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2017年07月05日

ランシド ・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス

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ランシド/・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス
(Epithph/エピック)

丁度ニルヴァーナの大ブレイクで、それまで洋楽の激しいロックといえば、ヘヴィメタル一辺倒だった洋楽に、空前のオルタナティヴ・ロックという新しいムーヴメントが吹き荒れました。

アタシら世代(当時の高校生)のロック小僧やギター小僧達が、ヘヴィメタ雑誌を講読してキャッキャ言ってたのが、もうあっという間にロッキンオンとかロッキンfとかクロスビートとか、それまでは「なんでぇ、あんな軟弱な雑誌」と、どちらかというと馬鹿にしてたのが、ニルヴァーナとかソニック・ユースとかレッド・ホット・チリ・ペッパーズとかの情報ほしさに最初はコッソリ、段々堂々と、最終的には結構得意気に読むようになって、口の悪いヤツは「メタルとかだっせぇ」とか、ほんの短期間、そう、ほんの数ヶ月ぐらいで言うようになって、あぁ、これが流行ってやつか・・・。と、その時初めて流行の移り変わりを実感として初めて体験した覚えがあります。

でも、当時ニルヴァーナが大ブレイクしたからと言って、出てくるバンドが全部ニルヴァーナみたいなものだったかと言われると、そうではなかったと思います。

「オルタナティヴ」のくくりに入れられてはいても、パンクっぽいもの、ヘヴィメタルの暗黒な要素を強く持つもの、よりカジュアルでポップなものなど、そのジャンルにはたくさんの個性や表現スタイルの違ったバンドがおりました。

そりゃそうでしょう、元々それまでの”ロック”に当てはまらない、何か新しい個性を持っている、カテゴライズが難しいものを「オルタナティヴ」の中に全部詰め込んで、メディアがそう読んでいた訳ですから。

そんなこんなで、90年代というのは、ロックという音楽が多様化を極めた最初の時代です。

常に”新しい何か”に向いていた若者の目は、多様化に背中を押される形で、ルーツにも向けられました。

それが70年代のパンクロックのシンプルかつストレートな音楽性とスピリッツでした。

元々アメリカのインディーズ・シーンは、メタルが流行ろうがオルタナが出てこようが、パンクが下支えしていた時代が長く続いていて、モトリー・クルー、ガンズから、メタリカやニルヴァーナ、レッチリといったメタル/オルタナのブレイクしたバンド達は、パンクロックへのリスペクトに言葉を惜しまず語っており、また「地元シーンでクールなのは・・・」と語る先輩や後輩のバンドには、正統派なパンクやハードコアのバンドも数多くいて、それぞれがそこそこ有名になって、徐々にパンクも復権していた頃、グリーン・デイが大ブレイクして、そこから日本でのお馴染みの、空前のネオパンク/メロコアブームが、オルタナやグランジと入れ替わるような形で吹き荒れます。

この時はポップで軽くて一緒に歌えるバンドが多かったですね。

でも、そんな中で80年代ハードコアのまんまな出で立ちと硬派でエッジの効いた音楽性を持っていたランシドは独特で、ブームを牽引しながらもブームとは毅然と並立しているようなカッコ良さがありました。

1993年にファースト・アルバム「ランシド」でデビューして、翌94年にはセカンド・アルバム「レッツ・ゴー」を出したランシドでしたが、サウンドの他を寄せ付けない強靭さはあれど、この時はまだまだ一部の相当にコアなパンク好きにしか知られていないバンドでしたが、95年にリリースした三枚目のアルバム「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」に収録のナンバー「タイム・ボム」がヒットして、一部のパンク好きから洋楽全般を好む若いファンにも広く受け容れられるようになり、90年代を代表するパンクロック・バンドとしての評価を不動のものとしていきます。





【収録曲】
1.マクスウェル・マーダー
2.ジ・イレヴンス・アワー
3.ルーツ・ラディカルズ
4.タイム・ボム
5.オリンピア WA.
6.ロック、ステップ・アンド・ゴーン
7.ジャンキー・マン
8.リステッド M.I.A.
9.ルビー・ソーホー
10.ダリー・シティ・トレイン
11.ジャーニー・トゥ・ジ・エンド・オブ・ジ・イースト・ベイ
12.シーズ・オートマティック
13.オールド・フレンド
14.ディスオーダー・アンド・ディスアレイ
15.ジ・ウォーズ・エンド
16.ユー・ドント・ケア・ナッシン
17.アズ・ウィキッド
18.アベニューズ・アンド・アレーウェイズ
19.ザ・ウェイ・アイ・フィール


1995年の、確かコレ、夏の終わりに出たんですよ。

アタシは夏休みで帰省してて、昼は実家で働いて、夕方からはビヤガーデンでバイトしてたんですけど、そん時丁度ブルース中毒の症状が出始めたのと、その前の年にやっぱり帰省してハマッたランシドの新しいアルバムがリリースされるのを、もうすごく楽しみにしてたんですね。

で、実家とビヤガーデンでバイトしたお金はブルースのCDとランシドでほとんど綺麗になくなったというどうしようもない話は置いといて、ファーストもセカンドも最高に荒削りで、やさぐれそのまんまの音が脳天にガンゴン飛んでくるあの感じが大好きだったんで、レコーディングとかどうやってんだろうと思ったら、ほとんどが一発録りで20曲ぐらいアルバムに入ってるくせにレコーディングには1週間もかけてないとか、そういう話読んで「おぉ、これぞパンクスピリッツ!」とか、アタシ喜んでたんです。

で「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」は、初めてちゃんとしたプロデューサー迎えて1ヶ月以上製作にかけたアルバムだと聞いて、ちょっと勢いとか削がれてたりすんじゃないのか?ポップになってたらどうしよう?とか、前からとても共通点を感じていたクラッシュみたいに、三枚目だからロンドン・コーリングみたいなジャンルレスなアルバム出すんじゃないのかな?とか、不安と期待は入り混じっておりましたが、そんなの関係ないとばかりに相変わらず硬派でストレートで、前作前々作からは上手に音のゴワゴワを抑えて変わりにより鋭く威力のあるものにしたサウンドが、一発目から頭に刺さりました。

ヒットした「タイム・ボム」からしてリズムがスカなんですよね、で、実はこのアルバムの中では音楽の幅を広げようとリズムやアレンジ(つってもギター2本に、曲によってせいぜいオルガンがちょこっと入っただけの男らしい編成)に相当な工夫をしてあって、で、歌詞と見事に連動した楽曲も、見事に一緒に歌えるようなものが多いのですが、ストレートに”響く”と”余計なものがない鋭さ”は、ランシドのアルバムの中でも際立っているような気がします。



一言でいえばものすごくパンクなんです。

「何がどうパンクなの?」

と言われれば

うん、そういう疑問を持ってる人が聴いて”やべ!カッコイイ!すごくパンク!!”と思えるアルバムだからなんだよ。と答えます。







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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする