2018年02月02日

ウェルカム・バック!ズボンズ

1.jpgズボンズ/Welcome Back Zoobombs
(クアトロ)

「日本のロック」と聞いて、「これ!」というバンドがいくつかあります。

アタシ個人のことで大変に恐縮ではありますが、大体音楽とかロックとかいうものを聴いてカッコイイと思うようになったのは小6から中1にかけての時期で、その頃(1980年代末)というのは日本全国を席捲していたバンドブーム、それがもう終わりの頃でありましたが、個性的なバンドやアーティストが次々と出てきて

「次はどんな連中が出てくるんだろう、どんな音楽を聴かせてくれるんだろう」

と、ワクワクしてテレビの音楽番組にかじりついたり、ラジオでロックをやる番組を探しては夜中こっそりカセットテープに録音したり、雑誌の中から活きのいいバンド情報などを、一文字でも見逃すまいと必死で読んで、それこそ青春の全てを捧げる・・・訳ではないけれども、それぐらいの勢いで音楽を探しておりました。

音楽というのはその頃のアタシを、学校とか日常とかそういうとても狭くて息苦しい空間の泥沼から強引に引きはがしてくれる刺激であり、違う世界に意識を放り投げてくれる力そのものでありました。

三つ子の魂百までとは言いますが、オッサンになった今でも、どこかで音楽というのはそういうもんであると思っております。学生時代はとうの昔に過去になってしまいましたが、大人になったら学校より強烈な、プランテーションみたいな世間とか社会とかいうものがあり、何だかよくわかんないけれど、あぁこういうのとは戦わんといかん、そう思ってもうかれこれ20年は経っています。

戦って勝てる訳ではなかろうし、そもそも自分が何と戦っているのか、それすら定かではないのですが、バカは死んでも治らないと言いますから、アタシは多分死ぬまでこのスタンスでありましょう。

で、アタシが大人になってすぐの頃、まるで中学生の頃のようにワクワクドキドキさせてくれるたくさんのバンドと出会いました。

その”3大ワクワクバンド”といえば、ギターウルフ、ゆらゆら帝国、そしてズボンズです。

どのバンドも音楽性は違う。反体制的なメッセージを具体的に歌詞に入れていた訳でもない、でも、彼らが放つ「音」そのものの、もう笑っちゃうぐらいの強さ、そして突き抜けてオリジナルな世界観そのものが、これはもうしっかりとパンクであると。つまりアタシにとっての”戦う音楽”であるなと一方的に惚れて作品をおっかけておりました。

今日はズボンズをご紹介するんですが、いやもうズボンズ、ズボンズですよ。最初に出会ったのは確かタワーレコードかどこかの大きなCDショップの試聴機コーナーで、ズボンズというマジなのかフザケてんのか分からないバンド名と、子犬がじゃれあっている何かかわいいジャケットに「何だこれ」と思ったのが出会いの始まりでありました。



【収録曲】
1.ドント・ディドレイ
2.ブラック・インク・ジャイヴ
3.ジャンボ
4.フラット・トップ
5.スワンプ
6.N.R.
7.ビルボーン・ブルース
8.ノー・ライン
9.ブラック・インク・ジャム


「どーせそのへんのオシャレバンドじゃろ〜」

と、からかうつもりでヘッドフォン装着してスタートボタンを押したら


「!?」

「!!!!!!!!!!」

きったなく歪んだギターの音に、やたらトンガった、その辺にあるものを全部吐き捨てるようなヴォーカル、ゴリゴリうるさいベースにバシャバシャうるさいドラム、そうこれはアレだ、自分が思う”パンク”という音楽でありしかもその中でもとにかく荒削りなガレージとかそういうヤツだ。

粗い

汚い

エグい

カッコイイ

でも

カッコつけてるヤツの音楽じゃない

つまり血がたぎる!!

アルバム「ウェルカムバック・ズボンズ」を聴いて1ヶ月ぐらは、その初期衝動の塊そのものな、ひたすら磨かれず削られているサウンドを、ひたすら60年代型のガレージパンクだと思って聴いてました。

でも、よくよく聴いてゆくと、一見荒削りなサウンドの中に16ビートファンクのリズムが散りばめられてたり、ブルース、しかもいわゆる王道の”渋いブルース”ではない、タフで荒々しい南部のエレクトリック・パンクなブルースを思わせるスライドギターのフレーズが飛び交ってたり、ハモンドオルガンとギターのアドリブっぽい掛け合いが、ガレージではなくサイケデリック・ロックのそれと同じトリップ感を醸していたり、まぁよくもよくもこれだけシンプルでまっすぐに暴走しているかのような音楽性の中に、色んなルーツ・ミュージックの興奮作用を、しかもヤバイ方の原液だけを抽出して混ぜ込んだなぁと、頭の方もしっかり感心させてもくれるんです。

90年代といえば、いわゆるミクスチャーロックが花開いた時代です(ズボンズのこのアルバムは97年)。

でも、その頃”ミクスチャー”といえばヒップホップとハードロックを掛け合わせたやつをすればミクスチャーだろうとかいう、やや安直に考えてもそれが出来るぐらいに、スタイルというものが確立されておりました。

ズボンズの音楽って、よく聴いたらガレージとサイケとブルースとファンクの濃厚なミクスチャーだったりするんですが、この力強いサウンドには、そんな安直を蹴り飛ばして笑いながら踏みにじれるリアリティがあります。当たり前だけど今聴いても鼻血が出そうになるぐらい興奮します。もうカテゴリ的なアレは「いつまで経っても鼻血が出そうになるぐらい興奮するやつ」でいいんじゃないかと。







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:04| Comment(0) | 日本のロック・ポップス・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする