2016年11月17日

ブラック・サバス 黒い安息日

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ブラック・サバス/黒い安息日
(Vertigo/Hostess Entertainmen)

今も元気で「キング・オブ・ヘヴィ・ロック」をやってるオジー・オズボーンが、世に出るきっかけとなったのがブラック・サバスであり、そのブラック・サバスの記念すべきデビュー・アルバムこそが、この「黒い安息日(Black Sabath)」なのですよえっへん♪

と、言ったところで今ドキの若い人には「そんなの知ってるよバカヤロー」な話でありましょう。

何てったって今やオジーは、ロック界の大御所として、または今この時点でシーンを賑わせているヘヴィ・ロックのバンド達みんなが尊敬するカリスマであり、はたまた世界中のフェスでなくてはならないライヴの神的存在であり、お茶の間では「ロッカーなんだけど家族をとても大切にする優しくてカッコイイヒーロー」としても、世界的な人気を誇るほどの存在です。

思えば1990年代初頭、アタシら頭の悪いロック小僧にとっては、あのランディ・ローズ、ジェイク・E・リー、ザック・ワイルドなどなど、それまで無名だった若き天才ギタリストを次々と発掘しては素晴らしいアルバムを作る凄い人なんだけど、世間一般には「何か・・・コウモリとか食べる人でしょ?やだこわい・・・」と、ひたすら敬遠されておったことなどを思い出すと、あぁ時代って変わるんだな・・・と、遁世の感があります。

とにもかくにも一時期”悪のカリスマ”ぐらいだったあのオジーが、世間一般でこれほどまでにメジャーになって、しかも知ってる人のほとんどに好意的に見られているというのは、長年のファンとしては嬉しい限り。

さてさて、オジーのことを知っていて、しかも悪しからず思ってくださっている全国のロックファンの皆様には「ブラック・サバスなんて今更」でありましょうが、本日も少しばかりアタマの少々弱いおっさんの与太にお付き合い頂ければ幸いです。

で、もし、万が一「オジーは知ってるけどブラック・サバスって何?つおいの?」と思っていらっしゃる方が折られるならば、今から書く記事をそれなりにちょいと気を向けて読んで頂ければと思います、ハイ。

このバンドが結成されたのは、1969年のイギリスはバーミンガムです。

バーミンガムという所は鉄鋼業の街で、サバスやジューダス・プリーストなどを排出したことから「ヘヴィ・メタルの聖地」とも呼ばれております。

60年代イギリスを席捲していたのが、ビートルズを頂点とする、明るくポップな”リバプール・サウンド”だったのですが、バーミンガムの連中はそれとはちょっと違う、へヴィでドロドロしたブルース・ロックを主に演奏しておったようで、街全体が何かこう不穏でガラが悪く、当然そういう所からは”新しい音楽”が生まれる気配がビンビンありました。

オジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードという、この街の「女風呂を覗くためにツルんでた」よーな悪ガキ達が、新バンドを結成するべく集まったのは、1960年代末の頃であります。

「んで、オレらはバンド組むために集まったんだけど・・・」

「何かいいアイディアあるか?何つうかこう・・・世間をあっと言わせたいべ」

「あぁ?んなもんやかましくて気合いの入った曲やればいいだけよぉ!」

「いや・・・ちょっと待て、オレよぉ、昔映画館行ったんだわ。そん時えーと、ブラック・サバスっつうホラー映画やっててよォ、何だそりゃ?って思ってたんだけど、あん時行列出来てたんだよなー」

「フザケんな、それとロックと何のカンケーがあるんだよ!?」

「フザケてねーべ、ホラー映画って人気あんだろ?だから・・・人間は怖いものが好きなんだよ。オレらもただロックやるんじゃなくてよォ、怖い要素とか入れてみんべ。歌詞を黒魔術っぽくしたりとか、ホラー映画の音楽みたいなことをロックでやったりしたらけっこーウケんべ?」

「マジかよ!?お前アタマいいな!!それやるべ!」

「う、売れたらモテるべ」

「じゃあバンド名は”ブラック・サバス”でよくね?”黒い安息日”とか渋いべ?」


・・・と、割と軽いノリでバンドはその名前と方向性を決めました。

これが1969年のことなんですが、この時バーミンガムの4人の不良の軽い発想が、この後世界中のメタルとかの連中の一種のアイコンになる

「黒魔術、悪魔崇拝、反キリスト、見た目も黒で毒々しい」

とか、そういう流れの源流になったとか、胸がアツくなりますよね。




【収録曲】
1.黒い安息日 (Black Sabbath)
2.魔法使い (The Wizard)
3.眠りのとばりの後に (Behind The Wall Of Sleep)
4.N.I.B.
5.魔女よ、誘惑するなかれ (Evil Woman)
6.眠れる村 (Sleeping Village)
7.警告 (The Warning)
8.悪魔の世界 (Wicked World)

で、オジーを筆頭に、メンバー達は結構涙ぐましい努力をして(不良は夢のためには一生懸命頑張るのです)、ライヴをしながらあちこちにデモテープを送り、地元バーミンガムを中心に徐々に有名になって行くのですが、この時新興のロック・レーベル”ヴァーティゴ”という会社が「お前らのシングル出してもいいぞー。まずシングル出すからついでにアルバムもレコーディングしたらー?」と、連絡をしてきました。

喜び勇んでレコーディングに臨んだサバスの面々でしたが、アルバム製作のために与えられた時間はたったの二日。

「コレどうすんだよ!?」

「ざけんなよ、ダボォ!」

とか何とか悪態をついたり、スタジオの中で酒瓶を投げたりしてたんでしょうが、コイツらは不良なので頑張って気合いと根性で、ブルースのカヴァー2曲を入れつつ、全8曲。何とかアルバム1枚分のレコーディングを終わらせてしまいます。

多分レーベルも「予算ないし、コイツら何かチンピラ臭いから、シングルだけ録音させてみるか。まー多分そんなに売れんだろうが売れたらラッキー」ぐらいに思ってたんでしょう。しかし、アルバム1枚分の曲が入ったマスターテープをレーベルに渡したメンバー達は

「オイ、てめえこの野郎、オレらやってやったぜ。やってやったからよォ、このアルバムを13日の金曜日に発売しろや!」

と、突きつけたかどうかは分かりませんが、話として面白いのでそう夢想しましょう。

そして出来上がったオドロオドロしいジャケットに包まれて、本当に「13日の金曜日」に発売されたのが、この名盤です。

低音弦のハモり(今で言うパワーコード)を効果的に使ったへヴィなギターリフ、呪術的なオジーの声、そして悪魔的キーワードをふんだんに盛り込んだ歌詞によって、このアルバムは若者の間では凄くウケました。もちろん評論家には「テクニックがない」とか酷評されましたが、ともすれば色んなものに凝って、結果やや難しくなってしまったり、理屈っぽくなってしまったりするバンドが多かった当時のイギリスで、サバスの存在は、そのセンセーショナルなキャラクターとサウンド面での分かりやすさ、親しみ易さの絶妙なバランスでもって革命を巻き起こしたのかも知れません。

実はこのアルバム、テーマやイメージは、後のヘヴィメタルの元祖そのものですけど、サウンドの方は当時のイギリスでのスタンダードな流行だったブルースロックのテイストがとても残っていて「フツーにかっこいいロック」としても十分に聴けます。

簡単に言えば「ドロドロにヘヴィなブルースロック」といった感じでしょうか。とにかくこの粘りに粘るサウンドと、ややオカルトチックな雰囲気の不思議な一体感は、サバスのアルバムの中でも何かこうクセになる味わいがたまらんのです。

最後にややマニアックな事を言わせてもらえば、2曲目の「魔法使い」でオジーがブルース・ハープ吹いてるんですよ(!)もちろんそんなオジー他では聴けませんし、これがまたなかなかいいプレイなんですよ。





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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 19:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする