2017年01月09日

セックス・ピストルズ 勝手に来やがれ

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セックス・ピストルズ/勝手に来やがれ
(Virgin)

「パンクっつたらシド・ヴィシャスだぜ、もし今ピストルズが再結成して何の意味がある?シドのいねーピストルズなんて意味ねーぜ」

と、物知り顔でのたまってた10代の頃

「あ、いや、”勝手にしやがれ”の時って、シドはベース弾いてないのよね。大体あいつベース弾けねぇし、そっかそっか、ごめん、ピストルズ再結成しても意味あるわ」

と、反省したのがそのちょい後

その時ロックの神様は言いました

『ふむ、人間というのはロックと共に成長してゆくものであるぞよ』

と。

何かいきなりすいません。やっぱり「リアルタイムを知らない」という意味において「伝説のバンドが再結成したら」という想像遊びは、何だかんだ楽しかったし、多感な年頃のキッズにとっては、これは色んな感受性を刺激してくれる楽しい遊びであったんです。

で、ピストルズ。

1996年にいきなりジョニー・ロットン(vo)、スティーヴ・ジョーンズ(g)、グレン・マトロック(b)、ポール・クック(ds)というオリジナル・メンバー、つまり彼らがリリースした唯一のアルバム「勝手にしやがれ」と同じメンツであっさり再結成したんです。

しかもその理由というのが

「カネのため」

という、ヒジョーにシリアスな笑いに満ちたものでした。

世の中は賛否両論、とくに否定的な意見の人達が雑誌なんかを賑わせてたような気がするんですけどね、アタシは腹を抱えて笑いました。

だってほれ、既にオッサンになったピストルズが、相変わらずカッコ良くて反骨に満ち溢れたサウンドでロックンロールしてたらそれはそれでカッコイイし、オッサンになって無様に醜態を晒してだらしない演奏をしていたとしても、それはそれで「うむ、流石はピストルズ、パンクだわい」と楽しめるではないですか。いや、むしろそっちをアタシは期待してたんです。




【収録曲】
1.ボディーズ
2.セヴンティーン
3.ニューヨーク
4.分かってたまるか
5.ディド・ユー・ノー・ロング
6.ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン
7.ライアー
8.サテライト
9.(アイム・ノット・ユア)ステッピング・ストーン
10.さらばベルリンの陽
11.サブミッション
12.プリティ・ヴェイカント
13.拝啓EMI殿
14.アナーキー・イン・ザ・UK
15.怒りの日
16.バディーズ(ボーナス・トラック)
17.ノー・ファン(ボーナス・トラック)

で、再結成一発目のアルバムは「勝手に来やがれ」という人をナメくさった最高のタイトルのライヴ盤。

元より再結成して真面目に新曲を作って・・・という崇高な志などはカケラもない人達です。当然中身もかつてやった曲のオンパレード。

つまりこの「勝手に来やがれ」は、そのまんま「勝手にしやがれ」のライヴアルバムとして聴けるとゆースグレものなんです。とかいう宣伝文句になど何の意味がありましょうや。あはは・・・。

様々な思いが複雑に交錯する中で、恐る恐るCDをプレーヤーにセットして再生ボタンを押したんです。

さぁ、ヒドイ音出て来いと。

・・・あれ?

・・・え?

ちょっとまって、普通にカッコイイ・・・。


(1996年日本でのステージ、みんな相変わらず人相が悪くて良い)


えっと、基本的にピストルズの曲ってすごくシンプルで、本人達もそれをアレンジしようとかいう気はサラサラないので、曲調そのものは全然変わってません。でも、オッサンになっていい感じに歳を重ねて野太くなったジョニーの歌声、バンドの音は、ロックンロールバンドとして非常にいい意味でのまとまりを感じさせるものでした。

いや、つまり何かがどうとかあれこれ言うよりも、ギターがジャーンと鳴ってドラムがドンダンドダダン言って、吐き棄てるようなヴォーカルが歌詞をがなる。極めて真っ当なロックのカッコ良さです。それがライヴだもんで、余計にギラギラした、全く衰えないどころかより凶悪さを増して客席にダイレクトに投げつけられる憎悪と憤怒と挑発のエネルギーみたいなのが、ピストルズ何かパワーアップしてるように思いました。

あれから10年、今はもしかして「勝手にしやがれ」より「勝手に来やがれ」の方を好んで聴いてるかな?とか思いつつ、ピストルズが次のアルバム出すのを楽しみにしてます。

ところで「シドのいないピストルズに意味はあるんだろうか?」という十代の頃のアタシの疑問に対する回答なんですが

「うん、いてもいなくても大体ピストルズのやることに意味なんかないからどっちでもいいのだ」

で、まぁいいかと。らいっつ、なう♪







(これはオマケ、2007年のライヴ。更に人相が悪くなってて良い)

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 15:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする