2017年05月21日

バディ・ガイ フィールズ・ライク・レイン

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バディ・ガイ/フィールズ・ライク・レイン
(ソニー・ミュージック)

今やブルース界の長老として、後輩ブルースマンやロック・ギタリスト達からの絶大なるリスペクトを集めているバディ・ガイ。

元々が直情型のフレージングと、ピックを使ったアタックの強い、つまり「小手先のテクニックよりもエモーションばこーん!」なタイプでありますので、バディの場合はロック側からの人気は非常に高かったんです。

で、年代的にもストーンズの連中とかジェフ・ベックとかクラプトンとかとは、大体10ぐらいしかトシが離れておりませんので「尊敬する大先輩」というよりは「頼れるアニキ」って感じだったんでしょう。特に最近のライヴ映像なんかを観ると、ラフな格好で「やぁやぁどうもどうも」みたいな笑顔で出てきて、凄まじい弾き倒しを疲労してくれるバディを後輩達が「どうだ、アニキは凄いだろう」と、笑顔でプレゼンツしているみたいな、そんな気さくさ、フレンドリーさ、あと、インタビューなんかでの滲み出る人柄の良さに、アタシは何だか「あぁ、ブルースってとってもいいな」と思ってしまうのです。

そんな感慨は、特にバディが長い不遇の時代を経てカムバックした90年代以降のアルバムを聴いて湧いてきます。

ファンの皆さんには、シルヴァートーンからの復帰第一作「アイ・ガット・ザ・ブルース」が、名作として人気がありますが、その翌年にリリースされた2作目の「フィールズ・ライク・レイン」もなかなかいい。というよりも、ジョン・メイオール、ポール・ロジャース、ボニー・レイット、イアン・マクレガンなど、彼をアニキとしたう豪華なゲストに囲まれて、豊かに幅の広がった曲風の中で、和気藹々をやりつつも直情に火が点いたら猛烈に暴れまくる快演が聴ける、これもまた名盤でございます。

元より、ブルースマンとしては若い世代(シカゴ・ブルース第二世代とか言われておりまする)のバディは、デビュー当時からR&Bの影響を強く受けたミクスチャーなブルースをやっておりました。

この”元からあった音楽性の広さ”が、90年代には本人の感情コントロールの見事さも相俟って、実に良い塩梅で花開いておるんですね。特にロックサイドには、デカい影響を与えた側の当人が、ニコニコしながら強烈なギター・プレイをひっさげて迫ってきている感アリで、単純に「丸くなった」「落ち着いた」では済まされない凄みもあったりするんです。



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.シーズ・ア・スーパースター
2.アイ・ゴー・クレイジー
3.フィールズ・ライク・レイン
4.シーズ・ナインティーン・イヤーズ・オールド
5.サム・カインド・オブ・ワンダフル
6.サファリン・マインド
7.チェンジ・イン・ザ・ウェザー
8.アイ・クッド・クライ
9.マリー・アン
10.トラブル・マン
11.カントリー・マン


アルバム全体の空気として「伸び伸びやって、キリッと締めてる感じ」がとても心ニクいんです♪

正統派モダン・ブルースの「シーズ・ア・スーパースター」「アイ・ゴー・クレイジー」で、まずはテンション高めの弾き倒しで健在ぶりを最高にアピールして、看板曲であります3曲目「フィールズ・ライク・ア・レイン」です。

この曲はそれまでとガラッと変わってバラード、しかもかなりキャッチーなソウル・バラードみたいな感じで、バディの声も抑揚が美しく、つい聴き惚れてしまいます。更にバックでコーラスとスライドギターの何とも優しいソロを弾いているボニー・レイットのプレイが光っております。

原曲は1988年にリリースされたシンガー・ソングライター、ジョン・ハイアットのポップス曲なんですが、コレは曲も素晴らしいですが、歌詞もいいんですよね。人生の辛酸や苦難は直接表現されていないけれども、美しい情景の中でしみじみと迫るものがある男と女の純愛を、バディが切々と、語りかけるように歌う素晴らしいバラード。

中盤から後半は、掛け合いも楽しい「サム・カインド・オブ・ワンダフル」(with.ポール・ロジャース)「チェンジ・イン・ザ・ウェザー」(with.トラヴィス・トリット)、転がるマンボ・ビートの上でギターがキュインキュイン鳴り響くイントロから、B.B.キングばりの変拍子で更にチョーキングを炸裂させる「マリー・アン」バディが敬愛するギター・スリムの、原曲にほぼ忠実な渋いカヴァーがあり、ラストは「トラブル・マン」「カントリー・マン」と、往年のキレもやっぱり衰えていない必殺のスロー・ブルースでシメ。

非常に聴き易いし、楽しい展開とグッと渋い展開の分かり易さで退屈させません。

改めて90年代のバディを聴いてると「何かブルース聴きたいな〜」というブルース初心者の方のピュアな欲求に優しく応えてくれるのはこの辺じゃないかなぁと思えてきました。とにかく最近のバディすごく良いよ。


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする