2018年05月02日

スモーキー・スマザース THE BLACKPORCH BLUES

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Smokey smothers/The Blackporch Blues
(Ace)

皆さんこんばんは。

いやぁ2月から多忙とパソコン移転と体調のシャバダバですっかりこのブログの更新ペースも落ちておりまして、読者の皆さんには毎度お待たせをしていて申し訳ないです。

「こんな辺境ブログだから」と、タカをくくっていたら、ある日地元の若い子から

「早くブルースの紹介が読みたいっす」

と、思いも寄らず有難い言葉を頂きました。

ふむっ!

と、鼻息を荒くして、今日は気合いを入れてブルースを紹介しますぞー!!

はい、アタシはアタマの悪い中学生の頃にブルースという音楽を意識し、それ以来自分の全てに欠かせない大切なものとして、40過ぎのオッサンになるまで愛してきました。

しかし、色々と聴いて知っているようで、戦前ブルースから入ってしまっているアタシには、実は戦後のバンドスタイルのブルースに関しては、まだまだフォロー出来ていないところがある。

日々勉強でありますよ。といっても音楽に関する勉強というのは、これは自分が好きな物事をもっと深く、広く楽しむためのものでありますので、やっていてこんなに楽しいことはありません。

という訳で、アタシはラジオを聴いております。

今はインターネットにアクセスすれば、Youtubeという便利なものがあって、知らない音楽も手軽に知る事の出来る時代なんですが、これには落とし穴があって「色々視たけど結局自分好みのヤツの堂々巡りをしている」というのと「せっかく良いものに出会えたのに、映像を視ていると肝心の音楽に集中してその良さをじっくりゆっくり心に刻むことが出来ない」という落とし穴です。

考えてみればアタシがクソガキの頃はネットなんてありませんから、雑誌やレコード屋、先輩や友達の口コミ、そしてラジオなど、ほんっとに少ない情報から、自分の心に響くものをそれこそ必死で探しておりました。

情報が少ないから、当たりと出会った時の感動は深かったです。

や、もしかしたら「ハズレにしないように大事に聴いて行こう」という意識も働いていたかも知れません。

特にラジオは良かったですね、ただ単に曲が流れるだけでなく、その音楽を紹介する人の心のこもったアーティスト紹介や説明があったから、気持ちが自然と前のめりになってウキウキするんですよね。

その時知らなかった洋楽のブルースやブルースロックとは、主にラジオで出会いました。

一番インパクトがあったのは、ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズでしたねぇ。。。

おっと、話が脇道に逸れてしまいそうなので、話を戻しましょう。

大人になってから、何だかんだ忙しかったりで、すっかりラジオ聴かなくなったんですけど、地元のスタジオがあるASIVIの壁に貼られていた『永井ホトケ隆のブルース・パワー』の番組宣伝のポスター。






「あ、ホトケさんだ♪ラジオやってんだ〜」と、何気に見ていたら、何とアナタ、この番組が我が地元のあまみエフエムで聴けるというじゃありませんか。


日本のブルース・シーンの最前線の現場で音楽張ってきた、永井ホトケさんがDJをするブルース番組なら、こらもう最高に違いないとアタシは確信し、それ以来毎週日曜の夜10:00の放送時間を逃さないように、夜遊びをせずに聴いております。


戦後シカゴ、ダウンホーム・ブルースの雄、スモーキー・スマザーズの事は、この永井ホトケさんの番組に教えてもらいました。

そう、アタシはこの、戦後シカゴ・ブルースを、知ってるよーで意外に知らんのです。

スモーキー・スマザーズといえば、実はサイドマン(ギタリスト)としては、重要な作品に数多く参加してまして、いわばマディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフといった戦後のシカゴ・ブルースの第一世代、リトル・ウォルター、ボ・ディドリーら第二世代、更にフレディ・キング、マジック・サムといった第三世代が1940年代後半から60年代にかけて、その電気化したタフでワイルドなブルースを次々とその個性で進化させ、発展させて行ったその現場に、セッションマンとして立ち会い続けて来た人なんですね。

だから一応レコードやCDのクレジットなんかを見て「おぉ、ここにも参加しとるんか」と、そのちょっとインパクトのある名前だけに、何となく覚えてはおりました。

けど、根っからのサイドマン気質なのか、或いは個性が百花繚乱する戦後シカゴで、リーダーとして自分を上手に売り込むことが出来なかったのか、或いは単純にスターダムにのし上がって派手に活躍することに興味がなかったのか、単独の作品がほとんどないがゆえに、一般的な知名度を獲得するまでには至らなかった。

生涯に残したソロ名義のアルバムはたったの3枚(このうち60年代のセッションは1枚のアルバムにまとめられてリリースされたので、実質2枚ですな)なのですが、この中で60年代にレコーディングしたアルバムが、実は!実はブルースファンの間で「隠れ名盤」「バンドブルースやるんだったらコレは聴かなきゃダメ」「つうかシカゴ・ブルースのサウンドの美味しいところが全部入ってる」と大絶賛されて、今も伝説として語り継がれているアルバムなんです。これ、アタシ知らなかった。。。






【収録曲】
1.I Can't Judge Nobody
2.Come On Rock Little Girl
3.Honey I Ain't Teasin'
4.You're Gonna Be Sorry
5.(What I Done For You) Give It Back
6.Smokey's Love Sick Blues
7.I've Been Drinking Muddy Water
8.Crying Tears
9.Midnight And Day
10.Blind And Dumb Man Blues
11.What Am I Going To Do
12.I Ain't Gonna Be No Monkey Man No More
13.The Case Is Closed
14.Way Up In The Mountain Of Kentucky
15.Hello Little School Girl
16.Twist With Me Annie (Extended Take)
17.I've Been Drinking Muddy Water (Previously Unissued Alternative Take)
18.Blind And Dumb Man Blues (Previously Unissued Take 1)
19.Honey I Ain't Teasin' (Previously Unissued Take 2)
20.Smokey's Love Sick Blues (Previously Unissued Take 1)
21.Come On Rock Little Girl (Precviously Unissued Alternative Incomplete Take)
22.Midnight And Day (Previously Unissued Take 1 Incomplete)
23.(What I Done For You) Give It Back (Previously Unissued Take 1)
24.I Ain't Gonna Be No Monkey Man No More (Previously Unissued Take 2)
25.You're Gonna Be Sorry (Previously Unissued Take 1)



じゃじゃん、コチラがそのシカゴ・ダウンホーム・ブルースの聖典であります。

「ダウンホーム・ブルースって何じゃい?」と思う方もいらっしゃると思いますが、まぁその、派手なアレンジとかR&Bとかファンクとか、そういうハイカラなことをやらず、ブルース特有の濃い味わいだけで勝負してる感じのブルースだと思ってください。

そうなんです、このアルバムで聴けるバンド・サウンドは、ギターとべースとドラムだけのシンプルな編成で、リーダーのスモーキー・スマザーズも派手なソロを弾きまくったり、声を張り上げてシャウトしたり、そういう派手な事は一切してません。

バンドの音は、シンプルに「ズッズ、ジャッジャ、ズッズ、ジャッジャ」とウォーキングを刻むサイドギターに、弾き過ぎない絶妙なオブリガードで勝負のメインギター(でもバンドサウンドの性格上、こっちがサイドギターに聞こえる)、絶妙な”間”を活かしながら粘るラインをリズムに絡めるベース、たっぷりの隙間を保ちながら、何ともルーズなビートを気持ち良くキメるドラム、たまに入るハープ。で、その上を程良く力の抜けたユル〜く酔った感じのスモーキーのヴォーカルが気持ち良く響き渡る。ちなみに前半の12曲ではベースすら入っていない、ほぼギター2本とドラムだけのアンサンブルなんです(!)

で、アルバム全般特に早い曲もなければ、ギターが歪みまくってエゲツない音とか、そんな感じの強烈に聴く人の耳をかっさらう要素はほとんど入ってない。でも”これだけ”の魅力の何と素晴らしいことか。

その隙間だらけのサウンドの中で、ギター、ベース、ドラムがそれぞれの音やリズムに最も必要なタイミングで互いの音と呼応し、隙間そのものが最高の揺れ心地で”ふわぁん”とグルーヴしている。そしてこのグルーヴ、この飾りのないサウンドの質感じゃないと絶対に立ち上らない濃厚な”ブルース風味”が、アルバムの最初の一音から最後の瞬間まで、ずっと絶えることなく湧き続けてる。

いやぁ、これは本当に素晴らしい!どれぐらい素晴らしいかといえば「ブルース」という音楽にちょっとでも「おーいぇー」となれる人なら、この音の質感だけで酔いしれてしまえるぐらいの味わいの深さと、やっぱりラジオでホトケさんが言ってたように、ブルースやるんなら、派手なギターソロだけじゃなくて、こういったバッキング(ウォーキングと単音オブリガード)だけでどれだけ気持ちいいアンサンブルを作ることが出来るかってのが重要なんだなと、心の底から思えてしまう、ブルース・フィーリング溢れるバンドの音の最高のお手本だなと、心の底から思ってしまいます。

ちなみにこのアルバム、フレディ・キングが前半6曲で参加してるんですが、あの”モダン・ブルース・ギターの神様”であるフレディ・キングが、一切派手なソロ弾いてないんです。えぇぇ!?せっかくフレディ参加してんのに弾きまくってないの?じゃああんまりヤル気なかったんだ残念。じゃなくてーーーー!!ここで聴けるフレディのプレイこそもう最高なんですよ。音数を凄まじく絞った中から、歌とバッキングを最高に引き立てる(「バッキングを引き立てる」って変な表現ですが、そうとしか言えないぐらい絶妙なんですよホント)、センスの塊のようなプレイ、これは耳に穴が空くまで聴きまくってみてください。

こういう”引き”のプレイも最高に上手いからフレディ・キングはグレイトなんです。

実はフレディ・キング、このセッションの時はスタジオで打ち合わせして、全曲でガッツリ参加する予定だったそうなんです。でも、事情があって遅刻してしまいました。

「あぁすんませんすんません、遅刻しやした(汗)あれ?つうかもうレコーディング始まってんの?」

「あぁ、おめぇが来ねぇからもう半分ぐらい終わっちまったなぁ。ぶっつけで出来る?」

「え!?・・・あぁ、まぁ出来るよ」

で、録音したという、どこを切り取ってもブルースな話が残っております。

でも、スモーキー・スマザーズのアルバムでは”引き”を心得た見事なサポート、そして何と、この翌日に自分がリーダーとしてレコーディングした曲が、フレディ・キング一世一代の代表曲であり、その後多くのギタリスト達にカヴァーされたブルースのインストといえばコレ!の『ハイダウェイ』していたりしますが、コレは余談です。


戦後、60年代シカゴ・ブルースのこれ以上なくルーズな空気を、とことん楽しめるスモーキー・スマザーズの『THE BLACKPORCH BLUES』ちなみにアタシはホトケさんのラジオを聴いて「凄い!スモーキー・スマザーズかっこいい!これは1枚だけじゃなくて2枚ぐらい買わねば!!」とイキり立ち、そのまんま勢いで2枚を注文したのですが

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はい、同じアルバムを2枚買ってしまいましたー!!

左が国内オールディーズ・レコードからリイシューされたFederalオリジナル仕様の再発盤、右がAce輸入盤のボーナストラック付き盤です。

タイトルとかよく見もせんで買ったアタシがバカなんですが、それだけ感動して冷静さを失うぐらいだったと、カッコ良く思って頂ければ幸いです。









『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 21:39| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする