2015年01月22日

サン・ラー Sun Song

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サン・ラー Sun Song

(Transision/Delmark)

【パーソネル】
Sun Ra(p,@〜I Hamond B-3 Organ,J)
Art Hoyle(tp,bells)
Dave Young(tp)
Julian Priester(tb)
James Scales(as)
John Gilmore(ts)
Pat Patrick(bs)
Richard Evans(b)
Wilburn Green(el-b)
Robert Barry(ds)
Jim Herndon(tympani)

【収録曲】
1.Brainville
2.Call For All Demons
3.Transition
4.Possession
5.Street Named Hell
6.Lullaby For Realville
7.Future
8.Swing A Little Taste
9.New Horizons
10.Fall Off The Log
11.Sun Song


サン・ラーと彼のアーケストラが、ただの“イロモノ”ではなく、しっかりとした理論的なものを身に付け、更には共同生活の中で、ある意味スパルタとも言える程の鍛練による鍛練を重ねた、正統ジャズのスペシャリスト集団であることは、この作品を聴けばよぉく分かります。

このアルバムは、サン・ラーの初期、1950年代半ばに「Transision」で一旦リリースされるも、あえなく廃盤になっていたアルバム群を、ブルース・ファンにはおなじみデルマークが1967に再発したものであります。

とにかく全曲ヒジョーにレベルの高い、上質なスウィング感みなぎる良曲です。

後年のサン・ラー・アーケストラの看板であるムーグ・シンセや「唄モノ曲」はありませんが、まぁ気にしなさんな。ここで聴けるのは「スウィングもバップも朝飯前にこなせたサン・ラー・アーケストラの確かな実力」なのですから。

「さあさあサン・ラーの楽しいジャズがはじまるよ〜♪」と、高らかにオープニングを告げる@(サン・ラー曰く「この曲はお伽話や神話に隠された真実がちりばめられたギリシャ的な思想である」)から、なんだかウキウキしてしまいますね♪

ソロで特筆すべきは、あのコルトレーンが影響を受けたジョン・ギルモアと、ニューヨーク進出してすぐに「サン・ラーのとこにいる恐ろしく腕のあるバリトン吹き」としてミュージシャン仲間達からズバ抜けて評価の高かったパット・パトリックという、この時期のサン・ラー・アーケストラの「サックス二枚看板」のプレイでしょう。

この二人の、渋いけど華がある、そして当たり前だけどテクニック的にもしっかりとした「押し/引き」を心得たアドリブ・ラインを、サックス好きならまずは聴くべきです。

それとAのソロ・パートや、伴奏で派手に荒れ狂うDでも大活躍のティンパニ(笑)。これについては訳もなく耳になんだかこびりついちゃうのよね〜(^^;

このさて、このアルバム、佳曲揃いだということは書きましたが、エンジン性能の良い中型の単車並みに、中盤からドドッと聴き応えがゆるやかに加速していきます。

ブルーノート系1500番台みたいな「ファンキー」を、ハンドクラップも交えて黒々と聴かせてくれるE(サン・ラー曰く「リズムに秘められた無邪気さと魅力が融合し、リアリティを生み出している」)でうるさ方のモダンジャズファンも、黙ってサン・ラーのヒップさを認めざるを得んでしょう。

かと思えばドビュッシーとセロニアス・モンクとが合体したかのような芳醇なピアノのイントロから、一気にサン・ラーがバド・パウエル化してノリノリの4ビート大会に突入するFは、短い演奏ですがズ太いベースのウォーキングの安定感も聴きモノ(サン・ラー曰く「これは明日という序曲である」)。

ほいでもってタイトルに偽りナシの古き良き時代の寛ぎ感溢れる小気味良いスウィング・ナンバーのG。

浮遊感に富んだピアノに導かれてアーケストラ・サウンドも艶やかに揺らぐH(サン・ラー曰く「瞑想的で何かを期待しているようなムードに溢れている。一体何を期待しているのか?それは喜びという刺激、美、そして高等な愛情である。」)。


シメのタイトル曲でようやくハモンドB-3オルガンが出てきて、曲調もやや前衛的に(途中、サン・ラーはピアノで短いフレーズを弾いて再びオルガンにシフトするんですが、これがまた美しいのよ)「新しい何か」への余韻をたっぷり残して(サン・ラー曰く「新しいサウンドへの挑戦であり、無調の明日を描いた作品」)アルバムは終わり。

全体的に1曲1曲がコンパクトにまとまった小品集という感じで、大変聴き易いのですが、ソリッドなサウンドで手堅くスウィングするアーケストラ各々のメロディアスなソロと、ところどころで鈍く輝く、サン・ラーのイカシた「ハズシ」の美学に酔いましょう。


※ちなみに文中の「サン・ラー曰く」のところは、ライナノーツ、いや、ちが“ラー・イナノーツ”に添えられているサン・ラー自身による楽曲解説からの引用です。

※「ラー・イナノーツ(Ra In a Notes)」という言葉は、よくオリジナルな単語を使い、アナグラムや語呂合わせを使って宇宙の仕組みを説いていたサン・ラーに触発されてアタシが勝手に造った造語です。みなさん是非流行らせてください(^^;





サン・ラー Space Is The Place


Sun Ra Cosmos



Street Named Hell
(ティンパニが良い感じのDに、どなたかがナイスなベティちゃんのアニメを!コレは素敵)

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
http://5spot.info/
posted by サウンズパル at 18:29| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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