2016年12月08日

セロニアス・モンク クリス・クロス

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セロニアス・モンク/クリス・クロス
(Columbia/ソニー)


いやもうここ数日、日中にストーンズの「ブルー&ロンサム」を浴びるように聴き狂って、家に帰ると今度はブルースを浴びるように聴きたくなって、ブルースに目一杯まみれております。

んで、一日の疲れを心身にじわ〜っと循環させながら「あぁ〜・・・何かいいなぁ・・・」となったときに、シメにジャズを流し込む。

これがいいんですよ。

最初のうちはゴリゴリのジャズファンクとか、タフなボステナー系を聴いてトロ〜ンとしておったんですけどね、ブログに書くために先日ご紹介したセロニアス・モンクの「ストレート・ノー・チェイサー」を流してみたら、これが何か妙にしっくりくる。

60年代のモンクの音源は、括弧付きのブルースから軽やかに飛翔してゆく独自のブルース・フィーリングに溢れたピアノは、聴いているうちにどんどん心と体から重たいものをはがしてくれるような、そんな気持ちにさせてくれるんです。

アタシはジャズもブルースも大好きで、どちらの音楽も共通して「これがあればカッコイイ」と思えるのは、濃厚で味わい深いブルース・フィーリングなんですよ。

ただ、ジャズの場合はそれが、定型(つまり「あぁ、ブルースってこういうものだよね」という軽めの想像)を逸脱して、いわゆる音楽ジャンルとしての「ブルース」とは、全く根っこを同じくして違う種類の花を咲かせているものがあるんですね。で、そういう”変わった花”を見付けると「おや、こんなのもあるんだね」と、とても嬉しくなっちゃうのです。

セロニアス・モンク、特に刺激とくつろぎの配分が丁度半々ぐらいでとてもよろしい60年代以降のカルテット(チャーリー・ラウズが入ってるやつ)のアルバムは、アタシにとっては最高にリラックスできるし楽しくもあるし、聴く毎に色々な発見の喜びを教えてくれます。

本日ご紹介するのは、1963年にリリースされた「クリス・クロス」モンクがメジャーのColumbiaと契約して出したスタジオ・アルバムとしては2枚目の作品。

このアルバムをレコーディングした直後に、モンクは初来日を果たして、伝説の日本公演を行うんですけど、そのコンサートの素晴らしさはさることながら、記者会見のやりとりとか「モンク観たけど何かおかしな人だった」とかいう素敵な伝説もたくさん残しています。

モンクの音楽は、その他の誰とも比べられない、比べようがない超個性ゆえ、評価が宙に浮いて勝手に「難解だ」と思われておりました。

そんなイメージが先行して、みんな構えてコンサート会場にやってきたら、独特は独特だけれども、しっかりとノレるゴキゲンな演奏だし、ラウズが一生懸命ソロ吹いてる時に立ち上がってヒョコヒョコ踊り出したり、観ている人達は最初呆気に取られながらも「なんだ、モンクっておもしれーじゃん♪」と、実にほっこりしたそうです。




【パーソネル】
セロニアス・モンク(p)
チャーリー・ラウズ(ts,@BCDF〜IK)
ジョン・オー(b,@B〜DF〜K)
フランキー・ダンロップ(ds,@B〜DF〜K)

【収録曲】
1.ハッケンサック
2.二人でお茶を trio
3.クリス・クロス
4.エロネル
5.リズマニング
6.ドント・ブレイム・ミー (リテイク1)piano solo
7.シンク・オブ・ワン
8.クレパスキュール・ウィズ・ネリー
9.パノニカ (テイク2)
10.カミング・オン・ザ・ハドソン (テイク3)*
11.二人でお茶を (テイク9) * trio
12.エロネル (テイク3) *

*ボーナストラック

この「クリス・クロス」は、正にその「ゴキゲン」と「ミステリアス」と「ちゃんと聴かせる」がしっかり詰まってます。

収録されているのはラウズ入りのカルテット8曲にラウズ抜きのトリオが2曲、そして完全ソロ・ピアノの計12曲です。編成が大きい曲はほぼノリノリの跳ねるような曲が多いし、選曲も初期の頃から演奏しているオリジナルに、お気に入りのスタンダードがちょこっと。

オリジナルもスタンダードも「あ、モンクだね♪」とすぐにピンとくる、ズラしの美学が盛大に炸裂♪

特にアタシがオススメしたいのは、モンクの「それ行け、やれ行け!」とばかりに繰り出されるアゲアゲブツ切りのピアノに、負けじとテナーを震わせて突っ掛からないソロを吹ききる「リズマニン」(昔は「リズム・ア・ニン」の表記で「おぉ、確かに忍者っぽいぞ、ニンニン!」と興奮したものです)ですねぇ。

ただ「楽しい/ゴキゲン」なだけでなく、ソロ・ピアノの「ドント・ブレイブ・ミー」での、ガラッとシリアスで、ピアノ芸術の深淵を、厳しく選ばれた音を紡ぐプレイにもハッとさせられて引き込まれますね。

聴く側にとっては実に程よく気合いの入った演奏を、しっかりとしたプロデュースがとても効いたバランス最高なアルバムです。セロニアス・モンク入門盤としてもぜひ。




(「リズマニン」「リズム・ア・ニン」どちらでもよろしい♪)



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする