2019年08月24日

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート

o0640048012224949803.jpg


ヴェルヴェット・アンダーグラウンド/ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート
(Polydor/ユニバーサル)


「10日もブログさぼってどこほっつき歩いてたんだ」

と、お怒りの方もいらっしゃるでしょう(ほんとかよ)ごめんなさいごめんなさい。

はい、8月中盤は怒涛のお盆から怒涛の出張でヒーヒー言っておりました(暑かったですもんねー)。


出張はですね、鹿児島に行ってたんですよ。しかも大都会鹿児島市に(!!)。

やっぱり大都会にはパフェが食べられる喫茶店があると思って、その辺のパフェを全て制覇しようと思ったんですが、まぁ出張です。あんまりパフェれませんでしたので、お仕事で行った会の後の打ち上げ的な場に出て来たバイキング形式の食事のデザートのケーキを5つ残しての大皿一皿と、翌日のお仕事が終わった後のギリギリの時間で立ち寄った天文館の「マノン」という喫茶店(とても良いお店)の白玉抹茶ぜんざいパフェのみです、スイーツは。


嘘、ごめんなさい。実はデパ地下で買ったチョコレートケーキとプリンをこっそり持って帰って、ホテルを後にする1時間前に朝食として食べました。

や、これはですね、ちゃんとした理由があるんですよ。あの〜、最近はビジネスホテルも凄くちゃんとした朝食が出るじゃないですか。ロビーのところで朝からご飯やらおかずやらサラダやら味噌汁やらカレー(!)やら、セルフサービスで好きなだけ食べていいよ〜って。

朝いちばんから多くの宿泊の人がトレー持って並んで、ロビー中にごはんやらおかずらやの香りがたちこめる、朝。

・・・実はアタシ、コレがダメなんですよ。

大体アタシ、朝は吐き気してますんで、食べ物の匂いを嗅ぐだけで「をぇっ」てなります。食べ物に人が並ぶのも嫌です、餌与えられてる家畜みたいな気分いなるから。だからごめんなさいして、部屋に戻って食べました。ケーキとプリン。

え?ケーキとプリンは食べ物じゃないの?ですって?何を言いますか、ケーキとプリンは飲み物です。


さて、前フリが長かったのですが、今回のテーマは「朝ごはん食べない人達」です。

音楽の世界というのは、不健康な人や不摂生な人の巣窟なんですが、いかにも朝ご飯食べないよって人はロックの世界に多そうですね。

そんな「朝ご飯食べないロッカーの代表格」といえば、何と言ってもヴェルヴェット・アンダーグラウンドでしょう。

その屈折と犯罪の香りと退廃極まりない歌詞世界と音楽性というのは、あぁこれはもう確実に朝ご飯食べないし、起きてすらいないだろうと思わせるに十分な不健康&不健全ぶりであります。

事実ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、朝飯云々は抜きにしましても、ロックに「退廃」というものを持ち込んだ、偉大なバンドであります。

1964年に、職業作曲家であり、詩を志す文学青年であったルー・リードと、イギリスから現代音楽を学ぶためにアメリカに来ていたジョン・ケイルを中心に結成されたこのバンドは、ストレートよりもややポップな楽曲に、性的倒錯すらも美しい比喩的表現に昇華させた高度な歌詞の世界、実験精神の炸裂した破壊的サウンドという、それまでになかった知性と暗黒を同時に持つものでありました。

ニューヨークのクラブで、そんな彼らのパフォーマンスを観て感激したのが、現代アートのカリスマとして人気絶頂だったアンディ・ウォーホルです。

ウォーホルは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを、音楽と文芸とアートと映画とファッションを融合させた一大プロジェクトのアイコンような存在として世に売り出そうとあれこれ考えて、自分がプロデュースしたアルバムを、ドイツ生まれの人気モデル、ニコのゲスト参加という派手なオマケまで付けてデビュー作としてリリースさせました。

これが有名なバナナのジャケットの『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』です。内容はもちろん素晴らしいのですが、余りにも先を行き過ぎていたのか、それともまだまだ世の中の求めていたロックというものが、ひたすら熱狂できるポジティヴなパワーを放つものだったのか、それはわかりませんがこのデビュー作の売り上げは散々なものとなって、世間からの評価もよろしくなく、ウォーホルは落胆。そして、元々「あんま人にごちゃごちゃ言われるの、好きじゃない」という傾向の強かったルー・リードとジョン・ケイルはウォーホルと決別。

今やアンダーグラウンド・ロックの元祖とまで評価されているヴェルヴェット・アンダーグラウンドのスタートは、栄光と挫折が混然となった、非常に険しいものでありました。




ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート

【収録曲】
1.ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート
2.ザ・ギフト
3.ディ・ゴダイヴァズ・オペレイション
4.ヒア・シー・カムズ・ナウ
5.アイ・ハード・ハー・コール・マイ・ネーム
6.シスター・レイ


で、今日ご紹介する『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのセカンド・アルバムなんですが、ウォーホルから卒業し、初めてバンドとしてのやりたい放題をやったアルバムであり、また、発売が遅れたファーストのリリースから間髪を入れずにリリースされたということから、根強いファンからは「これこそ彼らの最高傑作であり、真のファースト・アルバムだ!」という声が挙がるほど。

や、確かにアタシもヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムでは、このアルバムが最も攻撃性と中毒性が高い、ロックバンドとしては最高の”ぶっこわれぶり”が発揮されたアルバムとして、長年特別に愛聴しております。

聴きどころはやっぱり何と言っても即興演奏を大胆にぶっこみながら、言葉すらも徹底的に解体して、聴く人の意識をどんどん泥沼の陶酔に引きずり込んでゆく圧倒的に危険なサウンドです。ファーストではヴァイオリンならぬヴィオラを弾いていたジョン・ケイルはここでベースに専念(このベースラインも当たり前の4つ刻みじゃなくて実に不気味なのです)、フロントはルー・リードとスターリング・モリソンのギターが激しく絡み合いながら火花を散らすのですが、このスターリング・モリソンのフィードバックやハウリング音まで無遠慮に響かせながらぶっ壊れるファズギターがもう狂気です。

そして、この人も「当たり前のビートを叩かない」人とアタシは認識しておりますドラムのモーリン・タッカー。彼女のドラミングは、曲を盛り上げるとか、土台になるとかそういうのではなく、重々しく粘るスネアの一撃を、執拗な「等間隔がちょいとズレた」ミニマルなリズムで淡々と繰り出していて、これもまた狂気であります。


そう、このアルバムは、ルー・リードとジョン・ケイルと、スターリング・モリソンとモーリン・タッカーという、バンドで音を出してる全ての人間の、それぞれ性質の違う狂気がバランスなんざ関係ねぇとばかりに全力でぶつかり合って削れ合う、衝動という衝動が、とにかく異様な形で炸裂している、そんなアルバムです。

結局このアルバムでの自我と自我の凄まじいぶつかり合いが音楽以外の事にまで波及したのか、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのバンドサウンドのコアであったジョン・ケイルはルー・リードと対立して脱退。これ以降ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサウンドは、独特の屈折はそのままに、よりポップ色を強めて行きます。うん、そりゃそうじゃろう、あらゆるものを消耗してしまわないとこれほどまでに禍々しい衝動と退廃に満ちたサウンドは作れませんて。


















”ヴェルヴェット・アンダーグラウンド”関連記事





『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 23:28| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする