ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2015年01月07日

オーティス・ラッシュ アイ・キャント・クィット・ユー・ベイビー~コンプリート・コブラ・セッション

2.jpg

オーティス・ラッシュ アイ・キャント・クィット・ユー・ベイビー~コンプリート・コブラ・セッション1956〜58
(Cobra/Pヴァイン)

【収録曲】
1.I Can’t Quit You Baby
2.Sit Down Baby
3.Violent Love
4.My Love Will Never Die
5.Groaning The Blues
6.If You Were Mine
7.Love That Woman
8.Jump Sister Bessie
9.Three Times A Fool
10.She’s A Good ’Un
11.It Takes Time
12.Checking 0n My Baby
13.Double Trouble
14.Keep On Loving Me Baby
15.All Your Love(I Miss Loving)
16.My Baby’s A Good ’Un〈COBRA alternate takes〉~
17.I Can’t Quit You Baby
18.I Can’t Quit You Baby
19.Sit Down Baby
20.My Love Will Never Die
21.Groaning The Blues
22.Groaning The Blues(take3)
23.Three Times A Foo
24.She’s A Good ’Un(take4)
25.Keep On Loving Me Baby
26.Double Trouble
27.Double Trouble(take3)

どの時代のどの音楽にも、「名盤」を超越した「神盤」というのがございまして、戦後モダン・ブルースの世界でそれに相当するのは、まず何といっても「コブラ盤」としてファンの間でずっと憧れと畏怖と共に語り継がれてきたこの1956年から58年のデビュー・セッションでありましょう。

アタシなんかは今38歳で、ブルース好きとしては「まだまだ若造」なんでありますが、上の世代の方々は「クラプトン、ストーンズからブルースに入った世代」でありまして、アタシがレッドベリーとかサン・ハウスとかロバート・ジョンソンとかミシシッピ・フレッド・マクダウェルとかブラインド・ウィリー・マクテルとかいってキャッキャはしゃいでた時に

「おめぇ、戦前ブルースばっかり聴いとるが、ブルース好きならオーティス・ラッシュのコブラ盤ぐらいは聴いとかなきゃダメだぞ、アレはヤバいぜ」

と、よく諭されたもんです。

正直そん時はモダン・ブルースを少しばかりナメてまして

「へ、どうせどれも一緒だろ?スクイーズ・ギターでのけぞって”イェーイ”とかいってんだろ?」

と、思っておったんです(スティーヴィー・レイ・ヴォーンだけは何故か別格)。

しかし「ブルース好き」で繋がる人たちのほとんどが、あんまりにも「ラッシュのコブラ、ラッシュのコブラ、コブラッシュ(コレはウソ)」というもんだから、当時輸入盤店を探し回りまして、オレンジ色のジャケットの「Classic Cobra Recordings 1956-1958」てやつをようやく見付けて買ったんです。

正直そんな、あんま期待はしてなかった・・・。

しかし、1曲目「I Can’t Quit You Baby」の、出だしの

「オォォオオオーーーーアイ・キャント・クィット・ユー・ベイベーーーー!!!!」

の大絶叫を聴いた瞬間に、もうなんかトテツモナくヤバいもんを聴いた気がして、一旦コンポのSTOPボタンを押してしまいました(この行動の意味は今だによく分かりません・笑)。

一応、曲自体は「フツーのモダンブルース」です。

マイナー・キーの曲で、背筋に「ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾーーー!!!!」とクるシャウトと、サウスポー独特の”タメ”を効かせて一気に叩き込むのがラッシュの必殺技だということは、大分後になって分かりました。

それよりも何よりも、ラッシュの声もギターも、スタイルどうの音色どうの、テクニックどうのとか、それ以前に「内側にある、やぶれかぶれのどうしようもないものが突き破って出てくる」かのような、その凄まじい初期衝動の破壊力というのが凄まじい。

よくレビューなんかで「背筋も凍る」という表現をされるこの盤のラッシュのブルースですが、その表現は正に言い得て妙だと思います。

同じ時期に頭角を現して、「モダン・シカゴ・ブルース三羽烏」といわれたマジック・サム、バディ・ガイと比べても、このスタイルはかなり異質で、聴いた後もまるで後遺症のように後を引きずる類のものです(パワフルで健康的なサムのエモーショナルさとも、ヒステリックで凶悪なバディのエモーショナルさとも違う、まるで何か憑き物がそうさせてるようなオソロシさすら感じさせます)。

50年代ならではのドサクサな音色と、うっすらかかったエコーがまた、本盤独自のムードを醸すことに貢献していることも特記すべきことですね。このPヴァインからリリースされた最新リイシューは、更に音質が向上しており、生々しいことこの上ありません。

いやしかし、初録音の56年当時、ラッシュ22歳ですよ。この熟成感と迫力は一体何事かと・・・。

ラッシュは今も現役で活躍しておりますが、デビュー作があまりにも凄すぎて、この後リリースする作品やライヴ盤がフツー扱いされたり、モノによっては駄作扱いされてしまい、そのせいで「有名でもなかなかレコーディングチャンスに恵まれない」というバッドラックも背負ってしまってたりするんですが、それはあくまでこのコブラ・セッションが凄すぎるからで、決してラッシュがダメなわけじゃあないんですよ。繊細な人なので、調子の良し悪しがプレイに反映されやすいタイプではあるんですが、繰り返しますがそれはこのコブラ・セッションが余りにも凄すぎたからです。

国内盤ライナノーツは、アタシの駄文よりももっと正確でアツいラッシュ評が書かれておりますし、未発表フォトやボーナストラックも軒並みクオリティ高い素晴らしいものですので、輸入盤やレコード持ってる人も、コレは”買い”です。

あぁ、未だにこのアルバムの凄さには、再生したその瞬間に全ての思考がブッ飛ぶぐらいヤラレてますんで、詳しい曲解説が出来ずにゴメンナサイ。そこんところは皆さんどうか体験して、おのおのの「ヤバい曲」と出会って頂ければなと思います。







Otis Rush: I`Cant Quit You Baby
(おお、動画があった!!しかもかなり調子良いラッシュ。しかしギターの迫力は音盤の方が上ですぞ)

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
http://5spot.info/
posted by サウンズパル at 16:37| Comment(2) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして

このアルバムは古い輸入盤で買いましたが、初めて聴いた時の感動は今でも忘れられません。

チェスから発売されたアルバート・キングとのカップリング・アルバムも最高ですよね。


脳梗塞で倒れたそうですが、また来日して欲しいものです。

Posted by 魂 at 2015年01月07日 21:07
魂様

はじめまして、こんにちは♪

そうですよね、私も初めて聴いた時の衝撃が忘れられないまま今に至って何度も聴いています。

チェス盤はコブラ直後の録音で、同様の緊張感がありますね。何と言っても「So Many Roads」のヒリヒリ感、堪りません(^^

ラッシュは現在リハビリ中のようですが、また復活して勇姿を見せて頂きたいです。

コメントありがとうございます!
Posted by soundspal at 2015年01月08日 09:04
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: