2019年08月05日

ハウリン・ウルフ Howlin'Wolf

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ハウリン・ウルフ/Howlin'Wolf
(Chess/ユニバーサル)


信仰上の理由で「7月17日から31日まではコルトレーンを集中的に聴く」というのをやっておりましたが、8月からはコルトレーンを聴きながらも、他のカッコイイ、イカした音楽も聴いて楽しもうぜ!という月間に入ります。


つってもほれ、こんだけ暑いでしょう?多分奄美は本土よりまだマシだとは思うんですが、いやもう連日30度越えて容赦ない陽射しがギンギンに降り注げば、色んな事に対するやる気がなくなってきて、いつも楽しみにしてる「今日は何聴こっかな♪」にも力が入りません。

気力もなくCDの棚をボーッと眺めていると「オレを聴けこの野郎!」と、目に飛び込んでくる方々ばかりです。

その中で最も強烈な存在感で主張してくる人といえば、やはり我らがハウリン・ウルフ親分です。


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こ、怖い!!

まず見た目が怖い親分ですが、性格の激しさも全ブルースマン中屈指のもの。

いや、やっぱりそれより何より1950年代初頭から(もしかしたら40年代から)、バンドのギターやベースアンプのボリュームを最大にさせて、割れまくった音でバシバシ跳ねるヘヴィなロッキンビートに乗って、それよりもっと割れまくったドギツいダミ声で吠えまくっているその音楽性は、夏の暑さなんかより遥かに重く暑苦しいものであります。


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考えてみれば1950年代から60年代初頭、いわゆる「黄金のシカゴ・ブルース」と呼ばれる年代のバンド・ブルース・サウンドの中で、ウルフ親分のどこまでもラフで粗削り、そして実にノリやすく分かりやすい、まるでロックンロールを通り越してロックの元祖のようなサウンドや曲調は、良い意味で浮きまくっております。

例えばライバルのマディ・ウォーターズは、生まれ故郷ミシシッピの、重く引きずるようなビートに、更に”間”やタメや”伸ばし”を加え、改良に改良を重ねております。

曲作りやレコーディングの時も、常に真ん中でどっしりと構え、周囲の意見やアドバイスを聴きながら、若いメンバーの腕前や個性なんかも考えたアレンジをしながら、それら全てを呑み込んで自分のカラーに染め上げていたのがマディだとしたら、ウルフの場合は生まれ故郷ミシシッピのブルースの荒々しい部分を電気を得たサウンドで増幅させ、長らく拠点にしていたウエスト・メンフィスで暴力的に放っていた。

シカゴに出て来てからは「我が息子」と言って憚らなかったギタリストのヒューバート・サムリンを筆頭に、若いメンバーはもちろん大事にして可愛がっていたけど、どちらかというと「オレがこうと決めたサウンド」の先頭に立ってひたすら真っすぐに突き進み、若い連中はその背中を見て奮い立ち「オレも親分に付いて行くぞ!」と思って演奏してたんじゃないかと思わせる、非常に対照的な姿勢が、そのサウンドに現れております。

しかしハウリン・ウルフ親分のブルースって、実に分かりやすくズドンと強烈で、初心者にとってはこの上なく親切なんですよね。

正直アタシもブルースとかまだよくわかんない10代の頃「う〜ん、シカゴブルースとか言われても何か全部おんなじに聞こえてよくわかんないけど、このハウリン・ウルフって人だけは何か分かるぞ。てかこれパンクじゃん!」と、グイグイ前のめりになって聴いたもんです。




ハウリン・ウルフ

【収録曲】
1.シェイク・フォー・ミー
2.ザ・レッド・ルースター
3.ユール・ビー・マイン
4.フーズ・ビーン・トーキン
5.ワン・ダン・ドゥードゥル
6.リトル・ベイビー
7.スプーンフル
8.ゴーイン・ダウン・スロウ
9.ダウン・イン・ザ・ボトム
10.バック・ドア・マン
11.ハウリン・フォー・マイ・ベイビー
12.テル・ミー

本日棚からボーッとしながら引っ張り出したのは、そんなハウリン・ウルフ親分の、そのものズバリ『ハウリン・ウルフ』というアルバムです。

え〜と、あの〜・・・ジャケットがこれ、椅子に立てかけたギターって、カッコイイんだけど何となく本人不在のアレだったので、最初アタシは「ハウリン・ウルフのラスト・アルバム??」と思ったんですが、シカゴに出て来て、チェス・レコードと契約してリリースされた実質的なセカンド・アルバムなんですね。


よく見ると椅子ってのが座ってると気持ち良く揺れるロッキンチェアでありまして、つまりこのジャケットはウルフの音楽性「ロッキン」と掛けた洒落なんですよ。

ほんなもん大分後から気付きましたわ、アメリカンジョーク、高度すぎますわ・・・(汗)。

それはそうと内容は1957年から1961年にレコーディングされた曲をまとめたもので、リリースは1962年。つまり当時のブルースファンや音楽好きにとっては、ほぼリアルタイムのウルフ親分の演奏が聴けたものであり、当時のシカゴブルースの熱気をほぼそのまんまの鮮度と迫力でレコード化したものと言っても良いでしょう。

気になるサウンドは、コレがどのアルバムでも一切ブレない変わらない、バリバリのロッキンブルースとやさぐれたスローブルースが目一杯詰まった、ハウリン・ウルフ以外の何者でもないいつものハードコア・シカゴ・ブルース!最初はとにかくその汗すら飛んできそうな親分のヴォーカルの気迫と、そのバックでサポート・・・じゃなくて鋭い音色とフレーズにガンガン斬り込んでくるヒューバート・サムリンのリードギターがとにかくうひゃーカッコイイ!と聴き入ってましたが、よくよく聴き込んでみたら、実はこのアルバム、演奏こそハチャメチャで粗削りなんですが、楽曲そのものがびっくりするほどキャッチーでポップなんですね。

そうそう、このアルバムにはローリング・ストーンズがカヴァーしてヒットさせた『レッド・ルースター』や、クリームがカヴァーした『スプーンフル』といった、その後のブルース/ブルース・ロックの定番曲が結構入ってるんですよ。リリース年が62年だったということも考えると、ブリティッシュ・ロックの連中がデビュー前にワクワクしながら聴きまくっていたアルバムだったんじゃないかと、そんな事考えてアタシもついワクワクしちゃいます。








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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 23:31| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする