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2017年07月03日

レニー・トリスターノ ニュー・トリスターノ

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レニー・トリスターノ/ニュー・トリスターノ

「毒を食らわば皿まで」

という言葉が好きなので、今日もしつこくレニー・トリスターノをご紹介致します。

トリスターノという人は、その音楽同様にとてもストイックな人で、自分にも他人にも妥協をいうものを一切許さない性格でした。

そんな人ですので、多くの弟子を育てつつも、音楽以外のことでツルんだりフザケたことをやったりする、いわゆる”お友達”のクルーは持ちません。

むしろ高潔な人ですから、酒や麻薬やギャンブルに溺れるミュージシャン達の集団には「お前たちは何故音楽に集中しないのか」と、イライラしながら見ていたんだろうと思います。

トリスターノはだからレコード会社との関係性も、より高潔なものを求めました

一人の芸術家として扱うこと、レコードの中身に関しては完全なる主導権を自分に取らせること。

メジャーレーベルのアトランティックと契約する時も、トリスターノの契約条件はレコード会社にかなり厳しめの注文が並んでいたといいます。

ところが言うまでもなくレコード会社というのは「売れるもんを作ってなんぼ」であります。

売れることなど一切考慮に入れず、ただひたすらに厳しく己の世界を追究するトリスターノに

「いや、先生。もっとこういう風にした方がリスナーも喜ぶかと・・・」

と、ちょくちょく言ってくるレコード会社に

「いや、私はもっとこう表現の高みを感じられるものを作りたい」

と譲らないトリスターノ。

更にトリスターノが

「レコーディングしたい」

と言っても

「いやぁ、あまり売れないからなんとかかんとか」

と、何かと理由を付けてそれを先延ばしにするレコード会社。

結局メジャー契約をしてもなかなか売り出すチャンスを掴めないアトランティック側の苛立ちと、満足行くリリースをさせてもらえないトリスターノの不信感は募るばかりで、遂にはトリスターノの方が

「お前らなんぞもう知らんわい!」

と、1960年代以降は自主レーベルを作ってそこから作品を出すことを決めて、以後彼は亡くなるまで特定の商業レーベルからのリリースはほとんど行いませんでした。


で、今日なんですが、ご紹介するのはそんなトリスターノ先生が、大手アトランティックから出した貴重な二枚のアルバムのうち、昨日ご紹介した「鬼才トリスターノ」とは対になって語られる「ニュー・トリスターノ
」であります。






【パーソネル】
レニー・トリスターノ(p)

【収録曲】
1.ビカミング
2.C マイナー・コンプレックス
3.ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ
4.デリバレイション
5.シーン・アンド・ヴァリエイションズ
6.ラヴ・ラインズ
7.G マイナー・コンプレックス


1962年、トリスターノがレーベルに「怒りの起き土産」として最後に残した作品は、あの鋭い切れ味と容赦ないほど硬質で透明で重厚な美学の結晶といえる「鬼才トリスターノ」よりも更に容赦ないトリスターノの完全ソロ・ピアノ作であります(!)

先に結論から言っておきますと、ジャズという音楽に・・・・、いや、音楽に打ちのめされたい!

と、思う方はもう有無を言わさずお聴きなさい。

冷徹にすら思える崩れないリズム、鍵盤に打ち下ろされる凍ったハンマーのような打撃力の強い音塊、バッハ、シェーンベルクからと思われるクラシカルな(雰囲気で酔える”柔らかクラシック”ではないっす)ハーモニーなのに、ズンズンと直角な渦を描きながらいつのまにか奇妙に歪んで横に横に伸びてゆくメロディーとリズム。

ここにはトリスターノの全てが詰まってます。

一言でいえば「空前絶後」いや、相当に古い音源なんですが、古さは一切なくて、かといって派手な新しさもなくて、ただもう音楽の核。それも太陽から遠く離れた冷たい惑星の限りなく絶対零度に近い氷の核、そのカッコ良さと圧倒的な質量だけがここにあります。

たとえば左手が4分音符で綺麗なベースラインを弾く上に、わざと強引に8分とか16とかの拍の違う右手を重ねて、それが寸分の狂いもなく流れていく。そこから生まれるグルーヴは、前にも言いましたが決して「ノレる、踊れる」グルーヴではないのですが、大きく空間を歪めて揺さぶって、聴く人の神経に直接作用する危険極まりないものなんです。

で、右手のフレーズも、通常だったらメジャーかマイナーの音階で、どこかで「パタン」とオチを付けて途切れるところを、オチを持って来ずに敢えて繋がりをうにょうにょと融解させて、息継ぎナシで延々と繋げてゆく。この”ブレスなし”のどこへ連れていかれるか分かんないフレーズが生む、これまた特異なグルーウも大変にヤバイんです。

このヤバさを体験しないでここまで読んでしまった人は、もう半分ぐらい中毒なんで、トリスターノを何でもいいから今聴いておくべきです。











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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする