2016年10月29日

キャロル・キング つづれおり

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キャロル・キング/つづれおり
(ソニー・ミュージック)

ここ数日ジョニ・ミッチェルを聴きまくっておりましたら、ついつい70年代のアメリカ、女性シンガーソングライターものに手が伸びてしまい、色々と聴いておりました。

いや、それもあるんですけどね。ちょっとアタシはスマホなるものを買って、アレは凄いですね。パソコン画面とほとんど変わらん表示が出来て、カテゴリ別にページをぬゎ〜んと眺めることが出来る(ドヤッ!)。

そしたらですよ皆さん、あの〜、サウンズパルの「ロック/ポップス」のカテゴリがありますでしょ?そこを見てみたらまぁ何ですか、いくら何でもアナタ、ずらーっと並んでいるのがパンクだのラウドだのメタルだの、そういう殺伐とした男臭いものばかり。えぇ、アタシゃもちろん大好きですよ、男らしくやかましいロック。というよりむしろ、小学生の頃からそういうのを栄養にして今のおっさんになるまでスクスク育ってきたと言っていい。

しかしですよ皆さん、このブログは、まぁアタシ一人の狭い狭い見識で言うのもちょいとアレなんですが

「音楽の素晴らしさ、特に時代を経ても色褪せないエヴァーグリーンなものを一生懸命紹介しよう!」

というブログです。

なので「ロック/ポップス」の「ポップス」の部分ももうちょっと頑張らないとなー、と、殊勝にも思った次第です。えぇ。

そういう訳で「ポップスとは何ぞや?」と、結構真剣に考えました。

そこで出たひとつの答えが「それはキャロル・キングを先駆けとするスンガー・ソングライターものなのではないか?」ということです。

ここで「キャロル・キングを最初に聴いたのは・・・」という話にはなりません。

何故なら、アタシが物心付いた時からキャロル・キングの曲は、それこそ色んな人にカヴァーされる大スタンダードとして、既にポップスにはなくてはならないものでした(その”カヴァーされ度”は、カーペンターズをも恐らく凌いでいると思います。)。

なので、18の時に学校の授業で「今のポップスの歴史を作ったアルバム」と教わって「んなことあるかぁ」と聴いてみた時は、「あ、この曲知ってる!」「あれ?これもキャロル・キングだったの?嘘だろ・・・」と、ことごとく驚いたものです。

ちょいと有名or多分このブログを見てる人達に分かり易いカヴァーの動画を貼っときましょうか。










はい、ザッと。本当にザッと挙げただけでもこんだけあります。

マルティカの「I Feel The Earth Move」は、確かアタシが中学の頃だったかな?車のコマーシャルでもう毎日のように流れてたかもです。マイコーと元ちとせのは、こらもう説明のしようがありませんわな。「ナチュラル・ウーマン」が何故メアリー・J・ブライジなのかといえば、これは最初にヒットしたアレサ・フランクリンのヴァージョン(作曲キャロル・キングで後にセルフカヴァー)に対する最高のリスペクトを感じたからです。

他にもCMやテレビのBGMとか、それこそ色んなところで耳にする曲の耳にするヴァージョンあるんですが、とりあえずこれはさわりです。後は皆さん「つづれおり」買って聴いて「えぇぇぇえ!?あの曲のオリジナル・ヴァージョンって嘘でしょ凄い!!」と、かつてのアタシのように驚愕してください。





【収録曲】
1.アイ・フィール・ジ・アース・ムーヴ
2.ソー・ファー・アウェイ
3.イッツ・トゥー・レイト
4.ホーム・アゲイン
5.ビューティフル
6.ウェイ・オーヴァー・ヨンダー
7.君の友だち
8.地の果てまでも
9.ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー
10.スマックウォーター・ジャック
11.つづれおり
12.ナチュラル・ウーマン
13.アウト・イン・ザ・コールド (未発表曲)
14.スマックウォーター・ジャック (Live)


今でこそユーミンとか椎名林檎とか、女性シンガーはほとんど作詞作曲もするシンガーソングライターですが、実は70年代までは「歌手」というのは作詞家と作曲家が作った歌を唄う、或いはスタンダード曲を唄う存在で「歌手が自分で曲を作って唄う」なんてのはありえないどころか、レコード会社に持ってっても「ハッ、作詞作曲のシロウトが何血迷ってんだ!」と、相手にされないような事でした。

そういった考え方が打破されるのは1960年代のロック・ムーヴメントと、多くの才能ある(そして自ら楽器も弾く)女性シンガー達が大勢出てきたフォーク・リヴァイバルの成功からでした。

キャロル・キング自身は1958年にデビューして、主に当時の夫であるジェリー・ゴフィンとコンビを組んで作詞作曲家として地道に活動してましたが、60年代には遂に「自分で作詞作曲して唄う珍しいシンガー」としてデビュー。順調にヒットを飛ばしますが、その活躍もビートルズの社会現象的な大ブレイクの影に隠れ、68年に”ザ・シティ”というバンドをわざわざ組んで、シンガーとしての再デビューを果たします。

で、本日ご紹介した「つづれおり」は、ザ・シティから再度独立した、シンガーソングライターとしてのキャロル・キングの評価を決定付けることになった作品であり、同時に後続のポップス界、ソウル界、ジャズ界の歌手や作曲家にまで幅広く決定的な影響を与え、音楽シーンの潮流を見事に変えた一枚でもあるのです。

とはいえ、彼女の作る楽曲、そして優しく包み込むような声で唄われるその歌は、実に清楚でキッチリした聴き易さと、それまでカントリー調の曲が多数を占めていたポップスの世界にジャズやR&Bの要素を、ちゃんとポップスとして聴けるような分かり易い形にして取り入れ、その「分かり易く、でも飽きない形のポップス」という、いつの時代にも通用するしっかりした骨組みのゆるぎないものを作り上げた。という意味で、これは本当に衝撃的な作品だと思います。

もちろんキャロル・キングは「つづれおり」のみにあらず!他のアルバムも全く変わらないクオリティの、心から”上質”といえるものばかりですが「つづれおり」だけはそれこそ一家に一枚でもいいぐらいのエヴァーグリーン中のエヴァーグリーンなんじゃないかと思います。



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする