2016年10月05日

キース・ジャレット ケルン・コンサート

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キース・ジャレット/ケルン・コンサート
(ECM/ユニバーサル)


「キース・ジャレットのピアノは、ジャズなのにあんまジャズっぽくないところがいいんですよ」

と言ったら怒られそうですが、敢えてそう言いたいです。

色んな音楽が好きで、ジャズは特に好き。なんですが、それでも一人のミュージシャンに「ジャズらしく」なんて言うつもりは全然なくて、むしろどんな表現スタンスであっても「他の人と違うもの」を聴かせてくれる人が好きなんですよね。

つまりジャズだろうが何だろうが

「カッコ良くて感動できればいい」

のです。

で、キース・ジャレットです。

キース・ジャレットといえば、ピンと透き通って硬質で、とにかく隙のない、美しい美しいピアノの音が脳内に再生されます。

そう、ジャズ・ピアノといえば、渋くてダークでスリリングでちょっぴり病的な、或いは逆にファンキーなものを、どうしても連想してしまうのですが、キース・ジャレットは、この世界で初めてそのどれにも当てはまらないスタイルを確立したピアニスト。

80年代以降、よくイージーリスニングとか、俗に”癒し系”と呼ばれる音楽のピアノものが流行りました(深夜の天気予報とかのバックで流れてるようなアレ)が、アレの元祖を、しかもオリジナルにして完璧な”美の世界”でもって創り上げたのがキースだ。といえば、ジャズとかピンとこない方でも分かっていただけるでしょうか?

だから「ジャズっぽくないところ」が実にいいんです。

近年は、ピアノ・トリオでスタンダードを演奏していて、それがまた実に正統派ジャズなカッコイイ作品ばかりなんですけど、いやいやいや、最初に聴くんなら、この人の”クラシックのよーでポップスのバラード曲みたいな曲の個性”が全開で楽しめるソロ・ピアノ・アルバムでしょうということで、1975年にリリースされたジャズ・ピアノの名盤にしてソロ・ピアノの名盤、そしてライヴ名盤であります「ケルン・コンサート」をオススメしない訳にはいきますまい。







【パーソネル】
キース・ジャレット(p)

【収録曲】
1.ケルン、1975年1月24日 パートT
2.ケルン、1975年1月24日、パートU a 
3.ケルン、1975年1月24日、パート U b
4.ケルン、1975年1月24日、パート U c


タイトル通り、ドイツのケルンという街で行われた完全ピアノによるソロ・コンサートなんです。

これはもう美しい(!)

何がどうって、とにかく美しい。

ヨーロッパって言ったことないからよくは分からんのですが、多分空気がシャキッと乾燥していてキリリと冷たいんだと思います。

で、キースのピアノは「ポロン」の一音だけで、その空気を完璧に再現しているといえばいいんでしょうか。透明で、ひとつひとつの音がシャンと立っていて、濁ったところがひとつもなくて、何よりもその”とってもクラシカル&ややポップ”な演奏には、素晴らしいストーリー性があって、収録時間結構長いんですが、もう最初っから最後まで、この独特の美しさだけでできているような世界に引き込まれてあっという間に聴き終わるアルバムです。

しかも、余りにも美しく完璧で、破綻したところが一個もないもんだから、これはきっとあらかじめ作曲して譜面に落とした曲をちょちょっとアドリブ加えながら弾いてるんだろうと思ったら、実はキースこの時風邪ひいて高熱でフラフラで、何をやるかとか全然決めてなくて、このライヴ自体が完全即興らしいんです。

「え?マジ!?」

と思って何度も聴き返してるんですけど、そんなの嘘に決まってます。

でも、ホントらしいんです。

ピアノが好きな人、単純に「美しい音楽が好き」な人には特にオススメします。

アタシは体がものすごーく疲れた時に一気に聴いてますよ。よくわからんが”そういう効果”もこの音楽にはあるらしいです。



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posted by サウンズパル at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする