2016年08月02日

エルヴィン・ジョーンズ&リチャード・デイヴィス ヘヴィ・サウンズ

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エルヴィン・ジョーンズ&リチャード・デイヴィス/ヘヴィ・サウンズ
(Impulse!/ユニバーサル)


エルヴィン・ジョーンズを初めて知ったのは、言うまでもなくコルトレーン「黄金のカルテット」です。

最初に聴いた時は、そのものすごく”一撃”が重い上に、まるでいくつものドラムが同時に別々のビートを叩き付けているかのような、立体的なドラミング(これが”ポリ・リズム奏法”という、彼独自のもんだったと後で気付きました)に、ただただもう圧倒されるばかりでした。

コルトレーンはもちろん凄いんだけど、その凄さは、こんなにも凄まじく、そしてヘヴィな音で容赦なく重厚なリズムを繰り出しているエルヴィン・ジョーンズというドラマーがいるからなんだ。と、ただもう口をパクパクしながら聴くしかなかったですね。

これは皆さんにぜひオススメしたいジャズの聴き方なんですけど、誰か好きなアーティストを見つけたとしましょう。

そしたら、その主役以外に「お、コイツは何かいい感じだ」と気になってくるサイドマンというのが、必ず出てくると思いますんで、今度はそのサイドマンのアルバムを探して聴いてみてくださいね。

こうやってくると色々と豊かに拡がります。

この”拡がる”ってのは、ちょっと言葉では説明できない、・・・近い言葉を借りれば

「すっげぇ得した気分」

なんです。

ジャズに限らず、音楽を聴く時に、その音楽に感動できるか出来ないかは、まずもってこの”拡がり”が全て。と、断言しておきましょう

はい、話がちょいと横道に逸れましたが、コルトレーンを聴いて「エルヴィン・ジョーンズってヤツもすげぇ!!」と感動したアタシは、その時確実に”拡がり”を感じました。

これはもう「エルヴィンのアルバム!買おう!!」と思いましたね。

そこでアタシは

・コルトレーンと同じレーベルである「Impulse!」から出したアルバムである。

・録音は1968年、つまりコルトレーンが亡くなってちょい後の作品

・一緒にリーダーとしてクレジットされているのが、大好きなエリック・ドルフィー「アット・ザ・ファイヴ・スポット」に参加していたベーシストのリチャード・デイヴィスである。

・ジャケの何ともハードボイルドなフォトがカッコイイ

・「ヘヴィ・サウンド」という、もうタイトルからして硬派なのも気に入った

という訳で「ヘヴィ・サウンド」迷わず買いました。





【パーソネル】
エルヴィン・ジョーンズ(ds,g)
リチャード・デイヴィス(b)
フランク・フォスター(ts)
ビリー・グリーン(p)

【収録曲】
1.ローンチィ・リタ
2.シャイニー・ストッキングス
3.M.E.
4.サマータイム
5.エルヴィンズ・ギター・ブルース
6.ヒアズ・ザット・レイニー・デイ

それぞれコルトレーンとドルフィーという、強烈なリーダーのもとでのサウンドから、アタシは勝手に「終始イケイケの、激しさ満載全力疾走ぶっ通し!」の、エネルギッシュな作品だと想像しておった訳なんです。


ところが!!

1曲目がまさかまさかの16ビートのジャズファンク!!

細かくハイハットを刻むエルヴィンのビートに呼応してブルージーなラインを、タップリの”タメ”を効かせて放つデイヴィス、そこにフランク・フォスターの、最高にゴキゲンで、大人の”引き”も心得たブラックなフレーズとアドリブが・・・!!くっ!!

このフランク・フォスターという人は、戦後カウント・ベイシーのビッグ・バンドでテナー奏者を務めた人で、よく色んなセッションに参加しているんですけど、もちろんコルトレーンとは全然タイプが違って、どちらかというと正統派なモダン・ジャズ・テナーを、ほどよくコクのある音色で聴かせる人なんですね。

正直”武闘派”なエルヴィン&デイヴィス組とどう絡んでるのか、全く想像が出来なかったのですが、意表を突いてまさかのファンキーな吹きっぷりで、もうアタシはウキウキワクワクしました。

2曲目以降は、ほぼ真っ当(?)な展開で、エルヴィンはスティックだけじゃなく、ブラシやマレットも繊細に操って、コルトレーンの時とは全く別人、柔軟で、時に知的で、ブルースからバラードまで、あらゆるスタイルをカッコ良く叩き分けておりますし、おまけになかなかにセンスの良いギターも弾きます(Cで)。

一方のリチャード・デイヴィス、そんなエルヴィンの細かい動きに、重心の低い”念”のこもおった音でしっかりとついて行っております。

デイヴィスのプレイは「サマータイム」での11分にも及ぶドラムとベースのデュオですね。デイヴィスが弓を持って、メインフレーズを狂おしく崩したなかなかにヘヴィで幻想的なソロを奏でるんですけど、これはズッシリと胃にきます。

最後のバラード、これもアッサリやっているようで、不思議な聴き応えがあるんですよねぇ・・・。

「ヘヴィ・サウンズ」には、強烈な打撃で重厚なリズムを積み重ねる”あの”エルヴィンはおりません。

しかし、軽くシャッフルも出来るし、出てくる他の楽器の”音”に対して、その瞬間瞬間に、実に柔軟にベストな反応が出来る、しかもどの音もやっぱりエルヴィンならではの”重さ”はしっかりと感じられます。

コレを聴いてアタシはエルヴィン・ジョーンズというドラマーの本当の凄さ、そして恐ろしいほどの懐の深さを感じました。

エルヴィンがますます好きになったことは言うまでもありません。






『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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posted by サウンズパル at 19:22| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月01日

ジョン・コルトレーン コズミック・ミュージック

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ジョン・コルトレーン/コズミック・ミュージック
(Impulse!/ユニバーサル)

俗に”後期コルトレーン”と呼ばれる、1966年以降の激烈フリーな演奏。

もちろんアタシはこの時期のコルトレーンの演奏に

「おぼぉ!すげぇ!パンクよりパンク!!!」

と衝撃を受け、コルトレーン者への道まっしぐらになった訳でありまして、そこから狂ったように

「ジャズとは衝動だ!」

と、いわゆるフリー・ジャズのアルバムをガンガン集めて聴きまくりました。

もちろん毎日毎晩コルトレーンも聴いてたんですが、ここで

「あ、コルトレーンって、ただメチャクチャにやってんじゃないんだ。ちゃんと・・・いや・・・もしかしたら4ビートのスウィングするジャズよりとっても”うた”があるんだ」

と、幸いにして割と早くに気が付きました。

もちろん真っ先に耳が行くコルトレーンとファラオのテナー・サックスは「ガアァァアア!!」「ギリギリギリ!!」と、ほとんどノイズに近い絶叫をかましているにも関わらず、そしてリズムの要であるラシッド・アリのドラムは、バタバタバタ!と、定型ビートの”て”の字も出ない、ほとんどヤケクソの乱れ打ちみたいなリズム(というより打撃音)を繰り出しているにも関わらず、どういう訳か心の奥底に、じんわりと、優しさとか叙情のような、すごく豊かな余韻を残す。

うぅん、これは何だろう・・・と、考えることが、アタシの”コルトレーン者”としての、ひとつの修業のようなものでした。

マインド的な部分で考えると、コルトレーンという人は、凄く深い心で「世界が平和で穏やかになればいいな」という願いを込めて音楽をやっていた。うん、それは分かる。

でも、もっと音楽的な、アタシみたいな少々頭の弱い子でも、ハッキリと分かるような”やすらぎの要素”みたいなもんが、きっと耳で聴いて分かる形でこのバンドの中にはある、そうに違いないと思って、スピーカーの前でうんうん言いながら聴いていた時、それまでは単なるバックで何か鳴ってるぐらいにしか思っていなかったアリス・コルトレーンのピアノに、急に耳が行きました。

アリス・コルトレーンは、マッコイ・タイナーの後任として、コルトレーンのバンドに入り、そっからほどなく結婚して、公私共にコルトレーンを支えていた人であります。

本とかを読んでも「いつも静かにコルトレーンの影に寄り添って、それは夫婦というよりも、信頼し合ってる音楽の師弟のような感じだった」と書かれていて、なるほどこの人はコルトレーンの音楽を心から理解していて、そん時既に体の具合が悪かったコルトレーンのことを献身的に支えてたんだなぁとは思って、実際に彼女が参加している演奏を聴いても、激しく吹きまくるコルトレーン、ファラオ、叩きまくるアリ、せわしなく動き回るギャリソンの背後で、どちらかというと知的で物憂げ、そして控えめなピアノ・プレイをしているのがアリスです。

その演奏を聴いて思ったのは

「旦那を立てないと・・・」

という、実に良い奥さんらしい、甲斐々々しい想いであったのかなと思いましたが、これがよくよく聴いてみると、演奏の一番底の方に、まるで星屑のような音符を散りばめて、男達がどんなに暴れようともゆるぎなくスピリチュアルな雰囲気を、実に醸しているんです。

いや、むしろ、最晩年のコルトレーン・カルテットの肝はアリスで、彼女のやや物憂げだけれども冷静でしかし芯のあるプレイが、コルトレーンを優しく導いていたのかも知れないな、と思い、アタシはますますこの最晩年のコルトレーン・グループの、激しさと安らぎが物凄い次元で同時に鳴っている音楽が好きになりました。




【パーソネル】
(@B)
ジョン・コルトレーン(ts,b-cl)
ファラオ・サンダース(ts,piccolo)
アリス・コルトレーン(p)
ジミー・ギャリソン(b)
ラシッド・アリ(ds)
レイ・アップルトン(perc)

(AC)
アリス・コルトレーン(p)
ファラオ・サンダース(ts,fl)
ジミー・ギャリソン(b)
ベン・ライリー(ds)

【収録曲】
1.マニフェステーション
2.ロード、ヘルプ・ミー・トゥ・ビー
3.レヴァレンド・キング
4.ザ・サン

(録音:1966年2月2日)


そんなアリスが、コルトレーンの死後に制作した「良い仕事」を皆さんに紹介いたしましょう。

アルバム「コズミック・ミュージック」は、2曲が1966年2月のコルトレーン・バンドの演奏で、2曲がコルトレーン亡き後の1968年5月に録音された、アリスのグループ(ファラオ、ギャリソンがいる)の演奏です。

いわゆる”追悼盤”として、アリスが自ら立ち上げた「コルトレーン・レコーズ」よりリリースされたものでありますが、コルトレーンバンドとアリス組との演奏の間に違和感とかは全くなく、むしろコルトレーンがいない演奏なのに何でこんなにコルトレーンの存在を感じるんだろうという素晴らしい仕上がり。

ここでのコルトレーン、グループの演奏は、最晩年のものの中でも優れて”激烈”を極めておりますが、同時に”うた”も切ないほどにたゆたっております。

特に親友であったエリック・ドルフィーの形見のバス・クラリネットを使って凄まじいブローと美しいテーマを吹ききるBは、他のどのアルバムでも聴けない独特のムードのある演奏。

コルトレーン・バンドでは一歩引いていたアリスの、結構ヘヴィなピアノ・プレイも存分に楽しめます。

改めて後期コルトレーンのフリーキーな演奏には、アリスの安らぎに満ちたピアノがなくてはならないと思って、アタシは今も飽きることなく繰り返し聴いては心洗われております。




John Coltrane - Reverend King
(途中の凄まじい展開と、美しいテーマ〜エンディングの流れが本当に素晴らしい)



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posted by サウンズパル at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 大コルトレーン祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする