2020年02月29日

ザ・クール・サウンド・オブ・アルバート・コリンズ

51SFgNVViFL._A.jpg
ザ・クール・サウンド・オブ・アルバート・コリンズ
(TCF HALL/オールディーズ)


10代の頃にそのライヴ映像をビデオで観てぶったまげた、というよりもやってる音楽はまぁコレが渋いブルースって言うんだろうなーとかぼんやりと思いながらではあったんですが、10フレットだか12フレットだかとにかくありえない位置にカポタストはめたギターで、カッティングは一切せずに引くにはソロと歌の途中の単音弾きだけ。

で、演奏のクライマックスの時に長ーい長ーいシールド(ギター用語で接続コードのことです)を引きずって客席に行き、そのまんま結構後ろの方までおうおうと歩いて行って客席に座ってそこでギターソロを弾くというアルバート・コリンズなるブルースマンのプレイ、や、プレイスタイルに「何じゃこのオッサンは!?」となりました。

それから多分5年ぐらい経って、それまで戦前ブルースとか弾き語りのダウンホームなやつしかグッとこなかったのに、一丁前に戦後のエレキキュイーンのブルースの良さがようやく分かりかけてきたその時、パラパラっと眺めてた音楽雑誌で「テキサスブルースのヤバい人」と、アルバート・コリンズの写真付き記事が載っておりました。

「おぉ、この人は昔ビデオで見たことあるぞ!」

と、思い出したのと「テキサスブルース」の文字に惹かれ、その足でフラッとCDショップに立ち寄って、コリンズのアルバム『フロストバイト』を勢いで購入したんですね。




このアルバムがもう凄かった。テレキャスターのジャリジャリしたぶっとい音が、ぎゃいんぎゃいんがこんがこん耳に突き刺さってはヘヴィな余韻を残して、また突き刺さってはヘヴィな余韻を残して・・・で、もう本当に「何で俺は10代の時このカッコ良さに気付かなかったんだろう」と激しく後悔する程のインパクトでありました。

この『フロストバイト』というアルバムは、1970年代末に契約したアリゲーター・レーベルからの1枚で、このアリゲーターからのアルバムっていうのはコリンズの名前がブルース好きのロックファンも含め、広く世に知られるきっかけとなった作品として、とにかくもう「コリンズといえばこれ!」なやつだったそうです。

アルバート・コリンズは1932年の生まれで、デビューしたのが1950年代。

最初はオルガン奏者になるべく一生懸命オルガンを弾いていたのですが、ある日愛機のオルガンが盗まれてしまった「頭きた!オレはギタリストになってやる!!」と、ギターに転向したというから、まーどこかぶっ飛んでる思考の人でありますな。

ギターに関してはTボーン・ウォーカーやゲイトマウス・ブラウンという同郷の2大スター、特にそのありえん位置にカポ付けて、テンションをギンギンにした状態の弦を人差し指で根こそぎ引っ張り上げるという力技はゲイトマウス・ブラウンからの影響を強く感じさせます。

さてさて、オルガン盗難というショッキングな出来事をギターの猛練習で克服し、早くも50年代が始まろうとしていた頃にはセッション・ギタリストとしてちょいとは名前が知られるようになり、1958年にはソロ・シングルも出し、60年代も地元テキサスを中心になかなかの人気でもって爆走しますが、1970年代に入ると仕事も少なくなってギター抱えてドサ周りの日々に明け暮れておりました。

そんなこんなの何とか食うための日銭を演奏で稼いでいた1978年、ブルース好きによるブルース好きのためのレーベル”アリゲーター”から声がかかり、ほとんどここの看板ブルースマンとして、また、彼を尊敬するスティーヴィー・レイ・ヴォーンやロバート・クレイといった後輩人気ギタリスト達からのリスペクトも後押しする形で、コリンズは再び快進撃を続け、90年代にはレーベルを移籍するも、そこでB.B.キングやジョン・リー・フッカー、ゲイリー・ムーアーなど、新旧の大物達と楽しくコラボするアルバムも多数出しておりましたが、93年にまだまだこれからの61歳という惜しい年齢であの世へ旅立ってしまいます。






ザ・クール・サウンド・オブ・アルバート・コリンズ

【収録曲】
1.Frosty
2.Hot N' Cold
3.Frost Bite
4.Tremble
5.Thaw-Out
6.Dyin' Flu
7.Don't Lose Your Cool
8.Backstroke
9.Kool Aide
10.Shiver N' Shake
11.Icy Blue
12.Sno-Cone II

さて、中堅として脂の乗った1980年代のプレイに激しく感動したら、やっぱり若手として暴れていた初期の音源を聴きたいというのが、人間の摂理でございます。

本日はそんなコリンズの、まだソロアーティストとしてはテキサスのローカル。ギタリストだった時代のTCF/HALLといったレーベルから思に1960年代にリリースしていた初期音源を集めたアルバム『ザ・クール・サウンズ・オブ・アルバート・コリンズ』をオススメに挙げておきましょう。

アリゲーター以降はやはりロックやファンクにも対応できそうなモダンなビートに、全体的にトンガッたサウンドですが、やっぱりこの時代のオルガンとかラテン風味のビートとか、ちょいとレトロでサイケデリックともいえるサウンドの質感がとても60年代のオシャレな音楽って感じでとてもポップなバックに突き刺さるコリンズのギターの音は、やはり鋭くズ太く強烈なんですね〜。

コリンズは初期の頃は歌を歌わず、専門のギタリストとしてシングルももっぱらインストゥルメンタルが中心でありました。

このアルバムでもブルースというよりもまるでサーフロックみたいなバリバリにモンドなインストナンバー(オルガン、サックスがシビレるぐらいカッコイイ!)でその後年よりも引き出しの多いギタープレイを堪能出来ます。代表曲でライヴでもド定番の「フロスティ」「フロストバイト」なんかももうこの時期にしっかりと完成してます。









”アルバート・コリンズ”関連記事

ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

posted by サウンズパル at 22:59| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月24日

リー・モーガン キャンディ

51SFgNVViFL._AC_.jpg

リー・モーガン/キャンディ
(BLUENOTE/EMIミュージック)


最近改めて「トランペットを聴いてみよう」という気になって聴いております。

そういえば最初に自分が聴いて「いいな」とアルバム単位で思ったトランペットものって何だっただろう?とか思い出していたら、リー・モーガンの『キャンディ』が浮かんできました。

ジャズに目覚めた当初、アタシの好みといえばフリー・ジャズ。そしてImpulse!やESPを皮切りに、CANDID(チャールス・ミンガスとその一派の作品がたくさんあったから)とかPrestige(エリック・ドルフィーがアルバムを多く出してたから)を、いわゆるレーベル買いしておりました。

はい、皆さんここで「おいおい」と思ったことでしょう。

そうなんです、ジャズといえばやっぱりレーベルとして一番有名で、何となく信頼と実績のとかいう言葉がピタリとハマる、天下のBLUENOTE(ブルーノート)の名前が出て来んのはおかしいだろう、お前ふざけてんのかと、今画面の向こうからたくさんのお叱りを受けました。

えぇ、ブルーノートはやっぱりジャズ初心者だったアタシでもその名前は毎日のように何かの本を開けば目に入ってきて、ジャズが好きな人と話をすればその名前を聞く、ぐらいの超有名レーベルだったんですが、そこはほれ、天性のひねくれ者の性分から

「ケッ、どーせそんなメジャーなところは当たり障りのない良い子ちゃんなジャズしか出してないんだろぉ!?」

と、ロクに聴きもせんのにそう思ってたんですね。

だから、ロクに聴きもせんのにロクに聴かなかった。えぇ、酷いです。あの頃の自分には助走付きでキックでも見舞ってあげたい。

でも、そのうちモダン・ジャズもカッコイイと思えてきた時に

「あ、ブルーノートのなんか聴いてみようかな」

という気持ちも一丁前に出てきました。

ほんでもって最初の頃に聴いたソニー・クラークとバド・パウエルに、そして忘れちゃいけないジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』



その全部にコロッと感動しちゃいまして、その日から

「いや〜、やっぱり何だかんだ言ってブルーノートのやつはどれもいいね〜」

なんて軽薄な事を言うようになりました。

それはさておきで、じゃあ次何を聴こうか?という事になって、コルトレーンの『ブルー・トレイン』でカッコ良かったリー・モーガンのトランペットと、バド・パウエルの『ザ・シーン・チェンジズ』でカッコ良かったドラムのアート・テイラーってのと、ソニー・クラークのピアノが、ノリノリなのに何か独特の哀愁あるじゃん!シブい!!と気に入ってしまったため、この3人が一緒に演奏しているアルバムなんかあれば聴いてみたいなーとか思って、東芝EMIが出していたブルーノートシリーズカタログみたいなチラシを(とにかく情報が欲しかったから、こういうフリーペーパーがCD屋さんにあれば片っ端からもらってたんです)、ボーッと眺めていたら、何とありました。リー・モーガンとソニー・クラークとアート・テイラーの共演盤、それが『キャンディ』でありました。

「おお、これは何かジャケットもオシャレだし、しかも管楽器がトランペット1本だけかー。いいんじゃない?」

ぐらいの軽い気持ちで聴いてみたら、これが素晴らしく思ってた以上に、それまで知らなかったストレートなジャズのカッコ良さ、トランペットという楽器の魅力、風格と夜の香気がじんわり滲む「あぁ、これがジャズなんだよなぁ・・・」という至福の感動を、しかも押し付けじゃなくてごくごく自然に知らしめてくれるアルバムでした。






キャンディ+1

【パーソネル】
リー・モーガン(tp)
ソニー・クラーク(p)
ダグ・ワトキンス(b)
アート・テイラー(ds)

【収録曲】
1. キャンディ
2. シンス・アイ・フェル・フォー・ユー
3. C.T.A.
4. オール・ザ・ウェイ
5. フー・ドゥー・ユー・ラブ・アイ・ホープ
6.パーソナリティ
7.オール・アット・ワンス・ユー・ラヴ・ハー*

*ボーナストラック

録音:1957年11月18日(AE)1958年2月2日(@BCD)


リー・モーガンって人は、18歳でデビューした早熟の天才で、しかもそのデビューした年というのが、同じく天才でこの人こそはこれからのジャズ・トランペットのシーンを背負って立つだろうと言われていたクリフォード・ブラウンが突然の交通事故で、若い命を散らせてしまった年だったもんだから、もうこの人はクリフォード・ブラウンの生まれ変わりだろうと言われてた。

いやいや、23歳のブラウンが亡くなった年に既に18歳だから生まれ変わりもクソもあるかい、と普通は思うはずなんでありますが、モーガンのトランペット・プレイというものが、それぐらい驚くべきテクニックと鮮烈な個性があったから、聴いてる人はもう計算も何も出来ず、ひたすら彼の素晴らしさを形容する言葉を探しているうちに、そんなぶっ飛びの底なし沼にハマッてしまう。

それぐらいモーガンって人のトランペット・プレイは、多くの人の耳を引き付けたんです。

ほんで、リー・モーガンはソロ・アーティストとしてデビューして瞬く間に、ブルーノートを中心に僅か1年で7枚とかいう驚愕の枚数のアルバムをレコーディングして、怒涛のリリースを行います。

この『キャンディ』は、モーガンが僅か19歳(!)の時にレコーディングされた、ブルーノートでの7作目のアルバムなんです。

モーガンという人は、というよりも、この時代のトランぺッターというのは、レコーディングする時はサイドにもうひとつのホーンとしてサックス(大体テナーサックス)奏者を従えて、そのアンサンブルと丁々発止のやりとりを聴かせる編成が基本でした。

が、ここでは他のホーンを入れずにモーガンのトランペットだけのワン・ホーン。ということはそれだけモーガンのトランペットの腕前というのはズバ抜けていて、しかも周囲も求めていたんです「いぇ〜い、もっとお前のトランペットだけが聴きたいぜ〜」ってのを。

アルバムでのトランペット・プレイは、そんな期待を1ミクロンも裏切らない、どころか期待以上に饒舌で、感情豊かで、しかも渋味もあって、こんな貫禄と風格あるプレイがとても19歳の少年によるものなんて信じられないぐらいのミラクルが連発します。

オープニングはミディアム・テンポ。その後切々と歌い上げるバラードとノリノリのアップテンポが大体交互に選曲されておりますが、バラードではじんわりと切ない歌心で感動的なアドリブで聴かせ、アップテンポでは一切の迷いのないブリリアントな吹きっぷりで、聴く人の耳と心を根っこからしっかりと掴みます、掴んで放しません。もう一度言いますが、こんな完璧な情緒コントロールと大人のダンディな風格に溢れた演奏が、19歳の少年によるものだと言われて誰が信じましょう。

そしてバックのソニー・クラーク、ダグ・ワトキンス、アート・テイラーも、アップテンポとバラード両方で”しっとり”と”ファンキー”を全く芸風を変えずにしっかりと使い分ける、見事なサポートに徹しております。この3人、派手な弾きまくり叩きまくりは絶対にしないんです。だからこそこういったワン・ホーンもののバックに回れば、その”目立ち過ぎない圧倒的な個性”が無敵の強さを発揮する。

クラークはファンキーな曲でのややもっさりしたピアノの跳ね方と、バラードでのどこまでも静かに沈み込む悲哀に満ちたピアノが耽美の一言では語れないぐらいに魂入っていて、ブラシを中心にサラーっと静けさを際立たせるビートをバラードで、アップテンポでも軽快なブラッシュワークから、繊細で鋭いスティックさばきも聴かせるテイラーのドラムも実に歌っていて、その真ん中にぶっとい音で”ボン!”と存在するダグ・ワトキンスのベース、このトライアングルの堅実さが、アルバム全体の雰囲気もしっかりと作っていると言っても良いでしょう。

よくよく聴くと、全員が軽〜く演奏しているようでいて、内側からにじむ深い深いフィーリングが最高のアルバム。決して派手なアルバムではないんですが、この小さな編成の中に、ジャズのカッコ良さが物凄い質量で詰まっていると思います。えぇ、とても良いです。



posted by サウンズパル at 22:14| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月08日

スーサイド SUICIDE

51SFgNVViFL._A.jpg
Suicide/Suicide
(BMG)

「知ってるつもりでよく知らなかったこと」というのはよくあります。

それでもって「知ってるつもりでよく知らなかったことを知る経験」ってのは、人生において物凄く大切なことだったりします。

アタシにとってそれはパンクロック、もとい”パンク”という音楽でした。

ここでは何度も書いておりますが、小学校6年生の時にブルーハーツを知って、中学の時に「パンク」という言葉を知りました。

そこから音楽雑誌や深夜のテレビやラジオの音楽番組で一生懸命情報を収集し、アタシが感動した「パンクロック」なる音楽に対する知識をむさぼるようにかき集めて行くようになるのです。

ザ・クラッシュ、セックス・ピストルズ、ザ・ダムド、ストラングラーズ、ラモーンズから始まって、シャム69とかジャムとかバズコックスとかデッド・ケネディーズとかG.B.Hとか、スターリンとかスタークラブとかアナーキーとかラフィンノーズとか・・・。

とにかくテレビラジオ雑誌情報から物凄い勢いで「これはパンクだ!」と言われているものを聴き、集め、そのライナノーツからの情報もプラスして聴きまくっておりました。

そんなこんなで「俺は音楽詳しいんだぞ!」と思っていたんですが、20代なってすぐぐらいの時に東京のレコード屋で音楽商売に足を付けた頃というのが、毎日が

「えぇ!?これなんですか?カッコイイ!」

「えぇ!?お前こんなことも知らなかったの?」

の連続でした。

そんな毎日の中で最高に音楽に詳しい先輩達やお客さん達に教えてもらったことが

「お前、パンク好きとか言っときながら、パンクロック前のパンク全然知らないな」

ということだったんです。

えっと?先輩すいません、パンクロック前のパンクって何ですか?と訊きましたならば、つまりは70年代のイギリスのパンクロックというのは、ああいう8ビートでドンダンドダダンで反社会的な歌を歌ってるバンドと、そのバンド達のファッションをプロデュースして服とか売りたい連中が仕掛けた一種の流行でもあった訳なんだけど、実はそういう音楽というのはある日突然出てきた訳じゃなくて、それ以前のアメリカではものすごくアンダーグラウンドなシーンから割とメジャーな所でも既に生まれていたんだと。

「例えばこんなだよ」

と聴かせてもらったイギー&ザ・ストゥージーズにMC5、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニューヨーク・ドールズ(と、ジョニー・サンダース)、ブルーチアー、リンク・レイなどなど・・・。

これらの音楽は、それまで何となく名前だけは知っていて(リンク・レイだけ知らなかった)「へー、昔のロックなんだろうなぁ」と思ってたのですが、まーそのサウンドの何とぶっ飛んで破壊的で「あ、時代がちょい前なだけでこれもうパンクですね」と一瞬で思えました。

それから先輩が

「でも一番ヤバいのはコレだから」

と聴かせてくれたのがスーサイドでした。



Suicide

【収録曲】
1.Ghost Rider
2.Rocket USA
3.Cheree
4.Jhonny
5.Girl
6.Frankie Teardrop
7.Che


これはもうジャケットからしてパンクです。きっとディストーションギターがバリバリの、ヴォーカル大絶叫の・・・ん?ん?あれあれあれ・・・!?

破れた音のすっごいチープな打ち込みのリズムに、不気味にリフを刻むシンセサイザーの電子音。そしてヴォーカルは、夢遊病者のうわごとのように囁いたかと思ったら急に痙攣したような「ウウゥッ!」「ヒャアッ!」というシャウトを一瞬放った後、何事もなかったようにまた病的に繰り返される電子ビートに囚われたかのようにうわごとを繰り返す。

大体パターンは同じで、でもその「同じ事の繰り返し」がじわじわと脳裏にこびりついて、この凝縮された狂気というか、とにかく派手に暴れてブチ切れてブチ壊しているパンクロックのそれとはまた違った、スピード感のあるダウナーさみたいのが聴いているコチラの感覚にどんどん浸食してくる、あぁこりゃもう本当に「ヤバい音楽を聴いた」と思っていたら、最後から2番目のナンバー『Frankie Teardro』で、ヴォーカルの狂気は頂点に達します。

息切れしてるような焦燥感で単語を放ち、急に、本当に急に絶望の塊のような絶叫です。「ギャー!」どころじゃなくて「ア”ア”ア”ア”ァァーーーー!!!!ギャアァァーーーーーー!!!!」の、モロに断末魔のそれ。しかもその声には割れたエコーがかかりまくっているから、緊迫感と殺気は人工的に増幅されまくっててヤバいです。ホントにヤバい。

スーサイドはヴォーカルのアラン・ヴェガとシンセサイザー&リズムボックスのマーチン・レヴの2人組であります。

1971年にニューヨークでイギー&ザ・ストゥージーズを見て「これだ!」と思ってバンドを結成、当初から既存のスタイルに囚われることなく、まだ誰もやってない手法で表現しようという意欲に燃えていたそうです。

で、まだ発売されたばかりの電子楽器機材を駆使しながらも、人間の奥底の狂気を感じさせる彼らの過激なパフォーマンスはアンダーグラウンドで熱烈な支持を集め、世間がようやくパンクというものに気付いた1977年にこのファースト・アルバムをリリースしたと。

それはそうと、スーサイドの音楽を聴いて痺れていると、つくづく「誰かの物真似じゃなく、やりたいことを誰もやったことのない表現でするのがパンク」というパンクの真髄に身も心も痺れさせられているような気持ちになって、これはアレです、限りなくヤバい方の心地良さであります。






posted by サウンズパル at 00:42| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする