2019年12月02日

ケニー・ドーハム 静かなるケニー

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ケニー・ドーハム/ 静かなるケニー
(Prestige/ユニバーサル)

突然ですがパソコンが壊れておりまして、新しいものが届くまで、しばらくブログ関係はなーんにも出来ず、更新がおろそかになってしまっておりました。

こんな事を言うと「スマホで書けばいいじゃん!」と言われるのですが、あ〜スマホでは文字を100文字入力するのにえらい時間がかかってしまう昭和のおじさんなので、スマホでブログを書いている間に昼が来て夜が来て色々と終ってしまいそうな恐怖感に襲われてしまって、スマホで書く勇気が湧かなかったのです、本当にすいません。

で、その間やっぱりアタシはケニー・ドーハムを中心に色々聴いておりました。


いや〜、ケニー・ドーハム。何年かに一度定期的にハマるトランぺッターなんですけど、もしかしたらここまで集中的に聴いてここまで一気にハマッたのは初めてかも知れません。

これは何度も書きましたが、ジャズという音楽は、アドリブという個人技量に占める演奏の雰囲気の割合がとても高い音楽で、かつ基本インストなので、各楽器のヒーローというのが出てくるんですね。

しかも、強烈な個性を持っていれば持っているほど、それが突出して出てくる。

例えばマイルス・デイヴィスやチャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズなど、カリスマや天才と呼ばれる圧倒的な存在感を放つアーティストの演奏ってのは、パッと聴いただけで何かこう「うぉぉ!」と圧倒されるものがある。

ほんで、そういうカリスマや天才と呼ばれる人達ってのは、演奏だけじゃなくて、音楽全般な面でも革新的なアイディアでもって、ジャズのスタイルそのものを果敢に変革してきた。つまり歴史を作り上げてきた。

でも、ジャズって音楽が生まれてから今までずっといろんな人に愛されて「ジャズっていいよね」と聴かれ続けているのって、実は一握りの天才やカリスマ達の功績よりも、ケニー・ドーハムみたいな実直な味のあるミュージシャン達による功績の方が実は大きいんじゃなかって、特に最近つとに思うんですよね。


ドーハムは1950年代のモダン・ジャズ全盛の頃にアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズっていう物凄い人気のバンドのメンバーとして注目されて、必然的に「いかにもモダン・ジャズな(ハードバップな)ジャズを聴かせてくれるトランぺッター」という評価が定まって以来、彼はその期待を裏切ることなく亡くなるまでずーーーーっと「いかにもモダン・ジャズなトランぺッター」であり続け、例えば60年代とかも中ごろになってくると、ちょいと進化したモードジャズとか、もっと突っ込んだフリー・ジャズとか、流行のソウル・ジャズとかに路線変更して人気になるジャズマンも多かったんです。

でも、ドーハムはそういう”変化”に自分のプレイを委ねる事無く、キャラクターを変えることなく、愚直に「これがジャズなんだよ」ってプレイに徹した。スタイルを変えて若者ウケするプレイをしようと思えば余裕で出来たかも知れないけど、そういう事はしなかった。

だからこそこの人の演奏は、いつの時期のどのアルバムを聴いても「あぁ・・・良いなぁ・・・」と、聴く人を素敵な安心感で包んでくれるんです。カリスマや天才の演奏は「すげっ!!ヤバイ!!カッコイイ!!」と「!」がいっぱい付くの連続で、それはそれでアタシも大好きなんですが、そういう演奏はこっちも気合いが入ってる時じゃないと負けてしまいます。だからふと聴きたい時に聴いてじわじわ染みるドーハムの演奏はとてもよろしいんですよ。


静かなるケニー

【パーソネル】
ケニー・ドーハム(tp)
トミー・フラナガン(p)
ポール・チェンバース(b)
アート・テイラー(ds)

【収録曲】
1.蓮の花
2.マイ・アイディアル
3.ブルー・フライディ
4.アローン・トゥギャザー
5.ブルー・スプリング・シャッフル
6.アイ・ハド・ザ・クレイジェスト・ドリーム
7.オールド・フォークス
8.マック・ザ・ナイフ

(録音:1959年11月13日)


で、そんなドーハムのトランペットのじわじわ染みるカッコ良さが、ピアノ+ベース+ドラムスという、シンプルなリズムセクションだけを付けたワン・ホーン編成で心ゆくまで味わえるのが、この『静かなるケニー』。

昔からドーハムの代表作、名盤として有名なんですが、いや〜どーなんでしょう。『名盤!』として大袈裟に扱うよりも

「あのね、ボクね、実はジャズ、いいなぁ〜って思うんです。あ、いや、詳しい事は全然なんですけど、このケニー・ドーハムって人のトランペット、何かいいな〜って。えぇ、詳しい事は全然わかんないんですけど、これは何かいいな〜って思うんです」

ぐらいの気持ちで末永く愛聴したいし、これから知る人にもぜひそんぐらいの気持ちで聴いて欲しいな〜と優しく思えるそんなアルバム。

『静かなるケニー』ってタイトル付いていながら、しかも『蓮の花』っていういかにもバラードでありそうな曲名付いていながら、1曲目は軽快なテンポの曲だったりするんですが、実はこの曲の、これだけ軽快でキャッチーな作りなのに、ドーハムがアドリブフレーズのひとつひとつを丁寧に丁寧に吹く事によって醸される何とも深い、大人な感じになってしまうその絶妙な”不思議”を味わうためにあるんです。

んで『静かなるケニー』の本領発揮は2曲目から。

歌心通り越して詩情たゆたうバラードの『マイ・アイディアル』からほぼ交互にバラードとミドル・テンポが演奏されます。ちょいとくすんだ感じのドーハムの音色を、演奏全体が1段も2段も上質になったような効果を最高にジェントルマンなピアノ・プレイで醸すトミー・フラナガン、ふくよかな音色とメロディアスなウォーキングベースが、更に高級感に輪をかけるポール・チェンバースのベースプレイ、更に終始落ち着いたブラッシングで知的なリズムを提供するアート・テイラーと、バックもドーハムの繊細な吹きっぷりを邪魔せず引き立てに徹して見事なサポートを聴かせてくれる。

やっぱり「名盤」なんて仰々しいものじゃなくて、このアルバム「良いよね盤」ぐらいの感じでずっと聴いていたいですな〜。























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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 23:20| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする