2016年09月27日

オスカー・ピーターソン・トリオ・プレイズ

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オスカー・ピーターソン・トリオ・プレイズ
(Verve/ユニバーサル)

世の中に「完璧」とか「完全」なんてものはそうありませんが、もし、アタシが誰かに「ジャズのピアノの人で完璧に近い人って誰かいるかい?」と訊かれれば、オスカー・ピーターソンを挙げたいと思います。

パッと思い浮かんだ彼の持ち味を羅列するだけでも

・右手左手の10本の指をフルに使って鍵盤を自在に飛び回るズバ抜けたテクニック

・「スイング」という言葉がこれ以上なくしっくりくる、ウキウキなノリ。

・かと思ったらバラードもしっとりと、でも目一杯の華麗な装飾を付けてしっかり聴かせる

・長いキャリアのどのアルバムも高水準。そしてどんな編成でもしっかりと破綻のない”ジャズ”を楽しませてくれる。

ジャズとしてはこれだけ”完璧”の要素を持っている人なんです。

しかも、彼の音はカラッと明るくて、深刻なところ、重たいところが少しもない。

アタシ個人としては「よぉし、今日は気合い入れてジャズ聴くぜぇ!」という日は、コルトレーンとかマイルスとかアイラーとか、どこか深刻で鬱屈としたジャズを聴きたい派ではあるんですが、一応人間です。時々は「う〜ん、今日は明るくて楽しいジャズが聴きたいぞ」と思うことだってある。

そういう時の「ヘイ、ジャズマン。何かゴキゲンなヤツをやってよ♪」という気持ちに真っ先に応えてくれるのがピーターソンです。

こんなことを言うとピーターソンは、テクだけのチャラい野郎なのか、とか、ソウルがない、とか思う人もおりましょうが、いやいやいや、当たり前だけどんなこたぁない。

どんな音符でも最高にスウィングするジャズに仕立てて、聴き手を楽しませながら、鍵盤から繰り出すどの音にもまんべんなく”上質なフィーリング”を丁寧にまぶして「おぉ、今日はいいの聴いたなぁ」と納得させるのがピーターソンです。

アタシが最初にこの人を知ったのは、伴奏をしているビリー・ホリディのアルバムでした。

ヴォーカルの伴奏っていうのはとっても難しくて、凄いテクニックある人は余計に、どこか変に目立ちゃったり、逆に伴奏に徹し過ぎて当たり障りない演奏になることが多いんですが、ピーターソンは、ビリー・ホリディというある意味クセだらけの人の唄にピッタリと寄り添って、サラッとしながらも唄心を尽くしたアドリブで引き立てて、しかもピアノも強烈に印象に残してるんですよ。

「これは凄い、このピアノの人のアルバムは買わなくては」

と、思ったのが、本当に最初の最初。

ビリーの歌伴で、隅々まで神経の行き届いた、甘い毒のある演奏をしていたから「この人は”甘い毒の人だろう”」と思って、ピーターソンのアルバムをいざ買って聴いてみたら、最初に言ったような、とても明快なピアノで、一切”毒”を感じさせなかったことが、良い意味での衝撃でした。「この人、本当のプロだ!」と。




【パーソネル】
オスカー・ピーターソン(p)
レイ・ブラウン(b)
エド・シグペン(ds)

【収録曲】
1.ザ・ストラット
2.レッツ・フォール・イン・ラヴ
3.サテン・ドール
4.小さな足
5.リトル・ダーリン
6.フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン
7.殆ど私のもの
8.シャイニー・ストッキング
9.夢からさめて

そうなんです、ピーターソンは、常に聴く人の耳を期待値以上の演奏で楽しませてくれるプロ中のプロ。

楽しく軽快で、物凄いドライヴ感に溢れる演奏をよくよく聴くと、その最初の一音から最後の一音に至るまで一切”気分”に流されることなく、そこに来るべき音が、来るべきタイミングで、来るべきトーンで、ピシャッとハマッているのが分かるんです。

だからといって、”計算”のあざとさはないんだなぁ。これは多分ピーターソンのズバ抜けたテクニックが、単なる家での練習じゃなくて、すっごいシビアな”現場”での実戦を繰り返して身に付けたものであるからに違いないと思います。

今回のオススメは、そんなピーターソンがゴキゲンな(や、ピーターソンは全部ゴキゲンだけどね♪)スタンダード曲を、トリオでとことん料理した1960年代初期の裏名盤。

ミディアム・ナンバーからジワりと始まって、ノリノリで終わるアルバムの構成がホントに素晴らしいし、ベースのレイ・ブラウンのぶっとい音、エド・シグペンの”スタッ””カシュッ!”とスマートに煽るセンスのいいドラミングともにゴキゲン。さっきから”ゴキゲン”しか言ってないけど、本当にゴキゲンなもんですから、他に言いようがないんです、えへ。




(名物番組「JAZZ625」の楽しいライヴ♪)

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする