2017年11月11日

ジャック・ブルース Songs for a Tailor

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ジャック・ブルース Songs for a Tailor
(Polydor)

今日11月11日は”ベースの日”です。

大体アタシは年がら年中甘いもののことばかり考えているような人間ですので

「え!?11月11日はポッキーの日じゃないの!?みんなでシェアハッピーしようよぉ」

としか思っていませんでした。

ほらお前のそういうところよ!

と、いつも言われるんですが、皆さんどうもこんにちは。

いやぁ、今日はベースの日ですねぇ、ずっと前からアタシはこの日に何をレビューしようかと、実はずっと考えていたんですよ〜(今更感)。

で、何で11月11日はベースの日なんだと言いますと、「1」という数字を弦に見立てて、これが4本並んでいるのが、丁度弦を張ったベースみたいでよろしいと。

あ、ベース業界の方すいません、今、ちょっとバンジョー業界とウクレレ業界の方からクレームが来てるようなんで、そこ対応しといてください。はい、すいませんねぇ。

今日は朝からそんな感じで、音楽好きが集まるネットでは、それぞれが好きなベーシストについてアツく語ったり、音源をシェアしたり、いい感じに盛り上がっているようでございます。

うん、好きなベーシスト?いっぱい居過ぎて「この人が最高!」と絞れる訳なんてないのですが、ベースと聞いて真っ先に一人、ポーンと思い付く人はおります。

それがこの方、ジャック・ブルースです。


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ジャック・ブルースといえば、言わずと知れた英国ロックのスーパーバンド、クリームのベーシストでありヴォーカリスト。その3ピースという最小の編成から放たれるポップな楽曲にパンチの強い即興性を宿した演奏の中心となっていた御仁です。

クリームを知った十代の頃は、やっぱりエリック・クラプトンのギター・プレイを必死で聴いていたので、実はその時はジャック・ブルースという人の凄さに関しては全く気付きませんでした。それどころかクリーム聴いていて、ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーに関しては「クラプトンのバック」ぐらいに思っていたんですね(ついでに白状してしまうと、ヴォーカルも全部クラプトンだと思ってました。嗚呼!)。

ジャック・ブルース、本当にカッコイイなと、いきなり思ってしまったのが、20代になったある日、雑誌で知ったアメリカン・クラーヴェ(ニューヨーク在住のラテン系の人達によるアンダーグラウンドなジャズその他いろいろをやっているレーベル)のいくつかのアルバムに、何とあのジャック・ブルースが参加しているよという文章を何かで読んだ時でした。



正直期待はしてなかったです。アルバム買った動機も「何だかいい感じにアヤシゲなラテンジャズのレーベルに、デヴィッド・マレイとかアート・リンゼイとか、おお、スティーヴ・キューン・トリオの変態ベーシスト、スティーヴ・スワロウも参加しているではないか!」というものでしたから。

しかし、このキップ・ハンラハンという人(アメリカン・クラーヴェのオーナーでありバンドリーダーっす)の「ヴァーティカル・カレンシー」で

『ぬはぁ!ジャッッッッッック・ブルーーーース、すげぇえぇ!!』

と、興奮して以来、すっかりアタシはハマッてしまい、幸いその当時の職場には、ロック先生がたくさんいらしたので、ちょいと興奮気味に話をしたら

・ジャック・ブルースは最初からロックのカテゴリに収まらない幅広い音楽性を持っていたからナメるな

・特にソロになってからはどのアルバムも見事に方向性が違う、ここをナメるな。

・キップ・ハンラハンと組んだヤツは、どれもジャックの幅広い音楽性に合った素晴らしいアルバムばかりだからナメるな。

・ジャズとかR&Bとか色んなジャンルに手ぇ出してるけど、ベースの音そのものはクリーム時代のブリブリゴリゴリから全く劣化してないことをナメるな。

と、色々と教えてもらいました。

アタシの中では、元々ロック畑、そしてブルースにバリバリ影響を受けたスタイルから始まって、クリーム解散後にソロ活動の中で色んなジャンルのミュージシャン達と出会い、音楽の幅を拡げていったのかと思ったら、実はそうではなく、クリームの時代からかなりジャズに影響されたスタンスでベースは弾いていたんだと。

それからジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーによる、即興のインタープレイのどうとかいう、やや難しい話になってきたので、ポカーンとしてたら

「まぁまぁ、とりあえずクリーム解散直後にリリースされたジャックのファーストを聴きなさい」

とのことでした。



【収録曲】
1.Never Tell Your Mother She's Out of Tune
2.Theme from an Imaginary Western
3.Tickets to Waterfalls
4.Weird of Hermiston
5.Rope Ladder to the Moon
6.Ministry of Bag
7.He the Richmond
8.Boston Ball Game 1967
9.To Isengard
10.Clearout
11.Ministry of Bag(Demo Version)
12.Weird of Hermiston(Alternate Mix)
13.Clearout(Alternate Mix)
14.Ministry of Bag(Alternate Mix)


これ凄いんですよ。

いきなり16ビートのどこのソウルバンドか!と思わせる曲から始まって、サザンロックなバラード、アコースティックでいかにもブリティシュ・フォークな曲、骨太なロックンロール、プログレなどなど、1枚のアルバムに、本当によくこれだけ詰め込んだなぁと思えるぐらい豊かで幅広い音楽が、何の不自然も作為もなしに、センスよく収まってるんですよね。

で、こう書くとジャックのベースは大人しくなって全体の調整に回ってるんだとうかと思いますが、プレイそのものは見事に逆で、どの曲でもこの人特有の、ガリガリゴリゴリしたミドルの効いた音で、クリーム時代以上にブリブリ弾きまくっておるのです。

しかも、16ビートのソウル/R&B系の曲でのベース・ラインなんか聴くと、いわゆる黒人ベーシストの軽やかに跳ねてゆくようなノリと全く違って、全力でぶつかりながら強引に山とか越えてゆくような、かなりやんちゃでロックな気骨の感じるやり方で、聴いていてすこぶる気持ちがいいんですよ。

ジャックは2015年に亡くなるまで、とにかく色んなセッションに顔を出し、その都度色んなことを試みていて、ソロ名義のアルバムは実に20枚以上に及びます。

ベーシストっていうのはよく「後ろからバンド全体を見ているからバンド解散後はプロデューサーとして成功する人が多い」なんて言われますが、ジャックの場合はやっぱり自分が楽器持って、絶えず変化している音楽の最前線でハジケていたかったんでしょうね。つくづく根っからのベーシストだと思います。そしてその姿勢って死ぬほどカッコイイです。




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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 17:27| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする