2016年11月20日

ウエス・モンゴメリー ア・デイ・イン・ザ・ライフ

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ウエス・モンゴメリー/ア・デイ・イン・ザ・ライフ
(A&M/ユニバーサル)

ウエス・モンゴメリーといえば、ジャズ・ギターの奏法をとにかく一歩先を行く斬新なものにした革新者であります。

親指一本で信じられないぐらいの流麗で力強い単弦ソロや、オクターブ弦を同時に鳴らす”オクターブ奏法”を繰り出し・・・と、まぁ専門的なことを言えばいくらでも言えるしキリがありませんが、とにかくウエスの凄いところは、たとえばジャズとかギターの音とか、そういうことに全く興味がない人にも

「あら、このギターちょっといいわね」

と言わせてしまうとこなんですよね。

「まさかそんなヤツおらんだろー」

と、お思いの方には、アルバム「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を聴いて頂いております。



【パーソネル】
ウェス・モンゴメリー(g)
ハービー・ハンコック(p)
ロン・カーター(b)
グラディ・テイト(ds)
レイ・バレット(perc)
ジャック・ジェニングス(perc)
ジョー・ウォーレルズ(perc)
ドン・セベスキー(arr,cond)
with.オーケストラ

【収録曲】
1.ア・デイ・イン・ザ・ライフ
(原曲はビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に収録)

2.ウォッチ・ホワット・ハプンズ
(ミシェル・ルグラン作「シェルブールの雨傘」挿入歌)

3.男が女を愛する時
(パーシー・スレッジが歌った1966年のR&B大ヒット曲)

4.カリフォルニア・ナイツ
(レスリー・ゴーアの1967年のヒット曲。当時のポップスを代表する歌)

5.エンジェル
(ジミヘンではありません、ウエス・モンゴメリーの本作唯一のオリジナル・ナンバー)

6.エリナー・リグビー
(ビートルズ、アルバム「リボルバー」収録)

7.ウィロー・ウィープ・フォー・ミー
(「柳よ泣いておくれ」で知られるジャズ・スタンダード)

8.ウィンディ
(アソシエイションズが歌ってヒットした、60年代ソフト・ロック名曲)

9.トラスト・イン・ミー
(戦前から演奏される有名スタンダード)

10.ジョーカー
(元々はミュージカル・ナンバーで、セルジオ・メンデスとブラジル66が歌ってヒットさせたブラジリアン・ポップス)

これ凄くいいんですよ〜、内容はビートルズ・ナンバーを中心に、ポップスのヒット曲を爽やかなストリングス・オーケストラをバックに演奏しているんですけど、ウエスのギターはアドリブ控え目に、原曲のポップなメロディーを、しっかりと”ジャズの音”で弾いております。

曲目の内訳を【収録曲】のところに書いてあったんですが、ビートルズの2曲を筆頭に、このアルバム収録当時のポップスのカヴァーが中心です。

アルバムが収録された1967年は、丁度ロック全盛期で、世界中をビートルズ旋風が席捲していた時代。

ジャズはセールス的に苦戦を強いられておりましたが、ジャズの演奏家達も「これじゃいかん」と自分達の演奏の中に、何か新しいものを見出そうと必死で模索していた時代ですね。マイルス・デイヴィスはエレクトリックなバンドを実験的にやり出して、色んな人がソウル・ジャズとかジャズ・ファンクとか、とにかく世間で流行している音楽の要素を取り入れながら、次々とジャンルを跨いだ面白い作品を出し始めていた時代。

後に”フュージョン”という音楽が、こういった流れの中から生まれてきますが、ウエスのこのアルバムは、その元祖ともいえるかも知れません。

楽曲はポップで、ストリングスやパーカッション(ソフトなやつ)を配した、これまたポップなアレンジ。でも、その中でキラッと渋い光沢を放つ、熟練のジャズなフィーリング。聴き易いけれども決して軽薄な音ではなくて、入り込む人の耳をしっかりと惹きつけて離さない後味の物凄いコクがあるんです。

ウエスがギター弾きまくってる、あるいはジャズしまくってるアルバムなら、断然初期のRiverside盤でしょうが、後期のポップなアルバムには、抗し難い音楽的な魅力が詰まってるような気がします。


(「男が女を愛する時」短い演奏でアドリブも抑え気味ではあるんですが、これが泣けますね)




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サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする