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2014年12月17日

チャック・ベリー アフタースクール・セッションズ+14

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チャック・ベリー アフタースクール・セッションズ+14
(Chess/ユニバーサル)

【収録曲】
1.スクール・デイ
2.ディープ・フィーリング
3.トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス
4.ウィー・ウィー・アワーズ
5.ローリー・ポーリー
6.ノー・マネー・ダウン
7.ブラウン・アイド・ハンサム・マン
8.ベリー・ピッキン(インストゥルメンタル)
9.トゥゲザー(ウィル・オールウェイズ・ビー)
10.ハヴァナ・ムーン
11.ダウン・バウンド・トレイン
12.ドリフティング・ハート
13.ユー・キャント・キャッチ・ミー
14.アイヴ・チェンジド
15.アンタイトルド・インストゥルメンタル
16.メイベリーン(ライヴ)
17.ロール・オーヴァー・ベートーベン(ライヴ)
18.ロックンロール・ミュージック(デモ)
19.サーティーン・クエスチョン・メソッド(アーリー・ヴァージョン)
20.スウィート・リトル・シックスティーン(デモ)
21.スウィート・リトル・シックスティーン(テイク3)
22.ナイト・ビート(テイク3)(インストゥルメンタル)
23.タイム・ワズ(スロー・ヴァージョン・テイク4)
24.タイム・ワズ(スロー・ヴァージョン)
25.リーリン・アンド・ロッキン(テイク1)
26.メリー・クリスマス・ベイビー

ロックンロールの偉大なオリジネイターでありますチャック・ベリー。

しかーーーーーーし!これだけ偉大な人でありながら、世間様に知られているのは「ジョニー・B・グッド」だけ。アルバムもほとんどベスト盤しか売れていない。で、そのベスト盤が困ったことに「ジョニー・B・グッド」系のロックンロールな曲ばかり選曲されているもので、チャック・ベリーよく知らん人には「何か全部おんなじだよね」と、酷評されている始末。

つうか、チャック・ベリーほど、その偉大な功績が知られていながら「ちゃんと聴かれていない」という人はおらんでしょう。

う〜ん、コレじゃあいかんということで、これからサウンズパルのブログでは、チャック・ベリーがいかに偉大で、いかにグレイトだったかということを世間様に少しでも”ちゃんと”知っていただくための啓蒙活動として、彼のアルバムを1枚目からちゃんとレビューするという企画をいたします。

まず「ロックンロール」が何故生まれたか?ということなんですが、コレはブルースの基本をあくまで下敷きにしながら、そこにカントリーやジャンプ/ジャイヴなど、ありとあらゆる要素を、チャック・ベリーというある意味多重人格な、冷めた感覚を持った天才が、自分の中に計算高くシャッフルしていった結果なのです。そこんところは、ベスト盤をサラッと聴いただけじゃあ絶対に分からない。オリジナル・アルバムを何枚か時間をかけてじっくり聴き込まないとリアルな実感として知ることはできません。

コレは私自身も、オリジナル・アルバム聴くまで、ベスト盤の印象だけで「チャック・ベリーって全部一緒だよね」などとフザけたことを十代の頃に平然と言ってしまったことへの反省と統括でもあります。はいィ・・・。

というわけで、本日紹介するのは、チャック・ベリーの記念すべきファースト・アルバムです。

1926年、ミズーリ州セントルイスという都会で、中産階級の家庭に生まれたチャックは、母親が居間でオルガンを弾きながら唄うゴスペルや、兄や姉たちがこっそりと家に持ち込んでくるブルースのレコードを聴きながら育ちました。

幼少の頃から、そこそこ裕福な家庭環境の中でありとあらゆる音楽に接していた彼は、早くから音楽に目覚めていった・・・というわけではなく、ハイスクールでは趣味でギターを弾きながら写真部に所属し、親から買ってもらった車を乗り回してナンパするといった、後の「青少年の郊外型のライフスタイル」を先取りするような青春時代を送っております。

彼の人生に決定的な影響を及ぼしたのは1944年のカンザス・シティへのドライブ旅行で、この時強盗と車の窃盗という罪を犯し、少年院にブチ込まれてますが、これが後に「16年毎に逮捕投獄を繰り返す人生」の幕開けになろうとは、当時のチャック少年は思ってもいなかったでしょう。

その後の彼の人生は、典型的なブルースマンと似たり寄ったりの数奇な運命に翻弄されていきます。

釈放されたチャックは最初の結婚をして、昼は自動車工場や掃除夫として働きながら、夜はクラブやパーティーに出かけて行っては一晩限りのギグを行い、多分モテモテだったんでしょうね。「音楽で食っていくぞ」という野心をギラギラにさせて、小銭を稼いではレコードや楽器にカネをつぎ込むようになって、ブルースだけではなく、ジャズ、カントリーからナット・キング・コールやハリー・ベラフォンテといったポップス、カリプソまで、とにかくいろんな音楽を聴きまくりながら自分の「オリジナルな楽曲」をせっせと作るようになったんですが、チャックの行動というのは「感動したからそれをやる」というのではなく、どうも「売れるためにあらゆるスタイルをコピーして、オイシイところを上手く盗む」という、どこか冷めた視点で音楽と接していたフシがあります。

実際にチャックのインタビューでも「ブルースは好きだよ。でもアレは心がブルーな時に唄えばいいんだ」とか「カントリーっぽい曲をやる時はわざと白人っぽい発音をマネして、それ以外の曲をやる時は黒人らしく、でもブルースとはちょっと違う、オレなりの洗練されたやり方で唄うことにしてたんだ。だってそっちの方がよりウケるだろ?」とか、まるで今売れている某日本のプロデューサーみたいな思考パターンが発言の節々に見受けられますが、チャックの凄いところは「黒人が白人音楽やるなんてもってのほか」だった時代にあえてそれを堂々とやり、単なる物真似に終わらない「芸」として、本人も知ってか知らずか、それを完璧にモノにしていったところでありましょう。

やがて1955年、チャックはシカゴに旅に出て、そしてその地でブルースの帝王として君臨していたマディ・ウォーターズに近付き、チェス・レコードを紹介してもらいます(おお、何て計算高い)。マディは一発で「コイツは面白いヤツだ」と見抜いて、自信満々でチェスのオーナー、レナード・チェスに紹介したと言いますから、そこらへんはマディもなかなかに黒いですね(^^;

で、チェスで行った最初のセッションが収録されたのがこのアルバム。

まずは高々に「ヘイル、ヘイル、ロックンロール!」と、ロックンロール時代の幕開けを告げた「スクール・テデイ」で始まります。この曲はそれまでブルースマンの概念にはなかった「ハイスクールでの日常」を唄ったもので、それは当時白人中産階級の子供達が送るスクール・ライフの日常と見事に合致した歌詞が多くの評判を呼び、黒人市場でも白人市場でもない「ロックンロール」を新たにアメリカの音楽シーンに打ち立てることになるのですが、最初のシングル・ヒットとなったのは、もっとカントリー色が強い「メイビリーン」(1955年)であります。

最初にラジオでこの曲を聴いたほとんどの人が「コレは絶対白人が歌ってるに違いない」と思っていたと云います。レコーディング時も、チェスの幹部陣は「こんなブルース色の弱い曲どこに売り込むんだよ?」と、当惑したと云いますが、コレがチャックの計算とレナード・チェスの思惑通り大当たりして、R&Bチャートの上位とポップ・チャートの両方にランクインして、その後チャックの出す楽曲はどれもR&Bとポップスの両方のチャートを席捲するという異常事態を巻き起こします。

で、1957年にその人気に乗じてこのアルバムがリリースされるんですが、この時代大抵アルバムといえば「シングル・ヒットした曲に、オマケみたいなカヴァー曲が付く」という程度のものだったのを、チャックはほとんどが自作のオリジナル曲で固めるという快挙も成し遂げます。

聴けば分かるんですが、その内容は彼の看板ともいえるシャッフル・ビートのロックンロール・ナンバー(この時代まだ8ビートは完成されていなかった!)をはじめ、Tボーン・ウォーカーの影響をモロに受けた「Wee Wee Hours」や、マディのフーチー・クーチー・マン系の「No Money Down」といったブルース曲から、「Havana Moon」「Thirty Days」といった、流麗なカントリー・ナンバー、テキサス〜メキシコ境界で流行っていたカントリーとラテンの融合音楽「テックス・メックス」からインスピレーションを受けたであろう「Drifting Heat」、カリプソ風味のトロピカルさが効いた「Berry Pikkin'」ナット・キング・コールばりの甘い唄い口のポップス「Together」など、その底無しの音楽的な幅広さが、都会的でどこか冷めた感覚の中でスマートなまとまりを見せているところは、流石天才です。

で、CDになったこのアルバム。本編に加えてボーナストラックが14曲も入っています。何と1曲¥70ぐらいですよ(!)そんじょのベスト盤買うよりは断然お得!てなわけでロックが好きでチャックベリーをちゃんと聴いたことがない人は、ぜひとも!

レビューはまだまだ続けますよ〜。





Chuck Berry "School Days"
(白人の少年少女を前にしてこの熱狂的な盛り上がり!)


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BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
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posted by サウンズパル at 18:48| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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