
ストレイ・キャッツ 涙のラナウェイ・ボーイ
(BMG)
1.涙のラナウェイ・ボーイ
2.悩殺ストッキング
3.ユバンギ・ストンプ
4.ジニー・ジニー・ジニー
5.嵐の中の大使館
6.ロック・タウンは恋の街
7.ランブル・イン・ブライトン
8.気取りやキャット
9.クロール・アップ・アンド・ダイ
10.ダブル・トーキン・ベイビー
11.マイ・ワン・ディザイアー
12.ワイルド・サクソフォン
ジョー・ストラマー先輩は、私に「男としてこうあるべき」「世の中とはこう戦うべき」という、美学のようなものを一番最初に教えてくれた”先輩”でしたが、もう一人の憧れの”先輩”でありますブライアン・セッツァー先輩は、もう完全にミーハーとして憧れさせてくれる、私にとってのファッションリーダーみたいな”先輩”であります。
奄美には不思議な「ロカビリー文化」というのがその昔ありまして、工業高校のワルい先輩達がテディ・ボーイズっていうバンドを代々受け継いで、それに中坊達は憧れるんですね。
でもみんな、バディ・ホリーとかチャック・ベリーとか、エディ・コクランとかエルヴィス・プレスリーとか、ちゃんとしたロカビリーや元祖R&Rをちゃんと聴いとらんのですよ(笑)
特に中坊の連中は「ジョニー・B・グッド」とか、「サマータイム・ブルース」とかの”オイシイ曲”だけを先輩んちで聴いたりなんかして、もう「ロカビリー通」になったつもりでおった。
ま、そういう「なんちゃって」でも、まぁカワイイもんじゃないですか。そういうきっかけでも「ロカビリー」っていう実はものすごく深いところに触れて楽しむ文化的な土壌ってもんがあったわけですから。
で、私なんですが、やはりCD屋の息子として、「いやいや、ちゃんと聴かんばいかんだろー」と思って、こっそり親父に「あの、工業のロカビリーやる先輩達は何を聴いてるの・・?」と尋ねたんですね。
そしたら親父
「そりゃもうストレイ・キャッツだ」
と。
そん時ちょうどストレイ・キャッツのCDは全部売り切れてて、カセットの棚にあった「レッツ・ゴー・ファスター」を買ってみたら、コレがもうエラいカッコ良くて、本当に「伸びる」まで聴いたですね〜。
その時深夜の音楽番組も必死で観てて、たまに洋楽が流れるんですけどね、その時初めて「動くストレイ・キャッツ」というものを観た。
そしたらカッコ良かったわけ(!)
ベースはそれまで見た事もないウッドベースだし、ドラムは立って叩いてるし、ギターも見たこともないヴァイオリンみたいな穴の空いたブ厚いギターじゃない。
で、何よりもブライアン・セッツァー先輩
フツー「ロックのヤツら」って、何かいかにもワルそーな鋭い目ェしてるじゃない。
でも、ブライアン・セッツァー先輩は、カワイイ垂れ目で童顔で、ゴツい不良じゃないわけさ。
ジャケットの写真では綺麗なブロンドの髪をカッコ良くリーゼントでキメてるんだけど、ライヴ映像ではそのリーゼントが乱れてて、そぉ〜れがまたたまらんカッコイイのよ(!)
で、ギターも上手い。
私、パンクロック好きだったけど、あんな「ちゃんとしたギターソロ弾く人」って、その頃まだ知らんかったから、パッと聴くと簡単そうに思えるソロだったけど、最初から最後まで、音が「グシャッ」って潰れずに綺麗に鳴ってるし、メロディもしっかりしてる。
んで、そのソロ弾いてる時の顔がまたカッコイイのよねー
目ェ閉じて口開けて、自分が弾いてるソロにウットリしてるような顔がすげーセクシーで
男ながらに
「うわ、コノ人カッコイイ!素敵!」
って思ったですねー。
て・・・・。
あんまりにも興奮して話がどんどん膨らみそうだから、冷静にアルバムを紹介します(汗)
ストレイ・キャッツのデビュー作「涙のラナウェイ・ボーイ」(現代は「Stray Cats」)は、1981年のリリースです。
80年代っていえば、みんなが、特にアメリカは「近未来」を意識した、デジタルなサウンドやピコピコしたものや、軽いディスコ調のものに物凄い需要が集まっていた時代。
ロカビリーという「30年近くも昔の音楽」をあえてやる彼らは、実はあんまり受け容れられなかったのです。
しかし、彼らの音楽は、ちゃんと聴けば分かるんですが、しっかりと”パンク”してた。
パンクロックの”本場”であり、アメリカのルーツ・ミュージックに造詣が深いイギリスの本気なリスナー達が「ストレイキャッツ、ヤバい!」「アメリカから超クールなロカビリー・パンクなバンドが出てきた!」と、熱狂的に支持して、遂に彼らはUKチャートの上位にランクイン。
それを受けてアメリカの若いリスナーが、「いや、ちゃんと聴いたらマジカッコイイじゃん」「スタイルこそロカビリーだが、実は最先端の硬派なロック!」と気付いて、ストレイ・キャッツは一気にブレイク!
次々とヒットを出して、さっきもちょっとだけ触れた「レッツ・ゴー・ファスター」でその音楽性を最大限にまで深めて研ぎ澄ますのですが、彼らの「時代に迎合しない」という姿勢と「アメリカならではの新しいロックをやる!」という意気込みは、既にこのアルバムで楽曲として完全に出来上がっております。
(涙のラナウェイ・ボーイ81年のライヴ。いつ観てもイイ!ブライアン・セッツァー色気最高だべ!)
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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
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