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2017年06月16日

ソニー・クラーク クール・ストラッティン


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ソニー・クラーク/クール・ストラッティン
(BLUENOTE/EMIミュージック)

はい、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」であります!

いやもうこのアルバムをきっかけにジャズを知った人がどれぐらいいるだろう、このアルバムからはじまって、今広大なジャズの大海原のまっただ中にいる人はどれぐらいいるだろう、というほどの大人気のアルバム、いわゆる「名盤」というやつでございますね。

とにかく日本では、ジャズの名盤なんとかとかいう本が出されたらその本の表紙を飾ることがとても多く、ちょいとオシャレなカフェなんかでもレコードやポスターで飾ってあったりします。

とりあえず人気の理由のその中身に関しては、後で解説するとして、まず第一にこのジャケットですよ。ジャズ初心者、あるいはジャズとかよくわからないけど聴いてみたいという心をくすぐる、何というか「ジャズ」と聞いて何となくイメージが湧き上がるこのクールすぎるポートレイト、えぇ、最高じゃないですか。

大体アレだ、このかっこいいジャケットに、タイトルが「クール・ストラッティン」って、うん、英語の意味はよくわからんが、言葉が表紙に合ってるねぇ。ところでお前さん”ストラッティン”ってどういう意味だい?あぁそいつは「イイ女が気取って歩く」っつう意味のスラングだよ。と、調子に乗って小噺のひとつでもやり出したいぐらいのジャケットです。

あのね、アメリカにこういう言葉あるかわかんないけどね、こういうのを”粋”って言うんだね八っつぁん。何言ってんだい熊さん、お前さん字をちゃんと読みなよ”クール”ってのがアメリカで言うところの”粋”って意味なんだぜ。

・・・えぇ、はい。小噺がとめどなくなりそうなので(汗)

ジャケットの魅力に関しては、つまりそういうことでございます。あのね、ジャズのことなんかよくわかんないんだーって人が見ても「カッコイイ写真だな」「綺麗な脚だな」って思うでしょ?何となく雰囲気で。つまりその雰囲気が大事なんです。ジャズなんてもんは小難しくああだこうだ言わないでも、雰囲気で十分に楽しめるもんなんです。

先に結論が出てしまいましたが、ソニー・クラークという人と、このクール・ストラッティンっていうアルバムを、やれジャズの巨人だとか、歴史を変えた一枚だとかそういうんでなしに、純粋に耳で聴いてジャケットを目で楽しんで「あ、これはいい音楽だ」と素直に思ってそれを暖かく共有している日本のジャズ好きは素晴らしいです。

そうなんです、ソニー・クラークという人は歴史に大きく足跡を残したり影響を及ぼしたりした、いわゆる”巨人”ではなくて、むしろそんなに有名でもないまま若くしてあっけなく亡くなった人であり、また、彼の音楽も、歴史を大きく変えたとか、斬新で刺激的だとかそういうのとは対極にある、どっちかというと”フツーのジャズ”です。

でもその”フツー”が凄い、他の人にはちょっと真似できない味わいを、この人は確実に持っておるから凄いんですよ。聴いて一度でも「あ、いいね」と思ってしまったらついつい気になって二度三度聴いてしまうような、本当に麻薬のような味ですね。



【パーソネル】
ソニー・クラーク(p)
アート・ファーマー(tp)
ジャッキー・マクリーン(as)
ポール・チェンバース(b)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

【収録曲】
1.クール・ストラッティン
2.ブルー・マイナー
3.シッピン・アット・ベルズ
4.ディープ・ナイト


さぁ、もうジャケットに「イイネ!」と思ったら、迷わず中身を聴いてみましょう。

アナタはこのアルバムのジャケを見て、どんなサウンドを思い浮かべるでしょう。都会の夜の空気? ちょっとモノクロームな感じのくすんだピアノや管楽器の音?それとも酒とタバコの匂いが充満するバーかどこか?

はい、イメージ膨らませましょうね。アナタがイメージを膨らませてこのアルバムに収められている音楽を耳にしたならば、多分それはどれも正解です。そうです、これがジャズの音です。

ちょいと湿った丸みのあるトーンで、重く切ないムードを込めた音を鍵盤に落とし込むソニー・クラークのピアノの魅力と、タメの聴いた、いかにも黒人ジャズって感じのファンキーな楽曲、そしてその両方に潜む、麻薬のような魅力を引き出して止まない共演者達のややワルな個性。これがいいんですよ。

トランペットのアート・ファーマーは、けたたましく吹かない知性派と呼ばれている人で、そのひとつひとつの音を丁寧に紡いでゆく、やっぱりちょっとくぐもった音色で、アルト・サックスのジャッキー・マクリーンも、この人は飛ばせば凄く飛ばすことも出来る人ですが、基本的に明るく鳴るアルト・サックスという楽器をよりジャズっぽい雰囲気に合わせるためにあえてチューニングを落とした、ハスキーな音が印象的。

この、実に渋いトランペットとサックスが表に立って絶妙な呼吸でタメの聴いたアンサンブルで粋なテーマを奏でてアドリブに入ってゆく、そのバックで後ノリの和音で良いアクセントを突きながら、ミドルテンポの快調なノリにどこか引きずるような影を付けてゆくクラークのピアノ、これがブルースとか、ちょっとラテンのリズムが絡んだマイナー調のナンバーとかと絡むと、もうそこはジャズというジャズの”薄暗い天国”なんですね。

あぁ、もうあえて皆まで言いますまい。アタシもモダンジャズ初心者の頃に買って、その時「よくわからんけど何かいいな」と好んで聴いてました。で、今久々に聴いてみてもやっぱり”何かいい”これですよこれ、つまり”雰囲気がいい”、つまり何十年聴きつづけても飽きない。

派手派手じゃないけど、こういう深い味わいが滲むアルバムが「初心者のために」と、結構分かりやすい位置にあるって、すごく幸せなことなんだな。

という訳でアタシはあと5回ぐらいコレを連続で今日は聴きます、あぁたまんないね。。。






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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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posted by サウンズパル at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする