2016年09月20日

スティット、パウエル&J.J.


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スティット、パウエル&J.J.
(Prestige/ユニバーサル)

「大人になってからその良さがしみじみと分かったもの」

というそのがあります。

アタシにとってそれは、納豆とおからとソニー・スティットです。

や、ソニー・スティットが納豆とおからのようにヘルシーで素朴な味わいでは全くなくて、むしろ生粋のジャズ屋として、どんな現場でもアドリブ根性全開で「パリパリパリ!」と吹きまくるスティットは、小粒だけれどピリリと辛い、上質な一味とうがらしの如く、なんでありますけれども。

まぁいいか、とにかくソニー・スティット、さっきも言ったように生粋のモダン・ジャズのプレイヤーであるだけに、生涯スタイルを変えず、軽やかなフットワークであちこちのレーベルに大量の録音を残し、特に戦後のモダン・ジャズ、アルト・サックスの分野においては、チャーリー・パーカーの強力なライバルであり、共に切磋琢磨して時代を創り上げてきたジャイアントなのですが、どうにもこうにも「2番手」とか「パーカーのエピゴーネン」とかいう印象がぬぐえずに、過小評価されてきた感があります。

若い頃のアタシも、スティットはそういう目で見ておりました。

ヒジョーにもったいないことをしたと思います。

パーカーとスティットは”ビ・パップ・アルト”という意味においてはとてもよく似たスタイルを持っています。

特にアドリブに入ってからの加速、激しく上下して、華麗に急カーブを曲がったり、軽やかなシフトダウンで高速アドリブの中で”フッ”と小粋なブルース・フィーリングに溢れた旋律を放つところなんか、確かに「どっちがどっち」とはいえないぐらいの、同じベクトルのスリルを感じさせます。

しかし、音色を比べてみたら、これがもう全然違うんですよね。

パーカーは、他のアルト奏者と比べて、ややダークな音で、中音域が異様に太いんです。

この「ダークで太い音」で、信じられないような軽やかなぶっ飛び方をするから、そのギャップみたいなものに、みんな驚愕するわけです。

それに比べてスティットの音は、芯の太さはありますが、全体的に細くて硬い。

だからアタシは「パーカーと比べたらスティットって軽いんじゃね?」と思ってたんですが、ちょっとお待ちなさい(!!)

これはですのぅ、パーカーだけがハッキリ言って異質なんですよ。

大体元々テナーに比べてサウンドの線が細く、音色もブライトなアルト・サックスという楽器は、パーカーみたいにズ太い音で「ズガガガガ!!」とやるようには、ていうかそれができるようには、構造上できとらんのですわ。

だからジャズのアルト・サックスでいえば、スティットの音が「標準」なんです。

例えばアート・ペッパーなんかは、初期はスティットよりも更に繊細で軽やかなトーンですが、スティットほどパーカーと比較対象されておりません。だからペッパーの評価は相変わらず高くて、スティットは不当に低いまま、というのはおじさんはあんまり好きじゃないなぁ。

と、アタシの中のおじさんがある日唐突に言ってきたので、唐突に

「んだばスティット聴くべ」

となって、棚の奥からスティットあれこれを引っ張り出して聴いてみたんです。

その頃は、アタシもアート・ペッパーとかルー・ドナルドソンとかジャッキー・マクリーンとかジョージ・ブレイス(渋!)とか、ともかくまぁパーカーとコニッツとドルフィー以外のアルト吹きのアルバムを何枚か聴いて、それぞれの違いとか個性も何となく分かるようになってきたんです。

そしたらスティットの「パリパリパリパリ!!」のアドリブのカッコ良さ、NSR250(パーカー)に全然負けてないRGVΓ(スティット)の加速のヤバさみたいなもんに、こらもうすっ飛びまして、すっかりスティットも”フェイバリット・サックス・プレイヤー”に入りしました。

このブログをお読みの読者の皆さんは、ジャズ初心者の方も多いと思います。

だもんでまず、アタシは「スティットいいですよ、先入観ナシでどんどんお聴きなさい」と言いたいんです。

じゃあ、スティットのオススメ盤をゆるゆると紹介していきましょう。

あのね、皆さんね、アタシはさっきから「スティットのアルトかっこいいべ!」という話を散々してるんですけど、今日ご紹介するのは、実は”テナーを吹いてるスティット”なんですよ。

えぇ、ごめんなさい。

でも、あれこれ聴いて「スティットの”攻め”のカッコ良さ」と「モリモリ加速するアドリブのキレの良さ」、何より「モダン・ジャズ黎明期の、最高のメンバーの快演と共に楽しめる、ジャズとしてゴキゲン極まりない名盤」という意味で、まずは初心者の方へのオススメといたします。




【パーソネル】
(@〜H)
ソニー・スティット(ts)
バド・パウエル(p)
カーリー・ラッセル(b)
マックス・ローチ(ds)
(I〜P)
ソニー・スティット
J.J.ジョンソン
ジョン・ルイス
ネルソン・ボイド
マックス・ローチ
【収録曲】
1.神の子は皆踊る
2.ソニー・サイド
3.バッズ・ブルース
4.サンセット
5.ファイン・アンド・ダンディ(テイク1)
6.ファイン・アンド・ダンディ(テイク2)
7.ストライク・アップ・ザ・バンド
8.アイ・ウォント・トゥ・ビー・ハッピー
9.恋のチャンス
10.アフターヌーン・イン・パリ(テイク2)
11.エローラ(テイク2)
12.ティーポット(テイク2)
13.ブルー・モード(テイク1)
14.ブルー・モード(テイク2)
15.アフターヌーン・イン・パリ(テイク1)*
16.エローラ(テイク1)*
17.ティーポット(テイク1)*

つうか「アルト吹きなのにテナー吹いてるヤツもオススメに出来る」というのはですね、スティットは本当に器用な人で、テナー持というが、アルトと全然変わらないテンションで、ほとんど変わらない体感速度を感じさせてくれるんですよ。

伝記とかには「パーカーと似てるといわれるのが嫌で、パーカー存命中はテナーを吹いていた」と書かれてたりするんですが、スティットの初期のテナーは、やっぱりテナー奏者の吹くようなずっしりどっしりしたそれじゃなくて、中〜高音域でブリバリやるアルト・サックスそのものなアプローチなので、そしてそれはまだ当時誰もやっていないことだったので、もしかしたら「俺、テナーで行けるべ」と、ある程度本気で思っていたのかも知れません。や、あくまで憶測ですが、このアルバムの明らかに”速い”テナー聴いてると、何かそんな気分になってきます。

さてさて、この「スティット、パウエル&J.J.」というのは、タイトル通り、ソニー・スティットとバド・パウエル、そして最強のトロンボーン奏者、J.J.ジョンソンとのセッション作です。

とは言っても、前半がスティットとバド、後半はスティットとJ.J.と、セッション自体はキッチリ分かれてまして、だもんで前半はスティットのワン・ホーン・テナーが、後半はスティットのテナーとJ.J.の流麗なトロンボーンとの絡みが楽しめるアルバムとユルく思ってください。

圧巻なのはやはりスティットとパウエルのセッション@〜Hです。

あと、余り書かれていませんが、ベースにカーリー・ラッセル、ドラムにマックス・ローチとくれば、この時代最強の”ビ・バップのオリジネーター達”が奇跡的に集ったセッションなんです。

このセッションでは、まずスティットの快調に触発されたバド・パウエルのピアノが俄然猛然素晴らしい。

「ホーンが入ると途端に明快で力強いタッチになって、神懸りなアドリブを繰り出す」というのがこの時代(1940年代末〜50年代前半)のパウエルなんですが、Dではスティットのソロの途中でガンガン出てきてアドリブを食ってすらおります。

「ジャズはアドリブとアドリブのぶつかり合いが織り成す喧嘩の芸術」とはよく言いますが、このスティットとパウエルの、達人同士のよい意味での緊張感みなぎるやりとりは、これぞジャズの醍醐味だと思います、はい。

後半のJ.J.とのセッションは、幾分リラックスして、和気藹々とした感じです。

J.J.ジョンソンという人は、とにかくコントロールが難しく「ボヘボヘ」になりがちな(それが味なんですが)トロンボーンという楽器を巧みに操って、全く淀みない名人芸のソロを聴かせる人であります。

スティットもJ.J.も、互いに”挑んでやる!”という気迫にみなぎっておりますが、互いの楽器の特性と本質的なキャラクターの違いから、どちらかというとバドとのような対決ではなく「丁々発止のやりとり」に仕上がっておりますが、怒涛の前半戦を聴いた後は、こんぐらいリラックスした方がいい。でも、スティットのソロのキレは凄まじいです。KPの出だしのフレーズなんかもう「キター!!」て感じです。

演奏はいずれも当時のレコードの規格に合わせて、長くても3分ちょいなんですが、その3分の中にキチンと起承転結とストーリーがあるアドリブをぶっこんで、それが破綻しないというのは、この時代のジャズマンにゃ当たり前なんでしょうが、それもまた凄いですよね。







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2016年09月19日

オーティス・レディング ドッグ・オブ・ザ・ベイ


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オーティス・レディング/ドッグ・オブ・ザ・ベイ
(Atlantic/ワーナー・ミュージック)

アタシはカタギの仕事をしながら、こうやってブログを書いたり、近所の常連さんからCDの注文を貰ってそれを配達したり、遠方の常連さんから受けた注文を発送したり、また、このブログを通してアマゾンでお買い物をしてくれた人がいればアマゾンから紹介手数料というものが振り込まれます(アフィリエイトというやつですね)。

そんなこんなで、お店を持たずにCD屋をやっておるんですが、これは結構大変ですが、大変でも「これは止めたらいかん!」と思いながら、地味にやっております。

「止めたらいかん!」の理由は色々ありますが、やっぱり音楽を通じて、CDやレコードを通じて人様と接していると、何というか大袈裟かも知れないですけれど「あぁ、人の心って美しいなぁ」と激しく感動することがいっぱいあるからなんですよ。

これはついこの間の話です。

先輩の某お店に行ったら、CDの注文をもらいました。

その中にあったのがオーティス・レディングの「ドッグ・オブ・ベイ」。

「おぉ、オーティスいいですね〜♪」

と、話題に花が咲きました。

ここからの先輩の話がいい。

「”ドッグ・オブ・ベイ”はね〜、俺が東京に居た頃の思い出の曲なんだよ。一緒にツルんでた先輩が、ジュークボックスあるところ行くと必ずオーティスの”ドッグ・オブ・ベイ”かけてたんだよな〜。何かそういうの、急に懐かしくなってねぇ。。。」

これですよ、もうホントこれですよね。

作った人や唄う人、演奏する人が魂を込めた音楽って、人の耳に届いて心に残るんです。

そして、心の中に残ったものは、その人の心の中で、かけがえのない”人生の物語”と溶け合って、いつまでも美しく存在する。

そして人様の会話の中で

「人生のこんな場面にあんな音楽があった」

というのを聞くと、こっちまで何というか幸せな気持ちになります。

こんな拙いブログではありますが、アタシは紹介する音盤が、読んでくれている人の「思い出に残るもの」になったら嬉しい。そんな気持ちで祈るように毎回書いております。

さて、オーティス・レディング「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」です。



【収録曲】
1.ドック・オブ・ザ・ベイ
2.最愛のおまえ
3.レット・ミー・カム・オン・ホーム
4.オープン・ザ・ドア
5.ドント・メス・ウィズ・キューピッド
6.グローリー・オブ・ラヴ
7.アイム・カミング・ホーム
8.トランプ
9.ハックル・バック
10.誰も知らない
11.オール・マン・トラブル


1960年代のソウル・ミュージックを代表するシンガーの一人として、人気の絶頂にあったオーティス・レディング。

彼はしかしその絶頂のただ中の1967年、飛行機事故によって、僅か26年の生涯を儚く終えてしまいました。

本作はそのオーティスの死を受けて、アルバム未収録だった過去の楽曲などを急遽集めてリリースされた追悼アルバムです。

オーティスといえば「ガッタガッタ!」という独特の掛け声と共に、ハイ・テンションで聴き手を圧倒するパワフルなヴォーカルが真骨頂でありましたが、60年代の半ばからは、グッと感情を抑制して、盛り上がりの時に一気にそれを炸裂させる、より深い歌唱に転換しようと試みておりました。

アルバムでいえばこの作品の前に録音された4枚目「ザ・ソウル・アルバム」のオープニングを飾る名バラード「Just One More Day」で、熟成した”新しい感じ”の歌声を披露したオーティスですが、もしかしたらこの時に「次回はミディアム〜スローのバラードを中心とした作品を作ろう」と思っていたのかも知れません。

飛行機事故の3日前にレコーディングされた「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」は、正にそんなオーティスの新境地。深く、一語一語の歌詞を噛み締めて唄うそのバラード表現は、聴いているこちらも思わず引き込まれてしまいますが、オーティス本人もいたく気に入り

「これは最高の楽曲だ、そうだね、今度のアルバムには絶対にコイツを入れてもらいたいよ」

と、言い残し、スタジオを後にして、そのまま帰らぬ人となりました。

この曲はオーティスの死後、シングルとしてリリースされて大ヒットした訳なのですが、アルバム全体を聴いてみても、前半の巧みな”バラードたたみ掛け”で、もう胸の内からアツいものがこみ上げてきます。

オーティスをあれこれ聴いて、アルバムも全て味わい尽くした人にとっては、確かに既存曲寄せ集めの編集は、不満があるかも知れませんが、それでもオーティスが魂込めて放った唄の素晴らしさが劣るものでは決してありません。

音楽って、本当に素晴らしいもんですよ♪

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2016年09月18日

エディ・マーフィーのものまね



エディ・マーフィーの「俺達のジェイムス・ブラウンのものまね」これ最高ですわ。


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