2019年06月18日

ドン&デューイ ジャングル・ホップ

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Don&Dewey/Jungle Hop
(Specialty)


さて、リトル・リチャードですっかり血圧が上がってしまいましたので、本日もゴキゲンな50年代元祖ロックンロールなR&Bをご紹介します。


ロックンロールはチャック・ベリーやリトル・リチャードの大ブレイクで全米で爆発的な人気を博し、そこに南部メンフィスから黒人音楽に多大な影響を受けたエルヴィス・プレスリーやジェリー・リー・ルイス、ビル・ヘイリーなどの白人勢も加わって、人種の壁を越えた若者の音楽となったのです。

何故そうなったのかというと、これは才能豊かなミュージシャン達がたまたま偶然世に出てきたからというだけでなく、ラジオの力もありました。

白人のティーンエイジャーの間では、実は割と早くから黒人の音楽、すなわちジャズやブルースやR&Bを聴く行為がカッコイイとされていたんです。

当時はまだまだ差別もあり、親の世代は「黒人音楽なんてあんなもん聴いたら不良になる」と、嫌な感じで見下しておったんですね。

でも、若者にとってみれば

「不良になる?おい聞いたか、黒人の音楽聴いたら不良になれるんだってよ。ラジオ聴いてみようぜ・・・おおお、何だコイツは!めちゃくちゃゴキゲンじゃねぇかおい!」

てな具合で、親達の目を盗んでは”ヒップな”ブラック・ミュージックを溜まり場で聴いたり、ダンスパーティーで爆音で流して踊り狂うなどして楽しんでいるうちに、50年代には白人の若者達の間でも、R&Bという音楽が、密かに最新の流行音楽になっておったという訳なんです。

これに目を付けたのが、ラジオのDJをしていたアラン・フリードという人で、この人は白人若者向けの自分の番組でビートの激しい最新のR&Bを、50年代初め頃からガンガンにかけておりました。

で、曲の合間のおしゃべりの最中に「コイツはイカすぜ、ロックンロールだ!」と注釈を付けた訳なんですね。

ロックンロールという言葉は元々は黒人スラングで、かなり卑猥な意味として使われる言葉でありましたが、アラン・フリードは青少年向けに、そういう意味を匂わせながら「ハイになって大騒ぎできる音楽だ」みたいな感じでR&Bを紹介しました。

ゴキゲンなビートやシャウトといった特有の表現とこの若者達にとっては全く未知の新しい単語は、いつしか「そういった音楽そのもの」を指す言葉として定着します。

そうこうしているうちにロックンロールという音楽が大ブレイクして、多くのイカしたR&Bが「ロックンロール」として市場に送り込まれる訳でありますが、そんな中、リトル・リチャードが所属するスペシャリティ・レコーズが、同じく強烈なシャウトを武器にしたアーティストを次々デビューさせるのですが、その中でもとりわけ強烈なインパクトを持って若者に衝撃を与えたのが本日ご紹介するドン・シュガーケイン・ハリスとデューイ・テリーによる強烈激烈シャウティングなデュオ『ドン&デューイ』であります!

甘いマスクでキリッとオシャレさんな2人なので、アタシはてっきりムーディーなバラードでも歌うんだろうと思ってレコードを買った訳なんですがね、まさかこんなにもワイルドで勢いのある芸風だとは正直思いませんでした。

とにかくまぁリトル・リチャードよりも更に濁ったダミ声でがなるがなるがなる!バシバシと痛快なアクセントの8ビートに乗って、シャウトをハモらせながら歌う2人の声だけでもうノリノリ、最高にグルーヴィーなんです。



Jungle Hop

【収録曲】
1.Jungle Hop
2.A Little Love
3.Hey Thelma
4.Baby Gotta Party
5.Miss Sue
6.Good Morning
7.Leavin' It All Up To You
8.Jelly Bean
9.Sweet Talk
10.Farmer John
11.Just A Little Lovin'
12.The Letter
13.When The Sun Has Begun To Shine
14.Bim Bam
15.Day By Day
16.Koko Joe
17.Justine
18.Little Sally Walker
19.Kill Me
20.Big Boy Pete
21.Farmer John
22.Pink Champagne
23.Jump Awhile
24.Mammer-Jammer
25.Get Your Hat


50年代から60年代初頭の活躍を一枚に収めたベスト盤が出ております。基本はダミ声でまくしたてながら疾走するアップテンポがこの2人の真骨頂。タイトル曲の『Jungle Hop』や『Baby Gotta Party』は、唾と汗でも飛んでこようかという熱い暑いナンバーで、激しさで言えばこの時代ぶっちぎりであります。

一方でこの2人、単なるヴォーカリストではなく、デビュー前からそれぞれソングライターとしての才能を買われており、加えてピアノにギター、ドラム、ヴァイオリンまで、楽器は何でもこなすマルチ・アーティストだったんですね。

なので一見ストレードに思える楽曲の数々も、決して一本調子ではなく、ミディアム・テンポのブルースや、無駄なく聴かせどころを押さえたアレンジでも「のせること」と「聴かせること」の両方をしっかり押さえてて飽きさせません。

がならずに伸びのある声で、デューイが切々と聴かせるバックで、ドンがエレキヴァイオリンで実に渋いソロを炸裂させるスローブルース『Pink Champagne』とか、何度聴いても心の奥底からグッとこみあげるものを感じてしまいます。

ドン&デューイは残念ながらロックンロールのムーヴメント終了と共に解散しておりますが、ドン・ハリスは”シュガーケイン・ハリス”名義でエレキヴァイオリン奏者として、ジャズやブルースをインストで演奏する味わい深いアルバムなどをリリースしており、デューイ・ハリスの方はゴスペルライク、或いはファンクまで自在にこなす本格的ソウル・シンガーとしていずれも活躍しております。

デュオを解散してからの2人は、シャウトを抑えた深みのあるミュージシャンになっていて、それぞれのアルバムもいずれかの機会に紹介しますね。とりあえずドン&デューイ、最高にゴキゲンです。












『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 14:52| Comment(0) | ソウル、ファンク、R&B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする