2017年01月03日

アート・ファーマー ブルースをそっと歌って

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アート・ファーマー/ブルースをそっと歌って
(Atlantic/ワーナー)

改めまして皆さま、あけましておめでとうございます。

今年の正月は幸いにして3日までお休み、それでもまぁ親戚事でバタバタしますが、実家に預けてあるアナログレコードをいくつか自宅に持ってきて、久々にアナログ祭りをしました。

アナログで聴きたかったのは、古いジャズやブルースです。特にこだわりという訳ではないのですが、例えば1950年代とか60年代の音楽が「プチ、プチ」というスクラッチノイズと共にスピーカーから流れてくる嬉しさに、意識をのへ〜っと委ねて良い感じの”聴き初め”が出来ました。

気持ちを一新して、本日から2017ヴァージョンで、皆様にグッド・ミュージックをご紹介致します♪

さて、本日ご紹介致しますのは、アタシのアップアップしていた忙しない年末の日常を救ってくれたこの一枚。





【パーソネル】
アート・ファーマー(fln)
スティーヴ・キューン(p)
スティーヴ・スワロウ(b)
ピート・ラ・ロカ(ds)

【収録曲】
1.ブルースをそっと歌って
2.アド・インフィニタム
3.プチ・ベル
4.ティアーズ
5.アイ・ウェイテッド・フォー・ユー
6.ワン・フォー・マジッド


はい、ジャズですよ♪ そのジャズの世界には”良心”と呼べるアーティストが何人かおります。

たとえば誰もが知るマイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンのように、革新的なスタイルを打ち立てて、ジャズの歴史を大きく変えた訳でもない。でも、その人のプレイには、何ともいえない人間的な味わいの深さがあり「そうだ、今日はジャズでも聴こう」という、聴く人の淡い感情に優しく応えてくれる人。

実はジャズを聴く上で大事な・・・というか「飽きることなくずっとこの音楽を好きでいよう」と思わせてくれるのは、この辺りの”良心”な方々のプレイがとっても胸にじわんとかほわんとかくるからに他なりません。

で、アート・ファーマーです。

アート・ファーマーはトランペッター、でもトランペットとほとんど同じ構造ながらより柔らかな音がするフリューゲル・ホルンを得意として、50年代からライオネル・ハンプトン・オーケストラやホレス・シルヴァー・クインテット、ジェリー・マリガン・カルテットとか、それから忘れてはならないファーマー=ゴルソンの”ジャズテット”などなど、結構輝かしい経歴の持ち主なんですが、その音色は端正であくまで控えめ、アドリブラインは慎重に音を選んだ知性に溢れるものであり、管楽器奏者としては珍しく、どちらかというと主役を張ってバリバリ吹きまくるタイプというよりは、個性的な共演者のいるグループでちょっといい味を出す、或いはリーダーになっても全体のアンサンブルを重視しながらの、非常に調和の取れた美しいソロで、聴く人に素敵な安心感をもたらすタイプの演奏家なんです。

そんなファーマーのリーダー作で、アタシがこよなく愛するのがこの「ブルースをそっと歌って」です。

うん、幻想的なジャケットがとてもいいですよね。中身もジャケットのイメージを裏切らない、とても美しくてクールな抒情に溢れております。

ファーマーのフリューゲルホルンは、ひたすらなめらかに美旋律を紡いでおりますし、硬質で余計なものを一切廃したスティーヴ・キューンのピアノと、彼のトリオのメンバーであるスティーヴ・スワロウ、ピート・ラ・ロカの繰り出すリズムも、熱さや激しさを内に秘めながらもメロディアス。

ところがこれ、よくよく聴いておりますと、バックのスティーヴ・キューン・トリオの演奏が、実におかしい。いやいや、正確には”知的に狂ってる”と言っていいでしょう。ファーマーの吹くテーマにしっとりと寄り添いながら、そのタイミングを微妙にずらしながら乖離して行き、ソロとなると完全にキレてるピアノ。



(3曲目「プチ・ベル」こらもうとことん切ない)


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 08:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする