2018年04月01日

高田漣 ナイトライダース・ブルース

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高田漣/ナイトライダース・ブルース
(ベルウッド)

またも久々の更新でございます(汗)

前回ライ・クーダーについて書いてから、いろいろと”ナチュラルで心地の良い音楽”について考えておりました。

ブルースやカントリー、フォークなんかを核にして、その周辺にハワイアン、カリプソ、レゲエ(ルーツ・レゲエ)などなど、世界中の音楽のエッセンスを散りばめててゆくといえば、言うはたやすいが実際にやってみるとなると、演奏テクニックはもちろん、扱う全ての音楽に対する深い理解や愛情がないととても自然には出来ないものでございます。

唐突に高田漣のことを思い出したのは、彼もまたスライド・ギターの名手であり、これまでリリースしてきた作品の中ではブルースにカントリー、ハワイアン、テックス・メックス、R&B、アイリッシュなどなど、世界中のありとあらゆる音楽が豊かに響きあってひとつのコンセプトを形成しているというところが、ライと実に共通する、というだけではありません。

やはりこの人もまた。ライと同じようにコアとなる大好きな音楽(音楽体験)があって、それを心の中で大切に大切に持ちながら、聴いてきた世界中の音楽にもその気持ちを伝達させて自分自身の表現に取り入れている。

何だか難しい言い回しになりましたが、つまり音楽が心から大好きな人達なんです。

高田漣は、フォークシンガーの高田渡の息子として生まれ、10代の頃からギタリストとして活動していました。

2世の人といえば、偉大な親の存在を意識し過ぎて壁を越えられないという共通の苦しみがあったりしますが、この人の場合は「親父は親父、俺は俺」と、早い段階から気持ち良くサックリ割り切っていて、お父さんもまたお父さんで「倅は倅、俺は俺」とまた好き勝手やっていたんです。

早い段階からペダル・スティール・ギターをメイン楽器に、色んな人のセッションで、まずはバック・ミュージシャンとしてキャリアを積んだ高田漣。スティール・ギターといえば「ハワイアンの楽器」として知られておりましたが、この人のサウンドはナチュラルな心地良さがありながら、どこかニューウェーブやエレクトロニカに通じる表現の”新しさ”みたいなものがありました。

で、2002年に待望のソロ・デビュー・アルバム『LULLABY』をリリースしましたが、70年代の名曲達をシンプルな編成とペダル・スティール・ギターの魅力でじっくり聴かせるこれが素晴らしい作品で、実力派としての評価を不動のものとしました。

その後も色んなミュージシャンのツアーやレコーディングのサポート、映画音楽の制作や、高橋幸宏、高野寛、原田知世らとのユニット”pupa"など、それこそジャンルを股にかけた幅広い活動を重ね、音楽的にそれぞれ違ったカッコ良さに彩られたソロ・アルバムもコンスタントに制作しております。




【収録曲】
1.ナイトライダー
2.ハニートラップ
3.Ready To Go ~涙の特急券~
4.Take It Away,Leon
5.Sleepwalk
6.ハレノヒ
7.ラッシュアワー
8.文違い
9.思惑
10.バックビート・マドモアゼル

そして2017年にリリースされた『ナイトライダース・ブルース』です。

これがもう何というか、実に素晴らしい。音楽的にはタイトルにある通り”ブルース”が軸になっているし、高田漣のスティール・ギター、ギター(エレキとアコギ両方)、バンジョーの見事な弾きっぷりは堪能出来るし、ブルースを中心に、ロックンロール、カントリー、R&B、ロカビリー、ジャンピン・ジャイヴ、セカンドライン、ハワイアンなどの、アメリカのルーツ音楽の豊かな響きが曲ごとじゃなくて、いろんなトラックの中でごくごく当たり前に溶け合っている。

で、そんな感じの、何というか「音楽の深いとこ」を上質にまろやかに、サウンドで表現してはいるんだけど、その鳴り方が「洋楽聴かない人おことわり」みたいな敷居の高い感じでは全然なくて、むしろごくごく日常のことをサラッとユーモアやホロッとした切なさを交えながら歌われる歌詞(これがブルース!)と張り上げない優しい声の効果で、ブルースとかアメリカン・ルーツ・ミュージックとか、そんなもん全然わかんなくても「これは良い日本語の音楽!」と、誰が聴いても心和む仕様になっているのが、もう何というか本当に素晴らしいんです。

「かわいいあのコに、気がつきゃカードも判子も渡しちゃった〜」

と、軽やかな曲調で歌われるもんだからつい「あらあら(^^;」となってしまう『ハニートラップ』、ジャンプ・サウンドにスティール・ギターか絡んで独自のウエスタン・スウィング×ハワイアン・スウィングみたいですこぶるカッコイイ『Take It Away Leon』(原曲はレオン・マッコーリフの超ご機嫌なウエスタン・スウィング・ナンバーなの〜♪)、セカンドラインの陽気なリズムに乗って満員電車と道路渋滞を歌う、ちょいと切ない『ラッシュアワー』が特にオススメですが、どの曲も良いよ、良いのよ〜♪






『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 18:33| Comment(0) | 日本のロック・ポップス・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする