2017年05月18日

ブルースが濃い!ブッカー・アーヴィン1


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ツイッターを眺めていたら、音楽好きのフォロワーさんの「これいいんだよね♪」が、アタシにとっては「コレを聴きなさい」という神の啓示に等しく響く時というのがあります。

それは昨日のこと。

あるフォロワーさんがブッカー・アーヴィンの「ザ・ソング・ブック」のことをつぶやいているのを見た時に

「おぉ!コレは聴かねば!」

と電流が走りまして、その夜家で「ひとりアーヴィン祭」をしとったとです。

何でブッカー・アーヴィンがそんなに特別なのかというと、それは元々ブルースが好きなアタシにとって、ブッカー・アーヴィンというテナー吹きが

「ブルース好きな人が聴けてたのしめるジャズ」

の条件にドンピシャだったからに他ありません。

アメリカ南部テキサス出身のアーヴィンは、ニューヨークに出てチャールス・ミンガスのバンドで本格的なジャズマンとしてのキャリアをスタートさせた訳なのですが、その根っこにズ太くある南部直送のブルース魂が煮えたぎる感じと、フリージャズの3歩ぐらい手前なフレーズの斬新さがごちゃまぜになったような独特の味わいがたまんないんです。

詳しくはおいおい書いていきましょう。

昨日は朝から2枚目の写真の「ラメント・フォー・ブッカー」を聴いてました。

これがライヴ盤なんですが、のっけから27分超えの大ブルース・ブローイング大会で鼻血モノなんですよ♪





(↓リンク先の商品はレコード盤です)
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2017年05月17日

タジ・マハール Taji Mahal

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タジ・マハール/Taji Mahal
(ソニー・ミュージック)


さて「ブルース」といえば、今やポピュラー・ミュージックの中のひとつでありますが、一方でアフリカン・アメリカンが小さな頃から周囲の演奏を見聞きして覚え、それが自然と身に付いてゆく、或いはそれが自然と身に付く環境で生まれるものであります。

のっけからちょっと専門的な物言いですいません。えぇと、何が言いたいのかと言うと、ブルースって音楽は、ポピュラー音楽でありながら、人種のるつぼである比較的若い国アメリカに住む、アフリカ系の人々の民俗音楽みたいな側面もあるんじゃないか。ということであります。

例えばマディ・ウォーターズやB.B.キングら大御所のインタビューとかではよく

「ちっちゃい頃から綿花畑で働いてたんだ、作業をしながらみんなで唄ってたアレがブルースだったんだなァ」

とかそういう話をします。

つまりアメリカ南部で生まれ育ち、物心付いた頃には周囲の生活の中でブルースが溢れ、それを聴いてくうちに覚えてブルースが歌えたり演奏したり出来るようになったんだ。と。

1950年代ぐらいまでシーンで名を馳せたブルースマン達のほとんどは、そういったコミュニティで生まれ育ち、大人になるとシカゴやデトロイト、或いは西海岸などに移住してその地でブルースの新しいスタイルを切り拓いていきました。

で、今度はブルースが上ってきた都市部で生まれ育った世代のブルースマンになると、上の世代から教わったブルースのダイレクトな影響に、リアルタイムで流れていたヒットチャートのR&Bが加わったり、60年代になるとソウルやロックなど、コミュニティの外にあるメディアからの音楽が、黒人青少年達にどんどん影響を与えるようになるのです。

本日ご紹介するのはタジ・マハールであります。

タジは、ブルースを演りながらもその出自はいわゆるブルース・コミュニィの外にありました。

お父さんがジャズ・ピアニストでお母さんは学校で先生をしながら教会でゴスペルを唄っていた音楽一家に生まれますが、家庭は比較的裕福で、タジも学校成績がよく、何と地元マサチューセッツの大学に進学して1964年に卒業するまで獣医師の勉強をしておりました。

いわゆる「ガキの頃からブルースまみれで」といったタイプではなく、ここまではいわゆるフツーの「都会の大学生」だったんですね。

大学を卒業したタジが「とりあえずプラプラするため」に目指したのは、西海岸の大都市ロサンゼルスであります。

ここは各地からインテリ達が集まって、政治や文化芸術に関する熱いディスカッションで熱気を帯びていた街。或いは単純に”面白いこと”を求めて集まってくる、一風変わった若者達もたくさんおりました。

インテリであり一風変わった若者であったタジは、ここで似たような仲間と出会うのですが、その中の一人にライ・クーダーがおり、意気投合した二人はバンドを組みます。

元々両親の影響で、ジャズやブルースやゴスペル”も”聴いてたタジと、当時の典型的な音楽好きの白人、つまりブルースやR&Bに異様な関心を持っていたライの二人は、互いにセッションや音楽についての会話をしながら、互いの腕を磨き才能をグイグイ引き出し合っていきます。

二人が目指したのは「ブルースを思いっきり土台にした、全く新しい感覚のロック」であり、その目指すところは一定の支持を集めて二人のバンドはメジャー・レーベルと契約しましたが、せっかくレコーディングしたアルバムが何故か日の目を見ることなくバンドは解散。それぞれがソロとしての活動へと足を踏み出すことになります。

それからの二人は言うまでもなく、ライ・クーダーの方はアメリカを代表するスライド・ギターの名手として、今やロックファンでは知らぬ者はいないぐらいのビッグネームになります。

一方タジの方は、ソロ・デビューしばらく後はブルースロックをやっておりましたが、徐々に自らのルーツの探求へとのめり込み、アコースティック・ギターによるカントリー・ブルースの素晴らしさを世に広めるとともに、カリプソ(タジの父親はジャマイカ出身でありました)ハワイアンなども幅広く手掛け、今は「すげぇ渋いアコースティック・ブルースとワールドおじさん」として知られ、更に90年代以降デビューした若手ブルースマンのバックアップにも精力的であります。

アタシがタジのことを知ったのも、弾き語りカントリー・ブルースのビデオでの解説者としてです。

そのビデオの中で

「ブルースというのはこういう歴史があるんだ」

「次は誰々なんだけど、彼のスタイルはこういった感じで・・・(と、おもむろに持っているアコギを爪弾く)」

といった彼の優しく丁寧な解説は、アタシにとってもブルースの素晴らしい玄関口でありました。




(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.リーヴィング・トランク
2.ステイツボロ・ブルース
3.チェッキン・アップ・オン・マイ・ベイビー
4.エヴリバディズ・ゴット・トゥ・チェンジ・サムタイム
5.E.Z.ライダー
6.ダスト・マイ・ブルーム
7.ダイヴィング・ダック・ブルース
8.セレブレイテッド・ウォーキン・ブルース

さて、アルバムの解説に移りましょう。

タジのソロ・デビュー作は1968年のリリースであり、ラッキーなことにデビューの年にローリング・ストーンズが主催するイベント「ロックンロール・サーカス」に招かれ、好評を博してタジの名と、彼がその頃やっていた”アメリカ産の新しいブルースロック”は、イギリスのブルースファン(めちゃくちゃ気合い入ってた)やミュージシャン達に喝采と共に迎え入れられ、タジの方がストーンズやエリック・クラプトン、それからサザン・ロックの雄、オールマン・ブラザーズに与えた影響が実はものすごくデカいんじゃないかと言われております。

はい、このファースト・アルバムを聴けば、彼が如何にその後のアメリカ、イギリス双方のロックに刺激を与えていたかがとてもリアルに体感できるのでありますよ。

スリーピー・ジョン・エスティスやブラインド・ウィリー・マクテル、ロバート・ジョンソンなど、戦前に大きな足跡を残したブルースマン達の楽曲を大胆にロック・アレンジのバンド・サウンドでガツーンと演奏しているんですが、コレが実にけれん味がなくて、すごく真摯な感じに演奏されております。

タジはギタリストとしても優れた腕の持ち主ですが、ここではリードギターのほとんどを、ジェシ・エド・デイヴィスに任せ、サイドギターを実はしれっと「RYLAND P.COODER」という名前(多分本名?)で参加しているライ・クーダーとビル・ボートマンに任せ、自分は実に渋いヴォーカルとブルースハープに洗練しています。

1曲目からいい味出しているタジのハープ、すごく味わい深くてコレだけでグッとディープなブルース感が出ているんですけど、演奏の中心になっているのはジェシ・エド・デイヴィスのリードギター。

チョーキング炸裂のスクィーズ・ギターもスライドも、厚みのある豊かなトーンでグイグイ攻めるように弾いております。ここでの彼のプレイは「ブルース弾くロックの人のベスト」と言っていいでしょうね。うん、言っちゃう♪

アルバム全体が活力のあるへヴィ・ボトムなブルースロックの教科書みたいな、素晴らしい作りであり、コレ聴いて夢中でコピーした同年代のロッカーはいっぱいいただろうなと思います。

例えば「スティツボロ・ブルース」は後のオールマン・ブラザーズの人気曲ですが、そのアレンジの原型をここに見ますし(ジェシのスライドもギュインギュイン唸ってますよー)、「E.Z.ライダー」「ダイヴィング・ダック・ブルース」は、ジョニー・ウィンターがそれぞれこのアルバムのアレンジをモロお手本にした演奏を残してます。



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”ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜”




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年05月15日

ジョニー・ウィンター 狂乱のライヴ


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ジョニー・ウィンター/狂乱のライヴ


「暑い夏に冷たい飲み物をガブガブ飲むのは、逆に内臓に負担をかけて夏バテを起こしやすい、飲むならば暖かいほうじ茶がいい」

って、皆さん知ってました?

アタシはもちろん知ってました。えぇと美味しんぼという漫画に書いてありました。この前読んだのですよ、フォッフォッフォ・・・。

という訳で、暑い夏の107倍ぐらい熱いジョニー・ウィンターです。

今回ソニー・ミュージックの渾身の企画「ギター・レジェンド・シリーズ」では、ファーストと1971年の「ライヴ」と、もうひとつジョニー・ウィンターを聴くんなら絶対に避けて通れないアルバムがありまして、それが本日ご紹介する「狂乱のライヴ」です。

「狂乱」って凄いですね、タダのライヴじゃなくて狂って乱れておるんですよ、え?「ライヴ」だってそんぐらいヤバかっただろう、今更アタマに狂乱って付けんでも、それがジョニー・ウィンターのライヴだろ、という声も聞こえますが、えぇ、はい、その通りです。黙っててもステージの上では狂って乱れて弾きまくる男、いや”漢”それがジョニー・ウィンター。

分かってはおります、アタシもジョニー・ウィンター・ファンのはしくれですので、その一気にギアが入って狂い弾くオッソロシさは分かっておるつもりです。でも、いくら頭で理解して、聴いて理解しても、聴く度にそんな理屈を吹っ飛ばしてしまうのがこの「狂乱のライヴ」。

えぇ、狂っておるんです、乱れておるんです。前作の「ライヴ」が、ブルースもロックンロールもあって、それこそノリにノッたり、スロー・ブルースに「うぐぉ〜、たまらんっ!」となりながら、興奮しながらも楽しく聴けるライヴ・アルバムだとしたら、コレは一体何て言えばいいんでしょう、とにかく最初から最後まで一貫して”高い”を通り越してやぶれかぶれなテンションで、しかもほとんどの曲がノリノリのロックンロールで、聴く人を感慨に浸ったり、冷静に論じさせてさえくれない、えぇ本気でさいっしょかから最後まで「狂乱」であり「凶暴」なアルバムです。

ジョニーは本質的に「ロックンロールの人」であります。

ロックンロールの人だからこそブルースが骨まで染み込み、彼の表現上のコアになったというのはひとまず置いといて、ズバリ

「やかましくて騒がしい音楽」を、なーんも考えないでひたすら弾き倒してがなりたてる演奏こそが、本当の意味で彼の本質でしょう。





(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.マカロニ・ボニー
2.ロール・ウィズ・ミー
3.ロックンロール・ピープル
4.イッツ・オール・オーヴァー・ナウ
5.追憶のハイウェイ61
6.スウィート・パパ・ジョン



録音は1976年。

メジャー・レーベルのCBSと破格の契約を果たして、それまで麻薬中毒による一時休養もありながらも、順調に
作品をリリースしていたこの時期、例の”オレがオレが”の性格が炸裂して

「何か前のアルバムはよォ、アレ、メジャーデビューしてすぐの頃だったし、正直好きに作らせてくれなかったんだよね。だから今度のは悪いけど最初から最後まで好きにやらせてもらうわ」

と言い出してリリースされたものであると、まことしやかにささやかれておりまして、内容を聴く限り多分そうでしょう。

編成は「ライヴ」と同じ、ギター×2、ベース、ドラムスでありますが、ここではギタリストがリック・デリンジャーからハードロック畑出身のフロイド・ラドフォードに代わっております。

おお、じゃあ今度はバッキングに徹したサイドギターを従えて、ジョニーが縦横無尽にソロを弾きまくるんだな!?

・・・いいえ、そうではありません。

ジョニーが縦横無尽に弾きまくるまでは合ってるのですが、リック・デリンジャーに引き続きコイツもジョニーのギターに合わせるでもなく引き立てるでもなく、何かもう勝手に弾いております。しかも、トータルなセンスがあり、挑みかかる時もある程度の駆け引きが出来ていたリック・デリンジャーに比べ、フロイド・ラドフォードは何もかも荒削りで「おぉぉ、来た来た!おぉぉ、やったれ!」感が強く、このライヴ全体のやぶれかぶれなテンションに勝手に貢献しておるのです。

いや、こんな「リーダーが好きに弾いてるのにバックも好きに弾く」を、他のバンドがやったらそれこそブーイングものなんでしょうが、そこはジョニー・ウィンターなんですよ、このギター2本の乱暴狼藉に近いどつき合いが、まったくタフでラフでワイルドなアメリカンロックのサイコーなとこなんだよなぁ・・・と、何故か納得させてしまうから不思議なんです。いや、聴く方も強引にねじ伏せる力技の究極が多分コレ。

はい「狂乱のライヴ」最初からハイ・テンションで、スローブルースなんて最後の「スウィート・パパ・ジョン」しか入っとらんのですが、コレがまたそれまでのノリノリギンギンなロックンロールナンバー以上にキレてブッ飛んでるので、しっとりとかじっくりとか、とても聴いちゃおれんです。

間違いなく70年代のリアル・ロックンロール最狂のライヴ・アルバムということで。

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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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