2016年10月31日

浮世絵のタコ

今日は某所で土方をやってきました。

あの〜、皆さんは百葉箱ってのをご存知ですか?

学校に、何だかよくわからない、白い木で出来たこういうのあったでしょう。

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はい、これです。

これ、組み立てるのはそうでもないけど、穴掘って足場を水平に保つのがすごく時間がかかります。

ツルハシとシャベルでガッツンガッツン堀まくったので今日は背中と二の腕バッキバキ。

ふぅ。。。

違う、百葉箱のことを書きたかったんじゃないんだ・・・(悩)。

今日はハロウィンです。

ハロウィンについてはドルイド起源の何ちゃらということ以外は、実はアタシはよくわかっとらんですが、「仮装」というものについてちょいと気になることがあってネットを調べておりましたら、実に意外なところから素敵なものと出会いました。

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江戸時代のハロウィン!!

違う!!

これはですのう「二十六夜待」という行事の様子です。

それは一体何かというと「十五夜祭り」と同じような”月見のお祭り”なんです。

文献によりますと旧暦の1月と7月の26日に出る月は、夜中遅くに非常に神々しい光を放ち、これが阿弥陀如来・観音菩薩・勢至菩薩という三尊の有り難い仏様だということで、みんなこの日の月を出るのを待って、外に出て月を拝むわけなんですが、冬場は流石に寒いということで、7月の「二十六夜待ち」が盛んに行われるようになりました。

廿六夜待 高きに登り、又は海川の辺酒楼等に於て月の出を待つ。左に記せる地 は、分て群集する事夥しく、宵より賑へり。
 芝高輪・品川 此両所を今夜盛観の第一とす。江府の良賎兼日より約し置て、品川高輪の海亭に宴を儲け、歌舞吹弾の業を催するが故、都下の歌妓幇簡女伶の属(たぐい) 群をなしてこの地に集ふ。
 或は船をうかべて飲宴するもの尠からずして、弦歌水 陸に喧し。
 築地海手深川洲崎、湯島天満宮境内、飯田町九段坂、日暮里諏訪ノ社辺、目白不動尊境内、西南に向て月を看るに便りあしけれど、此辺の輩は集へり。


ちょいと難しい文章ですが、要するに二十六夜の日は、みんな高い所に上ったり、飲み屋で月が出るのを待ってた。夜中には街の通りは群集で埋め尽くされるぐらいの賑わいだったんだと。

特に芝・高輪・品川界隈は、大変な盛り上がりで、みんな飲めや歌えや踊れやの大宴会でワイワイ盛り上がっていたそうです。

で、仮装。

これについては文献を探してみるも、記述がありませんでしたが「楽しいし、どうせだから仮装しちゃえ!」というノリでやってた様子ですね。

しかし何故にタコ・・・。

末広がりの”八”という数字に験を担いでなのか、それとも魔除けの意味合いか(そういえば奄美のケンムンもタコが嫌いでしたね)、多分どっちもだと思いますが、タコのコスプレってなかなかにハードル高いぞ(!)


最後にオマケ↓
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鈴付けて全力疾走する大根です。

大根・・・。




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2016年10月29日

キャロル・キング つづれおり

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キャロル・キング/つづれおり
(ソニー・ミュージック)

ここ数日ジョニ・ミッチェルを聴きまくっておりましたら、ついつい70年代のアメリカ、女性シンガーソングライターものに手が伸びてしまい、色々と聴いておりました。

いや、それもあるんですけどね。ちょっとアタシはスマホなるものを買って、アレは凄いですね。パソコン画面とほとんど変わらん表示が出来て、カテゴリ別にページをぬゎ〜んと眺めることが出来る(ドヤッ!)。

そしたらですよ皆さん、あの〜、サウンズパルの「ロック/ポップス」のカテゴリがありますでしょ?そこを見てみたらまぁ何ですか、いくら何でもアナタ、ずらーっと並んでいるのがパンクだのラウドだのメタルだの、そういう殺伐とした男臭いものばかり。えぇ、アタシゃもちろん大好きですよ、男らしくやかましいロック。というよりむしろ、小学生の頃からそういうのを栄養にして今のおっさんになるまでスクスク育ってきたと言っていい。

しかしですよ皆さん、このブログは、まぁアタシ一人の狭い狭い見識で言うのもちょいとアレなんですが

「音楽の素晴らしさ、特に時代を経ても色褪せないエヴァーグリーンなものを一生懸命紹介しよう!」

というブログです。

なので「ロック/ポップス」の「ポップス」の部分ももうちょっと頑張らないとなー、と、殊勝にも思った次第です。えぇ。

そういう訳で「ポップスとは何ぞや?」と、結構真剣に考えました。

そこで出たひとつの答えが「それはキャロル・キングを先駆けとするスンガー・ソングライターものなのではないか?」ということです。

ここで「キャロル・キングを最初に聴いたのは・・・」という話にはなりません。

何故なら、アタシが物心付いた時からキャロル・キングの曲は、それこそ色んな人にカヴァーされる大スタンダードとして、既にポップスにはなくてはならないものでした(その”カヴァーされ度”は、カーペンターズをも恐らく凌いでいると思います。)。

なので、18の時に学校の授業で「今のポップスの歴史を作ったアルバム」と教わって「んなことあるかぁ」と聴いてみた時は、「あ、この曲知ってる!」「あれ?これもキャロル・キングだったの?嘘だろ・・・」と、ことごとく驚いたものです。

ちょいと有名or多分このブログを見てる人達に分かり易いカヴァーの動画を貼っときましょうか。










はい、ザッと。本当にザッと挙げただけでもこんだけあります。

マルティカの「I Feel The Earth Move」は、確かアタシが中学の頃だったかな?車のコマーシャルでもう毎日のように流れてたかもです。マイコーと元ちとせのは、こらもう説明のしようがありませんわな。「ナチュラル・ウーマン」が何故メアリー・J・ブライジなのかといえば、これは最初にヒットしたアレサ・フランクリンのヴァージョン(作曲キャロル・キングで後にセルフカヴァー)に対する最高のリスペクトを感じたからです。

他にもCMやテレビのBGMとか、それこそ色んなところで耳にする曲の耳にするヴァージョンあるんですが、とりあえずこれはさわりです。後は皆さん「つづれおり」買って聴いて「えぇぇぇえ!?あの曲のオリジナル・ヴァージョンって嘘でしょ凄い!!」と、かつてのアタシのように驚愕してください。





【収録曲】
1.アイ・フィール・ジ・アース・ムーヴ
2.ソー・ファー・アウェイ
3.イッツ・トゥー・レイト
4.ホーム・アゲイン
5.ビューティフル
6.ウェイ・オーヴァー・ヨンダー
7.君の友だち
8.地の果てまでも
9.ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー
10.スマックウォーター・ジャック
11.つづれおり
12.ナチュラル・ウーマン
13.アウト・イン・ザ・コールド (未発表曲)
14.スマックウォーター・ジャック (Live)


今でこそユーミンとか椎名林檎とか、女性シンガーはほとんど作詞作曲もするシンガーソングライターですが、実は70年代までは「歌手」というのは作詞家と作曲家が作った歌を唄う、或いはスタンダード曲を唄う存在で「歌手が自分で曲を作って唄う」なんてのはありえないどころか、レコード会社に持ってっても「ハッ、作詞作曲のシロウトが何血迷ってんだ!」と、相手にされないような事でした。

そういった考え方が打破されるのは1960年代のロック・ムーヴメントと、多くの才能ある(そして自ら楽器も弾く)女性シンガー達が大勢出てきたフォーク・リヴァイバルの成功からでした。

キャロル・キング自身は1958年にデビューして、主に当時の夫であるジェリー・ゴフィンとコンビを組んで作詞作曲家として地道に活動してましたが、60年代には遂に「自分で作詞作曲して唄う珍しいシンガー」としてデビュー。順調にヒットを飛ばしますが、その活躍もビートルズの社会現象的な大ブレイクの影に隠れ、68年に”ザ・シティ”というバンドをわざわざ組んで、シンガーとしての再デビューを果たします。

で、本日ご紹介した「つづれおり」は、ザ・シティから再度独立した、シンガーソングライターとしてのキャロル・キングの評価を決定付けることになった作品であり、同時に後続のポップス界、ソウル界、ジャズ界の歌手や作曲家にまで幅広く決定的な影響を与え、音楽シーンの潮流を見事に変えた一枚でもあるのです。

とはいえ、彼女の作る楽曲、そして優しく包み込むような声で唄われるその歌は、実に清楚でキッチリした聴き易さと、それまでカントリー調の曲が多数を占めていたポップスの世界にジャズやR&Bの要素を、ちゃんとポップスとして聴けるような分かり易い形にして取り入れ、その「分かり易く、でも飽きない形のポップス」という、いつの時代にも通用するしっかりした骨組みのゆるぎないものを作り上げた。という意味で、これは本当に衝撃的な作品だと思います。

もちろんキャロル・キングは「つづれおり」のみにあらず!他のアルバムも全く変わらないクオリティの、心から”上質”といえるものばかりですが「つづれおり」だけはそれこそ一家に一枚でもいいぐらいのエヴァーグリーン中のエヴァーグリーンなんじゃないかと思います。



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2016年10月28日

ジョニ・ミッチェル ミンガス

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ジョニ・ミッチェル/ミンガス
(ワーナー・ミュージック)

チャールス・ミンガスをご紹介しましたので「ミンガス」といえばコチラの名盤を紹介しない訳にはいかんでしょう。ジョニ・ミッチェルが1979年にリリースした、憧れのジャズとチャールス・ミンガスへの目一杯のオマージュを幻想的なサウンドに込めた、ポップスとジャズの間を美しく浮遊するそのタイトルも「ミンガス」でございます。

ジョニ・ミッチェルという人は、1960年代にデビューした女性シンガー・ソングライターです。

透き通るハイトーンのヴォーカル、非常に高い文学性を持った歌詞にピッタリの知的でかつ自由闊達な雰囲気の楽曲と、独自のチューニングを施したギターを自在に操るスタイルで、当時のフォーク・シーンに革命をもたらした凄い人なんですけど、その音楽性は70年代半ば以降、アコースティックなアレンジやフォーク調の曲に捉われない、より自由なものへと進化させてゆくんですね。

シンガーとして、作曲家として、ギターの名手として、詩人として、そして画家として・・・彼女の個性の塊のような声にうっとりして、その才能の底のなさを思うといつもドキドキしてしまいます。68年のデビュー作「ジョニ・ミッチェル」から近年の作品に至るまで、どの作品も自由で心地良い風が吹いているのを感じると共に、創造に対する彼女の徹底してストイックな姿勢が感じられて心地良く身が引き締められる気持ちに、アタシはいつもなるのです。

さて、そんなストイックなアーティスト、ジョニ・ミッチェルにとって、自身をインスパイアさせてくれる素晴らしい音楽は、どれも傾倒に値する神聖なものでした。

彼女はデビュー当初、優れたフォーク系ポップスの歌い手でしたが、既にその頃には世界中のあらゆる音楽を聴いて感動し、特にジャズやブルースなどのブラック・ルーツ・ミュージックには、一言では言い表せないほどの大きな感銘を受けていたそうです。

そんなジョニが、ジャズ界における天才的なアーティストであり、コチラも作品というものに対しては恐ろしくストイックな身上を持っていたチャールス・ミンガスと出会ったのは、ミンガス自らが執筆した自伝「敗け犬の下で」がきっかけでした。



この本は、若き日のミンガスとチャーリー・パーカーやセロニアス・モンクといったモダン・ジャズ・レジェンド達とのリアルな回想を交えた黎明期のモダン・ジャズ・シーンの様子が生々しく描写されていて、ミンガスがというよりは、同じ時代のジャズマン達が何と戦い、葛藤していたかが実に迫ってくる良書ですので、ジャズにちょっとでも興味がある人は読んでいただきたいのですが、ひとまずジョニの話に戻ります。

ジョニがミンガスの本やレコードに、決定的な衝撃を受けて「ぜひ共演したい!!」と申し出た・・・と思われがちなんですが、1970年代半ばからジャズに傾倒して、ジャコ・パストリアスやパット・メセニーらとの共演作を既にリリースしていたジョニのアルバム(恐らくは「逃避行」「ドンファンのじゃじゃ馬娘」辺りか)を聴いたミンガスの方から感心して「このコはいいね、機会があれば是非ともこのコのために曲を書きたい。いや、書かせろ!」と、申し出た。というエピソードがあります。

実はミンガスは1970年代後半には持病が悪化して演奏活動が出来なくなっていたんですね。だから自宅で療養しながら曲を書くことをその時のライフワークにしていたのです。

で、ジョニがミンガスの所に通うような形で打ち合わせを重ね、ミンガスの新曲や、代表曲の「グッド・バイ・ポークパイ・ハット」などをジョニが歌うということで、話はトントンで進み、更に演奏するミュージシャン達は、ジャコ・パストリアス、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ピーター・アースキンら、ジョニのお気に入りで、ミンガスも認めるジャズ/フュージョン系の実力派達で行こうという風になりました。

レコーディングは順調で、ジョニもミンガスも納得の作品が出来上がろうかというその時、ミンガスが病のため、1979年1月に死去しましたので、このアルバムは図らずもミンガスの追悼盤になってしまいました。






【収録曲】
1.ハッピー・バースデイ 1975
2.ゴッド・マスト・ビー・ア・ブーギ・マン
3.葬儀
4.ア・チェアー・イン・ザ・スカイ
5.ザ・ウルフ・ザット・リヴズ・イン・リンジー
6.アイズ・ア・マギン
7.スウィート・サッカー・ダンス
8.コイン・イン・ザ・ポケット
9.デ・モインのおしゃれ賭博師
10.ラッキー
11. グッドバイ・ポーク・パイ・ハット

アルバムは、ミンガスと奥さんのスー・ミンガスが、誕生パーティーで無邪気に掛け合う会話から始まります。その後の展開がどのようになるのか、このオープニングからは全く想像すら出来ませんが、これは見事なジャズ・アルバムです。

といっても、単純に「ポップスの人がジャズ唄ってる」とかそんな生ぬるいものじゃなくて、ジャズのエッセンスと、素晴らしいジャズ・ミュージシャン達の本気の演奏力を借りながら(特にジャコのベースが凄いんですよ、彼の参加してる作品の中ではこのアルバムは屈指の出来です)、彼女が持つ淡く幻想的な世界観が全くオリジナルな雰囲気と、どこまでも深く静かに拡がってゆくみずみずしさをたたえながら、儚く美しく展開していきます。

裏ジャケに描かれたジョニ作の絵「車椅子のミンガス」が、すごくいいんですよね。これを眺めながらぼうっと切ない気持ちに優しく包まれつつ、CDを聴くのがたまりません。



(ジャコのなめらかに唄うベースと、ジョニの叩き付けるギターの絡みに鳥肌。美しい・・・)


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2016年10月26日

チャールス・ミンガス アット・カーネギー・ホール

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チャールス・ミンガス/ミンガス・アット・カーネギー・ホール
(Atlantic/ワーナー・ミュージック)


いやぁ皆さん、ウッドベースは好きですか?

「ブンブンズンズンブンブンゴンゴン・・・」と、独特の重厚な響きでもって走る、またはゆったりと歩くジャズ独特の4ビートをウッドベースが刻めば「もうたまらん!」となりますよね。

ジャズを聴くと、つい頭が「あれもこれもモード」になってしまいます。

やれサックスのアドリブがどうとか、ピアノがとかベースがドラムがラッパが・・・と、頼まれてもないのに頭が勝手にステレオ化(?)して、それぞれの楽器の音を追いかけちゃうんですね。

で、楽器でいえばやっぱりベースを聴いてしまいます。

何でか分かりませんが、例えばビッグバンドとかで、ホーンが派手に鳴ってる中で、しっかりと”4”を刻んでいるベースを聴くと「うぉっしゃ!ジャズを聴いてるぞ!!」という、妙な安心感があるんです。

うん、ジャズって何だろう?って素直な疑問をお持ちの方は、どれでもいい、ジャズの演奏を聴いて、特にベースの音に合わせて体を揺らしてみるといいかも知れません。色々と理屈であーだーこーだ言うよりも、それが一番ジャズを体現できる手っ取り早い方法だと思います。

さて、そんな「ジャズをジャズたらしめているウッドベース」なんですが、素晴らしいプレイヤーいっぱいいます。でも、アタシの中では「特にこの人!!」という人が二人いて、一人はここ数日ちょこちょこ絶賛している、ビル・エヴァンス・トリオの二代目ベーシストことチャック・イスラエル、で、もう一人がジャズ界のベース番長、チャールス・ミンガスであります。

チャック・イスラエルに関しては、エヴァンスの繊細な繊細なピアノにぴったりと寄り添う、唄心に満ちたプレイとしっとり潤った音色に、心の奥底から泣かされるんですが、ミンガスの場合はこらもう凄まじいです。死ぬほどズ太い音で「ゴォォォ!!」と、聴き手のあらゆる感動や感傷を根こそぎブン撫でて行く、それはそれはワイルドな男らしさに溢れたベースですよ。

作曲家としても優れた人で、その楽曲は実は繊細だったり、とても知的で構成力の高いものだったり、で、ミンガスのベースが刻むラインとか、ソロやオブリガードのちょっとしたフレーズなんかは実際意外にセンチメンタルで、泣ける唄心みたいなのが目一杯詰まったこともやる人なんですが、そこは聴いてくうちに身に染みることでありますので、ここではガチャガチャ言いません。

さてさて、ミンガスがぶっとく刻む”4”のベースライン、その飽くなき魅力をゴリゴリに堪能できるアルバムを、本日はご紹介致しましょう。ミンガス晩年の傑作ライヴとの呼び声も高い「ミンガス・アット・カーネギー・ホール」です。




【パーソネル】
チャールス・ミンガス(b)
ジョン・ファディス(tp)
ジョージ・アダムス(ts)
ハミエット・ブルイエット(bs)
ジョン・ハンディ(as, ts)
ローランド・カーク(ts,stritch)
チャールズ・マクファーソン(as)
ドン・プーレン(p)
ダニー・リッチモンド(ds)

【収録曲】
1.Cジャム・ブルース
2.パーディド


「いいかテメェらーー!!」

「オォォーーーー!!」

「気合い見せろーーー!!」

「ォオオオーーーー!!!!!」

「いくぜオラァーーー!!・・・・ブンブンズンズンブンブンゴンゴン・・・」

「ギョワンギョワン!!バリバリブリブリ!!ゴギャァァァア!!!!バコォオオオン!!!」



・・・と、まぁ一言で言えば(汗)こんな感じの、1曲20分強を、ひたすら暴力的なスウィング感で爆走する、凄まじくテンションの高いライヴ。

しかもコレ、編成が凄いんですよ。何とホーン奏者6人の6管編成、しかもそのうち5人がサックス奏者です。

ついでに言うと、この編成でものすごーくソロの比重を重くしたアレンジでやってるんです。

重厚なアンサンブルとか、凝った編曲とか、あと、ミンガスといえば舎弟頭のダニー・リッチモンド(ドラム)と組んだ時は、2人でソロ吹くヤツらを自在に操っているかのような、必殺の変拍子でガンガンぶっこんでくるんですが、ここでは敢えてそれらの必殺技は封印して、フロントに好き放題やらせています。

サックス陣の中では、この当時のレギュラー・メンバーのジョージ・アダムスとハミエット・ブルィットの2人が、もうやんちゃというか、やさぐれてぶっ壊れたフリーキーでブルースヤクザァなプレイは、ハッキリ言ってDQNの域なんですが(汗)、このライヴでは怪人ローランド・カークが、いつもの自分のリーダー作では聴けないぐらいの凶悪なキレッぷりで暴れまくっておるんです。

このアルバムを聴く楽しみは、ハッキリ言って「キレッキレのローランド・カークを聴くため」でも全然いいぐらいなんですが、いや、ミンガス凄いですよ。大暴れに大暴れ、フリークトーン炸裂の大狼藉なフロントの絶叫に、ぶっといベースの”4”が全然埋もれてないんです。2曲トータルで46分もあるヘヴィなアルバムなんですが、その中でずーーーっとベースの「ブンブンズンズンブンブンゴンゴン・・・♪」が、演奏の真ん中で鳴り響いてるんですよ。

ミンガスという人は、トータルなミュージシャンとして、いや、アーティストとして本当に素晴らしい人で、名盤はいっぱいあります。スタジオ盤で物凄く徹底して作り込まれた美と狂おしさの極致みたいなアルバムもあるんですが「ジャズって何だ?ベースか?じゃあベースが凄いアルバム教えれ!」と思う方は、このアルバムの暴力的スウィング感を是非早い段階で体験して頂きたいと思います。そしてやさぐれろっ♪




(1974年のミンガス、皆さん大暴れですな・・・)


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2016年10月25日

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン イーヴィル・エンパイア

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レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン/イーヴィル・エンパイア
(ソニー・ミュージック)

ロックの様々なスタイルが一気に芽吹き、その中で個性的なバンドが次々と出てきた90年代。

今にして思うとレッチリとガンズの大ブレイク、メタリカの「ブラック・アルバム」の衝撃から目が覚めやらぬうちにパンテラという究極にヘヴィなバンドが出てきて、かと思えば全く違う方向からニルヴァーナ。そこからの怒涛のオルタナティヴ・ロックの快進撃、パンクロック・リヴァイバル・・・。

リアルタイムで「今度はどのバンドがどんな新譜出すんだろう・・・」と、すごくワクワクしてた時代です。

特にヘヴィロックやミクスチャーの分野では、やっぱりパンテラやレッチリ、そしてビースティー・ボーイズという凄いバンドが既にシーンを完全な影響下に治めていたので

「もうこのジャンルではこれ以上のバンドは出てこないだろうな・・・」

と、何となく思っていた時に出てきたのがレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンです。

92年にリリースされたファーストは、それこそ衝撃でした。

ビースティ・ボーイズ・スタイルのミクスチャー・ロックのサウンドに、パンテラ系のヘヴィネス・サウンドが、これは奇跡的に融合した一枚だと、正直思いました。

しかし、この時点で「ヘヴィロックの新しい突破口を切り開いたデビュー作」は、まだまだ序の口でした。

94年にファーストを聴いて「カッコイイな〜」となっていたアタシが本当の意味でレイジにぶっ飛んだのはその二年後、96年にこの曲を聴いた時です。



単純に「カッコイイ」を突き抜けたテンションと緊張感、そして隅々まで綿密な構成によって作り込まれたサウンド(特にギター)、ノリはひたすらにムダがなくシンプルなのに、そのシンプルなサウンドの中に、全てをブチ込んだ感がある。うわ、何だこれ・・・!ヤバイ!!

その頃は丁度戦前ブルースばかり聴いていた時期だったんですけど、レイジの突き抜けた反骨のスピリッツは、戦前ブルースが根源的に持っているそれと全く同じベクトルと感じて、一人で興奮しきってました。




【収録曲】
1.ピープル・オブ・ザ・サン
2.ブルズ・オン・パレード
3.ベトナウ
4.リボルバー
5.スネイクチャーマー
6.タイヤー・ミー
7.ダウン・ロデオ
8.ウィズアウト・ア・フェイス
9.ウインド・ビロウ
10.ロール・ライト
11.イヤー・オブ・ザ・ブーメラン

とにかくサウンドはヤバいです。今聴いてもそれ以上の的確な言葉が見付からないほどにヤバいです。

歌詞も社会の矛盾に溢れた”システム”に対して徹底的に容赦のないものであることはファーストから全く変わらないし、音の幅がガッと拡がったものの、ラウドで攻撃的、ザックのヴォーカルも含めた全サウンドが真ん中に集まって一気に炸裂するようなストレートな曲の構成も全然変わってないです。よくロックバンドは「ファーストの勢いが最高で、セカンド以降はより音楽的に完成されたものになってゆく」といわれますが、確かにそうなんだけど、そんな理屈でしたり顔をするのは、何かどうも違うような気がするんです。つまりファーストの勢いに、更なる勢いを被せてきたとか、もともとヤバいものがちょっとした調味料を加えることで劇的にヤバくなったとか・・・。

あぁ、20年の付き合い(その途中買い直すこと2回)のアルバムなんですが、今も聴いた瞬間に全生理が沸騰して冷静でいられなくなります。



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2016年10月23日

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン

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レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン/Rage Against The Machine

(ソニー・ミュージック)

1990年代という時代は、色んな形で「パンク」が復権した時代だったと思います。

メロコアが流行ったとか、スカ・リヴァイバルが起きたとか、そういう表面的なことじゃなくて、歌詞にも音楽にも、社会的な強烈なフラストレーションに対する”否!”というメッセージを叩き付けるバンドが物凄い勢いで出てきたんですね。

その最右翼が、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン。

ギンギンにトンガッたヘヴィなサウンドと、ブラック・ミュージックからの影響がデカいミクスチャーなリズムに乗って、まるでアジテーションのように聴く側の意識を過激に煽りまくるザック・デ・ラ・ロチャのラップ。

歌詞を読めばこの社会を動かしている経済とか政治とかのシステムを「マシーン」と呼び、それに容赦なく具体的な言葉で打撃を加え、ライヴではキューバ革命の英雄チェ・ゲバラの旗と共に、さかさまにしたアメリカ国旗をステージに掲げ、徹底的な「反体制」を呼びかける。

最初にライヴ映像見て、歌詞とかよく分からなくても「あ、コイツらは何かよーわからんが”戦ってるヤツらだ”」と、ものすごーくシンパシーを覚えたもんです。

でも、それより何より、当時まだレッチリとかアンスラックスとかビースティ・ボーイズでしか知らなかった「ヘヴィな音の横ノリ」が、このバンドで究極にまで研ぎ澄まされたようなミクスチャー・サウンドに「うほぉ!ぼげぇ!!」(何じゃそりゃ)と、言葉にならない衝撃を受けたんです。

ノリはタテノリの8ビートとは全然違いますが「コレはパンク!!」と、聴いて即認定しましたね。いやいや、パンクってのは音楽の種類じゃなくて姿勢なんです。






【収録曲】
1.ボムトラック
2.キリング・イン・ザ・ネーム
3.テイク・ザ・パワー
4.セトル・フォー・ナッシング
5.ブレット・イン・ザ・ヘッド
6.ノウ・ユア・エナミー
7.ウェイク・アップ
8.フィストフル・オブ・スティール
9.タウンシップ・リベリオン
10.フリーダム


音楽的な完成度の高さと、強靭なグルーヴ、そして歌詞に込められた呪詛のような鬱屈とした凄まじいエネルギーが渾然一体となった、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのファースト・アルバム。

アタシが正直決定的な衝撃を受けたのは、この次の「イーヴル・エンパイア」だったんですが、既にレイジにハマッてた人達から「いや、ファーストもいいよ。つうかテンションは全然変わらんよ、聴いてみ」と言われて遡って聴いてみたんですが、よりサウンドの幅の拡がった「イーヴル〜」に比べて、よりシンプルで荒削りで、音の圧力みたいなのが真ん中にギュッと集まって放たれているようなこのストレートな表現、コレはセカンドと同じぐらいの衝撃を受けました。

南米ニカラグアの革命からインスピレーションを得たクラッシュの「サンディニスタ!」に大きな影響を受け、アメリカと南米系移民の歴史を真摯に研究し、そのことがきっかけで「おかしくねぇか!?」と、いわゆる”マシーン”との戦いに目覚めたメンバー達の、これは社会に対する最初のキョーレツな一撃です。

ゴタゴタ言う前に、これは素直に音を聴いてノックアウトされた方がよろしいですな。90年代初頭にリリースされた、最高にエモーショナルで最高にハードコアで最高にパンクなアルバムだし、この破壊力は今もぜんっぜん衰えるどころかますますリアルに感じます。感じるしかない!





(ライヴ最高だな〜♪)



ワン・デイ・アズ・ア・ライオン




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2016年10月21日

ビル・エヴァンス ハウ・マイ・ハート・シングス

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ビル・エヴァンス/ハウ・マイ・ハート・シングス
(Riverside/ユニバーサル)

「秋はビル・エヴァンスを聴きましょう」

と、題しまして、本日もビル・エヴァンスの”二代目ベーシスト、チャック・イスラエルと共に作り上げた美しい音世界”をご紹介します。

チャック・イスラエルの”寄り添うベース”の魅力っていうのは、コレはアタシがエヴァンスに惚れて以来、ずっと鑑賞のど真ん中に置いておることです。

決して初代ベーシスト、スコット・ラファロと比べてどうこうという訳でもないし、世間一般で評価がズバ抜けて高いラファロのプレイに対して、イスラエルを判官びいきすることでageてる訳でも決してないです。

や、最初は何かとラファロと比較されて地味な評価に甘んじているイスラエルのベースを、ラファロとは全く別物として聴くことで、少しでも世間一般の評価に抗おうとかいう気持ちはそれなりにありましたよ。

でも、エヴァンスとラファロが織り成す、とてつもなく甘美で、どこか内にのめり込んで特別なハーモニーをしっとりと紡いでいる演奏を聴けば聴くほど、そしてその演奏にハマればハマるほど「ラファロとイスラエルの比較」なんかどーでも良くなってきて「いや、エヴァンスは誰と組んでもそれぞれ違った良さがあるし同時に一切変わらない良さもあるし最高よ」という結論に達して今に至ります。

それでも敢えて言えば、初期の色んなことに燃えていたエヴァンスのコンセプト、つまり「極限的に斬新で、聴きようによっては凄まじい程に激しい演奏、でも、美旋律は一切崩れないピアノ・トリオの究極的な進化系」というのは、ラファロの縦横無尽に動き回り、鋭く容赦なくアドリブに斬り込んでくるあのベース・プレイがなければ成し得なかったでしょう。そして、より詩的で内省的な、知性とヒリヒリするほどの哀感を持つフレーズで構築された音世界で聴き手を幽玄の彼方へと誘う”それからのエヴァンス”は、たおやかな余韻を残しながら、エヴァンスのピアノと共に唄う、イスラエルのベースなしには絶対にあり得なかっただろうと思います。




【パーソネル】
ビル・エヴァンス(p)
チャック・イスラエル(b)
ポール・モチアン(ds)

【収録曲】
1.ハウ・マイ・ハート・シングス
2.アイ・シュッド・ケア
3.イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ
4.ウォーキング・アップ
5.サマータイム
6.34スキドゥー
7.エヴリシング・アイ・ラヴ
8.ショウ・タイプ・チューン
9.イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ(別テイク)


で「ハウ・マイ・ハート・シングス」です。

このアルバムは、先日ご紹介した「ムーンビームス」と、同じ日にスタジオで録音された音源を「バラード」と「ミディアム・スロウ以上のテンポのナンバー」とに割り振りしたもので、コチラのアルバムでは、軽快にスイングしながら、鮮烈な美を撒き散らすかのようなエヴァンス・トリオのプレイがたっぷりと堪能できます。

一発目はややアップテンポ(ミディアムスロウ)とはいえ、どこからどう聴いても美しいメロディの「ハウ・マイ・ハート・シングス」これはイントロの4音で、もうクラッとくるぐらいに香気を放ってて、後年もライヴなどで頻繁に演奏していた、エヴァンスの代表曲のひとつ。そこからアルバムが終わるまで、イスラエルとポール・モチアンが軽快に刻むテンポに乗って、エヴァンスのピアノが狂おしく駆け抜けるんです。

エヴァンスは、ラファロが事故死してからこのアルバムを吹き込むまでの一年間、ショックで何も出来なかったと云いますが、このふっきれた小粋な演奏を聴く限り・・・と思うのは最初だけで、エヴァンスのピアノが奏でる美しい旋律と澄み切ったトーンには、どこか拭えない”悲しさ”があるんですね。余計なことを言いますと「エヴァンスって人は、自分の中で”悲しさ”というのを消化する感覚を持ってなかった人なんじゃないか」と思いますね。だからずっと、明るくキャッチーな曲を弾いても、どこか心にヒリッとしたものが突き刺さるようなピアノだし、それが晩年に「ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング」という、究極に悲しくて美しい作品にまでずーっと連なってるんだろうな・・・と思います。

最後、ちょっと暗くなりましたが、えぇ、やっぱりエヴァンスの魅力は”どこか暗いところ”にあって、だからこそ人の心を打つんだよ、なんてアタシも柄にもなく”秋の感傷スイッチ”が入っております。









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2016年10月20日

カワサキ KM90

はい、今日は久しぶりにちょいと小ネタです。

「バイク見るのが好き」なアタシは、よくYoutubeでバイクの動画を見ております。

いわゆる”旧車”と呼ばれる、60年代70年代のレトロな国産オートバイが好きなアタシです。

特に排気量400cc以下の味のあるバイクがたまりません。

で、最近動画で見付けて一人で「これいいな〜」と思ってるのが、カワサキのKM90

4.jpg

見てこれ!

90ccの、いわゆる「ミニバイク」です。

「小さいけど走るんだぜ!」

と、言わんばかりの外観が何とも頼もしい♪

動画↓






スピードを楽しむというより、近場をのんびり走るバイクですね。

しかし、このKM90、色んな人のブログを読んでみたら、販売当時は林道とか河川敷とか未舗装道路をガンガン走り倒す、オフロード車みたいな乗り方してて、それがとても楽しかったんだと。



これは輸出用として製作されたKM100(排気量以外は90とほとんど同じ)。

今も現役で、海外の悪路チャレンジャー達を楽しませておるようです。







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2016年10月19日

ビル・エヴァンス ムーン・ビームス

4.jpg
ビル・エヴァンス/ムーン・ビームス
(Riverside/ユニバーサル)

秋です。

台風の湿った空気の影響か、今日の昼まであいにくの雨模様で、空気もムシムシしておりましたが、そんな中でポツッと落ちてくる雨粒がちょっとでもヒヤッとしたら、もう秋です。

「秋になったらビル・エヴァンスを聴きましょう」

アタシはそうポワンポワンと言いながら、忙しない日々の中で、なるべく心の隙間が音に向くようにして、その隙間に目一杯ビル・エヴァンスの、優しくて美しくてヒリヒリしてズキズキするピアノを流し込むことにして、何というか色んな情緒や哀感の篭った”秋”というのを内にも外にも見出すように心がけております。

特に奄美では”秋”って短いですからね、どうせ切ないんなら、短い間だけ思いっきり切ない方がいい。

はい、そんな感傷スイッチを今年も入れてくれたのはビル・エヴァンス。

特にアタシがお気に入り・・・というか、エヴァンスのアルバムの中には、個人的にもはや「一番好き」とかそういうレベルすらも超越しているアルバムが3枚あって、その中の1枚です。コレ。



【パーソネル】
ビル・エヴァンス
チャック・イスラエル
ポール・モチアン

【収録曲】
1.リ・パーソン・アイ・ニュー
2.ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス
3.アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー
4.星へのきざはし
5.イフ・ユー・クッド・シー・ミー・ナウ
6.春の如く
7.イン・ラヴ・イン・ヴェイン
8.ヴェリー・アーリー


1962年、その前の年に相棒ベーシスト、スコット・ラファロを交通事故で失ったエヴァンスが、新ベーシストとしてチャック・イスラエルといううら若き白人青年を迎えて製作されたアルバム「ムーン・ビームス」であります。

ラファロの主旋律にガンガンギュンギュン自由に斬り込んでくるベースの凄技は、今なおロングセラーを続けているジャズ・ピアノトリオの金字塔「ポートレイト・イン・ジャズ」「ワルツ・フォー・デビィ」などでとことん堪能できるように、もう彼にしかできない、インタープレイ(アドリブとアドリブによる対話)の究極ですが、後任者イスラエルのベースは、エヴァンスの凄まじいほどの美と哀愁が溢れるピアノに、豊かな音色でそっと寄り添うような、甘美でいて狂おしい”唄うベース”。

うん、アタシはラファロの”攻めのベース”に触発されて鮮烈な美をふわあぁぁー!と撒き散らすエヴァンスも好きだけど、イスラエルの、ピアノと共にどこまでも内なる深い世界に溶けてゆくようなベース、たまんないなと思います。

このアルバムは、特にバラードばかりを集めた一枚で、ジャケットと「ムーンビームス」というタイトルと中身が本当に合っていてよろしいなぁ。。。

エヴァンスのピアノはとても美しいです。とてもとても美しいです。

それはもう、悲しいぐらいに美しいです。







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2016年10月18日

ジョニー・グリフィン ザ・リトル・ジャイアント

3.jpg
ジョニー・グリフィン/ザ・リトル・ジャイアント
(Riverside/ユニバーサル)

音楽の世界というのは、結局のところ「その人の個性がどう輝いてるか」だと思いますので、誰かと誰かを比較して、或いは同じカテゴリで色々集めた中で「この人が最強!」なんてことはあまり意味のないことだと思いますので、普段はあまり使わないのですが、しかし一方で、ジャズのテナー・サックスというのは

「生演奏の場でバトルしてドイツが強いか競っていた」

という歴史を持つ楽器であります。

特に1950年代のハード・バップの時代までは、レコードに腕利きのテナーマン同士のアツいバトルが刻まれておりまして、アタシもテナー吹きますから、それはそれは興奮して聴いております。

なので今日はちょいと不毛な厨二話にお付き合いください。

はい、本日のテーマは

「ジャズ・テナー最強は誰か?」

というお話です。

ちょいとくどいようですが、音楽の世界は、どれだけ自分なりの個性を輝かせたかがそのミュージシャンの評価ではあるんですが、それやっちゃうと、流石にジョン・コルトレーンとかソニー・ロリンズとか、或いはアルバート・アイラーとか、いやいや親父(コールマン・ホーキンス)だとか、強烈に自分の世界を打ち立てちゃった人たちの独走になってしまいますので、ここはひとつ

・4ビートのモダン・ジャズ

・その中で演奏技術・アドリブのセンス・サウンドの存在感がズバ抜けてる

という2点基準で考えてみましょう。

まぁアレです。400ccネイキッドのバイクで、0m-400mを「よーいドン」すればどれが勝つのかというゼロヨンバトルと一緒ですね。

で、考えてみて、アタシは3秒で答えが出ました。

「そりゃあジョニー・グリフィンだろう」

と。

はい、ジョニー・グリフィンこそが”モダン・ジャズ最強のテナーマン”だとアタシは思います。

高速でもバラードでも、次々出てくるアドリブのフレーズ、どんなテンポでもしっかりと全力疾走できる機動性の良さ、そして何より「どんなフレーズでもしっかりと”音楽”として聴かせるだけの音色の強靭さ」を、グリフィンは強烈に兼ね備えております。

それにはちゃんと根拠があって、ブルーノートに「ザ・ブローイング・セッション」というアルバムがあります。

このアルバムは凄いんですよ、コルトレーン、ハンク・モブレー、そしてジョニー・グリフィンという、50年代後半を代表するハード・バップの人気テナー奏者が3人集まって、吹きまくっているんですけど、やっぱりコルトレーン者のアタシとしては、コルトレーンの完全に個性の確立されたプレイを聴いて「流石コルトレーン、他のテナー吹きとはモノが違うわい」と感動したかったんですが、何と何と!モブレーをぶっちぎって、コルトレーンを抑えてブイブイに吹きまくっていたのは、そん時全く名前すらも知らなかったジョニー・グリフィンだったんですね。

もちろんこのアルバムの、コルトレーン、モブレーが”ダメなプレイ”をしている訳じゃありません。

1957年、既に”シーツ・オブ・サウンド”という自分のスタイルを確立させたコルトレーンのプレイも、ミドル級ならではの深い味わいと、一度聴いたらまた聴きたくなる、何とも人なつっこい音色でブロウするモブレーも、全然カッコ良かったんです。

しかし、それ以上にグリフィンのプレイが、凄まじい衝撃でアルバム全体を、明らかに違う速度で駆け抜けていった衝撃が、とにかくデカかったんです。感動云々以前に「凄すぎてどう反応していいか一瞬分からなかった」というヤツです。

それですっかり「ジョニー・グリフィン最高だなぁオイ」となったアタシは、早速”グリフィンの一番有名なアルバムって何?”となって、「ザ・リトル・ジャイアント」を購入し、まんまと今に至るまで20年近くハマッています。




【パーソネル】
ジョニー・グリフィン
ブルー・ミッチェル
ジュリアン・プリースター
ウィントン・ケリー
サム・ジョーンズ
アルバート・ヒース

【収録曲】
1.オリーヴ・リフラクションズ
2.ザ・メッセージ
3.ロンリー・ワン
4.63丁目のテーマ
5.プレイメイツ
6.ヴィーナスと月


「リトル・ジャイアント」というのは、言うまでもなくグリフィンのあだ名です。

168cmという小柄な身体でテナーを構え、その見た目からは信じられないようなパワフルな音で、物凄い質量のフレーズをブリバリに吹きまくるから、彼のプレイを目の当たりにした人は、畏敬の念を込めてそう呼んでおったんだと。

で、グリフィンは若い頃から「バトル野郎」として凄く有名だったそうです。

その理由は、彼の出身地にあります。

イリノイ州シカゴといえば、ブルースの都。

戦後になってブルースとは別個になって洗練されてゆくニューヨークのジャズとは違って、50年代のシカゴではまだまだ泥臭いブルース・フィーリングが残るジャズ、或いはジャズのプレイヤーを目指す若者は、必ずR&Bのバンドで腕を磨き”現場”でヤジったり熱狂して暴れる客を満足させるための技術と度胸を併せ持っていなければなりませんでした。

バンドの花形であるテナー奏者はなおさらです。

テナー奏者は「おい、ソロ吹け!」と言われたら、バーのカウンターを吹きまくりながらねり歩く、いわゆる”ホンカー”というスタイルで、客を沸かせておりました。

小柄なグリフィンが、バカでかい音で「バリバリバリ!」と吹きまくりながらカウンターをねり歩くパフォーマンスは、それはそれはシカゴの街で話題になってたろうと思うのです。

ところが、こうやって目立つテナー吹きがキャーキャー言われていると、ここに別のテナー吹きがソロに割り込んできて”バトル”を仕掛けます。

単純に目立ちたいヤツ、名を売りたいヤツが挑むというのもあったようですが、ショーを盛り上げるために「アイツにコイツをぶつけてやろう」と仕込まれるガチバトルは、シカゴでは日常茶飯事。

それは、勝てば英雄負ければ終わりの、すごくすごくシビアな世界。

グリフィンやクリフォード・ジョーダンといったシカゴ出身のモダン・テナーマン達は、軒並みそういった実戦経験を、無名の頃から積んで勝ち残ってきた人達だったんですね。

だからバトルにはすこぶる強いし「どうすれば他のテナー吹きより抜きん出るか?」ということを、もう体の感覚で身に付けておったんだと思います。

のみならず、どんな演奏でもゆるぎなく発揮できる濃厚なブルース・フィーリングも自然と備わっている。これはシカゴ出身のテナー吹きの最高の強みだったと思います。

アルバムを紹介しますれば、グリフィンのテナーを中心に「手数より味」で聴かせるブルー・ミッチェル(トランペット)とジュリアン・プリースター(トロンボーン)の、ド迫力の3管編成。

それに「どんなフレーズにも的確に応える名手」ウィントン・ケリーのピアノ、ぶっとい音でゴリゴリ4ビートを刻むサム・ジョーンズのベースに、ドッシリと構えて絶妙な煽りで演奏を盛り上げるハード・バップ職人ドラマーのアルバート・ヒースという、実に渋いメンバーに支えられ、ニューヨークでも豪快に吹きまくるグリフィンの「くーかっこいい!」としか言葉が出てこないテナーが存分に堪能できます。

楽曲もほとんどがミディアム・テンポのいかにもなハード・バップ曲というのがいいですね〜。実はグリフィンはバラードもとてもとても上手い人なんですが、あえてこのアルバムでは甘いバラードは吹かず、ワイルドでちょいとワルなブルージー曲でガッツリ固めているところも、アルバムとしての高い完成度に貢献しておるようです。

演奏、編成、楽曲共に申し分ない50年代モダン・ジャズの名盤ですが、アタシが一番興奮するのは、このアルバムでのグリフィンの音色。

よく聴くと、テナーの音にナチュラルエコーがかかってるように聞こえるんですよ。

これ、多分アレです。普通のマイクセッティングだと、グリフィンの音があまりにもデカいからバランスが取れないってことで、マイクからちょっと離れたところで吹いたんでしょう(マイクエコーでは多分ないはず)。

こういうさり気ないところに”バトル野郎”の気骨みたいなのがギュンギュン感じられてたまんないんですわ。





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