2017年12月06日

オジー・オズボーン トリビュート〜ランディ・ローズに捧ぐ

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オジー・オズボーン/リビュート〜ランディ・ローズに捧ぐ
(ソニー・ミュージック)


洋楽を聴き始めの頃に知って、ギター覚えたての頃に聴きまくって、そのリフや凄腕のギターソロを何とかコピーしたいと思ったギタリストがいます。

それはランディ・ローズです。

はい、言わずと知れたオジー・オズボーン・バンドの初代ギタリストであり、ソリッドできらびやか、そして何よりメロディアスなギター・プレイでオジーをとことん刺激して、彼が「ヘヴィメタルの帝王」への道筋を歩むその第一歩を切り拓いた天才であると思います。

ブラック・サバスで成功はしたものの、ドラッグにアルコール、そしてメンバーとの不仲によって、クビ同然で脱退したオジーは、新たなる活動の地をアメリカに求めておりました。

「ハードロックは俺が作った」という自負と自身があったオジーでしたが、時は既に70年代後半で、果たして自分のやり方が、アメリカの若い奴らに受け入れられるのか?新たなバンドのメンバーとは、上手くやっていけるのか?色んな事を悩みながらのオーディションをしたオジーでしたが、会場であるホテルの一室にやってきた大人しい少年が、アンプにギターを繋いで軽くウォーミングアップしているのを見て

「君に決まりだ、よろしく頼む」

と、すぐさまメンバーに決めました。

「え?決まりだって?僕はまだアナタと曲を合わせてもないし、ちゃんと演奏もしていないのに・・・」

と困惑するランディ・ローズ少年(といっても華奢でかなりの童顔だったのでそう見えただけで実際は21歳)。

地元カリフォルニアでクワイエット・ライオットというハードロックバンドで活動しながら、母親が経営する音楽教室で子供達にギターを教えている、それだけの”ほとんど素人”でした。

実はこのオーディションにランディはそもそも乗り気ではなく友人ベーシスト、ルディ・サーゾから

「ランディ聞いたか?あのブラックサバスのオジー・オズボーンがギタリストを募集してるってよ!」

と、興奮気味に教えられても

「うん、僕は今ギター教室とバンドの練習で忙しいんだよ。それに有名なオジー・オズボーンが僕なんか相手にする訳ないじゃないか」

と、ほとんど消極的だったそうです。

しかし、ルディの再三に渡る説得と、母親の

「アナタも音楽で食べて行こうと思うなら、ショウビジネスの世界で長年やってきた人と会っておいた方がいいわ。きっと何かの役に立つ経験が得られるいい機会だから、オーディションを受けるというのではなくて、オジーという人に会ってくるぐらいの気持ちで一度行って来てごらんなさい」

という言葉が決め手となり、しょうがなくオジーとアポを取って、オーディションを受けたという話だったんですね。


ところがオジーは直感で「運命を感じ」て、すぐさまランディはギタリストとしてオジーと一緒にイギリスへレコーディングをするべく旅立つことになります。

ランディに「オジーのオーディションを受けなよ」と推薦したルディは、何とランディの推薦でベーシストとして、これまたオジーのバンドに加入しています。


オジーを得てからのランディ、いや、ランディを得てからのオジーの煌めきは、正に神がかっておりました。

オジーが「なぁ、ちょっと思いついたんだ」というちょっとしたアイディアでも、ランディはそれに的確なコード進行とリフを付け、サビからエンディングまで完璧に仕上げました。

元々譜面が読めて、音楽理論に精通し、何よりオジーのようなかなり特殊な性格の人間とずっと行動していても、いつもにこやかにふるまって周囲にもストレスを与えないランディの人格は、10歳近く年上でありながら、オジーをミュージシャンとしても人間としても成長させました。


オジーが元々持っていた、ブリティッシュ・ロック(ブルースが土台にある)のフィーリング、そして何よりブラック・サバス時代のへヴィで硬質な音楽性というものを素早く理解したランディは、その”オジーが築き上げたもの”のイメージを全く壊すことなく、より鋭角で手数の多いギター・プレイと、疾走感を増したアメリカン・ハードロックの手法で新たなステージへ引き上げました。




【収録曲】
1.アイ・ドント・ノウ
2.クレイジー・トレイン
3.ビリーバー
4.ミスター・クロウリー <死の番人>
5.フライング・ハイ・アゲイン
6.レヴェレイション <天の黙示> (マザー・アース)
7.スティール・アウェイ (ザ・ナイト) (ドラム・ソロ)
8.スーサイド・ソリューション (ギター・ソロ)
9.アイアン・マン
10.チルドレン・オブ・ザ・グレイヴ
11.パラノイド
12.グッバイ・トゥ・ロマンス
13.ノー・ボーン・ムービーズ
14.ディー (ランディ・ローズ・スタジオ・アウト・テイク)



その”オジーとランディが組むことによって生まれた新しいロック・サウンド”が、最高にアツい現場で鳴っている瞬間を集めたものが、このライヴ・アルバムであります。

80年代はヘヴィメタルの時代と言われますが、ここでランディが弾く、ザクザクとメリハリに溢れたかっこいいギターリフや、華麗な速弾きには、もうその新しい時代の呼吸が活き活きと躍動しております。

『アイ・ドント・ノウ』や『クレイジー・トレイン』の衝撃的なリフは本当にカッコ良くてインパクトがあって、どうやったらギターで弾けるようになるんだろうと思ってチャレンジしたら、実はそんなに難しいことはやってなくて「えぇ!?こんなにシンプルな指の動きで、あんなカッコいいリフになるの!?」と、仰天した記憶がありますし、『ミスター・グロウリー』や『グッバイ・トゥ・ロマンス』で、前者は荘厳で重々しいナンバー、後者はひたすら美しいバラードですが、どちらもランディの最高の情感が彩るメロディアスなソロによって、幻想を極めた美しい異世界に、意識を持っていかれてしまいます。

ブラック・サバスの代表曲『アイアン・マン』『パラノイド』もやっておりますが、コチラも原曲の曲調は全くいじってない、忠実なアレンジに関わらず、雰囲気はひたすらへヴィなサバスとは対照的な解放感に溢れていて、特に堰を切ったように溢れ出すギターのアイディアにはもう言葉がありません。

当然オジーもゴキゲンでノリノリであります。ソロ・アーティストの”オジー・オズボーン”として、新しいハードロックの時代の先鋒に立つバンドとして、これ以上ない程に素晴らしいパフォーマンスがここに収録されております。

このバンド、スタジオ盤もこのライヴ盤も最高なんですが、ランディの早すぎる死によって、突如活動に終止符が打たれてしまうんです。

ランディが亡くなったのは1982年12月。そしてこの「トリビュート」というライヴ・アルバムがリリースされたのが1987年。蛇足ながらアタシがこのアルバムを初めて聴いたのが1991年。でも、その頃リリースされていた、他のアーティストの”新譜”のメタルやハードロックのアルバムと比べても、録音から10年の時間経過はほとんど感じませんでした。

ランディ・ローズのギターは、プレイ自体は非常に激しくて刺激的ですが、サウンドは繊細で構造もよく出来ていて、特に音色は極端な歪みやパワープレイに頼らない、このままのセッティングでロックならどんなジャンルでもいけそうなナチュラルな音なんですよね。この音はいつまでも心地良いし、多分いつまでも鮮やかに聴く人の耳に残るんだと思います。

そして感動と興奮のライヴが終わり、エピローグのように入っているラストの『ディー』。

これは楽屋にクラシック・ギターを持ち込んで練習してたランディが好んで弾いていたオリジナル曲です。もちろんランディ本人がクラシックギター1本で弾いてます。

夢中で聴いていた当時は「ランディ・ローズはこんな全然ジャンルの違う音楽もできるんだ、凄い」と思ってましたが、違うんですよね。ランディにとってはエレキを持って激しくロックする曲もクラシックギターで自己と向き合う曲も、そのメロディの中には同じようにキラキラした美しいものがあって、彼はそれを純粋に愛でていただけなんじゃないでしょうかね。

ランディ・ローズの深く純粋な音楽への愛情にも、思いを馳せて、また胸がいっぱいになっております。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:31| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする