2015年02月02日

ジョン・リー・フッカー ハウス・オブ・ザ・ブルース+2

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ジョン・リー・フッカー ハウス・オブ・ザ・ブルース+2
(Chess/ユニバーサル)

【収録曲】
1.ウォーキン・ザ・ブギー
2.ラヴ・ブルース
3.ユニオン・ステーション・ブルース
4.イッツ・マイ・オウン・フォルト
5.リーヴ・マイ・ワイフ・アローン
6.ランブリン・バイ・マイセルフ
7.シュガー・ママ
8.ダウン・アット・ザ・ランディング
9.ルイーズ
10.グランド・ホッグ・ブルース
11.ハイ・プライスト・ウーマン
12.ウィメン・アンド・マネー
13.ヘイ・ブギー(ボーナス・トラック)
14.マッド・マン・ブルース(ボーナス・トラック)


一言で言えば情念の塊。いつのどの時期の、どんなフォーマットによる演奏でも、ギラギラなブギーとドロドロのスロー・ブルースでのたうちながら低く唸るジョン・リー。

キャリアがおよそ50年と、もうべらぼうに長い人なので、弾き語りからアコースティック、ソウル系のポップなバックにコーラスを付けたもの、ロック・バンドとの共演(サンタナとも演ってたりするんだぜぇ)などなど…、アルバムの数だけバラエティに富んでいる人でもありますが、コノ人のやってることは、長いブルースマン人生の中、1っっっミリもブレたことがありません。

つまり曲によって、アレンジに合わせて唄い方やギターの弾き方なんかを一切変えたことないんですね。

つうか何十年やってても、このお方が作る曲は、さっきも言ったような「ギラギラなブギー」か「ドロドロのスロー・ブルース」。しかもそれぞれおんなじパターンの曲しかないんですわ…。

これが並のミュージシャンなら、ワンパターンの一言で片付けられ、埋もれてしまいそーなものなんですが、ジョン・リーはそうならなかった。

CDやレコードで聴いておっても、私はジョン・リーに“飽きた”ということはありません。

どころか聴く度にグイグイとその底無しのディープ・フィーリングに引きずりこまれて「さぁ、またジョン・リーを聴くぞ〜♪」と、何だかよくわからないワクワク感すら沸き上がってくるから不思議です。

ジョン・リーのアルバムで超名盤、何はともあれ聴かねばならないブツとして「ザ・グレイト・ジョン・リー・フッカー」という、超初期の暗黒エレキ弾き語りがありますが「コレさえ聴いてりゃ後は別にいいや」という甘っちょろいもんじゃあござんせん。

ジョン・リー・フッカーという恐るべきダークマターの魅力というのは、巷で名盤/代表作と呼ばれておる作品以外のものも何枚か聴いて初めてその魅力に、鈍器のようなもので後頭部を殴られたような重たい衝撃とともに、理屈ではなくて「体験」として体に染み付くものであります。

(ブルースというのは鑑賞ではなく体験なのです。私は世間の皆様にこれは声を大にして言いたいのであります。)


で、本日は私が名盤「ザ・グレイト・ジョン・リー・フッカー」の次に強烈な「ジョン・リー体験」をしたアルバムを皆さんにご紹介致しましょう。

戦後ブルースを語る上では絶対に欠かせないチェス・レーベルから1957年にリリースされた「ハウス・オブ・ザ・ブルース」をご紹介致しましょう。

録音は1951年から1952年。

加えて契約の関係で「ジョン・リー・ブッカー」という、誰が見てもそれと判る大胆な偽名で録音していた1950年の録音も含む音源であり、時期的には「ザ・グレイト〜」とさほど違わない、いわゆる「初期エレキ弾き語り時代」のものと言えるでしょう。

が、そこは天下のチェス・レーベルです。

「ジョン・リーのエレキ弾き語りを、そのまんま録音したんじゃあ同時期の他のアルバムと変わり映えしないんじゃなかろうか?」という思惑からか、レコーディングにあたっては色々と工夫を凝らしております。

まずはともあれ1曲目です。

ジョン・リーが唄の合間にテロテロ単音で弾くオブリガードを、何とテープの早回しという離れワザで小気味の良い早弾きに、ヴォーカルの多重録音が、何ともサイケデリックであります。

恐らくチェス側は「何とか変化を付けさせよう」と、必死だったんでしょうなぁ・・・。

サイケという意味では、多重録音ヴォーカルにエコーとディレイがかかって、おまけにギターも妙な歪み方しており、アヤシゲな雰囲気になりまくっていて、唯一のバック・ミュージシャンとして正統派ブルース・フレーズをキチンと弾いているピアニストが可哀想になるぐらいマッドなCも捨て難い魅力があります(米国でサイケブームが席捲する15年以上も前の録音なんだぜぇ・・)。

その他の曲は概ねこの時期の「ドロドロエレキ弾き語りのディープ・ジョン・リー」。

サニー・ボーイ・ウィリアムスン(T世)でおなじみのF「シュガー・ママ」や、ミシシッピ・フレッド・マクダウェルが得意としてたH「ルイーズ」も、ギター多重録音で、ミシシッピ・デルタの香りが漂います。

全体的にはスロー・ブルースがヒジョーに重たく、ジワジワと腹に効いてくる曲が多いのですが、後半のボーナス・トラックも含む怒涛のブギーがもう腰にクるヘヴィ極まりないダンス・ビート(!!)Kはピアノとドラムも付いたバンド・ブルースですが、この全体の混沌ぶりは「濃い」を通り越してオソロシくすらあります。

ジョン・リーの作品の中では、どちらかというと地味ィな扱いに甘んじているアルバムではありますが、それは同時期のモダン/ケント盤「ザ・グレイト・ジョン・リー・フッカー」や、キング盤「シングス・ザ・ブルース」辺りが、濃密のレッドゾーンを振り切った孤高の作品であり過ぎるゆえ。

内容は天下のチェス・レコードですので、悪かろうはずがございません。ジョン・リーを聴いたことない人でも「うはぁ、濃い!」と思わせるに十分な空気はみなぎっておりますのでご安心を。





ザ・グレイト・ジョン・リー・フッカー


John Lee Hooker - Walkin' the Boogie
(この早弾きギター、最初はイトコのアール・フッカーが助っ人で弾いているのかと思ってました・・・)




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 18:46| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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