2020年05月09日

アリス・イン・チェインズ ダート

R-2055654-1396723735-4118.jpeg.jpg

アリス・イン・チェインズ/ダート
(Sony)


今日もアリス・イン・チェインズを紹介する訳なんですが、それが何故かというとこのバンドが持つ独特の中毒性というのは凄いものでして、自宅の掃除をしながら「アリス・イン・チェインズ懐かしい、久々に聴いてみようか♪」ぐらいの軽い気持ちで聴いてみたら、もうその懐かしいとかそういうつまらん感情がですね、そのグツグツたぎりながら沈んでいる怨念みたいな声とサウンドとリズムに完全に間接を決められてしまいまして、えぇ、すっかり何度目かのアリス・イン・チェインズ・ブームが絶賛襲撃中なんですね。


音楽というのは本質的に”体験”であります。で、アタシの中にはかれこれもう四半世紀ぐらいの昔に、このバンドにドップリとハマりまくった体験があります。

恥ずかしながらアタシはその”体験”を、ここ数年忘れていた。それぐらいアリス・イン・チェインズを最近聴いてなかったんです。

そしたらどうなったかというと、アリス・イン・チェインズの重くうねるサウンドが、まるで新しい体験のように激しく心に突き刺さって全身をゆさぶった。不思議な事に懐かしさは全然湧いてこなくて、その代わり18の頃に最初に聴いた時と限りなく近いんだけど、真新しい衝撃がどんどん湧いてきて、しばらく「わー!わー!」以外の心の声が出なくなり、困るぐらいでした。

こういう事ってほとんどないから、これはどういう事だろうと考えてみたら

「アリス・イン・チェインズの音って、今からもう25年以上昔の音なのに全然古くなってないね。刺激、強いね」

という事になりますか。や、これは好きとかそういうの以上に、もっと何かこう客観的でリアルな直観のようなものだと信じています。うん、あんまりこういう感覚的な話をすると戻ってこれなくなりそうなので、本日のアルバム紹介しましょう。

今日ご紹介するのは、アリス・イン・チェインズのメジャー・セカンド・アルバムの「ダート」です。

はい、このアルバムはもう言わずと知れた彼らの代表作で、多くのファンが最高傑作に挙げるし、実際このアルバムを聴いてアリス・イン・チェインズを知った、好きになった、という人も多いんではないかと思います。

前作「フェイスリフト」では、ベースとなるハードロック/ヘヴィメタルのヘヴィネスと、若いロックバンドならではのキャッチーな味わいがダークなサウンドの中でも活きていて、ある意味非常にバランスの良いアルバムだったのですが、極論を申しますとこのバンドの真の魅力というのは、そのバランスがぶっ壊れて極端な方向に偏った時にこそ発揮されるものであり、そういう意味ではより無駄を省き、サウンドを当時のロックの感覚でいえば「え?もっとリスナーを意識した方がいいよ」と言われてしまうぐらいに研ぎ澄まされたダークな、例えるならば曲間のMCしない、演奏終わった後もニコリともしないぐらいに冷徹な演奏が良いのです。たまらなくグッとくるのです。




Dirt

【収録曲】
1.ゼム・ボーンズ
2.ダム・ザット・リヴァー
3.レイン・ホエン・アイ・ダイ
4.シックマン
5.ルースター
6.ジァンクヘッド
7.ダート
8.ゴッド・スマック
9.ヘイト・トゥ・フィール
10.アングリー・チェアー
11.ダウン・イン・ア・ホール
12.ウド?


オープニングからほぼ楽曲はミディアム・テンポで統一され、ギター、ベース、ドラムの音はより硬質でシビアなものとなり、ヴォーカルは更に感情の抑制をヒリヒリ効かせた呪文のようになってゆく。

それでいてアリス・イン・チェインズの楽曲は、一本筋の通った美しさが貫かれたメロディの魅力というものがあります。

『レイン・ホエン・アイ・ダイ』の1音下げチューニングのヘヴィなベースのイントロがずっと尾を引く展開や、3拍子をズクズクザクザクと容赦なくたたみかける『シックマン』独自の狂おしい、押し殺された衝動が行き場なくさまよう『ダウン・イン・ア・ホール』など、ぐるぐるととぐろを巻きながらもどこかに”泣き”があるんです。

それは、衝動を炸裂させたり声やギターで泣き叫んでいるような表現よりも更に深刻で切実で、その深刻と切実に、聴いているコチラの気持ちまでも削られて行くような快感があります。

セカンドになって音楽性が完全に確立されたアリス・イン・チェインズですが、次の3作目でその「切実の美学」は更に研ぎ澄まされたものとなって行きます。














”アリス・イン・チェインズ”関連記事



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 15:42| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする