2018年03月16日

スリム・ハーポ ティップ・オン・イン

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スリム・ハーポ/ティップ・オン・イン
(Excello/ユニバーサル)

読者の皆様、大変ご無沙汰しておりました。

パソコン移転に伴うシャバダバで、しばらく更新が出来ずにおりましたが、本日無事我が家にネット回線が開通、今日からブログも更新出来ます。

このおよそ1ヶ月の間「書けないストレス」でムギーッ!となっておりましたね、アタシは大体機械とか新しいものに疎くて、パソコンなんてしばらく使えなくてもまぁ文字打つだけならスマホでもいけるんじゃね?とかたわけた気持ちでおった訳ですが、それこそが高度情報化社会の落とし穴で、なかなかスピーディーに文字が打てないスマホと苦闘してあっさり白旗、挙げてしまったんですね〜。。。

でもね、もう大丈夫ですよ。何てったって今日通った回線は光ですから、光っていうのはアレですよね、光速っていうぐらいですから、そりゃまぁべらぼうに早いんですよ。じゃあブログもそんな感じでこれまでよりも数段ぐらいスピードアップして・・・。

すいません、まだ新しいパソコンのキーボードに慣れておりませんので、しばらくはミディアムスロウのユルいペースでやらせてください。

でも、気合いは入っておりますので、皆様には本日ご紹介するこの人の記事で「おぉ、コイツは流石に気合いが入っとる」ということをご確認くださいね。

じゃじゃん♪

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はぁ〜い、そのユルさ”気合いの入ってなさ”でいえばブルース界でも1,2を争うユルめの大将、スリム・ハーポさんであります♪

ファンキーな曲でもどこか腰の砕けたノリ、一切力まない「ほぇ〜、ほぇ〜ん♪」とした歌声の魅力についてはこのへんに書いておりますが、まーその「ブルースといえば渋い!ゴツい!キョーレツ!」という、ある種のパブリックイメージに、ぶつかっても壊れない豆腐のようなテンションで挑んで勝てるだけの脱力を持っている人なんでありますが、この人のサウンド、そして何ともチルな歌唱の魅力ってのは、一度知ってしまうとこよなく愛せてしまう不思議な引力を持っております。

特にブルースといえば、後のシカゴ・ブルースの元となった強烈に泥臭いミシシッピ〜メンフィス系の流れと、よりゴージャスでタフなサウンドの中にカラッと洗練された味のあるテキサス〜ウエスト・コースト系とに大分されますが、この人が拠点にしたルイジアナというところは、そのどちらでもない中間地帯。

高温多湿で沼地が多いという気候条件に加え、アメリカの州の中では最後までフランス領だったという特殊な事情からか、この地で進化したブルースも、まったく独自のものなんですね。

簡単に言えば、さっきから言ってるように「独特のユルさ」というのに尽きるとは思います。

更にそこに一言大事な要素を付け加えれば、そのユルさが何だかポップでオシャレな方向に、不思議と作用していることでございます。

実際、スリム・ハーポの1950年代の音源を集めた最初のアルバム『レイン・イン・マイ・ハート』は、全体的にシンプルなR&Bライクなサウンドと、8ビートや表題曲の8分の6拍子など、キャッチーな中にとことん聴く人を和ませていくうちに、独特の蒸すようなディープなグルーヴに引きずりこむような、穏やかさの中に隠れた凄味を感じさせるアルバムでした。

ハーポの個性というか、その唯一無二の持ち味というのは、このファースト・アルバムの中にその骨組みが全て完成されている状態でゆわ〜んとそびえ立ってると言っていい。

ところが、そんなハーポのユルユルで気持ち良い歌とサウンドの真骨頂が、進化した様々な機材の力を得て本当の意味で他を圧倒するほどのものに仕上がったのは、1960年代以降の演なのであります。

この時代全盛を極めたアナログエフェクター、すなわちスプリング式のごくごくシンプルな作りだけれども、使い方次第では摩訶不思議な効果を生み出すエコー(ぼわーん)やトレモロ(びよんびよん)を駆使して、ユルさに磨きをかけた、いや、持ち前のユルさにトロットロのあんがかかった、例えれば天津丼的な旨味溢れるのが、彼の人生後期、すなわち1967年から69年の音源を集めた名盤がコチラの『Tip On In』

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【収録曲】
1.ティップ・オン・イン
2.ティ・ナ・ニ・ナ・ヌ
3.メイルボックス・ブルース
4.アイヴ・ビーン・ア・グッド・シング・フォー・ユー
5.ヘイ・リトル・リー
6.アイム・ゴナ・キープ・ホワット・アイヴ・ガット
7.アイヴ・ガット・トゥ・ビー・ウィズ・ユー・トゥナイト
8.アイム・ソー・ソーリー
9.マイ・ベイビー・シーズ・ガット・イット
10.アイ・ジャスト・キャント・リーヴ・ユー


イントロからキレのいい8ビートと、ゆわんゆわん揺れるトレモロをアホみたいに効かせたギターが、あぁもう最初から言っちゃいますけど、初期ローリング・ストーンズのあのサウンド”まんま”です。いかに60年代な、サウンドそのものがカラフルな香気とムンムンの熱気をふりまきかがら踊っている、実にオシャレでちょいとトッポくて、でも明るい力強さと妙にリアルな自由と説得力に満ち溢れたあのサウンド。

タイトル曲の『ティップ・オン・イン』や続いての(個人的にはこの曲がアルバムの中で一番好き!)ダンスナンバー『ティナ・ニ・ナ・ヌ』なんか、実に腰を揺さぶるロッキンな横ノリで、このビートがあともうちょっと激しく鋭角にかったらファンクになるギリギリのところなんですが、そこで勢いに突っ走らずにぶらんぶらんなルーズなノリでとどまっているところはもう流石です。

で、ハーポのヴォーカルとハープは、デビュー時から全く変わらずユルい。エコーも深くなっているから余計にサイケというか、脱力感が増幅された感じがあるんですが、このサウンドで楽しく躍らせながらしっかりじっくりと音楽を聴かせるには、やっぱり頭に血が上っていてはダメで、この「やる気なんてないもんねー」と、やや言葉をリズムの端に引っ掛けるようにして、語りと唄の中間ぐらいの絶妙なヴォーカルじゃないとなんですね。

このサウンドの斬新さとヴォーカルの”太くて柔らかい後ノリ”が生み出すグルーヴ、ブルースとしてはもちろん極上ですが、黎明期ロックの源となったオシャレでノリのいいブラック・ミュージックとしても純粋に楽しめます。あぁいいなぁ、とことん自由な音楽だなぁ。。。

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 21:28| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする