2016年09月06日

ユッスー・ンドゥール&エトワール・ド・ダカール ンバラの誕生 1979−1981

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ユッスー・ンドゥール&エトワール・ド・ダカール ンバラの誕生 1979−1981
(ライス・レコード)

さて、昨日サリフ・ケイタを紹介しましたので、今回もアフリカの大物にご登場願います。

この人はおそらく、アフリカのミュージシャンで最も有名で、スティング、ピーター・ガブリエル、スティング、スティーヴィー・ワンダーら、世界的なポップスター達との数々の共演とか、日本でもドリカム、坂本龍一とも一緒に仕事をしておりますし、度々CMやドキュメンタリー番組の音楽などで楽曲が使われてもおりますので、多分「ユッスー・・・?誰?ワールド・ミュージック何?」な人でも、音を聴けば「あーーー!あのアフリカの!わかった!!」と、なると思います。

とにもかくにもユッスー・ンドゥールこそは、それまでひたすら「ディープで謎に包まれていたもの」と思われていたアフリカン・ミュージックを、欧米のポップスと肩を並べるものにした大功労者なのであります。

んで、アタシは今日、朝から「あぁぁああーー、ユッスー・ンドゥール紹介するんだけどぉ、何にしたらいいかなぁー、何をオススメしたらみんな聴いてくれるかなぁー・・・・」と悩みに悩みました。

何にせよ1970年代から現在まで、常にアフリカン・ミュージックのトップスターとして大活躍している人です。

アルバムの数も尋常じゃないし、その底なし沼のように広く深過ぎる音楽性ゆえ、アルバムも時期によって・・・どころか出す毎にその作風がガラッと変わったりしております。

なので、ここはあえて「ワールド・ミュージックを代表する大物アーティスト」になる前の、彼の原点を知る上で最も重要な時期の音源であり、彼がセネガル伝統のリズムとラテン・ミュージックから受けた影響を見事掛け合わせた独自のジャンル”ンバラ”という音楽を一番分かりやすく集めた2枚組をご紹介します。



【収録曲】
(Disc-2)
1.Thiely
2.Dom Sou Nare Bakh
3.Esta China
4.Mane Khouma Khol Thi Yao
5.Jalo
6.Absa Gueye
7.Thiapa Thioly
8.Dagotte
9.Dounya
10.Diandioli
11.Kine Kine
12.M'Badane

(Disc-2)
1.Tolou Badou N'Diaye
2.Nit Kou N'Gnoul
3.Yalaye Dogal
4.My Wa Wa
5.Lay Suma Lay
6.Diankha Demal
7.Khaley Etoile
8.Sama Guenth-Gui
9.M'Baye Gueye
10.Titeur
11.Maleo


1959年生まれのユッスー・ンドゥールルは、フェラ・クティ(1938年生)、サリフ・ケイタ(1949年生)よりも更に若い世代になります。

グリオの家系に生まれ、幼い頃からジャンベを巧みに操り唄わせる才能を開花させていた彼は、何と15歳でセネガルの首都ダカールで最も人気だった”スター・バンド”に加入。

すぐにそれと分かる特徴的な、よく通るハイトーン・ヴォイスで存在感を顕わにし、この国民的人気バンドの中心人物としての地位をあっという間に築きます。

今もユッスーといえば、あの突き抜けた晴天のようなヴォーカルでありますが、初期からもう揺ぎないスタイルを完成させていたんですね。

で、このスターバンドで、ユッスーはセネガルの伝統的な音楽をポップにしたものには飽き足らず「ここでちょっと世界にある同じ黒人音楽から、何か要素を入れてみようや」と、思い立ち、特に奴隷として西アフリカから連れてこられた黒人の子孫の多いカリブ海、つまりキューバやバハマなどの島々のアフロ・ラテン・ミュージックを、何とか自分達のアフリカン・ミュージックに融合させようと、色々と試みを見せております。

ユッスーがアフロ・ラテンに目を付けたのは、彼が元々ジャンベ奏者であり、人一倍リズムというものに鋭い感覚を持っており、南米でアフリカ時代より更に複雑で強靭なものとなったそのビートには、本能的に惹かれたものがあったのでしょう。

スターバンドでも、ユッスーがラテン・ミュージックからの影響を”試み”として融合させた成果はいくつか聴けるのではありますが、まだまだラテン音楽のコピーの域を脱していないものでした。

どうしても自分がやりたい音楽をやるには、やはり自分のバンドが必要。

そう思ったユッスーは、1979年、遂に自己のバンド「エトワール・ド・ダカール」を結成します。

このバンドは、セネガルのグリオが使う民族楽器「サバール」(ジャンベより大きい縦長の太鼓)で打ち鳴らすビートを軸に、その他伝統楽器、エレキギター、ベース、サックスなど、現代の楽器も通常編成に加え、主にキューバのルンバ、ハイチのコンゴ、そしてやはりこの要素を入れないと現代の音楽として成立しないファンクを、大幅に導入。

こう書くと「アフリカ音楽がラテンファンク化したのか!?」と、単純に捉えられそうですが、ユッスーはそこんとこのバランス感覚が尋常じゃなく、ものすごいラテン風味があっても、どう聴いてもファンクであっても、その中心の最もコアな部分にしっかりとアフリカの、いや、彼が幼い頃より慣れ親しんで完全に血肉と化したグリオの音楽がドッシリと据えてあり、トータルな音楽としては格別のオリジナリティと極めて高いクオリティの両方をしっかりと持っているものに、エトワール・ド・ダカールのサウンドは昇華しました。

このオリジナルな音楽に、ユッスーは「ンバラ」と名付け、この後ンバラはセネガルのみならず、アフリカの若者の間では、最高にカッコイイ音楽として、ひとつの時代を作ることになります。



この、1979年から1981年、超初期のエトワール・ド・ダカールの音源を集めた2枚組は、タイトル通りユッスー・ンドゥールという不世出の天才が「ンバラ」という音楽を生み出した正にその瞬間を余すところなく収めた素晴らしいCDです。

洗練を重ねて孤高の極みに達した今のユッスーもいいけど、適度に泥臭くてヤンチャなこの時期のユッスーもいいんすよ。








『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界の民族音楽など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする