2017年01月13日

ボニー・レイット ギヴ・イット・アップ

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ボニー・レイット/ギヴ・イット・アップ
(ワーナー)

「電光石火の恋に落ちる」

という言葉がありますね。

その人を見た一瞬で、もう電流を走ったような衝撃が走って惚れてしまう。

アタシは大体が惚れやすい人間です。

十代の頃なんかね、そりゃもうヒドかった(汗)

人を見ても音楽を聴いても映像を見てもすぐに惚れてしまうアタシ、どれだけの人に恋をしたかわかりません。

今日はひとつだけ、そんな十代のアタシの恋の話をします。

深夜の音楽番組を、毎週熱心に見ていたアタシ。その頃有難かったのは、洋楽の古いロックのビデオをよくセレクトして流してくれたことですね。

クラプトンやジミヘン、レッド・ツェッペリン、サンタナなんかはそんな深夜の音楽番組で知りました。


とまれ上に挙げたビッグネームな方々は、音知らなくても親父から名前ぐらいは聞いていたので「おお、これがそうかぁ・・・」と思ってふむふむしてたんですが「名前を聞いたことない凄い人」が出てくる時が、一番興奮しましたね。

で、ある日のこと、赤毛の女の人がストラト持って、中指にボトルネックはめてスライドギターをぎゅいんぎゅいん弾いているのをいきなり見ました。

当時は女の人が泥臭いブルースのギターを弾いてるなんて、そんなの一度も見たことなかったし、しかもその弾きっぷりとハスキーな声を目一杯張り上げて唄うその思い切りの良さに、一発で惚れましたね。えぇ、ものの見事に恋に落ちました。

その人がボニー・レイット。

70年代にデビューして、当時からブルース、しかも最高に濃いミシシッピ・デルタ・ブルースに傾倒してスライドギターをガンガンに弾くアメリカの女ロッカーであるということを、翌日親父に教えてもらいました。

んでもって、そのスライドギターの神髄を、南部へ行ってミシシッピ・フレッド・マクダウェルに弟子入りして直に教えてもらったということは、ちょっと後になって知りました。


(この人、当時アタシも初めて買ったブルースのオムニバスに入ってたそのキョーレツなスライドに夢中になってました)


つまりこのお方、レコードで聴いてブルースを身に付けたとか、そういうのじゃなく、女だてらに度胸ひとつで南部まで行き「危ないから女子供は絶対に行くな」とさえ言われてた、深南部のブルース・コミュニティの中にガンガン入って行き、そこのまぁボスみたいな人に「お前はオレの娘だ!」ぐらいに気に入られてホンモノのブルースを極めてロック界に殴りこみをかけた方です。

カッコイイですよね、そりゃ惚れますて。

以後、アタシはボニー・レイットを”姐さん”と呼び、勝手に慕って今に至ります。




【収録曲】
1.ギヴ・イット・アップ・オア・レット・ミー・ゴー
2.あなただけが
3.アイ・ノウ
4.誰かに恋をするなら
5.ラヴ・ミー・ライク・ア・マン
6.トゥー・ロング・アット・ザ・フェア
7.アンダー・ザ・フォーリング・スカイ
8.あなたの想いどうり
9.ユー・トールド・ミー・ベイビー
10.ラヴ・ハズ・ノー・プライド

そんなあれこれが、高1の頃の話ですよ。

小遣いもらってやや鼻息を荒くしながら学校帰りにサウンズパルに寄って、親父に「ボニー・レイイット(と、当時呼んでた)のCDどれがいい?」と訊いたらオススメされたのはこのセカンド・アルバムです。


もう一発目のスライドでぶっ飛びましたね。

乾いた音と、何かよくわからんけどリズム感が「ブルースも弾けるわよ」じゃなくて、もう完全に「アタシゃブルースだよ!」と、強烈に自己主張してて、これはカッコよくてフィーリングも溢れてるスライドギターの素晴らしいお手本です。

ハスキーで気風のいい声もまたいいんですよね。もちろん姐さんの曲は、ドロドロにブルースな曲ばかりではなくて、カントリー風味の小粋な曲とかキャロル・キングばりのしっとりしたバラードもあって、全てのアメリカン・ルーツ・ミュージックの根っこを感じさせるその音楽性は実に幅広いんですが、その幅の広さが軽くならずにしっかりとソウルを根付かせるエモーショナルな声のとりこにもなりました。えぇ、今もしっかりと惚れてますとも。


ちなみに”人”としてのボニー・レイット姐さんも、難民や社会的弱者を支援する活動や、ビジネスのことをよく知らないミュージシャン達がレコード会社やプロダクションに搾取されている現状を訴えて、ブルースマンにちゃんと印税が入るようにあちこち直談判に走り回ったり、心も熱い人です。





(「Give It Up」ライヴです!姐さんカッコイイ!!)



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする