2017年05月04日

スティーヴィー・レイ・ヴォーン ライヴ・アライヴ

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スティーヴィー・レイ・ヴォーン/ライヴ・アライヴ
(ソニー・ミュージック)

さて、中学の頃に「アトランティック・ブルース・ギター」というオムニバスを購入して、アタマが悪いなりにブルースについてはいっぱしに分かった気になっておったアタシ。

大好きだったのは、やはり前半に収録されていた弾き語り系のディープなブルースマン達の音源だったんですが、高校に入ってエレキギターというものを買って自分でいじくるようになってまいりますと、この耳が若干変わってきます。

エレキギターというものには、独特の快楽がありますね。

それまでイトコの兄ちゃんから貰ったアコギでじゃんじゃかやっているうちは分からなかったんですが、あの、単音で「キュイーン」とやる、そうそれです、チョーキング。コレが実に気持ちのいいもんだと、実際にエレキギター(グレコのレスポールカスタム黒)を買って、アンプに突っ込んで弾いてみて初めて分かった。

もちろんその頃は超の付く初心者で、ソロなんかとても弾けたもんじゃあございません。なので見よう見まねのハッタリで「キュイーン、キュイーン」とだけやっておりました。

その時にふと思ったんですよ。

「これはもしかしてブルースいけるんじゃ?」

そこで・・・そん時はパンクやメタルに夢中になっておったんですが「そういや家にあったぜぇブルースのCD♪」と、思い出して「アトランティック・ブルース・ギター」を聴いてみたんです。

で、とりあえずB.B.キングとか、名前は知ってるけど、最初に聴いた時は良いとも悪いともピンとこなかったモダン・ブルースマンの人達の演奏をじっくり聴いてみることにしました。

そしたらそれまで全く意識してなかったレジェンド達の”泣きのギター”がグッときて

・・・・とはなりませんでした。

まぁその、高校生とはいえ、まだまだアタシはアタマの悪い十代であることに変わりはなかったんです。まだまだ激しさだったり速さだったり、そういう刺激の強い音楽が最高だと、どこかで思っておったんでしょう。B.B.もT・ボーンも「何か渋いな」とは思っても、そのギター・テクニックを手前のモノにしようなんてまだまだ思えず、というか「こういう風に弾けたらカッコイイとは思うんだけど、はて、何をどうすればいいのかよく分からない」というのが正直なところ。てれ〜っと適当に流しながらしばらく途方に暮れていたんです。

が、トラックが進んでいよいよコレが最後という20曲目、ここに収録されていたスティーヴィー・レイ・ヴォーンの「テキサス・フラッド」のライヴ・テイク。

コレが、最初に感動した「モダン・ブルースのギター・プレイ」でありました。

何がどうとか言われると、未だに返答に困ってしまいますが、ライヴ録音というリアリティ溢れる録音環境とか、その中でほとんどソロん時はアドリブでガンガンに盛り上がってゆく熱を帯びた演奏、そして何よりダイレクトにガツーンとクる、ギターの音そのものの強さ、そんなものに一気に「うわー!凄い、こんなにカッコ良かったんだ!!!」と、コロッと。もうコロッといってしまいました。

で、この演奏が入ってるスティーヴィー・レイ・ヴォーンのライヴ・アルバムが欲しくて、親父に訊いたら

「おー、レイ・ヴォーンだったらライヴは確か1枚だけ出しとるなー」

と、探して取り寄せてくれたのがコチラ。




(ギター・レジェンド・シリーズ)
【収録曲】
1.セイ・ホワット
2.エイント・ゴナ・ギヴ・アップ・オン・ラヴ
3.プライド・アンド・ジョイ
4.メアリー・ハド・ア・リトル・ラム
5.迷信
6.アイム・リーヴィング・ユー
7.コールド・ショット
8.ウィリー・ザ・ウィンプ
9.ルック・アット・リトル・シスター
10.テキサス・フラッド
11.ヴードゥー・チャイル
12.ラヴ・ストラック・ベイビー
13.チェンジ・イット


はい、今でこそスティーヴィー・レイ・ヴォーンのライヴ音源は色々出揃って、動画もたくさん観ることが出来るようになりましたが、生前に彼が残した唯一のライヴ・アルバムといえばもうコレ。

中身は85年7月16日のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルと、86年7月17日/18日のテキサス州オースティンのオペラ・ハウスに7月19日の同じくダラスのスターフェストでの演奏を収録したものであります。

レイ・ヴォーンって人は、とにかく現場での盛り上がりを大事にする人で、自身もノッてくるとギターソロなんかアドリブでガンガンぶっ飛ばす人なんです。

だからライヴでは、スタジオアルバム収録の曲は必然的に長くなりますので、このアルバムも収録時間長いです(LPの頃は2枚組だった!)。

「スティーヴィー・レイ・ヴォーンのライヴはアレ、アドリブでソロ弾いとるからね」

この親父の一言が、アタマの悪い高校生だったアタシの興奮に火を点けて、もう夢中にさせてくれました。

だってほれ、ロックの曲つったらイントロがあってー、歌があってー、決められたギターソロがあってー、歌があってー、エンディングでー、と、流れ完全に決まってるもんだーってアタシ思ってましたから。

それがアドリブで、その場でひらめいたフレーズ弾いてるってんだから、もうギター弾き出しのぺーぺーの小僧には、あぁ、これはスティーヴィー・レイ・ヴォーンって人は神か天才か何かだ、って思いますよね。

で、1曲目はインストだし、2曲目のスロー・ブルースも、歌までに長めのソロがあるから「こ、これがアドリブかー!」と大興奮して、ちょいと話は飛びますが、翌月にレイ・ヴォーンのデビュー・アルバム「テキサス・フラッド〜ブルースの洪水」を買って収録曲を聴き比べてみたら本当にソロも曲の長さも違って

「お、お、おー、すげー!」

と。

もうアホですねぇ・・・

でも、そんなパンクとメタルと歌謡曲しか知らないような、1年生なギター小僧にとって、レイ・ヴォーンは初めての「ギターヒーロー」として、ギターのカッコ良さ、その基本と究極を、本当にたくさん教えてくれました。

実はこのライヴ、オーバーダビングの部分が多かったり、レイ・ヴォーン自身が「あの時は体調悪くてね・・・」とインタビューで言ってちゃったことが必要以上にネガティブに解釈されて今に至る感があるんですが、そんなこたぁしゃらくせぇことです。

ギターのキレ、特に「Pride And Joy」「Texas Flood」ジミヘンのカヴァー「Voodoo Chile」からの「Love Struck Baby」の、アドリブonアドリブの畳み掛ける凄まじい展開に、ブルースやギターが好きな人で興奮しない人はおらんでしょう。

死後にレイ・ヴォーンのライヴ作品や映像が次々リリースされても、このアルバムの価値は変わりません。みんなで聴こう♪


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする