2014年12月26日

レジーナ劇場のアストル・ピアソラ 1970

1.jpg

レジーナ劇場のアストル・ピアソラ 1970
(RCA/BMG)

【収録曲】
1.ピアソラの挨拶
2.ブエノスアイレスの冬
3.ブエノスアイレスの夏
4.ブエノスアイレスの秋
5.ブエノスアイレスの春
6.ブエノスアイレス零時
7.アルフレド・ゴビの肖像
8.革命家
9.キチョ

ピアソラの作曲した数々の名曲の中でも、有名な「ブエノスアイレスの四季」というシリーズがあります。

それは

「ブエノスアイレスの春」

「ブエノスアイレスの夏」

「ブエノスアイレスの秋」

「ブエノスアイレスの冬」

の、4作品でが、何故かそれぞれ単品で演奏されることが多く、ピアソラ自身による演奏も、他の奏者のカヴァーも、「四季が揃って聴ける盤」というのは珍しく、大変貴重であり、私が「ピアソラ集め」を始めた当初にこのアルバムを購入した理由も「四季がまとめて聴けるから」という理由でした。

その時点で私は、このアルバムがアストル・ピアソラという人のキャリアの中で如何に重要な作品であるか、ということや、ピアソラにとって初の故国アルゼンチンでのライヴ・レコーディングであることも「アルゼンチン・タンゴの記念すべき初めてのライヴ盤」という歴史的な重要性なんかも全然知りませんでした。


ただ

「う〜ん、ブエノスアイレスの四季が全部入ってるのは嬉しいけど、1970年のライヴって、音質大丈夫かな…?」

ぐらいに思って買ったんですね。

それが、もう1曲目(正確にはアナウンスの次のトラックなので2曲目ですが)「ブエノスアイレスの冬」から、もう凄い!何が凄いって、演奏そのものの激しさと、ピアソラと彼の五重奏団が醸し出す「無限の香気(エスプリ)」みたいのが。

正直ピアソラは「キップ・ハンラハン・プロデュースの3部作」と、その近辺の80年代後期ぐらいのコンサート辺りが、無難そうだし、完成度も高いし、・・・と、思って、初期ピアソラを甘く見てたアタシが悪うございました。と、スピーカーに何べん土下座したことか・・・(汗)。

ハッキリ言って、「ブエノスアイレスの四季」以外の曲も、全部名演です。

代表曲のひとつ「ブエノスアイレス午前零時」は、ふくよかなコントラバスの音が刻む一定のビートの上で炸裂するピアソラのバンドネオンがもう凄まじいし、「アルフレド・コビの肖像」でのアントニオ・アグリの美しいヴァイオリン、カチョ・ティラオのギターが連打する単音オブリガード、チェ・ゲバラに捧げられた「革命家」の極限まで張り詰めた緊張感、「キチョ」でのエンリケ・ディアスのアルコ(弓弾き)に胸が締め付けられ、もう感動で呼吸すら苦しくなります。音質?言うまでもなくこの時代のものとしては最高にクリアで生々しいですよ、もう。

アストル・ピアソラ(バンドネオン)、アントニオ・アグリ(ヴァイオリン)、オスバルド・マンシ(ピアノ)カチョ・ティラオ(ギター)、エンリケ”キチョ”ディアス(コントラバス)の「ピアソラ五重奏団」は、ピアソラと最も長く活動を共にしたバンドで、革新的なピアソラの演奏と、その高度な理論で構築された楽曲をよく理解し、素晴らしい相乗効果を生み出しております。特に本作では”ピアソラと演奏するために生まれてきた男”とまで言われたアントニオ・アグリのヴァイオリンとのコンビネーションが本当に最高で、このコンビの演奏を聴いたことない方はぜひ聴いてみてください。

「ブエノスアイレスの冬」では、どう聴いてもチェロみたいな音色ですが、この曲だけヴィオラ弾いてるんですね。この選曲にしてこの楽器選びにまで細心の気配りを見せるアグリ、やはりタダモノではないです。

このころまだ「踊れない演奏家」「タンゴの破壊者」と、保守的な人たちから非難され、殺害予告までされていたというピアソラですが、母国アルゼンチンの伝統ある劇場で、真剣にその演奏に浸る観衆と、演奏後の万雷の拍手を聴いて、感慨無量だったことでしょう。

この録音盤のマスターを耳にしたピアソラは

「私はこれでもういつ死んでもいい」

と言ったそうです。







Astor Piazzolla Quinteto - Primavera Porteña - (En vivo Teatro Regina 1970)
(ブエノスアイレスの春)



Astor Piazzolla The Rough Dancer And The Cyclical Night(Tango Apasionado)

アストル・ピアソラ ラ・カモーラ〜情熱的挑発の孤独
サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ



http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
http://5spot.info/
posted by サウンズパル at 18:20| Comment(0) | ラテン/ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: