2017年05月28日

ピエール・バルー サ・ヴァ、サ・ヴィアン

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ピエール・バルー/サ・ヴァ、サ・ヴィアン

(Saravah/コアポート)

音楽を聴くたのしみのひとつに「非日常を味わう」というのがあります。

ミュージシャン達が創造する音世界は、確かに非日常をそこに生み出す最高のツールで「音楽を好きになること=知らない世界との繋がりを深める」という公式は確かに成り立ちます。

知らない国の音楽でもいいし、生活したことのない時代の音楽でもいい。もしくは今の時代の音楽でも、テクノロジーによって完璧に演出された非日常をアタシ達は堪能して、そこに意識を泳がすことができます。

日本語で言うところの”ハレ”の感覚ですね。

さて、アタシもそうやって、音楽を好きになってからというもの、色んな色や形の非日常を楽しんで、或いは自分の内側にヒリッとした感触と共に記憶してきた訳ですが、ここへきて

「日常スレスレの感じを残した淡い非日常こそが、心にしんみりとした何ともいえない情景を残してくれるのではないか」

という感慨が深くなっております。

具体的に言いますと、フランスの巨匠音楽家、ピエール・バルーと、彼がレーベル・オーナー/プロデューサーを務めた”サラヴァ”レーベルの作品を、たとえば休日の午後なんかにぼんやり聴いていると、体は日常に残しながら、心の半分以上が、淡く切ない奇妙な非日常感の中を、ほわほわと漂っている時があるのです。

ピエール・バルー、フランス発のポピュラー・ミュージックの、深く果てしない支流を掘り続けてきたポピュラー音楽家でありシンガー、プロデューサー、役者、そして生粋の吟遊詩人。

貧しい家庭に生まれ、十代の頃から音楽の世界で生きることを志し、自作のシャンソンを書きながら、やがて20代になる頃に世界を放浪し、ポルトガルで聴いたボサノヴァに運命的な出会いを感じ

「この音楽をフランスに広めるぞ!」

と決意して、実際に彼の努力と、本場リオのカーニバルの来仏などによって、フランスではボサノヴァや古いサンバなどが聴かれるようになります。

バルーは後に「フレンチ・ボッサの立役者」と呼ばれるようになりますが、実は若い頃は音楽よりも演劇の世界での評価が高く、アーティストとしての最初の仕事は、役者として映画に出たことでした。

やがて役者としてちょいと知られるようになったバルーに、再び運命的な出会いが訪れます。

それが1966年の、クロード・ルルーシュ監督映画『男と女』。

何と役者としてのオファーとは別に、フランシス・レイが作曲した主題歌の歌詞を書かないか?というオファーが舞い込んで来たのです。

映画の大ヒット、そしてカンヌ映画祭でのグランプリの追い風もあって、映画の中でヒロインの夫として主題歌を歌ったバルーも一躍フランスを代表するアーティストとなります。

この年にバルーが、やりたい音楽を創作するレーベルとして設立したのが"Salava"です。





【収録曲】
1.サ・ヴァ、サ・ヴィアン
2.愛から愛へ
3.小さな映画館
4.おいしい水
5.靴墨のビンとマロンクリーム
6.愛する勇気
7.80 A.B
8.パリ・ウェリントン
9.地球を取って
10.港の歌
11.森林
12.小さな木馬
13.僕がアザラシだった頃
14.遭難 (シングル・ヴァージョン)
15.迷い (アルバム未発表ヴァージョン)
16.80 A.B (アルバム未発表ヴァージョン)
17.サ・ヴァ、サ・ヴィアン (映画ヴァージョン)


バルーの代表作として、今も多くの人に聴かれている「サ・ヴァ、サ・ヴィアン」は、1971年にリリースされたバルーの、ソロ名義としては2枚目のアルバム。








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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界の民族音楽など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする