くときは、感動で散々に揺さぶられながら、気が付くと遠い目をしてその豊かなフィーリングの海に浸っております。




【収録曲】
1.Eight Men, Four Women
2.Ace of Spades
3.You're Gonna Make Me Cry
4.When You Took Your Love from Me
5.Nickel and a Nail
6.If It's Only Tonight
7.Monkey Dog
8.Gone for Good
9.Heartaches, Heartaches
10.What More Can I Do (To Prove My Love for You)

O.V.の”魂をゆさぶる歌”は、そのまま命を削るものでもありました。

派手な大ヒットには恵まれなかったものの、超一級のソウル・シンガーとして、ファンやミュージシャン達のリスペクトを一身に受けながら、70年代も数々の名唱を残したO.V.でしたが、いつしか心臓に持病を抱え、1980年に41歳という若さで天国へ旅立ってしまうのですが、その声は今もなお、多くの人を魅了しております。

特に日本では「泥臭いサザン・ソウルなんか売れないだろう」というレコード会社の思惑をよそにホンモノのソウルを求める若者達にバカウケし、しかも70年代末のディスコ・ブーム黎明期の頃、DJ達のプレイを期に、過去の音源も問い合わせが相次ぎ、日本国内でのレコード・プレス数にアメリカ本国のメーカーも「O.V.ライトの日本での人気はどうなってるんだ?何かあったのか?」と不思議がったほどだと言われております。

おっと、オススメのアルバムは、今一番お手頃な値段で入手しやすい「8Men,4Women」というベスト盤です。

シャウトなナンバーと、しっとりバラードのバランス最高な選曲はもちろん、アタシゃこの小細工ナシのどっからどう見てもソウルのアルバムにしか見えないジャケットが好き。タバコ持つ手の角度も必要以上にキラキラしてるグラサンも素敵♪




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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2016年06月19日

オーガスタス・パブロ イースト・オブ・ザ・リヴァー・ナイル

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オーガスタス・パブロ/イースト・オブ・ザ・リヴァー・ナイル

メロディカ、つまり鍵盤ハーモニカ。

要はアタシらも小学校の頃に吹いてたあのピアニカとかいう楽器ですね。

18だか19の頃に、ふと雑誌をパラパラとめくっておると、この楽器を吹いているレゲエのミュージシャンの写真が目に留まりました。

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レゲエといえばボブ・マーリィーとジミー・クリフとリントン・クウェシ・ジョンソンぐらいしか知らなかったアタシにとってこれは衝撃でした。

何と言っても、あの小学生が吹くよーな鍵盤ハーモニカをレゲエの人がかなり真剣なまなざしで構えている。

まったくもってどんな音を出すのか?この人が奏でる音楽がどのようなものか?当時のアタシには想像すら出来ませんでした。

それからしばらくして、このオーガスタス・パブロなる人が「ダブ」と呼ばれるレゲエの中のジャンルの、インスト部門(?)の凄い人であることとか、彼が作る楽曲は、レゲエ・ミュージックの根幹にある”ラスタファリズム思想”というものを表現しているということを知りました。

おぉ、ラスタファリズム。

ボブ・マーリィーの伝記やインタビューの中でもちょくちょく出てきた、このジャマイカならではの宗教的社会思想に興味がものすごくあったアタシは、パブロに関しての資料をかき集め、手当たり次第読んでみました。

簡単に言えば「ラスタファリズム」というのは、旧約聖書に基づいた独自の世界観や生き方を追求する思想です。

例えばレゲエの人らはドレッドヘアでありますが、アレなんかは正に聖書にある「彼の髪に刃物を当ててはならない」とか、そういう契約(神様との約束事)を実践している髪型であり、単なるファッションではないんですね。

あと「俺たち黒人は今は虐げられているけれど、ジャー(神=主のこと)が黒人としてアフリカに現れてみんなを救済してくださる」とか「物質文明の悪しき影響を遠ざけるために山奥で隠遁生活を送り、ガンジャを吸って瞑想に明け暮れる」とか「人の手によって人工的に調理されたものを食さず、また肉も食わず、自然の食物を素材そのままで食べる」とか、色々と戒律があって、「ラスタファ」と呼ばれる人達は、この戒律を今も厳しく守っているようです。

ジャマイカでこのような宗教的思想運動が始まったのには、色々と理由がありました。

その中で最も大きな理由が、1962年のイギリスからの独立です。

支配階級である白人からの解放は、かつて奴隷としてこの島に強制的に連れてこられた黒人達にとっては悲願でもあったことでした。

が、植民地支配から解放された後のジャマイカは、政治的にも経済的にも混乱を極め、また、昔から相次いだ自然災害によって民衆の生活や心は荒みきっており、特に都市部では貧困、犯罪、暴力、そして麻薬などによって多くの人々が塗炭の苦しみを味わっておりました。

「こんなんじゃいかん!」という民衆の鬱屈とした思いと、植民地時代から信仰されていたキリスト教の経典の中の救済思想、とりわけ旧約聖書の中の「エチオピアより王は現れ、神に向かって手を差し伸べる」という言葉を信じ、丁度良いタイミングで1930年に初めてエチオピアで即位した”黒人の皇帝”、ハイレ・セラシエを”ジャーの化身、或いは救世主”として信仰の対象とすることで、ラスタファリズムは徐々に社会的な思想運動になっていった訳であります。

さて、オーガスタス・パブロであります。






【収録曲】
1.Chant To King Selassie I
2.Natural Way
3.Nature Dub
4.Upfull Living
5.Unfinished Melody
6.Jah Light
7.Memories Of The Ghetto
8.Africa (1983)
9.East Of The River Nile
10.Sounds From Levi
11.Chapter 2
12.Addis-A-Baba
13.East Africa
14.East Of The River Nile (Original)
15.Memories Of The Ghetto (Dub)
16.Jah Light (Version)
17.Islington Rock
18.Meditation Dub

パブロ自身、来日時に八百屋に並べてある大根をじーっと眺めて「ラスタファーライ」と言うやそのまんま生でボリボリ食べだしたぐらいの、バリバリのラスタファです。

なので、彼の穏やかな、まるで悠久の大河の流れのような極上のインスト・レゲエ・ミュージックを聴くには、特にラスタファリズムの思想、なかんづくジャマイカの人達が「約束の地」として胸に描いていた希望の大地「ザイオン」のことなんかを思い浮かべながら聴くのがよいでしょう。

この「イースト・オブ・ザ・リヴァー・ナイル」は、パブロの初期傑作で、今でも「レゲエ聴くならコレはハズせない」と評価の高いアルバム。

ダブの特徴であるエコーやディレイは極力抑え目で、シンプルな編成の中でゆるやかに”うた”を紡ぐメロディカの純粋な音色の美しさに癒されます。

深く優しい瞑想の音楽であります。



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BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
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2016年06月18日

ボブ・マーリィ反骨のうた

160618_173933.jpg現在廃盤になって久しいのですが、ボブ・マーリィの「トーキン・ブルース」は、これはレゲエ好きのみならず、全音楽が好きな人必聴と言って良い名盤です。
内容は1973年、初めてのツアーで訪れたアメリカのカリフォルニア州サウサリートにあるスタジオで行ったスタジオ・セッションとインタビューを丸々収録したもので、ほぼベストな楽曲と、気迫がみなぎってある種の狂気すら感じられるパフォーマンス、それにジャマイカの現状や音楽、思想がボブ自身の肉声で聴ける、至れり尽くせりなアルバムなのです。

詳しいレビューは再発したらソッコーで書きます。

ボブ・マーリィは歌詞をこそ読むべしです。ゆったりまったりしたピースなグルーヴに溢れた楽曲の歌詞を読むと、あぁこの人は素晴らしい表現者である以上に心底反骨の詩人なんだなぁと思います。





posted by サウンズパル at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | レゲエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする