2016年11月30日

チャーリー・ラウズ モーメンツ・ノーティス

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チャーリー・ラウズ/モーメンツ・ノーティス


(Storyvile/Solid)

はい、明日から12月ですが、当ブログでは

「11月はチャーリー・ラウズ強化月間だい!」

と勝手に盛り上がりまして、アルバムを2枚ほどレビューを致しましたが、直接のお問い合わせも、このブログを経由してのポチもまだないようで・・・。ついでにちょいと前に

#チャーリー・ラウズとブッカー・アーヴィンのいないジャズなんて考えられない人RT

を、ツイッターで流してみましたが、コチラのツイートも反応してくれたのが僅か1名の方のみという淋しい状況。


よよよよよよ・・・(泣)


うん、確かにチャーリー・ラウズはそんな有名でもないし、派手な人ではないです。ジャズ界隈でもいまだにその評価が「何かセロニアス・モンクのとこにいた人でしょ?へー、ソロアルバムも出してるの、あ、そー」みたいな感じで不当に低いです。

断言しますがラウズのソロ作こそ、適度にブルーで程よくハードボイルド。何より大事なのはラウズの誠実なテナー・サックスのプレイが、聴いてる人の気持ちをじわじわと自然に豊かなものにしてくれるのです。刺激だけでは到底間に合わない「あ、これはいい音楽を聴いたなぁ・・・」というしみじみとした感慨を、そのジャズの良心がギュッと詰まった素敵な演奏で、私達の心に優しく植え込んでくれるのです。

正直なところを言いますと、モンク・カルテットでのラウズの、ひたすらリーダーを立てて破綻のない演奏をやっているラウズは、当初あまり好きではありませんでした。


でもどこかで、アタシはこう感じてもいたんです。

「ちょっと待って、このオーソドックスなスタイルと、人の良さそうな柔らかいトーンは、もしかしてモンクよりもっと普通のジャズを、渋く吹いたらカッコイイんじゃない?」

と。

で、ホントに"もののついで"に、たまたまフラッと入ったCD屋さんにラウズの「ヤー!」が置いてあって、それを何の気なしに買って家でボケーっと聴いていた時にグッときたのが、バラードの「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」。

これがもうどれほど素晴らしいバラードだったか・・・。とにかくアタシの認識はガラッと一転して、ソロのラウズ、モンク・カルテットでのラウズを徹底して聴き込んで、ジャズの表面の刺激を求めるだけでは分からなかった奥深い味わいの虜になりました。




【パーソネル】
チャーリー・ラウズ(ts)
ヒュー・ローソン(p)
ボブ・クランショウ(b)
ベン・ライリー(ds)

【収録曲】
1.ザ・クラッカー
2.レット・ミー
3.ジューボイエ
4.ウェル・ユー・ニードント
5.ロイヤル・ラヴ
6.ア・チャイルド・イズ・ボーン
7.リトル・シェリ
8.ロイヤル・ラヴ(別テイク)
9.レット・ミー(別テイク)
10.ザ・クラッカー(別テイク)
11.ウェル・ユー・ニードント(別テイク)



で、本日のオススメは、一貫してまろやかでハートウォームな音色で、実に多彩な表情に溢れるラウズのソロ作の中では、最もハード・ドライヴィングなノリを楽しめる、1977年製作のアルバム「モーメンツ・ノーティス」です。

70年代といえば、ラウズは長年奉公してきたモンク・カルテットを卒業し、滅茶苦茶ヤル気をみなぎらせていた時期で、気鋭のリズム・セクションが繰り出す斬新な解釈の4ビート(時に8ビートや16ビートに変化する!)に乗って気持ち良く吹きまくるアルバムなんですよ。

メンバーは、メリハリの効いたピアノ・プレイはもちろん、70年代にジャズ・ファンク(やや)フリー系の曲をたくさん書いていたヒュー・ローソン、惜しくも先頃亡くなりましたが、60年代以降のソニー・ロリンズの録音には欠かせない職人ベーシスト、ボブ・クラウンショウ、そして!ラウズとは共にモンクを長年支え、もう"あ・うん"で演奏できる仲の盟友ベン・ライリー。

この渋〜いメンツに渋〜いラウズですから、内容は悪かろうはずがありません。

1曲目、ヒュー・ローソン作曲のノリノリの、何故かヒジョーにロックを感じる「ザ・クラッカー」から、バンド全体がガッツリ一丸となった素晴らしくホットなノリを浴びた瞬間に「あ、これ決まったわ」となること必至ですが、更にほとばしる熱気の鋭利な4ビート・ミディアムや、気持ちソウルやロック寄りのナンバー、そしてモンクの「ウェル・ユー・ニードント」。

これはもうラウズとライリーの「目ェつぶってでも出来るぜぇ♪」な圧倒的"オハコ感"溢れる、多分モンクそんなに知らない人でも、のけぞりは間違いない名演ですが、極め付けはバラード名演の「ア・チャイルド・イズ・ボーン」。

「ススス・・・」と、吐息の混ざる豊潤な憂いを含んだ音色で"唄"を紡いでゆく、ラウズのいいところの集大成のような、どんな言葉を尽くして書いても、それら全てが薄っぺらくなるような、理屈抜きのバラードですよ。

アルバム全体としても、尋常じゃないバンドの熱気が、最後まで飽きさせずに全部の曲をしっかりじっくりと聴かせてくれますので「ラウズかぁ、まだ持ってないんだよね」という方には、最初の1枚としても全然Okです。そんぐらい、ジャズとしての密度は濃厚です。や、ラウズ自体はどんなに気合い入ってても、柔らかく人なつっこい音で破綻なく吹いてるんですけど、それが最高なんですわ。




(最初聴いて「これは何ということでしょう!」と叫びました、バラード名演です。)

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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする