2017年01月08日

ジュラシック5 クオリティ・コントロール

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ジュラシック5/クオリティ・コントロール
(Interscope Records)

90年代はヒップホップ文化が世界的に華やかだった時代でした、その原動力となったのがギャングスタ文化です。

西海岸と東海岸のギャング達が派手に抗争を繰り広げ、それぞれの勢力を背景にしたレーベルやラッパー、DJ達が競うように派手な作品を次々と世に出してきて、世界中のファン、または純粋にワルい子達は、また競うようにそれらのレコードを追い、ファッションを血眼になって追っておりました。

まぁそれはそれでシーンに活気があるということで好ましい、でもちょっと待て?肝心の音楽的なことや、元々社会性の強かったリリックなどの、ヒップホップが元々持っていたメッセージ的なことは?仲間達と純粋に楽しめたあのアンセムな雰囲気はどこへ行った?

と、少なからず疑問を呈する昔からのファンはおりました。

その時代新たにヒップホップに目覚めた若い人でも、DJ達の元ネタを掘るうちに、そういう聴き方に目覚めた人達も結構おりました。

そんな中でジワリ盛り上がっていたのが、1980年代の、娯楽性の強いいわゆるオールドスクールや、ゴールデン・エイジと呼ばれる汎アフリカ主義に基づく社会性の強いヒップホップ(つまりは「ブラック・ミュージックとしてのヒップホップを盛り上げようぜ」という思想)への回帰です。

ジュラシック5がLAから登場してきたのは、ヒップホップが全盛を迎え、売れ線のエンターティメントとしても成熟を見せていた2000年。

このヒップホップ・ユニットが、2DJ(カット・ケミスト、ヌ・マーク)に4MC(ザキール、チャリ・ツナ、アキル、マーク・セヴン)という豪華な編成であると聞いた時、最初アタシは「物凄いコワモテのギャング集団なのかな?」と、勝手に想像しておりました。そうでなくともコレはサウンドも相当に派手でイケイケなんだろうと。


【収録曲】
1.ハウ・ウィ・ゲット・アロング
2.ジ・インフルエンス
3.グレート・エクスペクテーションズ
4.クオリティ・イントロ
5.クオリティ・コントロール
6.コンタクト
7.ローズド
8.ワールド・オブ・エンターテインメント(WOE・イズ・ミー)
9.モンキー・バーズ
10.ジュラス・フィニッシュ・ファースト
11.コントリビューション
12.トゥエルヴ
13.ザ・ゲーム
14.インプロヴァイズ
15.スウィング・セット


彼らのデビュー・フル・アルバム「クオリティ・コントロール」の試供品が送られてきて、最初は「ヒップホップだし店で流しとくか」ぐらいの気持ちだったんですね。

何かがぶっ飛んで、素直な感動が一気に押し寄せたのは、1曲目のイントロのベースラインを聴いた時すぐに、もう本当に「すぐに」でした。

「これ、凄い!凄いファンク!!」

2DJと言いながら、派手な効果音に類に頼らず、サンプリングソースから丁寧に抽出した骨太なビートをあくまで軸にした硬派なトラック、そして4人の、それぞれ個性的な声と韻の踏み方を持つMC達によるリズミカルで絶妙なグルーヴを生み出すマイクリレー。

その見事な”素の実力”というか、DJとしてあるいはMCとしての底力だけでパフォーマンスを繰り広げている姿勢を、まずはカッコイイ!と思いました。つまりアタシなんかは「ブラック・ミュージック」というものをブルースから入ってジャズで深く理解して、それからソウルやR&Bを好きになってより広く楽しめるようになったクチなんですけど、ジュラシック5のヒップホップからは、正にそんなブラック・ミュージックの歴史とダイレクトに繋がっているリアリティをとても強く感じました。

歌詞をじっくり読み返しても、社会的なメッセージをふんだんに織り込みつつ、基本となるのはヒップホップが”みんなで楽しく一緒に歌いながら盛り上がれる音楽”だった頃の楽しさやワクワクした気持ちの壮大なアンセム(賛歌)でありますね。”Fun”ってのはこういう雰囲気なんだなぁとしみじみ・・・。





(タイトル曲「クオリティ・コントロール」この雰囲気ですよ♪)


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | HIPHOP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする