2019年06月22日

ロックンロール・サーカス

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ザ・ローリング・ストーンズ/ロックンロール・サーカス
(ユニバーサル)


ロックという言葉について色々考える事が多いです。

それこそ誕生から半世紀以上、ロックというのは様々な音楽を呑み込み、また、時代に合わせて物凄い速さで進化しております。

アタシがロックというものを最初に意識したのは1980年代の後半でしたが、その頃ですら既にロックを一言で「ロック」と呼べないぐらい、巷には様々な「ロック」が溢れておりました。

パンクもあればメタルもある、ヴィジュアル系もおればミクスチャーもあり、とまぁそういうカオスこそがロックといえばロックなのではありますが、アタシは頭が悪いので、考えるのが大好きっ子なんです。今日も無駄に「ロックって何だろう」と考えておりました。

ほんで、頭悪いなりに考えて出た「ロックの定義」ってのがありまして、つまりは

・不健全で

・いかがわしくて

・反社会的で

・意味もなくワクワクする

というものであります。


つまりは「世の中をクソつまらんものにしているよーな連中が嫌がるような素敵なこと」がロックでいいと思います。

ワクワクドキドキするようないかがわしさといえば、やっぱり際立ってロックだなぁとアタシが思うのがローリング・ストーンズ。

そりゃあロックというものがまだちゃんと形になっていない1960年代半ばから、ブルースやR&Bのレコードを聴きまくって、試行錯誤してその中から「いかがわしいエッセンス」を抽出しつつ自分達のオリジナルな表現としてそれを昇華させていった立役者だけあります。

とは言いつつもアタシは10代の頃は、激しい音楽と、とことんなルーツ探究のために古いブルースばかりを聴いていて、その中間にあった一番大事な60年代、特にブリティッシュロックは聴いてなかったんです。

特にストーンズとビートルズに関しては「まぁそのうち聴くだろう」と思いつつ、友達からアルバム借りたり、好きなバンドがカヴァーしているストーンズの曲を「カッコイイなー」と聴いてたぐらいでありました。

そんなアタシがストーンズ本気で「やっばい!カッコイイ!」と思ったアルバムというのがありまして、それが本日ご紹介する『ロックンロール・サーカス』であります。

時は1996年、アタシが東京のレコード屋さんで丁稚をしていたら、先輩達が荷物の入った箱の周りに集い「おぉ、これか・・・」「来たね」とざわついておりました。

「ストーンズ?新作ですかい?」

と訊くと。

「馬鹿野郎、お前は何にも分かっていない。コイツは1969年にストーンズが企画したライヴ番組で、今までずっとお蔵入りになってた凄いやつなんだ」

「ストーンズだけじゃねぇんだぞ、ビートルズ辞める直前のジョン・レノンとクラプトンが共演してたり、フーも入ってたり、とにかくすげーメンツが集まった。ある意味ウッドストックとタメ張るぐらいのブツだコレ」

と、一通り罵倒混じりの説明を受けて、ぼーぜんとするアタシをよそに先輩達は

「ジェスロ・タルも入ってんだ!」

「マリアンヌ・フェイスフルもいる、やべー」

と、キャッキャはしゃいでおりました。

そう『ロックンロール・サーカス』とは、1969年にローリング・ストーンズが企画した、長時間ミュージック・プロモーション・ビデオの事で、サーカスをイメージしたコンサートを行って、その様子を撮影した作品として世に出そうと企画した画期的な試みの事であります。

しかも、それは単なるライヴ映像ではなく、テント小屋の中に客を集めて(客も同じデザインのカラフルな帽子とポンチョのような上着を着ている)、ロックの演奏の合間に実際のサーカスの出し物をしたり、出演者もサーカス団員やピエロのような仮装をしているという徹底ぶり。

今でこそミュージック・ビデオや音楽のライヴドキュメントとかは普通になりましたが『ロックンロール・サーカス』は、正にその先駆けですね。

それはさておきで、早速見本盤CDの封を開けて店内で流してみたら、ガツンと耳に入って来た曲があり、それが『悪魔を憐れむ歌』でした。




ザ・ローリング・ストーンズ ロックン・ロール・サーカス

(Disc-1)
1.ロックン・ロール・サーカスの紹介
2.グラディエイターの入場
3.ジェスロ・タルの紹介
4.ソング・フォー・ジェフリー
5.ザ・フーの紹介
6.クイック・ワン
7.観客のウェイヴ
8.エイント・ザット・ア・ロット・オブ・ラヴ
9.マリアンヌ・フェイスフルの紹介
10.サムシング・ベター
11.ザ・ダーティ・マックの紹介
12.ヤー・ブルース
13.ホール・ロッタ・ヨーコ
14.ザ・ローリング・ストーンズの紹介+ジャンピン・ジャック・フラッシュ
15. パラシュート・ウーマン
16.ノー・エクスペクテーションズ
17.無情の世界
18.悪魔を憐れむ歌
19.地の塩

(Disc-2)
1.チェッキン・アップ・オン・マイ・ベイビー
2.リーヴィン・トランク
3.コリーナ
4.レヴォリューション (リハーサル)
5.ウォームアップ・ジャム
6.ヤー・ブルース (テイク2)
7.ジュリアス・カッチェンの紹介
8.火祭りの踊り
9.ピアノ・ソナタ ハ長調 K.545 第一楽章



この曲は言うまでもなくストーンズ60年代を代表する1曲で、収録されているアルバム『ベガーズ・バンケット』ももちろん代表作と呼ばれるアルバムです。

で、アタシは映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイヤ』の主題歌としてガンズ・アンド・ローゼスがカヴァーしているヴァージョン聴いて、ベガーズ・バンケットも友達に聴かせてもらい、その印象もなかなかに良いものでした。

しかし、この『ロックンロール・サーカス』に収録されているライヴヴァージョンは、何と言ったらいいんでしょう。この曲が持つドロドロした感じ、卑猥でいかがわしいフィーリングのようなものが、スタジオ・ヴァージョン以上に際立っていて、これはもう歌がどうとかギターのフレーズがどうかとか、そういうものじゃなくて、もっとこう本質的な禍々しさのようなものがスピーカーから迫ってきて、もうその濃厚な空気のヤバさというのは、触れてしまって思わず絶句する。そういった類のものでありました。

一説によるとこの音源、とても素晴らしい内容にも関わらず、30年近くもお蔵入りしていたのは、ミック・ジャガーがこの時の演奏に満足してなかったとかいう説もあるらしいですが、いやいやいや、ラフでドロついて野性の危なさ満載のこのストーンズの演奏、全然カッコイイですぜ。

実際、多くの出演者がいて、その間の出し物をいっぱいあったこの日の収録は、昼過ぎにスタートしてストーンズの演奏が始まったのは翌日の明け方近くだったという事で、ストーンズのメンバーの披露は頂点に達していたという事を後にアタシも知るんですが、披露が頂点に達した異様なテンションですね、これは。

ストーンズ以外にも、レッド・ツェッペリンの代役として急遽出演が決まったジェスト・タルのジャズとファンクとロックが妖しく交錯するパフォーマンスや、生粋のライヴバンドとしてキレッキレのテンションで凄まじいステージングを繰り広げるザ・フー(これもこの人達のライヴでは屈指の素晴らしさ)、ジョン・レノンにキース・リチャーズ、クラプトン、そしてジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのドラマー、ミッチ・ミッチェルによる即席バンド『ザ・ダーティ・マック』の素晴らしいブルース。そこにオノ・ヨーコが加わって周囲を唖然とさせたという絶叫パフォーマンス。ソロ・アルバムではのどかなアコースティック・ブルースを歌う人ですが、コチラではバンドをバックにギンギンのシャウトを聴かせるタジ・マハールなどなど、聴きどころは本当にたくさん。


最後はクラシックのピアニスト、ジュリアス・カッツェンのピアノソナタでエンディングなんですが、最初から最後までこのコンサートに漂っているのは、ロックがロックであるゆえんであるところのヤバさと混沌といかがわしさです。








コチラはブルーレイ↓





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posted by サウンズパル at 23:50| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする