2015年01月21日

サン・ラー Space Is The Place

1.jpg

Sun Ra Space Is The Place
(Blue sumb/Impulse!)

【パーソネル】
Sun Ra(p,A Space"Farisa" organ,@B〜D)
Akh Tal Edah(tp,A flh,C、vo,@)
Kwame Habi(Lamont McClamb)(tp,AC)
Marshall Allen(as,C fl,B)
Danny Davis(as,C fl.B)
John Gilmore(ts,A〜C vo,@D)
Danny Thompson(bs,@ fl,B vo,D)
Eloe Omoe(b-cl,@D fl,B)
Pat Patrick(el-b,@A bs,C vo,D)
Lex Humphries(ds,C)
Atkatun(Stanley Morgan)(perc,C)
Odun(Russell Branch)(perc,C)
(as all Marines are riflemen,all members of the Arkestra are percussionists)
June Tyson(space voice,@D)
Ruth Wright(space voice,@D)
Cheryl Banks(space voice,@D)
Judith Holton(space voice,@D)

【収録曲】
1.Space Is The Place
2.Images
3.Discipline
4.Sea Of Sounds
5.Rocket Number Nine

「スペース・イズ・ザ・プレイス」

つまり「宇宙こそが我々の活動の場である」

と、説かれる宇宙ジャズのパイオニア、サン・ラーの、ほとんど無限に近い数のアルバムの中から「間違いなく名盤!」といわれるものの中でも1972年にImpulse!からリリースされた(原盤はブルーサム)このアルバムは特に最右翼。

とりあえず「サン・ラ聴きたいけど、何から聴けば良いべか・・・」と思ってる人には

「うむ、宇宙の理力に従って、目にしたものは片っ端からお聴きなさい」

と、本当は言いたいところでありますが、いかんせん我々地球上に住むわれわれ生身の人間は、財力とか色々なものに縛られておりますので、大いなる宇宙の理力の命ずるままに動くというのはなかなか出来ないもの。

しかしですね、21世紀の現在は「サン・ラーがカッコイイ」「サン・ラーは面白い!」と、次々とそのサウンドに触れて虜になる若い人が多くいると聞き及びます。

そんなわけで、「面白くてカッコいい部分がクローズアップされたサン・ラー作品」といえば、やっぱり70年代。

サン・ラーが「スペース・オルガン」と名付けたムーグ・シンセが大々的にフィーチャーされた作品が面白いしカッコイイです。はい。

私自身も、世紀末に近い1998年に、このアルバムで初めて「サン・ラー体験」をしました。

当時フリー・ジャズが好きで、後期コルトレーン、アルバート・アイラー、エリック・ドルフィー、アーチー・シェップとかを夢中で聴いておるうちに、オレンジと黒のイカした背表紙の「Impulse!」というレーベルから出ているフリージャズにはハズレがない!ということに気付き、いわゆる「レーベル買い」をしておったんですが、そこでサン・ラー。

名前も何も知らないけど、何だこの古代エジプト人みたいなコスプレしてるオッサンは!何だかアヤシイ臭いがプンプンするではないか!!コレはイカレているに違いない!おし、買おう!!

と、イキリ立って、即購入しました。

フリークトーン大炸裂!わけのわからん混沌としたヤバさに満ちたパッションの大炸裂!そしてゆんゆんと漂う宇宙電波なイカレ音楽!!うひょ!

というのを期待して、家のオーディオにCDをセットして、おもむろにスピーカーから

「キュイーン、キュイーン」

と、ぶっ放たれるムーグ・シンセの音から、バリトン・サックスが刻むものっすごい正確な8拍子に

男女混声ヴォーカル群の

「すぺーす、いっざ・ぷれーいす(うぉうをぅをぅ♪)」

「すぺーす、いっざ・ぷれーいす(いぇいぇいぇい♪)」

の合唱が乗っかって

そして、その背後でフリーク・トーンが「ボギャー!バギギギギ!!」

と、炸裂するのを聴いて

「もうコレだ、コイツら完全に頭オカシイ」

と、凄まじい感動を覚えました。

で、およそ20分以上にも及ぶ「宇宙の音楽の大饗宴」を堪能して、前頭葉が目一杯膨張した後の2曲目

このイントロでサン・ラーが奏でるピアノの、素晴らしく美しいイントロに、即頭部を打ちぬかれた訳です。

そのピアノは、その頃知っている生半可なジャズ知識でいえば、コルトレーンとの共演盤でピアノを弾いているデューク・エリントンの、あの、えもいえぬ香気を漂わせながらもしっかりと芯のある、あの洗練美に通じるものを感じました。

そこからの、一糸乱れずに端正にスウィングする、素晴らしくモダンなビッグ・バンド・サウンドが醸す陶酔による心地良い眩暈の中で私は思ったのです

「・・・もしかして、サン・ラーって、タダのイカレ野郎じゃないのかも・・・」

と。

そう思うたのも束の間、楽曲はどんどん進んで行き、不穏な3曲目からまたしても怒涛のカオスに突入する4曲目、ものすごい早口で「ヴィーナス!ヴィーナス!」と、ヴォーカルがまくし立て、そしてムーグ・シンセが暴れまくるラスト・ナンバー「Rocket Number Nine」。

アルバムのラストは、オープニングと同じくシンセが

「キュイーン、キュイーン・・・」

と、宇宙船がどこぞの空間へワープしたかのような音を発して、サン・ラーと彼のアーケストラは、宇宙の彼方へと飛び立ってゆくわけです。

興奮と陶酔と恍惚と・・・。

冷静になって「Space Is The Place」を聴いてみたら、この1曲の中にジャズありソウル/ファンクなグルーヴあり、プログレあり、ポリ・リズム(異なったリズムが同時進行で展開して独特の磁場を造っとります)あり、アフロ・ビート的要素あり、ミニマル(途中から入る女性ヴォーカルその2の棒読みコーラスのジワジワくる破壊力よ)あり、・・・つまりこの曲には「何でも入ってる」ということに気付きました。

そしてサン・ラーのことを深く知ろうと思って、色んな本や資料を読むと、やっぱり彼はタダのイカレ野郎ではなくて、アーケストラのリハーサルはとてもストイックに繰り返し行い、古典音楽(スウィング・ジャズやブルース)にも通じ、そればかりでなく、哲学や天文学、歴史、医学など、様々な方面に凄まじい知識を有する、稀有な学者であり、思想化でもあると知ったのです。

で「スペース・イズ・ザ・プレイス(宇宙こそ活躍の場である)」。

この曲はサン・ラーの「テーマソング」みたいな曲で、色んな盤で色んなヴァージョンの演奏がありまして、それぞれに好きなんですが、このアルバムの20分超えのロング・ヴァージョンは、一番「すべてを詰め込んだ」ヴァージョンじゃなかろうと思います。

私がサン・ラーと出会った1998年は、サン・ラーが故郷土星に還ってからもう5年が経っておりましたが、実直な感想として「あ、コレは21世紀の音楽だな」と、何か”ピン”ときました。

そしたらつい先日購入した、サン・ラーの伝記本「てなもんやサン・ラー伝」に、現在アーケストラを率いてるアルト奏者のマーシャル・アレンの

「サン・ラーはずっと21世紀の音楽を作ってきたんだよ」

との発言を見つけ、嬉しくなりました。

サン・ラーはその独自の派手で奇抜ないでたちや、本人の語るその深淵過ぎる宇宙哲学などで「変人」の劣等感を張られ、存命中(地球での活動中)は音楽界で決して恵まれた待遇にあった訳ではありません。

むしろ世間からどう思われようが、「未来人にはきっと理解される」と信じ、メンバーにもそれを説きながら、真摯に音楽や様々な学問の研究に没頭したといいます。

彼の音楽が、21世紀にスムーズに、そして活き活きとフィットするものであるということは、21世紀の2014年にこのような文章を書いている私という人間がいることで、少しは証明されますでしょうか?

まだサン・ラーをご存知ない方は、最初は冷やかしでも何でもいいですので、ぜひ聴いてみてください。

私も彼の素晴らしい作品の数々を、これからもなるべく多くを皆さんに紹介していきたいと思います。

↓まずは



Sun Ra Cosmos



Sun Ra 1979 - Space Is The Place
(コチラは「Space Is The Place」79年のライヴ映像。御大も甘くムーディーなヴォーカルを披露♪)

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
http://5spot.info/
posted by サウンズパル at 19:15| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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