2016年11月11日

ロン・カーター スパニッシュ・ブルー

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ロン・カーター/スパニッシュ・ブルー
(CTI/キングレコード)


ツイッターを見ておりますと「11月11はベースの日!」というタグが付いたツイートで盛り上がっておりました。

アタシはてっきり11月11日は「ポッキーの日」とばかり思っていたんで、朝起きてツイッターを見ると新垣結衣さんを讃えるツイートで、タイムラインが埋め尽くされているんだとばかり思っておりましたが、これは意外でした。

「何で11月11日はベースの日なんだろう?」と思ったら、1111の数字の並びが、弦が4本あるベースと同じであるからとか。

ほうほう、これは面白いですなぁ。

知らなかったアタシは、早速感化されて今日は”ベースもの”を聴いてたんですが、さて皆さんは”ベース”といえば、誰を思い浮かぶでしょうか?

ざっとアタシの中でも、色々なジャンルの色々なベーシストが思い浮かんだのですが、

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SHIMA-CHANG・・・(ポッ)


あぁぁあ・・・!!(汗)


・・・

というわけで、今日は皆さんに「ベーシストのカッコ良さ」というのをお伝えしたい。

カッコイイといえば、やっぱりジャズですよね。ウッドベースのカッコ良さはやはり特別です。

弾けずとも、持っているだけでカッコイイ、それがウッドベースだとアタシは思ってるんですが、ジャズ界には「ミスター・ベース」と呼ばれる超カッコイイ、ダンディーなおじさまがおります。

それがロン・カーター

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いや〜素敵、オシャレ、こういうおじさまにアタシはなりたい。。。

190はあろうかというスラッとした長身で、知的なお顔、そしてスーツの着こなしも実にシャレてます。これぞジャズマンです。

と、のっけから興奮気味ですいません。ロン・カーターはルックスだけじゃなく、当たり前ですがベーシストとしての腕も一流で、何より音色もアプローチも、実に”あ、これはロン・カーター”と呼べる、結構濃い個性を持っているんですよ。今日はそのへんの話をば・・・。


ロン・カーターがジャズの世界でその名を知られるようになったのは1960年代。

彼のキャリアの最初の方で一番デカいのは、もちろんあのマイルス・デイヴィスの最後のアコースティック・バンド。すなわちウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、トニー・ウィリアムスという、当時の若手の中でも選りすぐりの”新しいセンス”を持ったメンバー達と、ジャズの歴史と常識を次々塗り替えた時期であります。

それ以前にも「チェロ&ベース奏者」として、エリック・ドルフィーの名盤「アウト・ゼア」など、どちらかというと、オーソドックスなモダン・ジャズのベーシストというより、どこかメジャーな路線から離れた前衛的な感覚を持つプレイヤーと思われていたフシがあります。

実際に彼の演奏は、ゴムのように弾力のある音色と、不穏さを醸し出す微妙なピッチで、コードとコードの間を漂いながら、どこかおぼろげな独特の雰囲気を醸すプレイでありました。

よく「ロン・カーターは音程が悪いから・・・」と、否定的な意見も確かに読むこともありますし、それはある意味で間違ってはいないと思いますが、しかししかし、アタシはロン・カーターの不安定な(あえてこう言いますよ)音程が醸し出す微妙な”揺れ”の空気、これにとってもジャズを感じてたまんないんです。えぇ、好きなんです。

マイルス・バンドで大活躍した後の70年代に、ロン・カーターは次々にソロ・アルバムをリリースします。

丁度この頃は後に”フュージョン”と呼ばれるクロスオーバーなジャズが出始めの時期でもあり「ちょいとフツーじゃないジャズがまだやりたい」と、恐らく思っていたであろうロン・カーターにとっては、この時流が追い風となり、日本を中心に人気が出て、彼のアルバムはよく売れるんです。






【パーソネル】
ロン・カーター (b)
ヒューバート・ロウズ (fl)
ローランド・ハナ (p,el-p)
レオン・ペンダーヴィス (el-p)
ジェイ・バーリナー (g)
ビリー・コブハム (ds)
ラルフ・マクドナルド (per)

【収録曲】
1.エル・ノーチェ・ソル
2.ソー・ホワット
3.サバド・ソンブレロ
4.アーカンソー


1974年にリリースされた「スパニッシュ・ブルー」は、当時の日本のジャズ喫茶でも人気があったアルバムで

・スパニッシュ

・マイルスの曲、

・ブラジルっぽいスローな曲

・ユルめのジャズファンク

と、バリエーション豊かな選曲で、ロン・カーターという人の魅力が総合的に楽しめます。

この作品を出しているCTIっていうレーベルがまた、60年代以前に活躍した大物たちの演奏を、ちょいとクールで爽やかなアレンジで色付けして、硬派を気取ってたアタシは最初バカにしてたんですけど、そんなアタシに「気合いの入った初期フュージョンはカッコイイ」ということを教えてくれたレーベルです。

このアルバムでも、多国籍な雰囲気とラストのアーバンファンクな曲調とアレンジが、そこはかとないフュージョン感ではあるんですが、@Bでのひんやりとした哀愁とか、ビシッと決まる4ビートは流石のAとかで、一本筋が通った”ジャズ”に仕上がっております。ロン・カーターのベースもここでは割とカチッとしたピッチで演奏全体を的確に支えていて、ベーシストとしての確かな腕前にも満足♪

あと、このアルバムはフルートのヒューバート・ロウズがとても素晴らしいです。グイグイ前に出てスイングするテクニックももちろんですが、この人の音色自体がとっても澄み切っているくせにやたらこう泣かせるところがあるんですよね。だからロン・カーターのウッドベースとエレキの中間みたいな不思議なベースの音ともすごく相性よく響きあっています。「哀愁紳士」ローランド・ハナのカッチリと泣かせるピアノもええよ。




(スパニッシュだねぇ、カッコイイねぇ・・・)


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2016年11月09日

ドビュッシー:海(デュトワ)


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海、牧神の午後への前奏曲、夜想曲、遊戯 デュトワ&モントリオール響

(DECCA/ユニバーサル)

やっぱり海に近い所で生活している訳ですから「海」をテーマにした音楽や文学には、どこか本能的に惹かれたりします。それは単純に”海が好きだから”というのとはちと違う、その美しさも壮大さも、或いは恐ろしさも・・・、諸々の芸術というものが、それをどう表現しているのだろう?という、根っこからくる気持ちによります。

「海」がテーマの曲をアタシが聴くときは、単純に「わー、綺麗だねー」というのではなく、作者があの巨大で底なしで、とことん美しく、でも得体の知れない不可思議なものとどれだけ真剣に対峙して、海というものをどれだけ心の目をガッチリ見開いて見ているか?それに尽きる訳です。

で、ドビュッシーの「海」です。

ドビュッシーは近代フランスの作曲家で、先輩格に当たるチャイコフスキーやショパンから、繊細で優美、そして文学的で相当にロマンチックかつドラマチックな作風を受け継いでおり、更にそこにより多くの音階を駆使した技法で、実に抽象的で幻想的な世界を築き上げ、世間的には「音の印象派」とか呼ばれております。

凄い作曲家なんですが、実はコノ人、クラシック以外のジャンル・・・例えばマイルス・デイヴィス以降のモダン・ジャズとか、プログレッシブ・ロックとか、その辺に凄く影響を与えてもおりまして、最近では椎名林檎嬢なんかが「ドビュッシー最高!」とか言ってたのを何かで読んだことありますね。えぇ。。。

それはそうとして、ドビュッシーです。

ピアノ曲が有名なドビュッシーですが(元々ピアニスト志望だったというのもあるからでしょう)、実は交響曲や管弦楽曲など、いわゆるオーケストラ音楽でも優れた作品を残している人なのです。

「海」は、管弦楽曲の最高傑作と評価の高い曲です。が、そのことはアタシは大分後になって知りました(汗)。

「お、この前ピアノもの聴いて良かったドビュッシーだ。しかもタイトルが”海”かぁ・・・何かよくわからんが聴いとこ♪」

ぐらいの軽い気持ちで買った「海」これが実によくわからんかったのですが、実に良かったのですよ。

”わからんかった”というのは、ドビュッシー独特の、掴めそうで掴めない、繊細でめまぐるしい曲展開、”良かった”のは、だからこそのはっきりとした音階や”形”で浮かんでくるのではなく、もっと幻想的な”光”や”影”で脳裏に浮き上がってくるイメージの美しさです。

解説書を読むと「夜明けから日暮れまでの海の移り変わりを描写した楽曲」と書かれておりましたが、ハッキリ言って最初に聴いていきなりそこまでは分かりませんでした。でも、海の、特に海原の”動いてないようで
実は大きく動いている表情”というのは、とてもリアルに音楽で描かれているなと思いました。

その後、ドビュッシーをあれこれ聴いて思うのは「水辺での光の戯れ」という言葉です。ハッキリと捉えられる形はないけれども、そこに何か本質的なものが確かにある。そういう存在を光の乱反射とその反対側にある影で感じさせてくれる音楽。どんなタイトルが付いていようが、ドビュッシーの音楽は本質的に”それ”だと思います。

このアルバムは、他にもバレエ音楽も入ってます。

特に注目なのが、1曲目に収録されている「牧神の午後」。


(牧神の午後)


この曲は、元々バレエ音楽として書かれたものではなかったんだけど、文学界とバレエ界に凄まじいインスピレーションを与え、伝説の天才ダンサー、ヴァーツラフ・ニジンスキーが主演/振り付けでバレエ「牧神の午後」を発表し、その前衛的なパフォーマンスは、賛否両論大いに物議を醸し、その後のバレエの歴史を変えたというエピソードがありますが、そこらへんはアタシがどうこう言うよりも、大リスペクトする山岸凉子先生の漫画で「牧神の午後」という大傑作がありますので、ソチラを読んでください。





ヒジョーにとっちらかった解説ですいませんが、ドビュッシーの「海」という作品、そしてこのアルバムに収録されている楽曲の数々は「音の印象派」というのが、なるほどこういうものなのか!と、ちょいと感性のアンテナが敏感な人にはすごくビンビンくる素晴らしい作品群です。えぇ、それこそジャズやロックが好きな人、音と音との知的で有機的な交感というものに惹かれる人は聴いてみて損はないと思います。




【演奏】
シャルル・デュトワ(指揮)
モントリオール交響合唱団
モントリオール交響楽団

【収録曲】
1.牧神の午後への前奏曲
2.海-3つの交響的スケッチ 第1曲: 海の夜明けから真昼まで
3.海-3つの交響的スケッチ 第2曲: 波の戯れ
4.海-3つの交響的スケッチ 第3曲: 風と海との対話
5.バレエ≪遊戯≫
6.夜想曲 第1曲: 雲
7.夜想曲 第2曲: 祭り
8.夜想曲 第3曲: シレーヌ(海の精)


指揮者はドビュッシーと同じくフランス出身のシャルル・デュトワです。

一時期NHK交響楽団の指揮者で「N響アワー」なんかにもよく出ておりましたので、知っている人は多いと思うんですが、アタシはこの人の事は「どんな音にも抒情を含ませることが出来るおじさん」と呼んでいます。

一見掴みづらいドビュッシーの音楽に、オーケストラを駆使して鮮烈さを保ちつつ、どこか儚げな抒情を演奏に「ふわっ」とコーティングするその指揮ぶりは素敵です。

実はドビュッシーの「海」はもうひとつ、恐ろしいぐらいに透明な美しさを放つピエール・ブーレーズ指揮の名盤もありますが、それはまた別の機会に。。。









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2016年11月08日

AC/DC 悪魔の招待状

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AC/DC 悪魔の招待状
(ワーナー・ミュージック)

いや〜、AC/DCですよ。

いやいやいや、AC/DCですよ。

その〜、明日から奄美地方、天気が崩れるとか言って、そういえばここんとこ急に気温下がったのに何かムシ暑いような気もするね。と思ったら、良い感じにあったかいままで天気はピーカンの秋晴れ。

いや〜、こんな日はAC/DCですよ。

誰が何と言ってもAC/DCなのですよ。

基本「AC/DCはどれもおんなじ!どれもカッコイイ!どれもゴキゲン!ひゃっほぅ!!」

と思っている人間でして、それこそ夢中で集めていた時なんかは「またコレか〜、あっはっは、最高だぜコイツラ!」と、大笑いしながら頭フリフリで聴いていたのですが、その気持ちはオッサンになった今でも変わりません。や、アタシがピュアな感性を持ってるとかじゃあ全然なくて、一重にどんな作品でも最高にロックンロールしているAC/DCが最高なんです。

大体AC/DCを聴く時は「気分」でどのアルバムを聴こうか選ぶのですが、例えば車の中とかで「よぉ〜っし、今日はAC/DC聴きながら田舎道走っちゃうよ〜」って時は、メリハリの効いた超名盤、例えば「バック・イン・ブラック」とか「レイザーズ・エッジ」とか「ロック魂」とかじゃなくて、全編ルーズに、でもやかましくロックしているアルバムがいいですね。

例えば「悪魔の招待状」



【収録曲】
1.悪魔の招待状
2.フィンガー・オン・ユー
3.ゲット・イット・アップ
4.悪魔の一滴
5.スノウボール
6.エヴィル・ウォークス
7.C.o.d.
8.無法地帯
9.長いナイフの夜
10.殺しの呪文


このアルバムはですのぅ、1981年にリリースされた「バック・イン・ブラック」の次の作品で、よくレビューなんかを読んでると「バック・イン・ブラックの影に隠れたアルバムだけど、実は名作」とか、よぉ言われてますな。でも、そんなことはどーでもよろしい、だってAC/DCだもん、どのアルバムも最高じゃい!と思っている全国の健全なロックキッズ達にとっては、評判とか評価とか、それこそ度外視で、全編ズクズクザクザクと、ミディアム・テンポでジワジワ盛り上がって、いつの間にか演奏のテンションも聴く側の興奮値もMAXになっているという状態を楽しみましょう。

言うまでもなくアンガス・ヤングのリード・ギターは、曲の最初と最後にすこぶるカッコイイリフを”ガシッ!”とキメることにおいては天才的なキレを見せてくれますし、そのキレを支えるマルコム・ヤングのバッキングも、リズム隊と一丸になって極上のズ太くタフなグルーヴでブイブイ盛り上がっておりますし、終始金切り声を張り上げてるブライアン・ジョンソン(このアルバムが参加してから2枚目になります)のヴォーカルも、すっかり”AC/DCサウンド”に溶け込んでおります。

ジャケの大砲もいいですよね〜、AC/DCのライヴでは、毎回ハイライトで派手にぶっ放たれる大砲なんですが、すっかりこの「ライヴの大砲」でおなじみのナンバーになった1曲目「悪魔の招待状」でもちゃんと「ズドン!ズドン!」とぶっ放たれる音も収録されてます。いずれにせよ全編ゴキゲンです♪



(2015年のライヴでも盛大に撃ちまくってます♪)




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