2017年06月14日

ライトニン・ホプキンス 雨の日のブルース

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連日の、梅雨とは思えないカラッカラの夏晴れが一転、昨日からしとしとと、ようやく雨が降りだしました。

で、昨日の朝はドタバタで、出かける時用のCDを持ってくるのを忘れたんです。

これはいかんとカバンをガサゴソしたら出てきたライトニン・ホプキンスのCD、しまもこんな雨の日に『Rainy Day in Houston』。

余りにもナイスな偶然にあははとなって、終日聴いておりました。

録音は1955年から60年、そしてちょびっとだけ68と見事にバラバラですが、内容はエレキでバンド付き(基本ドラム、曲によってピアノやハーモニカも加わる)でダーティに唸るライトニンで、不思議な統一感があり、何より作品としてイイのです。

しかしライトニンのギター、バカみたいに歪んでいます。

特に前半、ダーティの度合いでいけば、あのドロドロで有名なヘラルド盤をも凌駕しそうな勢いであります。

1960年代前半はもちろん歪み系エフェクターなんて売られてないでしょうから、この歪みおかしいだろうと思思いますが、これは音量稼ぐためにアンプをいじくりまくって、意図せずして音が割れた結果の歪み。

そういえば50年代の時点でワシャワシャのディストーションみたいなギターを弾きまくっていたエルモア・ジェイムズやギター・スリムも、アンプの電圧とかをバカみたいにいじくっていて、彼らが弾いてるアンプというのは、いつ漏電したりショートしたりしてもおかしくない程の危険なシロモノだったそうですが、そんなこと分かってても誰も気にしてなかったというのが何というかアメリカらしいというか恐ろしいというか・・・。

アルバムレビューはこちらをごらんください↓






『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年06月13日

憂歌団 Complete Best 1974-1997+LIVE アナログ

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憂歌団/Complete Best 1974-1997+LIVE アナログ
(フォーライフ)


ブルースが好きです。

いや、ブルースのない人生は考えられない。音楽だけでなくても、日常生活の中で何かしら切なくてホロ苦いブルースなものやブルースなことと不意に出会ったら、何故でしょう切なくてホロ苦いのにどこか心が不思議と安らいで、何だか今日も頑張って生きていこうとそんな風に思ってしまう。

こういうのおかしいですか?うん、おかしな話だとアタシも思います。でも、音楽を好きになる気持ちが深まって、音楽を愛してしまってたまんないという風になるというのは、もしかしたらこういうことなのかも知れません。

で、ブルースです。

ブルースという音楽は、アタシが言うまでもなく、アメリカの黒人さんが生み出した音楽なんですが、日常の中での世知辛かったりしょっぱかったりする出来事を感じて嘆いたり悲しんだり、でもソイツを何とか明るく陽気に笑い飛ばしたりしようぜって心はアタシら庶民の中には万国共通でございます。

ね、元はブルーでどうしようもない気分とか因果とか、そういったヤツでもゴキゲンな音楽に乗せりゃあハッピーになれる、聴いた人もハッピーになる。

そういった”心意気としてのブルース”を、日本で演奏してきたバンドがおりまして、このバンドは憂歌団というんですが、そうそう妖怪人間みたいな顔のぺちゃっとした関西弁のおっちゃんが、キュートなダミ声で唄ってね、グラサンかけたギターの人がソロ弾くんだけどピッキングもスライドもめちゃくちゃ上手くて味があって、ベースとドラムもずんちゃかずんちゃか、こらもう聴いてるだけでウキウキしてくるようなスカーンとしたリズム刻んで・・・というあのバンドでございます。

あ、はい、ここまで読んで「誰だそいつら?」と思った人もいいから憂歌団ってのはそういう人達なんだーって一旦思っといてくださいね。

大体アレですよ、ブルースバンドってのは、何だか渋い曲をエレキギターをキュイーンと泣かせてやってるもんみたいなイメージがあるでしょうが、憂歌団はちゃいま(←エセ関西弁)。アコースティックな、戦前スタイルのズンチャカで軽快なバンドなんです。

戦前スタイルとは何ぞや?というご質問には、細かく答えておりますとヒジョーに長くなりますので、そこらへんは当ブログの「ブルース」のカテゴリをヒマな時呼んでくださいますようお願いしますとして、そんなヒマねぇよという方に、あぁそうですかいと乱暴に説明すれば、エレキギターキュイーンでオーイェになる前のブルースは、明るく疾走したり、みんなでワイワイ歌えるような曲がいっぱいあったんです。

実はアタシが本格的に洋楽なるものを聴いて、ブルースも親父に聴かされて「ほほぅ、何かわからんけどいいね」と思ったアタマの悪い中学1年生の時、奄美で生まれて初めて行ったブルースのライヴ。これが憂歌団のライヴだったんですよ。

ある日いきなり親父が

「オゥ、今度の土曜日は名瀬公民館に憂歌団観に行くからお前空けとけぇ」

と言うので

「ゆうかだん?何それ?」

と思いながらも、まぁ何かコンサートだろうと思って、本当に何もわからんまま行ったんですが、その時のライヴがまー初めて体験した「ホンモノ」いやもうホントすごかった。

酒をガンガン飲みながら曲の合間合間にガラガラの関西弁で喋ってる、これ絶対ミュージシャンじゃなきゃその辺の盛り場で朝潰れてるよーなおっさんなんだけど「ほないこか」と言って唄いはじめた時の木村充揮のその凄まじい声の威力と引力ときたら・・・。

そいでもってギターはサングラスかけて正直見た目怖い人っぽいけど、もうギター小僧志望のクソガキのアタシが見ても「あぁ、このギターはやべぇ、並じゃねぇ。いや、プロなんだからんなもん当たり前なんだけど、その中でもかなりハンパねぇ部類の人だ」と分かるぐらいの凄腕の内田勘太郎。

そしてクールにビシャっとリズムを刻む、こっちは見た目も出す音も実に渋い花岡献治のベースと島田和夫のドラムスの完璧なコンビネーション!

いや、バンドのことなんか、ブルースのことなんか全然わからなかったですよ。でも分からない子供のアタシでも、気が付いたら席を立って、手を叩きながら足で一緒にリズム取ってたんですよ。

ライヴ終わった帰りに、車の中で親父に質問攻めでした。あのヴォーカルの人はすごい声だったけど、どうやったらあんな声になるのか、ギターの人は何か指にビンみたいなのはめて弾いてたけど(ボトルネックね)、アレはなんなんだ、そもそもあんなジャンルの音楽はテレビとかで聴いたことないけどアレは一体何ていう音楽だ。と。

そしたら親父、ライヴの興奮冷めやらぬような感じのデカい声で

「アレがブルースよ!」

と、もうザックリ答えてくれました。


まぁブルースですね。色々考えてアタシが誰かに同じ質問されてもそうとしか答えられません。


【収録曲】
(Disc-1)
1.嫌んなった
2.キィ・トゥ・ザ・ハイウェイ
3.おそうじオバチャン
4.はんか街のはんぱ女
5.サマータイム
6.イフ・アイ・ディドゥント・ラブ・ユー
7.10$の恋
8.パチンコ~ランラン・ブルース
9.当れ!宝くじ
10.ALL OF ME
11.スティーリン
12.渚のボード・ウォーク
13.嘘は罪
14.Boy,My Boy
15.ザ・エン歌
16.ア・イ・シ・テ・ル
17.Midnight Drinker
18.シカゴ バウンド

(Disc-2)
1.大阪ビッグ・リバー・ブルース (Album Mix)
2.胸が痛い
3.かぞえきれない雨
4.心はいつも上天気
5.Good time’s rollin’, bad time’s rollin’
6.キスに願いを
7.You are my Angel
8.夢
9.SLOW BOAT TO CHINA
10.オンリー・ロンリー・ジャマイカ
11.君といつまでも(ステイ・ウィズ・ユー・フォーエバー)
12.家に帰ろう
13.ちっちゃなダイヤモンド
14.ファンキー・モンキー・ベイビー
15.WOO CHILD
16.あれからゾンビ
17.風のうわさに

(Disc-3/DVD)
1.Midnight Drinker
2.ドロボー
3.おそうじオバチャン
4.シカゴ バウンド
5.大阪ビッグ・リバー・ブルース
6.胸が痛い
7.嫌んなった
8.パチンコ
9.Stealin’
10.キスに願いを
11.君といつまでも(ステイ・ウィズ・ユー・フォーエバー)



もちろん憂歌団は音楽的にもちゃんとしたブルースです。

大体日本人でブルースっつったら妙に黒人っぽさを出そうとかそういう意識が働きがちですが、憂歌団はあくまで音楽的なブルースを演奏の基礎に置きながら、スピリッツの部分はどこまでも日本人、つうかとことん"大阪のおっちゃん"を極めようというベクトルがあって、それがサウンド、演奏スタイル、そして歌詞とでピタッと合致して他にはない味になってる。

彼らの有名な曲で「おそうじオバチャン」とか「パチンコ」とか、いうすこぶるゴキゲンなナンバーがあるんですが、歌詞凄いんですよ。

「私はおそうじオバチャン」と軽快なリズムに乗ってあぁおばちゃんが楽しく掃除してるんだなぁと思ったら

「1日働いてたったの¥2000!」

と、ズバッと悲哀を投げつけるし、「パチンコ」もあぁパチンコ楽しいんだなと思ったら、いや待てこれはアカンぞ、ギャンブル中毒者の歌だぞと「パチンコパチンコ!」とパンキッシュな絶叫の繰り返しの奥にじっとり潜む狂気をぶん投げてくる。

でも、憂歌団はそういう悲哀とか狂気とかを歌の表面に塗りたくったりはしません。明るく楽しく、そして難しくないシンプルな言葉で、大袈裟にいえば本質を歌い上げるんです。これがブルースでなくて一体何でしょう。

もちろんそういう歌以外にも、音楽的な幅は意外と広くて「胸が痛い」や「数えきれない雨」みたいな擦り切れるようなエモーショナルなバラードは、後になってRCサクセションやブルーハーツなんかに受け継がれるスタイルの原型のようでありますし、日本語でカヴァーされている古いブルースも、今そこの飲み屋で出来た曲みたいな親近感がありますな。

ご紹介したアルバムは、とりあえずで聴いてみたい方へ、間違いなく「とりあえず」以上の愛聴盤になること請け合いの2枚組フルボリュームのベストです。限定盤には初期の貴重な映像がたっぷり入ったDVDも付いててコレが凄いんだ。









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2017年06月12日

チャック・ベリー チャック〜ロックンロールよ永遠に〜


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チャック・ベリー Chuck〜ロックンロールよ永遠に〜

(ユニバーサル)


ロックンローーーーーーール!!!!

あいすいません、冒頭からぶっとい字で叫んで何事かとお思いでしょうが、いやだってアナタ、コレが叫ばずにおれますか。チャック・ベリーですよ、今年(2017年)3月に90歳の大往生を遂げたロックンロール・レジェンドが、この世の全てのロック小僧に残した置き土産、何と1979年リリースの「ロック・イット」以来実に38年ぶりにレコーディングしたニューアルバムが、6月9日の”ロックの日”に発売されたっつうんだから、いやアナタ、コレが叫ばずにおられますか。

はい、ちょっと冷静になりますね。

アタシはもちろんチャック・ベリー、まだロックとか何とかよくわからんうちに、何だか周りのトッポいお兄さん達が聴いてる影響で、長い間知ったかぶりして聴いて、それからロック、ブルース、カントリー、R&Bとか、一丁前に聴いてそのカッコ良さをこれまた一丁前にわかるようになってきてからようやく

「うわぁぁああ、コノ人は本当に本当に凄い人だったんだ」

と驚愕して、ミーハーじゃなくて真剣にブルースとかその後のロックとの深いつながりを意識しながら聴いてみて、何とまぁ斬新でカッコイイことをやった人なんだと、頭悪いなりにようやくわかって以来、彼の50年代から60年代のアルバム、具体的にはファーストの「Afterschool Sessions」から6枚目の「St.Louis to Liverpoor」まではそれこそ夢中で聴きました。

えぇ、偉そうに理屈をこねておりますが、チャック・ベリー聴いてる時の気持ちは今も変わらんですね。何だかんだやっぱりミーハーな気持ちで聴いておるのかもです。だってどんだけ色んな音楽を聴いても、やたら知識ばかりが無駄に自分の中で積み重なっても、チャックの十八番ともいえるあの「ジョニー・B・グッド」とかの

チャララチャララララララララ♪

のイントロを聴けば、心の中で言葉じゃない「うわぁ!」が湧くんです。えぇ、湧くったら湧くんです。

で、自らロックンロールを1950年代におっぱじめ、以来60年近くそのロックンロールをやってきたチャック、ロックンロールからロールが取れてロックになっても、テクノロジーがどんだけ発達しても、ずーーーーっとロックンロールをやってきました。

その姿勢は頑固一徹とかそんなんじゃなくて、ブルースを核に、カントリー、ラテン、ジャンプ、ジャイヴ・・・と、アメリカのあらゆるポピュラー・ミュージックを自分のセンスと才能で全部ごちゃまぜにして”オイシイとこ”を上手い事抽出して、オレにしか作れない音楽を作ってきたんだぜ。というオリジナル・ロックンローラーとしての誇りであるとアタシ思います。

で、そんなチャック・ベリー。偉大なる大御所ミュージシャンらしくゆったり構えていたのかといえばそうではなくて、相変わらずギター1本だけ持ってあちこちでドサ回り。

バックバンドも相変わらず有名ミュージシャンは付けずに(多分)「お前らのギャラはコレでいいよな?な?」という半ば脅迫じみた提案に「いいっすよ」と言うヤツだけを雇って

「いいかお前ら、チャック・ベリー・ミュージックだ。リハーサル?セットリスト?馬鹿野郎オレが今からやるっつう曲をてめーらやればいいんだ」

と、恐らくはずっとやっていたんでしょう。

でもこれ、チャックが最初からやってたことなんで誰も気にしない。大体チャックの曲はみんなガキの頃からレコードで聴き込んでいるので気にしない。

特にアタシはYouTubeで2015年以降のチャックのライヴ映像を観るのが好きでした。

この頃から体調を崩したとかで、チャックはちゃんと歌えてないしギターもマトモに弾けてないんですよね。でもバックバンドが懸命に盛り上げて、チャックが歌えてない場所は、お客さんが大合唱でキチンと補ってる。だからライヴは全然悪くないし、むしろロックンロールとして最高にあるべきライヴの凄さがみなぎってる。

これ、衰えたチャックをフォローしてる訳じゃないんです。例え彼が弾けてなくても歌えてなくても、彼の音楽がバックバンドに火を付けてお客さんを盛り上げてる。世界中のロックファンから無条件に愛される曲を作り、それをずっと演りつづけてきたチャックだからこそ出来ることなんです。


ロックンロール







【収録曲】
1.ワンダフル・ウーマン
2.ビッグ・ボーイズ
3.ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド
4.3/4タイム
5.ダーリン
6.レディー・B.グッド
7.シー・スティル・ラヴズ・ユー
8.ジャマイカ・ムーン
9.ダッチマン
10.アイズ・オブ・マン


そんなチャック・ベリーのライヴの凄さにグッときて待ちに待っていたニューアルバム。

チャックは体調を崩してから「絶対にリリースしたい!」という執念で、長い製作期間をかけて作り込んできたんです。

残念ながらこの音盤がお店に並ぶのを見ることなくチャックは旅立った訳で、それに関しては色々と思うところもありますが、とにかくアタシが物心ついたて時から「新作が出る」と聞いたことのないチャック・ベリーが新作を出すんです。そして出したんです。結論からもう先に言っちゃえば、コレが最高にカッコ良かったんです。


アレンジはあれこれ余計な音を被せない、実にストレートなもので、チャックの声もギターも凄くメリハリ効いてパンチも効いてます。

曲も安定の"いつものチャック・ベリー・ミュージック"で、コチラも変に奇をてらったりしないで最初から最後まで小細工ナシで突き進んでて、何より音の質感が、今風に媚びてないのにエッジが効いて全然古くさくないし退屈しない。

まだまだ聴いたばかりなので上手く言葉が出てきませんが、これは間違いなくチャック・ベリーの集大成なアルバムです。

トム・モレロが参加していることが話題になってますが、彼のプレイは言われなきゃわからんぐらいの謙虚さで、メインで鳴り響いているノン・エフェクトのチャックのセミアコのあの音を、目一杯のリスペクトで引き立ててます。

チャックは絶対そんなことやらんだろうと思ってましたが、このアルバムはよくあるベテランのご祝儀的な、和やかで懐メロなだけのアルバムにはやはりなってません。

シンプルにギラついた、無駄がなくストレートな刺激がバンバン飛んできて、アタシらクソガキをアツくしてくれる最高のロックンロール・アルバムなのです。





ロックンロール!

チャック・ベリーよ永遠に!


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