2016年12月14日

セロニアス・モンク ザ・ユニーク

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セロニアス・モンク/ザ・ユニーク
(Riverside/ユニバーサル)

さて、「プレイズ・デューク・エリントン」でRiversideからデビューし直したセロニアス・モンクでしたが、このレコード、これまで出した彼の作品の中ではまあまあ売れた方ではありましたが、モンクの名を広く世間に知らしめるまでには至りませんでした。

「うう〜んセロニアス、これは困った。俺はアンタの演奏は素晴らしいと思う。がしかし世間にはまだまだ上手く伝わってはいないみたいだ・・・」

レーベルオーナーのオリン・キープニュースは頭を抱えます。

「ふぅん、そうかぁ・・・(それならそれで別に構わんが、そろそろ自分で作った曲をレコーディングしたいなぁ)。」

「聞いてるかセロニアス?」

「あぁ、聞いてなくはないよ」

「レコードが売れないことには話にならないんだよ、次のレコードを作るにも資金が要る」

「(だからオリジナルをレコーディングさせてくれ)へぇ、そういうものかね・・・」

「次のレコーディングなんだが、スタンダード集にしようと思うんだ。もちろんトリオでね」

「う〜ん、私はオリジナルをやりたいんだ。サックスも入れて欲しい。曲はもう出来ている・・・」

「それは次のセッションじゃダメかな?」

「気持ちは分かるがまずはスタンダードだ」

てな具合に、揉めたかどうかは解りませんが、多分揉めたでしょう。しかしやはり先立つものがないと曲の発表どころではありません。モンクはスタンダードでアルバムを作る事に同意してスタジオに入ります。

そうして出来上がったアルバムに、キープニュースは「ザ・ユニーク」というタイトルを付けてレコードにしました。

このユニークには

「セロニアス・モンクって面白いよ」

という意味と

「さあ聴いてくれ、ここに収められているのはみんながよく知るスタンダードだ、しかしね奥さん、ただのスタンダードじゃあないんだよ。えぇ、並の弾き方じゃない、一度聴いたら忘れられないこれはちょいと変わった他じゃあ聴けないユニークなスタンダード・アルバムだぁ」

という二重の意味を込めたんだと思います。



【パーソネル】
セロニアス・モンク(p)
オスカー・ペティフォード(b,@B〜F)
アート・ブレイキー(ds,@B〜F)

【収録曲】
1.ライザ
2.メモリーズ・オブ・ユー
3.ハニーサックル・ローズ
4.ダーン・ザット・ドリーム
5.二人でお茶を
6.ユー・アー・トゥー・ビューティフル
7.ジャスト・ユー、ジャスト・ミー


実際に、モンクはおなじみのスタンダード・ナンバーを、のっけから"ハズし"も"崩し"も"ズラし"も全開の、まるで曲を一回完全にどかーんと壊して楽しく組み直したような、そりゃもうオリジナルにしか聴こえないようなゴキゲンな演奏に終始していまして、ホントに痛快です。

メンバーは前作から引き続きのオスカー・ペティフォードと、Riversideでは初共演ですが、実はモンクとは以前からちょくちょく共演したり、セッションではモンクやミルト・ジャクソンと共謀して、わざと複雑なリズムやバッキングを編み出して、ホーン奏者達を困らせて喜んでいたアート・ブレイキー。

本作ではこのブレイキーの煽りまくるやんちゃなドラムが、モンクの「スタンダード、やりたい放題」に見事に火を点けてます。

1曲目からハイテンポで不協和音も"フレーズのぶった斬り"も炸裂してて笑いが止まらんのですが、ハイライトはファッツ・ウォーラー作の「ハニーサックルローズ」。

ファッツ・ウォーラーはモンクも直接影響を受けた「ぶんちゃっ、ぶんちゃっ♪」のストライド・ピアノの名人ですが、モンクの奇妙によじれながらの「ぶんちゃっ、ぶんちゃっ♪」のキケンな香りのプンプン漂うカッコ良さ/疾走感が、もうアホみたいに中毒性高いのですよ。

と、思わせつつ、淡々と美しいバラードの「ダーン・ザット・ドリーム」や「ユー・アー・トゥー・ビューティフル」など、ドキッとさせる演奏もしっかりとあり「ハチャメチャなようで実は深い」「哲学的な破天荒」なモンクの魅力は全編で炸裂しています。

それにしてもモンクの弾くスタンダードはまるでモンクが作った曲であるかのように斬新で刺激的ですね。

「なんて豊かな音楽だろう」

聴く度にそう思います。



(この外れたバネがピョンピョンしてる感!ペティフォードのベースソロもよろしいなぁ♪)


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 18:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする