2017年09月16日

ザ・フー マイ・ジェネレーション

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ザ・フー/マイ・ジェネレーション
(Polydor/USM)


イギリスの3大ロックバンドといえば、ビートルズとローリング・ストーンズ、そして今日ご紹介する"
ザ・フーThe Who"であります。

そして「イギリス3大ロックバンドの中で、どうもよく知らない」と言われるのがフーであります。

揺るぎない世界観と、ロックを通り越してポップスとしても秀逸なスタンダードの数々を生み出したビートルズと、ロックンロールのカッコ良くて分かり易いイメージがそのまんまバンドにんったかのようなストーンズは、確かにもう名前を聞いただけで、音楽にそんな興味のない人でも「あ、これ」とピンとくるものがある、確かにこの2つは別格の中の別格と言っていいほどのスーパーバンドでありましょう。

で、ザ・フーですが、実は3大バンドの中で、アタシはこのバンドほどロック”が”好きな人(ロック”は”好きとかロック”も”好き、ではない)にアツく支持されているバンドはないと思います。そして、このバンドほど様々な音楽の要素を取り入れ、それらのエッセンスを信じられない高みにまで持って行ってサウンド化したバンドはなかろうと思っております。

時期毎に、アルバム毎に彼らは飛躍的な進化を聴く人に叩き付けたザ・フー。

そして初期のアルバムは、パンクロックの誕生に決定的な刺激と影響を与え、キャリアを通じてその演奏の根底には、ひたすらアツく衝動的なロックンロールの魂がたぎっている。

音楽が、とりわけロックが好きな人達が惹かれ、そしてこよなく愛してしまうのが、彼らのそんなピュアな衝動の部分なんです。

アタシが最初にザ・フーを知ったのは、音楽雑誌で

『世界で初めてギターを投げ、ドラムをブチ壊すという破壊的なライヴ・パフォーマンス行った』

という衝撃の記事を目にしたことです。

パンクの登場前にそんなイカレたことをするバンド、いたんだ!

と、そりゃもうワクワクしたもんです。

そしてアルバムを聴く前に、深夜の音楽番組で観た彼らのライヴ・パフォーマンスは、ヴォーカルがマイクを鎖鎌みたいにブングル振り回し、ギターの鼻のでっかいおっさんが飛び跳ねたり腕を大回転させてギターを弾き、ドラムがセットを蹴飛ばして前に出てくるんじゃないかというぐらいの勢いでジタバタ叩いてまして、でも曲はやたらポップで楽しくて「あぁ、コイツらおっかしいなぁ、キてるなぁ・・・」というのが最初の印象でした。

そん時に観た映像は、確か80年代のライヴだったと思います。有名な「ぶっこわしパフォーマンス」こそ拝めませんでしたが、十代のアタシに「ザ・フーはイカレバンド」という美しいイメージを植え付けるのには、十分過ぎるほどぶっ飛んだ映像でありました。


【収録曲】
1.アウト・イン・ザ・ストリート
2.アイ・ドント・マインド
3.ザ・グッズ・ゴーン
4.ラ・ラ・ラ・ライズ
5.マッチ・トゥー・マッチ
6.マイ・ジェネレイション
7.キッズ・アー・オールライト
8.プリーズ・プリーズ・プリーズ
9.イッツ・ノット・トゥルー
10.アイム・ア・マン
11.ア・リーガル・マター
12.ジ・オックス


丁度その時夢中になっていたジュン・スカイ・ウォーカーズが「マイ・ジェネレーション」という曲を出していたので「え?つうことはフーはジュンスカに影響与えてんの?すげー」と、すっかりミーハー根性丸出しで聴いた『マイ・ジェネレーション』。

これですね、ザ・フーが1967年にリリースしたファースト・アルバムなんですが、これが本当にハタチそこらの若者の作ったバンドのデビュー・アルバムなんだろうか?と、思わせるぐらいに完成度が高いです。

パッと聴き、ビートルズをもっと走らせて不良っぽさをプラスしたようなやんちゃな雰囲気で、そこにところどころ、R&Bのテイストが入っており「ポップな曲」「ノリノリの曲」「R&Bテイストなバラード(AGのジェイムス・ブラウンのカヴァー)」のバランスが実に絶妙でした。

いかにも向こう気の強そうなロジャー・ダルトリーのハスキーなヴォーカル、当時のギターアンプの限界の歪で、ガシャガヤゴワゴワ弾きまくるピート・タウンゼントのギター、バシャバシャと耳に刺ささるキース・ムーンの攻撃的なドラム、そしてそして、ライヴでは全く動かず、ただ黙々とビートを刻んでるように思えたジョンエントウィッスルの、まるでリードギターのようにうにょうにょゴンゴン動きまくるハイテクなベース(!)

もちろんこれはアタマの悪い中学生が、聴いたその日に分かったことではありません。

それでも「曲はポップなのに、サウンドは全然大人しくない。そして楽器バカウマ!」ということは強烈に感じました。

イギリスのバンドといえば、大体がブルースやR&Bをカヴァーしまくって、そこに独自の色を徐々に付けて行って個性が花開くといったバンドが、60年代は多かったと思いますが、フ−に関しては元々「ブルースをやろう!」といった力みがそんなになくて、デビュー・アルバムでジェイムス・ブラウンのカヴァー2曲を除いて全部の曲がオリジナル。これがフーの強みであり、後に”音楽的な影響をブラック・ミュージックに依存しないパンクロック”を生んだきっかけになった、と言われたら確かにそうだと納得の出来るサウンドであります。

いやそれにしても、このアルバムの破壊衝動と見事な歌心が同居してる音楽のカッコ良さったら一体どういうことでしょう。ザ・フーに関しては掘り下げてお伝えしたいことは、まだまだ無限にありますが、まずは一切の先入観とか、何となく大物バンドとかいうイメージをかなぐり捨ててこのアルバムを聴いてみてください。やんちゃでカッコイイっす。



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 12:00| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする